・ ・ 子 ど も の 権 利 条 約 ・ ・
1989年11月20日国際連合総会採択
1990年 9月 2日発効
・前文・
この条約の締約国は、
国際連合憲章において宣明された原則に従えば、人類社会のすべての構成員の固有の尊
厳および平等で奪うことのできない権利を認めることが、世界における自由、正義および
平和の基礎をなすものであることを考慮し、
国際連合の人民が、その憲章において、基本的人権ならびに人間の尊厳および価値につ
いての信念を再確認し、かつ、社会の進歩および生活水準をいっそう大きな自由の中で促
進しようと決意したことに留意し、
国際連合が、世界人権宣言および国際人権規約において、すべての者が、人種、皮膚の
色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、出生
またはその他の地位によるいかなる差別もなしに、そこに定められたすべての権利および
自由を有することを宣明し、かつ同意したことを認め、
国際連合が、世界人権宣言において、子どもが、特別のケアおよび援助を受ける権利を
有することを宣明したことを想起し、
家族が、社会の基礎的集団として、かつそのすべての構成員およびとくに子どもの成長
および福祉のための自然的環境として、その責任を共同体内において十分に果たすことが
できるように必要な保護および援助が与えられるべきであることを確信し、
子どもが、人格の全面的かつ調和のとれた発達のために、家庭環境の下で、幸福、愛情
および理解ある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、
子どもが、社会の中で個人として生活を送る十分な準備を与えられるべきであり、かつ
、国際連合憲章に宣明された理想の精神の下で、ならびにとくに平和、尊厳、寛容、自由
、平等および連帯の精神の下で育てられるべきであることを考慮し、
子どもに特別なケアを及ぼす必要性が、1924年の子どもの権利に関するジュネーブ
宣言および1959年11月20日国際連合総会によって採択された子どもの権利に述べ
られており、かつ、世界人権宣言、市民的および政治的権利に関する国際規約(とくに第
23条および第24条)、経済的、社会的および政治的権利に関する国際規約(とくに第
10条)ならびに子どもの福祉に関する専門機関および国際機関の規程および関連文章に
おいて認められていることに留意し、
子どもの権利に関する宣言において示されているように、「子どもは、身体的および精
神的に未成熟であるため、出生後と同様に出生前にも、適切な法的保護を含む特別な保護
およびケアを必要とする」ことに留意し、
国内的および国際的な養育里親および養子縁組にとくに関連した子どもの保護および福
祉についての社会的および法的原則に関する宣言、少年司法運営のための国際連合標準最
低規則(北京規則)ならびに緊急事態および武力紛争における女性および子どもの保護に
関する宣言の規定を想起し、
きわめて困難な条件の中で生活している子どもが世界のすべての国に存在し、かつ、こ
のような子どもが特別の考慮を必要としていることを認め、
子どもの保護および調和のとれた発達のために、それぞれの人民の伝統および文化的価
値が重要であることに適正な考慮を払い、
すべての国、とくに発展途上国における子どもの生活条件改善のための国際協力の重要
性を認め、
次のとおり協定した。
・第1部・
第1条(子どもの定義)・
この条約において、子どもとは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、子どもに適
用される法の下でより早く成年に達する場合は、このかぎりでない。
・第2条(差別の禁止)・
1 締約国は、その管轄内のどの子どもに対しても、子どもまたは親もしくは後見人の人
種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、民族的もしくは社会
的出身、財産、障害、出生またはその他の地位にかかわりなく、いかなる差別もなしに、
この条約に定められた権利を尊重し、かつ確保しなければならない。
2 締約国は、子どもが、親、後見人または家族構成員の地位、活動、表明した意見また
は信条に基づくすべての形態の差別または処罰から保護されることを確保するため、すべ
ての適切な措置をとらなければならない。
・第3条(子どもの最善の利益の考慮)・
1 子どもに関するすべての決定においては、その決定が公的社会福祉機関もしくは私的
社会福祉機関、裁判所、行政機関または立法機関のいずれによってなされたかを問わず、
子どもの最善の利益が第1次的に考慮されなければならない。
2 締約国は、親、後見人または子どもに法的責任を負うその他の者の権利および義務に
考慮を払いつつ、子どもに対して、その福祉に必要な保護およびケアを確保する義務を負
い、この目的のため、すべての適切な立法上および行政上の措置をとらなければならない
。
3 締約国は、子どものケアまたは保護に責任を負う機関、サービスおよび施設が、特に
安全および健康の領域において、ならびに職員の数、職員の適格性および適切な監督の存
在に関して、権限ある機関が定めた基準に適合することを確保しなければならない。
・第4条(締約国の措置義務)・
締約国は、この条約において認められた権利を実施するため、すべての適切な立法上、
行政上およびその他の措置をとらなければならない。締約国は、経済的、社会的および文
化的権利に関して、自国の利用できる手段を最大限に用いることにより、および必要があ
る場合には、国際協力の枠組みの中でこれらの措置をとらなければならない。
・第5条(親などの指導・助言の尊重)・
締約国は、親、または適切な場合には地方的慣習により定められている拡大家族もしく
は共同体の構成員、後見人もしくは子どもに法的責任を負うその他の者が、この条約にお
いて認められた権利の子どもが行使するにあたって、子どもの能力の発達と一致する方法
で適切な指導および助言を行う責任、権利および義務を尊重しなければならない。
・第6条(生命への権利および生存・発達の確保)・
1 締約国は、すべての子どもが生命に対する固有の権利を有することを認める。
2 締約国は、子どもの生存および発達をできるかぎり最大限に確保しなければならない
。
・第7条(名前・国籍をもつ権利および親を知り養育される権利)・
1 子どもは、出生の後直ちに登録されなければならない。子どもは、出生の時から名前
をもつ権利および国籍を取得する権利を有し、かつ、できるかぎりその親を知る権利およ
び親によって養育される権利を有する。
2 締約国は、とくに放置すれば子どもが無国籍になる場合には、国内法およびこの分野
の関連する国際文書に基づく自国の義務に従い、前項の権利を確実に実現しなければなら
ない。
・第8条(アイデンティティの保全)・
1 締約国は、不法な干渉なしに、法によって認められた国籍、名前および家族関係を含
むそのアイデンティティの構成要素の一部または全部を違法に奪われた場合には、できる
かぎり速やかにそのアイデンティティを回復させるため、適切な救助および保護を与えな
ければならない。
・第9条(親からの分離の禁止および分離の手続き)・
1 締約国は子どもが親の意に反して親から分離されないことを確保しなければならない
。ただし、司法審査に服する権限ある機関が、適用できる法律および手続きに従い、分離
が子どもの最善の利益のために必要であると決定する場合は、このかぎりでない。この決
定は、親によって子どもが虐待または放任される場合、親が別れて生活し、子どもの居所
に関して決定されなければならない場合など特定の場合に必要となる。
2 すべての関係当事者は、前項のいかなる決定においても、その手続きに参加し、かつ
、自己の意見を述べる機会を与えられなければならない。
3 締約国は、子どもの最善の利益に反する場合を除き、親の一方または双方から分離さ
れている子どもが、定期的に親双方との個人的関係および直接の接触を保つ権利を尊重し
なければならない。
4 締約国は、分離が、親の一方もしくは双方または子どもの勾留、刑事施設収容、流刑
、国外追放または死亡(国家による拘束中のいかなる理由から生じた死亡も含む。)など
締約国によってとられた措置から生じる場合には、申請に基づいて、親、子ども、または
適切な場合には家族の他の構成員に対して、家族の不在者の所在に関する不可欠な情報を
提供しなければならない。ただし、情報の提供が子どもの福祉を害する場合は、このかぎ
りでない。締約国は、申請の提出が関係者にいかなる不利な結果ももたらさないことを確
保しなければならない。
・第10条(家族再会のための出入国)・
1 締約国は、家族再会を目的とする子どもまたは親の出入国の申請については、前条第
一項に基づく締約国の義務に従い、積極的、人道的および迅速な方法でこれを取り扱わな
ければならない。締約国は、申請の提出が申請人および申請人の家族の構成員にいかなる
不利な結果をもたらさないことを確保しなければならない。
2 親が異なる国に居住する子どもは、特別な事情がある場合を除き、定期的に親双方と
の個人的関係および直接の接触を保つ権利を有する。締約国は、この目的のため、および
前条2項に基づく締約国の義務に従い、子どもおよび親が、自国を含むいずれの国からも
出国し、かつ、自国へ入国する権利を尊重しなければならない。いずれの国からも出国す
る権利の制限は、法律によって定められなければならず、かつ、制限は、国の安全、公共
の秩序、公衆衛生もしくは公衆道徳または他の者の権利および自由の保護のために必要と
され、ならびにこの条約において認められる他の権利と抵触しないものにかぎられなけれ
ばならない。
・第11条(国外不法移送・不返還に対する措置)・
1 締約国は、国外への子どもの不法な移送および国外からの不返還と闘うための措置を
とらなければならない。
2 締約国は、前項の目的のため、二国間または多国間の協定または現行の協定への加入
を促進しなければならない。
・第12条(意見表明権)・
1 締約国は、自己の意見をまとめる能力のある子どもに対してその子どもに影響を与え
るすべての事柄について、自由に自己の意見を表明する権利を保証し、かつ、子どもの意
見は、その年齢および成熟の度合に応じて、それにふさわしい考慮が払われねばならない
。
2 子どもは、前項の目的のため、国内法の手続規則と一致する方法で、自己に影響を与
えるいかなる司法的および行政的手続においても、直接にまたは代理人もしくは適切な団
体を通じ聴聞を受ける機会をとくに与えられなければならない。
・第13条(表現・情報の自由)・
1 子どもは、表現の自由への権利を有する。この権利は、国境にかかわりなく、口頭、
手書きもしくは印刷、芸術の形態または子どもが選択するその他のいかなる方法によって
も、すべての種類の情報および考えを求め、受け取り、および伝える自由を含まなければ
ならない。
2 この権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、制限は、法
律によって定められなければならず、かつ、次の各号のいずれかの目的のために必要なも
のにかぎられなければならない。
(a)他の者の権利または信用の尊重
(b)国の安全、公共の秩序または公衆衛生もしくは公衆道徳の保護
・第14条(思想・良心・宗教の自由)・
1 締約国は、子どもの思想、良心および宗教の自由への権利を尊重しなければならない
。
2 締約国、親および場合によっては後見人が、子どもが自己の権利を行使するにあたっ
て、子どもの能力の発達と一致する方法で子どもを指導する権利および義務を尊重しなけ
ればならない。
3 宗教または信条を表明する自由の制限は、法律によってのみ課することができ、かつ
、公共の安全、公共の秩序、公衆衛生もしくは公衆道徳または他の者の基本的な権利およ
び自由の保護のために民主的社会において必要なものにかぎられる。
・第15条(結社・集会の自由)・
1 締約国は、子どもの結社の自由および平和的な集会の自由への権利を認める。
2 前項の権利の行使の制限は、法律によってのみ課することができ、かつ、国の安全も
しくは公共の安全、公共の秩序、公衆衛生もしくは公衆道徳の保護または他の者の権利お
よび自由の保護のために民主的社会において必要なものにかぎられる。
・第16条(プライバシー・名誉などの保護)・
1 いかなる子どもも、プライバシー、家族、住居または通信を恣意的または不法に干渉
されず、かつ、名誉および信用を不法に侵害されてはならない。
2 子どもは、前項の干渉または侵害に対する法律の保護を受ける権利を有する。
・第17条(マスメディアへのアクセス)・
締約国は、マスメディアの果たす重要な機能を認めて、子どもが多様な国内的および国際
的な情報源からの情報および資料、とくに自己の社会的、精神的および道徳的福祉ならび
に身体的および精神的健康の促進を目的とした情報および資料を利用できるよう留意しな
ければならない。締約国は、この目的のため、次のことを奨励しなければならない。
(a)子どもにとって社会的および文化的利益があり、かつ、第29条の精神と合致する
情報および資料のマスメディアによる普及
(b)多様な文化的、国内的および国際的な情報源からの前号の情報および資料の作成、
交換および普及にあたっての国際協力
(c)子ども用図書の制作および普及
(d)少数者集団に属する子どもまたは先住民である子どもの言語上のニーズのマスメデ
ィアによる特別の配慮
(e)第13条および第18条の規定に留意しつつ、子どもの福祉に有害な情報および資
料から子どもを保護するための適切な指針の開発
・第18条(親の第1次的養育責任と締約国の救助義務)・
1 締約国は、親双方が子どもの養育および発達に対する共通の責任を有するという原則
の承認を確保するため、最善の努力を払わなければならない。親または場合によっては後
見人は、子どもの養育および発達に対する第1次的責任を有する。子どもの最善の利益が
、親または後見人の基本的関心となる。
2 締約国は、この条約において定められた権利を保証しかつ促進するために、親および
後見人が子どもの養育責任を果たすにあたって適切な援助を与え、かつ、子どものケアの
ための機関、施設およびサービスの発達を確保しなければならない。
3 締約国は、働く親をもつ子どもが、そのための資格を有する保育サービスおよび保育
施設から便益を受ける権利を有することを確保するため、すべての適切な措置をとらなけ
ればならない。
・第19条(親などによる虐待・放任・搾取からの保護)・
1 締約国は、親、後見人または子どもの他のすべての養育者による子どもの養育中にお
けるすべての形態の身体的または精神的な暴力、侵害または虐待、放任または怠慢な取扱
い、性的虐待を含む不当な取扱いまたは搾取から子どもを保護するため、すべての適切な
立法上、行政上、社会上および教育上の措置をとらなければならない。
2 前項の保護措置は、適切な場合には、子どもおよび子どもの養育者に必要な援助を与
えることを目的とする社会計画の確立、その他の形態の防止、および前項の子どもの不当
な取扱いについての事例の認定、報告、照会、調査、処理および追跡調査のための効果的
手続、ならびに適切な場合には、司法的関与のための効果的手続を含むものとする。
・第20条(家庭環境を奪われた子どものケア)・
1 子どもは、一時的もしくは恒常的に家庭環境を奪われた場合、または家庭環境にとど
まることが子どもの最善の利益により許されない場合には、国によって与えられる特別な
保護および援助を受ける権利を有する。
2 締約国は、国内法に従い、前項の子どものための代替的ケアを確保しなければならな
い。
3 前項のケアには、とくに養育里親、イスラム法のカファラ(家族名使用、財産相続等
の血縁に基づく法効果を子どもに与えない養子類似の概念ー訳注)養子縁組、または必要
がある場合には、子どものケアに適した施設への入所措置を含めることができる。代替的
ケアの選択にあたっては、子どもの養育には継続性が望まれること、ならびに子どもの民
族的、宗教的、文化的および言語的経歴に対する適正な考慮が払わなければならない。
・第21条(養子縁組)・
養子縁組の制度を承認および(または)許可している締約国は、子どもの最善の利益が
もっとも重要な考慮事項であることを確認し、次のことを行わなければならない。
(a)子どもの養子縁組は権限ある機関によってのみ認められること、かつ、当核機関が
、適用できる法律および手続に従い、信頼できるすべての関連情報に基づき、親、親族お
よび後見人との関係における子どもの地位を考慮して養子縁組が許されることを決定する
こと、ならびに必要がある場合には、養子縁組の関係者が、必要とされるカウンセリング
に基づき、養子縁組に対して事情を知った上で同意を与えることを確保すること。
(b)国際養子縁組は、その出身国において、子どもを里親家族もしくは養親家族に託置
することができない場合、または子どもをいかなる適切な方法によっても養育することが
できない場合に、子どものケアの代替的手段とみなすことができることを認めること。
(c)国際養子縁組された子どもが、国内養子縁組に関して存在しているものと同等の保
障および基準を亭受することを確保すること。
(d)国際養子縁組において、託置が関与する者の不当な金銭上の利益とならないことを
確保するため、すべての適切な措置をとること。
(e)適切な場合には、二国間または多国間の取決めまたは協定を締結することによって
この条の目的を促進し、かつ、この枠組みの中で、子どもの他国への託置が権限ある機関
または組織によって実行されることを確保するよう努めること。
・第22条(難民である子どもの保護・援助)・
1 締約国は、子どもが難民の地位を取得しようとしている場合、または適用できる国際
法および国際手続または国内法および国内手続に従って難民とみなされる場合には、親ま
たはいかなるその他の者による同伴の有無を問わず、子どもが、この条約および自国が締
約国となっているその他の国際人権文書または国際人道文書において定められた権利を亭
受するにあたって、適切な保護および人道的な援助を受けることを確保するため、適切な
措置をとらなければならない。
2 締約国は、前項の目的のため、適切と認める場合には、国際連合およびその他の権限
ある政府間組織または国際連合と協力関係にある非政府組織による前項の子どもを保護し
、かつ援助するための努力、および家族との再会に必要な情報を得るために難民である子
どもの親または家族の他の構成員を追跡するための努力のいかなるものにも協力しなけれ
ばならない。子どもは、親または家族の他の構成員を追跡するための努力のいかなるもの
にも協力しなければならない。子どもは、親または家族の他の構成員をみつけることがで
きない場合には、何らかの理由により恒常的または一時的に家庭環境を奪われた子どもに
対してこの条約が定めるものと同一の保護が与えられなければならない。
・第23条(障害がある子どもの権利)・
1 締約国は、精神または身体に障害がある子どもが、その尊厳を確保し、自立を促進し
、かつ社会生活への積極的な参加を容易にする条件の下で、充実した人間に値する生活を
享受すべきであることを認める。
2 締約国は、障害がある子どもの特別なケアに対する権利を認め、ならびに利用できる
手段の範囲内において、援助を受ける資格のある子どもおよびそのケアに責任を負う者に
対して、申請に基づき、子どもの条件および親または子どもの他の養育者の事情に敵した
援助の拡充を奨励し、かつ確保しなければならない。
3 前項に従い拡充された援助は、障害がある子どもの特別なニーズを認め、親または子
どもの他の養育者の資力を考慮しつつ、可能な場合にはいつでも、無償で与えられなけれ
ばならない。援助は、障害がある子どもが、できるかぎり全面的に社会の構成員となり、
かつ、文化的および精神的発達を含む全面的な個人の発達を達成することに貢献する方法
で、教育、訓練、保健医療ケア・サービス、健康回復サービス、雇用準備およびレクリエ
ーションの機会に効果的にアクセスし、かつ、それらを享受することの確保を目的としな
ければならない。
4 締約国は、国際協力の精神の下で、障害がある子どもの予防保健医療ケアならびに医
学的、心理学的および機能的治療の分野における適切な情報の交換を促進しなければなら
ない。その中には、締約国がこれらの分野においてその能力および技術を向上させ、かつ
、経験を拡大することを可能にするために、リハビリテーション、教育および職業訓練サ
ービスの方法に関する情報の普及および当該情報へのアクセスが含まれる。この点につい
ては、発展途上国のニーズに特別な考慮が払われなければならない。
・第24条(健康および保健医療ケアへの権利)・
1 締約国は、達成可能な最高水準の健康を享受し、かつ、疾病の治療および健康回復の
ための施設を利用する子どもの権利を認める。締約国は、いかなる子どももこのような保
険医療ケア・サービスを利用する権利を奪われないことを確保するよう努めなければなら
ない。
2 締約国は、この権利の完全な実現を追求し、とくに次の適切な措置をとらなければな
らない。
(a)乳幼児および子どもの死亡率を低下させること。
(b)すべての子どもに対して、基礎保健医療ケアの発展に重点をおいて、必要な医療上
援助および保健医療ケアを与えることを確保すること。
(c)環境汚染の危険および恐れを考慮しつつ、とくに容易に利用できる技術を適用し、
かつ、十分に栄養価のある食物および清潔な飲料水を供給することにより、基礎保健医療
ケアの枠組みの中におけるものを含み、疾病および栄養不良と闘うこと。
(d)母親のための産前産後の適切な保健医療ケアを確保すること。
(e)すべての社会構成員、とくに親および子どもが、子どもの健康および栄養について
の基礎知識、ならびに母乳育児、衛生および環境衛生の長所ならびに事故の防止に付いて
の基礎知識を利用するにあたって、情報の提供を受け、教育の機会を与えられ、かつ、援
助を受けることを確保すること。
(f)予防保健医療ケア、親に対する助言ならびに家族計画についての教育およびサービ
ス発展させること。
3 締約国は、子どもの健康に有害な伝統的慣習を廃止するため、あらゆる効果的かつ適
切な措置をとらなければならない。
4 締約国は、この条の認める権利の完全な実現を漸進的に達成するため、国際協力を促
進し、かつ奨励する義務を負う。この点については、発展途上国のニーズに特別の考慮が
払わなければならない。
・第25条(措置された子どもの権利)・
締約国は、権限ある機関によって身体的または精神的健康のケア、保護または治療のた
めに措置されている子どもが、自己に対して行われた取扱いおよび自己に対する措置に関
連する他のすべての事情について、定期的審査を受ける権利を認める。
・第26条(社会保障への権利)・
1 締約国は、すべての子どもに対し社会保険を含む社会保障を享受する権利を認め、か
つ、国内法に従い、この権利の完全な実現を達成するために必要な措置をとらなければな
らない。
2 前項の給付は、適切な場合には、子どもおよびその扶養に責任を負う者の資力および
事情、ならびに子どもによってまたは子どもに代わってなされた給付の申請に関連する他
のすべての事柄に考慮を払って行うものとする。
・第27条(生活水準への権利)・
1 締約国は、子どもの身体的、知的、精神的、道徳的および社会的発達のために十分な
生活水準に対するすべての子どもの権利を認める。
2 親または子どもに責任を負う他の者は、その能力および経済力の範囲内で、子どもの
発達に必要な生活条件を確保する第一次的な責任を負う。
3 締約国は、国内条件に従い、かつ、財源の範囲内において、この権利の実施のため、
親および子どもに責任を負う他の者を援助するための適切な措置をとり、ならびに必要が
ある場合には、とくに食料、衣服および住居に関して物的援助を行い、かつ、援助計画を
たてなければならない。
4 締約国は、国内におけると国外からであるとを問わず、親または子どもに財政的な責
任を負う他の者から子どもの扶養の回復を確保するため、すべての適切な措置をとらなけ
ればならない。締約国は、とくに子どもに財政的な責任を負う者が子どもと異なる国に居
住している場合には、国際協定への加入または締結ならびに他の適切な取り決めを行うこ
とを促進しなければならない。
・第28条(教育への権利)・
1 締約国は、子どもの教育に対する権利を認め、漸進的にかつ平等な機会に基づいてこ
の権利を達成するため、とくに次のことを行わなければならない。
(a)初等教育を義務的なものとし、かつ、すべてのものに対して無償とすること。
(b)一般教育および職業教育を含む種々の形態の中等教育の発展を奨励し、すべての子
どもが利用かつアクセスできるようにし、ならびに無償教育の導入、および必要がある場
合には、財政的援助の提供などの適切な措置をとること。
(c)すべての者が、あらゆる適切な方法により、能力に基づいて高等教育にアクセスで
きるものとすること。
(d)すべての子どもが、教育上および職業上の情報および助言を利用し、かつアクセス
できるものとすること。
(e)学校への定期的な出席を奨励し、かつ、中途退学率を減少させるための措置をとる
こと。
2 締約国は、学校における規律・懲戒が、子どもの人間的尊厳と一致する方法で、かつ
、この条約に適合した方法で運用されるようにするために、すべての適切な措置をとらな
ければならない。
3 締約国は、とくに世界中の無知および非識字の除去に貢献し、かつ、科学的および技
術的知識ならびに現代の教育方法へのアクセスを助長するため、教育に関する問題につい
て国際協力を促進し、かつ奨励しなければならない。この点については、発展途上国のニ
ーズに特別の考慮が払われなければならない。
・第29条(教育の目標)・
1 締約国は、子どもの教育が次の目標の下に行わなければならないことに同意する。
(a)子どもの人格、才能ならびに精神的および身体的能力をできるかぎり最大限に発達
させること。
(b)人権および基本的自由ならびに国際連合憲章に掲げられた諸原則を尊重する気持ち
を育むこと。
(c)子どもの親および自己の文化的アイデンティティ言語および価値、居住する国およ
び出身国の国民的価値ならびに自己の文明と異なる文明を尊重する気持ちを育むこと。
(d)すべての人民間、民族的、国民的および宗教的集団間ならびに先住民間の理解、平
和、寛容、両性間の平等および友好の精神に基づき、自由な社会において責任ある生活を
送れるよう子どもを準備させること。
(c)自然環境を尊重する気持ちを育むこと。
2 この条または前条のいかなる規定も、個人および団体が教育機関を設置し、かつ管理
する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、つねに前項に定められた原則が遵守
され、かつ、当該教育機関において行われる教育は、国によって定められる最低限度の基
準に適合しなければならない。
・第30条(少数者・先住民の子どもの権利)・
民族上、宗教上もしくは言語上の少数者または先住民が存在する国においては、少数者
または先住民に属する子どもは、共同社会において自己の集団の他の構成員とともに、自
己の文化を享受し、自己の宗教を信仰し、かつ実践し、または自己の言語を使用する権利
を否定されてはならない。
・第31条(休息・余暇・遊び・レクリエーション活動の権利および文化的・芸術的生活
への参加権)・
1 締約国は、子どもの休息および余暇に対する権利、その年齢に敵した遊びおよびレク
リエーション活動を行う権利ならびに文化的および芸術的生活に自由に参加する権利を認
める。
2 締約国は、文化的および芸術的生活に十分に参加する子どもの権利を尊重し、かつ促
進し、ならびに文化、芸術、レクリエーションおよび余暇に関する活動のための適切かつ
平等な機会の提供を奨励しなければならない。
・第32条(経済的搾取・有害労働からの保護)・
1 締約国は、経済的搾取から保護される子どもの権利、および危険もしくはその教育を
妨げ、またはその健康または身体的、知的、精神的、道徳的もしくは社会的発達にとって
有害となる恐れのあるいかなる労働に就くことからも保護される子どもの権利を認める。
2 締約国は、この条の実施を確保するため、立法上、行政上、社会上および教育上の措
置をとらなければならない。締約国は、この目的のため他の国際文書の関連規定に留意し
つつ、とくに次のことを行わなければならない。
(a)最低就業年限を定めること。
(b)雇用時間および雇用条件についての適切な規則を定めること。
(c)この条の効果的実施を確保するための適切な罰則またはその他の制裁を定めること
。
・第33条(麻薬、向精神薬からの保護)・
締約国は、関連する国際条約において定義されている麻薬および向精神薬の不法な使用
から子どもを保護し、かつこのような物質の不法な生産および取引に子どもを利用させな
いため、立法上、行政上、社会上および教育上の措置を含むすべての適切な措置をとらな
ければならない。
・第34条(性的搾取・性的虐待からの保護)・
締約国は、すべての形態の性的搾取および性的虐待から子どもを保護する義務を負う。
締約国は、この目的のため、とくに次のことを防止するためのすべての適切な国内、2国
間および多国間の措置をとらなければならない。
1 いかなるものであっても違法な性的行為に従事することを子どもに勧誘または強制す
ること。
2 売春またはその他の違法な性的業務に子どもを搾取のため使用すること。
3 ポルノの実演または題材に子どもを搾取のため使用すること。
・第35条(誘拐・売却・取引の防止)・
締約国は、いかなる目的または形態かを問わず、子どもの誘拐、売却または取引を防止
するため、すべての適切な国内、2国間および多国間の措置をとらなければならない。
・第36条(他のすべての形態の搾取からの保護)・
締約国は、子どもの福祉のいかなる側面であっても、それを害する他のすべての形態の
搾取から子どもを保護しなければならない。
・第37条(死刑・拷問等の禁止および自由を奪われた子どもの適切な取扱い)・
締約国は、次のことを確保しなければならない。
(a) いかなる子どもも、拷問またはその他の残虐な、非人道的な、もしくは品位を傷
つける取扱いまたは刑罰を受けてはならない。18歳未満の者が犯した刑罰に対しては、
死刑および釈放の可能性ない終身刑を科してはならない。
(b) いかなる子どもも、その自由を違法または恣意的に奪われてはならない。子ども
の逮捕、勾留または刑事施設収容は、法律に従い、かつ、最後の手段としてのみ、および
もっとも短い適切な期間で行わなければならない。
(c) 自由を奪われたすべての子どもは、人道的におよび人間の固有の尊厳を尊重して
取り扱われ、かつ、その年齢の者のニーズを考慮した方法で取り扱われなければならない
。とくに、自由を奪われたすべての子どもは、その子どもの最善の利益のためには成人か
ら分離するべきではないと判断される場合を除き、成人から分離されなければならず、か
つ特別な事情がある場合を除き、通信および面会によって家族との接触を保つ権利を有す
る。
(d) 自由を奪われたすべての子どもは、法律上またはその他の適切な援助に速やかに
アクセスする権利、ならびに自由の剥奪の適法性を裁判所または他の権限ある独立かつ公
平な機関において争い、およびその争いについて迅速な決定を受ける権利を有する。
・第38条(武力紛争における子どもの保護)・
1 締約国は、武力紛争にあたって自国に適用できる子どもに関連する国際人道法の規則
を尊重し、かつ、その尊重を確保する義務を負う。
2 締約国は、15歳未満の者が敵対行為に直接参加しないことを確保するため、すべて
の可能な措置をとらなければならない。
3 締約国は、15歳未満のいかなる者も軍隊に徴募することを差し控えなければならな
い。締約国は、15歳以上18歳未満の者の中からの徴募にあたっては、最年長の者を優
先するよう努めなければならない。
4 締約国は、武力紛争における文民の保護のための国際人道法に基づく義務に従い、武
力紛争の影響を受ける子どもの保護およびケアを確保するため、すべての可能な措置をと
らなければならない。
・第39条(犠牲になった子どもの心身の回復および社会復帰)・
締約国は、あらゆる形態の放任、搾取もしくは虐待の犠牲、拷問またはその他のあらゆ
る形態の残虐な、非人道的なもしくは品位を傷つける取扱いまたは刑罰の犠牲、または武
力紛争の犠牲になった子どもが、身体的および心理的に回復し、ならびに社会に復帰する
ことを促進するため、すべての適切な措置をとらなければならない。この回復および復帰
は、子どもの健康、自尊心および尊厳を助長する環境において行わなければならない。
・第40条(少年司法)・
1 締約国は、刑罰法令違反の嫌疑を受け、起訴もしくは審判に付され、または罪を認定
されたすべての子どもが尊厳および価値についての自己の意識を促進する方法で取り扱わ
れる権利を認める。この方法は、子どもによる他の者の人権および基本的自由の尊重を高
め、かつ子どもの年齢、および子どもが社会に復帰し、社会において建設的な役割を果た
すことが望ましいことに考慮を払うものである。
2 締約国は、前項の目的のため、および国際文書の関連する規定を考慮して、とくに次
のことを確保しなければならない。
(a) いかなる子どもも、実行の時に国内法または国際法によって禁止されていなかっ
た行為または不行為を理由として刑罰法令違反の嫌疑を受け、起訴もしくは審判に付され
、または罪を認定されてはならない。
(b) 刑事法令の嫌疑を受け、または起訴もしくは審判に付されたいかなる子どもも、
少なくとも次の保護を受ける。
(・) 法律によって有罪が立証されるまで無罪の推定を受けること
(・) 自己に対する嫌疑を速やかにかつ直接に、および適切な場合には、親または後見
人を通じて告知され、ならびに自己の防衛の準備およびその提出にあたって法律上または
その他の適切な援助を受けること。
(・) 権限ある独立かつ公平な機関または司法機関により、法律による公正な審理にお
いて、法律上またはその他の適切な援助者の立会い下で、およびとくに子どもの年齢また
は状況を考慮し、子どもの最善の利益にならないと判断される場合を除き、親または後見
人の立会いの下で、事案について遅滞なく決定を受けること。
(・) 証言または自白を強制されないこと、自己に不利な証人を尋問し、またはその証
人に尋問を受けさせること、ならびに平等な条件の下で自己のための証人の出頭および尋
問を求めること。
(・) 刑罰法令に違反したとみなされた場合には、その決定および決定の結果課される
いかなる措置も、法律に従って、上級の権限ある独立かつ公平な機関または司法機関によ
って再審査されること。
(・) 子どもが使用される言語を理解しまたは話すことができない場合には、無料で通
訳の援助を受けること。
(・) 手続きのすべての段階において、子どものプライバシーが十分に尊重されること
。
3 締約国は、刑罰法令違反の嫌疑を受け、起訴もしくは審判に付され、または罪を認定
された子どもに対して特別に適用できる法律および手続きの制定ならびに機関および施設
の設置を促進するよう努めなければならず、かつ、とくに次のことに努めなければならな
い。
(a) 刑罰法令上の責任無能力の推定を受ける最低年齢を定めること。
(b) 適切かつ望ましい場合にはいつでも、人権および法的保障が十分に尊重されるこ
とを条件として、子どもを司法的手続きによらずに取り扱う措置をとること。
4 ケア、指導および監督命令、カウンセリング、保護観察、里親養護、教育および職業
訓練の計画ならびに施設内でのケアに対する他の代替措置などの多様な処分は、子どもの
福祉に適切な、かつ子どもの事情および罪のいずれにも相応する方法によって子どもが取
り扱われることを確保するために利用できるものでなければならない。
・第41条(現行法との関係)・
この条約のいかなる規定も、次の各号のいずれかに含まれ、かつ、子どもの権利の実現
によりいっそう貢献する規定に影響を与えてはならない。
(a) 締約国の法
(b) 締約国について効力を有する国際法
・第2部・
・第42条(条約広報義務)・
締約国は、この条約の原則および規定を、適切かつ積極的な手段により、成人のみなら
ず子どもに対しても同様に、広く知らせる義務を負う。
・第43条(子どもの権利委員会)・
1 この条約において約束された義務を実現するにあたって、締約国によってもたらされ
た進歩を審査するため、子どもの権利に関する委員会が設置されなければならない。委員
会は、以下に定める任務を遂行しなければならない。
2 委員会は、人格が高潔で、かつこの条約が対象とする分野における専門的能力を認め
られた10人の専門家で構成しなければならない。委員会の委員は、締約国の国民の中か
ら締約国によって選出されなければならず、かつ、個人の資格で職務を行わなければなら
ない。その選出にあたっては、衡平な地理的配分および主要な法体系に考慮が払われなけ
ればならない。
3 委員会の委員は、締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出され
なければならない。各締約国は、自国民の中から1人の者を指名することができる。
4 委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後6箇月以内に行われ、そ
の後においては、2年ごとに行われなければならない。国際連合事務総長は、各選挙の日
の遅くとも4箇月後までに、締約国に対し、自国が指名する者の指名を2箇月以内に提出
するよう書簡で求めなければならない。国際連合事務総長は、指名されたすべての者につ
いて、アルファベット順により、かつ、これらの者を指名した締約国名を表示した上、名
簿を作成し、締約国に送付しなければならない。
5 委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集される締約国の
会合において行われなければならない。会合は、締約国の3分の2をもって定足数としな
ければならない。会合においては、出席して投票する締約国の代表によって投じられた票
はの最多数かつ絶対多数の票を得た者をもって、委員会に選出された委員としなければな
らない。
6 委員会の委員は、4年の任期で選出されなければならない。委員は、再指名された場
合には、再選される資格を有するものとする。最初の選挙において選出された委員のうち
5人の委員の任期は、2年で終了するものとする。これらの5人の委員は、最初の選挙の
後直ちに、会合の議長が、くじ引きによって選ばなければならない。
7 委員会の委員が死亡もしくは辞任し、またはその他の理由のために委員会の職務を遂
行することができなくなったと申し出た場合には、その委員を指名した締約国は、委員会
の承認を得て、残任期間の職務を行う他の専門家を自国民の中から任命しなければならな
い。
8 委員会は、その議事規則を制定しなければならない。
9 委員会は、役員を2年の任期で選出しなければならない。
10 委員会の会合は、原則として国際連合本部または委員会が決定する他の適当な場所に
おいて開催されなければならない。委員会は、原則として毎年会合しなければならない。
委員会の会期は、国際連合総会の承認を得て、この条約の締約国の会合によって決定され
、かつ、必要がある場合には、変更されなければならない。
11 国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要
な職員および施設を提供しなければならない。
12 この条約により設置された委員会の委員は、国際連合総会の承認を得て、国際連合総
会が決定する条件に従い国際連合の財源から報酬を受けるものとする。
・第44条(締約国の報告義務)・
1 締約国は、次の時期に、国際連合事務総長を通じて、この条約の認める権利の実現の
ためにとった措置およびこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を委
員会に提出する義務を負う。
(a) 当該締約国についてこの条約が効力を生じる時から2年以内
(b) その後は5年ごと
2 この条に基づいて作成される報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を
与える要因および障害が存する場合は、それらを記載しなければならない。報告には、委
員会が当該締約国におけるこの条約に実施について包括的に理解するための十分な情報を
あわせて記載しなければならない。
3 委員会に包括的な最初の報告を提出している締約国は、第1項第2号に従って提出さ
れる以後の報告においては、それ以前に提供した基本的な情報を繰り返し報告する必要は
ない。
4 委員会は、締約国に対し、この条約の実施に関する追加的な情報を要請することがで
きる。
5 委員会は、2年ごとに、経済社会理事会を通じて、その活動に関する報告を国際連合
総会に提出しなければならない。
6 締約国は、自国の報告を国内において公衆が広く利用できるようにしなければならな
い。
・第45条(委員会の活動)・
この条約の効果的な実施を促進し、かつ、この条約が対象とする分野における国際協力
を奨励するために、
1 各専門機関、国際連合児童基金およびその他の国際連合機関は、その任務の範囲内に
ある事項に関するこの条約の規定の実施についての審議にあたって、代表を出す権利を与
えられなければならない。委員会は、各専門機関、国際連合児童基金および適切と認める
他の権限ある団体に対し、それぞれの任務の範囲に属する領域におけるこの条約の実施に
ついて、専門的助言を与えるよう求めることができる。委員会は、各専門機関、国際連合
児童基金およびその他の国際連合機関に対し、その活動の範囲に属する領域におけるこの
条約の実施について、報告を提出するよう求めることができる。
2 委員会は、適切と認める場合には、技術的助言もしくは援助を要請またはこれらの必
要性を指摘している締約国からの報告を、もしあればこれらの要請または指摘についての
委員会の意見および提案を付して、各専門機関、国際連合児童基金およびその他の権限あ
る団体に送付しなければならない。
3 委員会は、国際連合事務総長が子どもの権利に関する特定の問題の研究を委員会に代
わって行うことを要請するよう国際連合総会に勧告することができる。
4 委員会は、前条およびこの条に従って得た情報に基づいて、提案および一般的勧告を
行うことができる。これらの提案および一般的勧告は、あらゆる関係締約国に送付され、
かつ、もしあれば締約国からのコメントを付して、国際連合総会に報告されなければなら
ない。
・第3部・
・第46条(署名)・
この条約は、すべての国による署名のために開放しておかなければならない。
・第47条(批准)・
この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託されるも
のとする。
・第48条(加入)・
この条約は、いかなる国の加入のためにも、開放しておかなければならない。加入書は
、国際連合事務総長に寄託されるものとする。
・第49条(効力の発生)・
1 この条約は20番目の批准書または加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後3
0日目の日に効力を生じる。
2 この条約は20番目の批准書または加入書が寄託された後に批准しまたは加入する国
については、その批准書または加入書が寄託された日の後30日目の日に効力を生じる。
・第50条(改正)・
1 いかなる締約国も、改正を提案し、かつ、それを国際連合事務総長に提出することが
できる。国際連合事務総長は、改正提案の審議および投票のための締約国会議の開催につ
いての締約国の賛否を国際連合事務総長に通告するよう要請して、速やかに締約国に改正
提案を送付しなければならない。国際連合事務総長は、改正提案の送付の日から4箇月以
内に締約国の3分1以上が会議の開催に賛成する場合には、国際連合の主催の下に会議を
招集しなければならない。会議において出席して投票する締約国の過半数によって採択さ
れた改正は、承認のため、国際連合総会に提出されなければならない。
2 前項の手続きに従って採択された改正は、国際連合総会が承認し、かつ、締約国の3
分2以上の多数が受諾したときに効力を生じる。
3 改正は、その効力が生じたときには、これを承諾した締約国を拘束するものとし、そ
の他の締約国は、この条約の改正前の規定および受諾した従前の改正に引き続き拘束され
るものとする。
・第51条(留保)・
1 国際連合事務総長は、批准または加入の時に締約国によって行われた留保の書面受領
し、かつ、すべての国にこれを回付しなければならない。
2 この条約の趣旨および目的に抵触する留保は、認められない。
3 留保は、国際連合事務総長にあてた通告により、いつでもこれを撤回することができ
る。国際連合事務総長は、撤回通告があったことをすべての国に通報しなければならない
。通告は、国際連合事務総長が受領した日に効力が生じる。
・第52条(廃棄)・
締約国は、国際連合事務総長にあてた書面による通告により、この条約を廃棄すること
ができる。廃棄することができる。廃棄は、国際連合事務総長が受領した日の1年後にそ
の効力を生じる。
・第53条(寄託)・
国際連合事務総長は、この条約の寄託者として指名される。
・第54条(正文)・
この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語およびスペイン語をひ
としく正文とし、原本は、国際連合事務総長に寄託されるものとする。