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D-37の製作記


バックロードホーン「D−37」の製作記です。

3年前にD−118というFE108ESU(限定販売)を使ったバックロードホーンを作ったのですが、
その経験を元にもう少し部屋の
インテリアとして溶け込む容姿に出来ないかと僕なりに工夫してみました。
基本設計はほとんど変更していません。(参考文献 「こんなスピーカー見たことない」長岡鉄男著)
小さな改良として、底の袴を無くして側板を下まで延長して、
空気室は後から広げるのは
不可能なので10mm程高さを伸ばして調整幅を広げました。
こだわった容姿の部分では、階段状のホーン開口部はラウンドさせてチェリーのつき板を貼り、
側板のコグチは、合板のバームクーヘンのようなラワンの積層を隠す為に
同じ素材のシナ材コグチテープを貼りました。


バックロードホーンとは、どんなスピーカーかというと・・・
軽く強いコーンを強力なマグネットで駆動するフルレンジユニットは、効率がよく、明るく元気で
音離れがよい気持ちのいい音なのですが、普通の密閉やバスレフの箱に入れると
低音が出てくれないのです。このユニットからなんとか低音を出そうというのが、バックロードホーンです。
中高域はユニット前面から、ホーンから中低音を出す、ツーウェイシステムです。
これを詳しく説明すると、ホームページがひとつ出来てしまいますので、これ以上はやめておきますね^^
そしてフルレンジユニットですから、コイルやコンデンサーを使ったネットワークが介在しない為、
非常に鮮度の高いクリアー音が楽しめます。

本来「D−37」は、FOSTEXの限定販売ユニット、FE168SSという強力ユニットを想定して
設計されていますが、
今回はレギュラーモデルFE168EΣを使ってみました。
理由としては最新限定モデル、168ESの2本で58,000円という金額が捻出できない事と、

D−58ESを作った方が音は確かに強力であるが普通に音楽を聴くのであれば
D−55の方が聴きやすく疲れないとどこかのHPでの
記述を読んで、
Σでもいけるんではないかと思ったからです。

確かにワインをグラスに注ぐ音や自衛隊の実演の音を聴く事はあまりないわけで、
ふっくら気味のサウンドをあえてチョイスするのも
ありではないかと自分を納得させたわけです。
以前から暖めていたアイデアと約1ヶ月にわたる製作記を見てやってください。


シナベニア4枚半をカットしたD−37のパーツ群です。
近所の棟梁に頼んで一緒にカットしました。
シナベニアはほぼ卸価格、カット代8000円。
ありがとうございました。大棟梁様!!
こうやって写真を撮ると大した数では無いように見えますが
総数74点にも及ぶ壮大なものです。
それもこの部屋はエレベーターの無い4階でして
これを運んだだけで本日はギブアップ。
作業は明日から・・・
まずパーツが全て揃っているか点検の為に
仮組みしてみる。
欠品はないようで一安心^^
今回使用するユニット FOSTEX FE168EΣ。
昨年リファインされたニューユニットです。
限定販売のESとの違いは顔を見る限りでは
ぼくには判別できません。
しかしマグネットの大きさが全然違う・・・
悔しいのでキャンセルマグネットを装着してやろうと
二六製作所さんからネット購入したマグネットが手前にある
黒い塊。
キャンセルマグネットを付けたもうひとつの理由としては
テレビの側に設置するので画面への影響を考えての
対策です。
キャンセルマグネットの取り付けです。
まず裏のラベルを剥いでからボンドを付けます。

そして反発する方向に接着するわけですが、この吸引力、
反発力たるやかなりのもので指を詰めようものなら
かなり痛い。ほんとに痛い。作業は慎重に!
で、反発する方向に近づけていくと接触する寸前で
反発力が弱まるので接着自体は難しくはありません。
しばらく手で保持しておくだけで大丈夫です。
これがキャンセルマグネットを装着し横から撮ったもの。
なかなかの風格ではないですか(^^;
でもESに比べたらサイズがまだまだ小さい。
それにこれでは磁力アップは小さくて
ポールピースに直結したバックプレートを付ければ
いいのですが、これは次回に。。。
バッフルのユニット取り付け部の加工です。
15mmベニヤの2枚重ねの部分を写真のように

加工しました。
マグネットの巨大なESでは必須加工のようですが、

マグネットの小さいΣ系では必要ないかもしれません。
将来ESに換装する可能性もあるのでやってみました。
間違いなくヌケは良くなるはずです。
そしてユニットを何度外してもネジ穴がバカにならない
ようにツメ付きナットを使用します。
ツメ付きナットや鬼目ナットの加工ではナットの位置や
角度にずれがあるとボルトがはまらない恐れがあるので
原寸合わせで慎重に行いました。
ユニットを取り付けてみたところ。
六角のスクリューを使ってみましたが見栄えもよく
なかなかかっこいい。
完成が待ち遠しい今日この頃^^
各パーツの組み立てに入ります。
左右をセットで組み立てて接着を行えば写真のように
効率よく作業が進むと長岡鉄男著「こんなスピーカー
見たことない」に書いてあった(笑)
組み立ての途中ですがここで今回の補佐的キャストの
紹介。
赤いメグミルクは今回の作業を始めたと同時に発売
された新生"雪印”の新ブランドの牛乳。
接着剤が乾くのを待つ間、メグミルクを飲みながら
愛読書である「こち亀」を読むという毎日でした。
バッフルが組みあがったところ。
しかし、この冬一番の寒波が襲ってきたため
接着剤の乾燥には時間がかかる。
この寒波がもたらした積雪です。
ここは市街地に近いのでこの程度の積雪で済みましたが
郊外の交通網はマヒ状態でいやはや大変な雪で
ありました。
この寒波で活躍したのが石油ストーブ君。
暖房の仕事をしつつ乾燥作業もしてくれるという
一石二鳥なヤツであります。
でも近づけ過ぎは禁物で板を反らす可能性があります。
塗装の乾燥ではラッカーが沸騰して気泡が出来て
しまった事があります。要注意!
この薄いベニヤがラウンドバッフルにする為のパーツ。
オリジナルではこの階段状の開口部を見せる仕上げと
なっているのですが、今回は隠してみようと思います。
こんなことをしては音質に悪影響を与えるかもしれませんが、
今回はルックスにもこだわるので弊害をなるべく
出さないように対策はしていこうと思います。
ほんとは削るのが本道でしょうがサンダーで削ったのでは
つき板を貼るためのフラットな面を出す事ができないので
この方法で妥協しました。
きっちりと接着する為に折れ釘を打ちました。
叩いてみて浮いた音がするところへ打っていくと
これだけの数になってしまいました。
接着剤が乾いたら折るなり抜くなりする仮止め用の
釘なのであります。
問題のラウンドする部分はこのようにしてベニヤを
曲げました
ボンドをしっかり塗り、ガムテープと折れ釘で
乾くまで保持。
はみ出た部分をカット。
なんとか形になってきました。
段差とベニヤの隙間はこの発泡ウレタンを充填しました。
これなら嫌なな響きは出てこないでしょう。
しか〜し この発泡ウレタン君、ことの他成長が著しく
写真のようににょきにょきと・・・
折れ釘を抜いた針ほどの穴からも顔を出す始末で
大笑いでした。
これはウレタンが乾いたらカッターで簡単に切り取る
事ができるので心配はありません。
はみ出たウレタンを切り取ったところです。
ベニヤを叩いてもコツコツと音がするだけで
変な響きはありません。
今回、新たなチャレンジで目玉でもあるつき板の
登場です。
このつき板はクラフトNさんからネット購入したもので
チェリーを使いました。
このつき板が中々のもので表面は平滑、ひびや割れも
無く端まできれいに仕上げてあり品質はすばらしいです。
裏には乾燥したのりがついていて アイロンでのりを
溶かしながら貼っていくわけです。
なんとか貼り終わりました。
濡れたタオルを置いてアイロンで押さえるわけですが
多少 木肌が荒れるようですが縮むよりはいいですし
ペーパーをかければきれいになります。
チェリーの木目はやはりきれいです。
かなり余裕をもたせて発注したつもりでしたが
余ったつき板はたったこれだけ。。。(汗)
あぶないあぶない(笑)
まず木肌を整える為にプライマーを2回吹きました。
しかしこれが後で後悔することに・・・
ウレタンつや消しクリアーの質感が気に入ったので
これで仕上ました。
写真で分かると思いますが、きれいな木目を出す事が
できました。 大満足です。
側板の加工にはいります。
側板は2枚貼り合わせです。
プレス機で圧着するのがベストなんでしょうが
DIYでは不可能ですので写真のように
重いものを乗せての接着になります。
張り合わせるとやはり多少誤差が出たので
乾燥を待って端をカットしました。
合板の切り口はバームクーヘンのような積層に
なっています。これを隠すのにシナ材のコグチテープを
使いました。
のりがついているので写真のようにコグチに貼って
はみ出た部分をカッターでカットするだけです。
これでぱっと見ただけでは無垢材に見えます。
よーく見ると当然木目は不連続ですから貼りモノと
ばれてしまいますが・・・
気にしない 気にしない^^;
塗装はケヤキのオイルステインで着色しました。
1回塗りでは、色が薄くむらがあったので
2回塗ったのですが今度は濃過ぎでとんでもない
色になってしまい失敗したなーと・・・
でもクリアーラッカーを吹くと深みのある色になったでは
ないですか^^ほっと一安心。
左がステインで着色のみ、右がクリアーを吹いた板です。
これだけ変わるのですよ。
外は氷点下、室内での乾燥となるわけですが
頭の中はラリラリモード突入(爆)
最近の塗料には有害なものは入ってないでしょうが
人には薦められません。
塗装は暖かくなってから行う事をお勧めします。
クリアーを何回ふいたんでしょうか?
多分5回くらいだと思いますが、このくらいの
光沢が出てきたので良しとしました。
この側板塗装中に舞い込んできたニュースが左の
写真です。
最近は大したトラブルも無く打ち上げも帰還も
ニュースにならないくらい成功が当たり前に
なっていたので、この事故には衝撃を受けました。
宇宙ではなく地球のすぐ側での事故なんですから
まだまだ宇宙どころか地球ですら自由に出入り出来ない
わけで、宇宙旅行なんて浮かれてる場合じゃ無いなと
スプレー片手に感じたひとときでした。
今回は音道も塗装するので接着する部分は
マスキングテープを貼ります。
ラッカーがいいのでしょうけど、黒のペンキが大量に
余っていたので使う事にしました。
音道部を塗ることによって響きが良くなるのと
腐食に対して効果があると思われます。
真偽はいかに・・・
音道の組み立てに入ります。
押さえには最初から重い物を乗せるとずれやすいので
軽いものから重いものへと換えていきます。
位置を修正しながらはみ出たボンドを濡れたウェスで
拭き取るのですが結構忙しい作業です。
ボンドが5割方乾きズレが生じなくなったら重量物を
乗せて乾燥を待ちます。
一晩この状態で置いておくわけです。
ちなみに"おもし”のキャストは、つい先日まで10年以上
働き続けてくれたアンプ、ソニー TA−F555ESX君と
これまたD−118を作るまで10年以上働いてくれた
スピーカー、オンキョー D−77X君であります。
これだけの重量物がある部屋もなかなかあるまい。
意外と無かったのがこの三角柱。
あっても銘木で高価で見えないとこに使うには
もったいないですし、これだけのためにハンズに行く
気にもなれなかったのですが、なんと近所の百円ショップで
偶然見つけてしまいました。
近頃の百円ショップにはなんでもあるんですね。
この三角柱によって音の溜まりを排除しようという狙いです。
オリジナルにはありません。
音道の出口下部もラウンド仕上げです。
ここもボンドと折れ釘でしっかり固定。
空洞の部分には玉砂利を入れますが、ごろごろ音が
するのを防ぐのと、共鳴対策にフェルトをはりました。
内部構造、スケルトン画像です。
バックロードホーンの構造はこのようになっています。
黒く塗っているので、音道がどのようになっているのかが
よく分かると思います。
ユニット直後の縦に長い部屋が空気室、そこから上部の
しぼった部分(スロート)から曲がりくねりながら
広くなっていく疑似ホーンの形になっているわけです。
スピーカーユニット後ろの白いものは吸音材でスピーカーの
後ろから出た音が裏の板に跳ね返り、
コーン紙を突き抜けて出てくる中高音を吸収させる
為の対策です。
どの程度効果があるか分かりませんが精神衛生上
取り付けました。
玉砂利を詰めたところです。
これでかなりの重量になってしまいました。
空気室下のデッドスペースには吸音材をしっかり充填。
とにかく空間は作らないということだそうです。
今回は内部配線には写真のベルデンを使います。
このよじりが肝だと思われるので側板を貼る前に
ターミナルの取り付けを行いました。
ターミナルはトリテック製を使用。
しっかりとハンダ付け。
内部配線を通して最後の側板接着へと進んでいくわけです。
ここも軽いものから重たいものへと換えつつ、位置の修正と
はみ出たボンドの拭き取りを行います。
そしてこのまま一晩放置。
音道ラウンド部分には吸音と補強を兼ねてカーペットを
接着しました。最終的にはここにはもっと厚手のカーペットを
敷きます。
ここから中高音の漏れが気になる場合はもっと吸音効果の
あるものを敷きます。
とうとう箱が完成しました。
この雄姿を見てやってください。
苦節1ヶ月、やっとここまでたどりつきました。
つき板のラウンド部分のアップです。
ほれぼれするRの処理です。(手前味噌)
最後の作業、ユニットの取り付けに入ります。
まずは内部配線をユニットにハンダ付け。
こだわらない人はファストン端子で接続しても構わないと
思いますが、メーカー製の出来ない事をやるのが自作道
ですので余計な接点は排除し接触不良、抵抗を排除
するのがベストでしょう。
ユニットのボルト締めです。
最後の最後にドライバーの先でコーン紙を突き破って
泣くに泣けない事態になるのだけは避けましょう。
慎重に 慎重にです。
完成です。
D−37 Ver-imaとでも名付けましょうか^^
チェリーの木目が泣かせてくれます。
別の項で作ったトィータースタンドを乗せてみました。
今までメインでがんばってくれてたD−118との
ペア画像です。
D−118が細長く見た目が不安定だったのに対し
D−37はバランスの取れた安定感のあるものです。

このD-118は、バッフルと側板を2枚重ねで、30mmの
板厚になっています。
今は、ユニットがFE108EΣに換装されて
第2の人生を過ごしています。
これは30cmウーファー使用のフルサイズのD−77Xとの
記念撮影です。
高さ、奥行きではD−77もたじたじといったところです。
決して小さいスピーカーではないんですが・・・
わずか16cmのユニットにこれだけの箱が必要な
訳ですからスペースユーティリティーではバックロードホーン
はかなり分が悪いですね。

ONKYO D-77Xは先代のD-77で、598(ごきゅっぱ)戦争の
口火を切ったモデルで、売れまくりました。
どのメーカーも同じような容姿で、型番に7を付ける
メーカーも多数ありました。
今、このクラスにエントリーしてるメーカーは、
ONKYOだけでしょう。
セッティング完了しました。テレビの画面の汚れは
気にしないで下さい^^;
やはり最初の音はひどいもんです。共鳴音のボーボーという
音がかなりします。この音がいろんな音をマスキングして
バランスはめちゃくちゃ、音離れは悪くユニットに音が
へばりついています。空気室に木片や吸音材を入れた、
出したで忙しく調整しましたがやはり日を追うごとに嫌な
音は消えていきいい方向にバランスされていきます。
FE108ESUのD−118には中高音では完全に負けて
いますが、サウンドエネルギーが低域側にスライドしている
D−37はゆったりと音楽を聴くには適しているように
感じます。その後キャンセルマグネットが少しは効いて
いるのか、空気室の詰め物は全て撤去した方がバランスが
いいようです。まだエージングは始まったばかりですが
変化していく音を楽しみながらこのD−37と音楽を共にして
いこうと思います。
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