滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)


 
中耳炎といえば、昔は耳だれのでる慢性化膿性中耳炎が多く、これで難聴になるかたが多くいました。しかし、現在多い中耳炎は滲出性中耳炎で、これは急性中耳炎の後に中耳に長く滲出性液が残り難聴になる病気です。年齢では4〜5歳をピークとして、なかなか改善しない病気です。そのせいか4〜5軒の耳鼻咽喉科を転々と訪れたあと当科を受診する患者が多いようです。しかし、最終的には、アデノイド切除術+鼓室内チューブ留置術を行わなければ完治しない患者が多くいます。それぞれの施設でやり方がちがうと思いますが、当科では下記のように治療を行っています。

当科における治療方法
1、ネブライザー治療

2、消炎酵素剤、抗アレルギー剤の内服による治療
 1、2の治療により改善が見られる人が9割程度います。しかし、1割の患者はこれらの治療にもかかわらず改善せず、手術的治療が必要です。 

3、通気治療
滲出性中耳炎の手遅れ(癒着性中耳炎または鼓膜が薄くなった患者)の状態に対して 姑息的治療として行っています。文献的にも、通気治療は行っても行わなくてもあまり差は ないということですので、あまり行っていません。

4、鼓膜切開術
聞こえが悪く不自由している患者に対して行っています。鼓膜切開したからといって この病気はなおりません。1時的に聞こえが良くなるために、だらだらと50〜60回切開を受けた患者が受診いたしますが、手術治療(アデノイド切除術+鼓室内チューブ留置術:全身麻酔下にて)以外には良い方法はないとおもわれます。

5、アデノイド切除術+鼓室内チューブ留置術(全身麻酔下にて)
5〜6歳になって保存的治療で改善が見られない患者に対して行います。時期を逸する患者がいますので、半年程度治療を受けても改善がない症例には行わなければなり ません。

*滲出性中耳炎を放置するとどうなるか*
 癒着性中耳炎、真珠腫性中耳炎となり難聴が残りますので、手術等の治療を受ける必要があります。

*アデノイド切除術+鼓室内チューブ留置術を受けると完全になおるか*
 チューブが脱落し再発する患者を5%程度あり、95%の患者は改善すると思われます。
 
 

下記論文は、漢方薬を使用した症例をまとめたものです。
 

滲出性中耳炎と柴苓湯

滲出性中耳炎と柴苓湯 (第2報)