1.材料
アンテナエレメント用にビニール被覆電線(Φ1.26mm)を約14m。
平衡フィーダー用に200ΩUHF用メガネフィーダーを約7m。
フロートバラン用にΦ10mmのフェライトバー3本。
角材(ホワイトウッド3cm角1.8m)を3本・・・ベランダ等からあげる場合。
小物としてギボシ端子他。

2.設計とエレメントの加工
このアンテナのもとになったG5RVアンテナは英国のアマチュア無線家G5RV Louis Varneyが発明したアンテナです。このアンテナが好んで用いられていた当時、高出力の送信機は、真空管式で出力にアンテナとの整合を取るためπマッチ回路が採用されていました。πマッチ回路でインピーダンスマッチングを取れば、このアンテナはマルチバンドに容易に出ることができるため欧米では広く用いられていたようです(現在でもこのアンテナのキットや400Ω系の梯子フィーダーが販売されています)。 アンテナのエレメント長は、G5RVアンテナを参考に設置場所に合わせて決定します。1/2 G5RVアンテナ(7MHz〜28MHz用)のエレメント長は7.8mですが、私の場合、設置場所に合わせて6.55mとしました。
平衡フィーダーは、原典ではロスを最小にするために裸線のフィーダーが好ましいと書かれており、絶えず定在波が存在するためフィーダーの特性インピーダンスが何Ωかは問題ではないと書かれています。元々このフィーダーはインピーダンスマッチングして用いるためのものではなく同調フィーダーとして機能します。従って、このフィーダーの特性インピーダンスは何Ωでも全く問題なく使えます。100W程度の送信出力なら、300ΩVHF用か200ΩUHF用の市販のTV受信用のフィーダーが使えます(さすがにkWを出す向きには、私も昔ながらの裸線の梯子フィーダーがよいと思いますが・・・)。なお、誘電体損失は当然UHF用の方が少ないと考えられるので、今回は、200ΩUHF用のフィーダーを使いました。
なお、参考にG5RVアンテナのオリジナルの寸法を図ー1に示します。原理は、フィーダーの端からアンテナエレメントの端までの電気長が使用する周波数のλ/4の偶数倍にならなければ、アンテナとしてうまく動作するというものです(VSWRが1:1になるという意味ではない・・・為念)。リボンフィーダーを使う場合は、その機械長は電気長の0.82倍になるようです。

   

     図−1 G5RVアンテナ

次に、平衡なアンテナシステムと不平衡な送信出力段(アンテナチューナ含む)の整合を取るためのフロートバランを作ります。これは、フェライトバー3本にACコードを12回密巻きして作ります。そして、このフロートバランで平衡−不平衡変換したあとに、市販のオートマチックアンテナチューナー(ICOM AH−4)を入れ、送信機までは50Ωの任意長の同軸ケーブルでもっていきます。

フロートバランとアンテナチューナーの例

実際にはアンテナエレメントはインバーテッドヴィ状として、アンテナエレメントのセンターからフィーダーを下ろします。予め計算しておいた寸法のところにフロートバランとアンテナチューナーを入れて、あとは50Ωの同軸ケーブルで送信機までもっていきます。



3.調整
オートマチックアンテナチューナーを使っているので、簡単に同調が取れます。アンテナエレメント2x6.55mにメガネフィーダーが約6〜7m(正確に計測していません)で3.5MHzから50MHzまですべてのハムバンドで動作します。
なお、アンテナを持ち上げるための支柱にはフィーダーとの干渉を避けるために角材を使いました。
参考ですが、3.5MHz〜28MHzのハムバンドに使用できる電気長は12.4m、16.4m、18.4mまたは21.6mです。
G5RV設計

4.参考文献
G5RV Multi-Band Antenna by Louis Varney (Radio Communications,July 1984)
The original article describing the G5RV antenna in the RSGB bulletin (Nov. 1966)
HAM Journal No.45「外誌にみるHFアンテナ」1986年CQ出版社発行

5.【追補】改良(エレメント長変更) 2007年10月21日
第一作目のG5RVは、1/2 G5RVを基本としているので、3.5MHzでは充分な交信が出来ていませんでした。海外は全く歯が立たず、国内もCWで何とかなるものの、SSBではかなり厳しいものがありました。そこで、住宅事情が許す限り(すなわち敷地の端から端まで)エレメントを延長することにしました。エレメントは前作と同じく90度に展開することにして、敷地をいっぱい使って展開しました。フィーダーも全作と同じく200Ωメガネフィーダーとしました。アンテナの寸法図を次に示します。

   

     図−2 G5RVアンテナ(改良バージョン)


まず、エレメントですが、使用する周波数の波長の1/8を切ると急激にアンテナの効率は落ちるようです(これ理論ではなく、感覚)。すなわち前作のアンテナの場合、7MHzでは何とかなるものの、3.5MHzではいまいち飛んでくれないということになります。それで、エレメント長は少なくとも10mを確保する必要があることが分かります。また給電点が、10m弱(10m以上ほしいところですが・・・)のため、フィーダーは、10.5mの長さとしました。なお、この際、マストとして使っていた角材は取っ払って、細身の鉄パイプ2段(DIY店で売っている)+丸棒の組み合わせで、2階ベランダから持ち上げるようにしました。
この寸法で、3.5MHzから54MHzの全バンド内でうまく動作します。
なお、完成直後の CQ WW DX Contest Phone で初っぱなから、3.8MHzのSSBでハワイKH6と交信できました。やはり波長の1/8以上は正しいようです。



(参考)エレメント長6.55m時の代表的な成果(2007年ALL ASIAN DX コンテスト CW)はこちら
(参考)エレメント長12.2m時の代表的な成果(2007年CQ WW DX コンテスト CW)はこちら

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