環境ホルモン

環境ホルモンと聞いて何を思い浮かべますか?

「一時、世間を騒がせたもの」といったところでしょうか・・・・。
現在は、まるでその影響が残っていないかのように全く報道されなくなりました。

しかし、環境先進国ドイツの基準からすると立ち入り禁止区域のレベルにあるダイオキシンで汚染さらた地域が沢山あります。
そして、その影響は計り知れないものがあります。(具体的には「2.環境ホルモンの具体的な影響」でどうぞ)



1.環境ホルモンの基礎



ホルモンとは

動物の体内の限られた器官の活動によって作られ、血液中や体液中に分泌され、極微量でひとつ以上の組織や器官の細胞に働きかけ、その活動を変化させることによって、動物体内の機能を調整する作用物質です。

このホルモンは人間の場合、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎、すい臓、松果体、胸腺、精線(卵巣・精巣)などから分泌されています。



ホルモンの働き

身体の成長・発育、性の決定、精子・卵子の形成、受精卵・胎児の発育、体内の新陳代謝の調整などを主な働きとして、内分泌系(ホルモン)、神経系、免疫系の3つの情報伝達機能が相互に関連しながら、身体の生理状態を一定に保つ働きをしています。ですから、ホルモンに異常が起これば、これらの機能に支障をきたすことになります。



極微量で身体に影響を与える環境ホルモン

ホルモンは体内・対外からの刺激を受けて、視床下部が脳下垂体に指令を出し、脳下垂体からホルモン分泌の命令を受けた各器官から分泌され、目標の器官や細胞に到着すると、タンパク質と結合して活性化します。このタンパク質はレセプター(受容体)と呼ばれ、これに結合することでホルモンは働くことが出来るようになります。

ホルモンは体内で自然に分泌されるのですが、ホルモンと同じ作用をする化学物質があります。体内に入り込んだ化学物質をレセプターが本物のホルモンと間違えて結合し、各器官に影響を与えてしますのです。

こうした「ニセ」ホルモン的な働きのほかに、体内の各器官に影響を与え、その結果、内分泌系の恒常性を攪乱する物質があります。

これらの化学物質を「環境ホルモン」、正式名称「外因性内分泌攪乱化学物質」といいます。

血液中に含まれるホルモン量は、血液1デシリットル中に100万分の1ミリグラム(マイクログラム)・10億分の1グラム(ナノグラム)という単位で表されるほど微量です。ですから環境ホルモンというニセ物ホルモンも、極微量であっても身体に影響を与えるのです。



耐用摂取量(TDI)

化学物質には、一生涯摂取し続けても安全な摂取量があります。

これを耐用一日摂取量(TDI)と言います。しかし、この耐用摂取量は、胎児に対する影響、生殖に対する影響は含まれていません。



何が環境ホルモンなのか?

環境庁の環境ホルモンリストに揚げられているもののうち、約6割が殺虫剤・除草剤などの農薬に使われる化学物質です。このほか、プラスチック製品に柔軟性を持たせる可塑剤、熱触媒・船底塗料・魚網の防腐剤、芳香剤原料、合成界面活性剤、合成樹脂・・・・etcの70種類。もちろん、ごみ焼却などの際に発生するダイオキシン類も環境ホルモンです。

また、化学物質そのものにホルモンと似通った働きはなくても、その毒性が結果としてホルモンの働きを妨害するという意味の化学物質を含めると数百万種の環境ホルモンがあるといっても過言ではないでしょう。



種の保存にかげりをもたらす大問題

環境ホルモンの問題は、アメリカの学者、シーア・コルボーン博士たちが「奪われし未来」を書いたことにより世界中に広まり、わずか数年の間に各国で対応策に追われる大問題になりました。

環境ホルモンという呼び名は、この問題を早くから研究してきた横浜大学教授・井口泰泉氏が一般の人にわかりやすいように名づけた名称です。

ホルモンの中でも生殖に関連するホルモン、特に女性ホルモンに似た作用をしたり、女性ホルモンの作用をかき乱したり、あるいは男性ホルモンを抑制したりなどするのが特徴で、その作用が及ぼす結果として正常な種の存続に関わる遺伝子が攪乱され、野生動物の減少、人間も含めた生物の生殖能力の衰退や生殖機能の異常、体の恒常性の変調などが現れるのではないかと言われています。

つまり人間という種の健全な存続に関わる、大変切迫した問題で、言い換えるなら人類滅亡の危機ということになります。



消えずに残り続けた化学物質

環境ホルモンといわれる物質の多くは、この半世紀を中心に大量に使われてきた農薬やプラスチックを含む工業化学物質、その製造や廃棄の段階で発生するダイオキシン類など疑惑物質は、そのほとんどが脂溶性物質で環境中に長く留まり、動植物の食物連鎖を通して濃縮されていきます。

そういった意味で、食物連鎖の頂点に立つ人間は最も汚染されやすく、摂取時期によっては極微量でも生体機能を乱される恐れがあります。



子作りが出来なくなっている野生動物

鳥類

アメリカの工業地帯・五大湖周辺では湖の魚を食べるカモメやアジサシの生殖率の低下、甲状腺異常、オスが両性の生殖器を持つ例などが見られ、南カリフォルニアではカモメのオスがメス化し、メス同士で巣を作る現象が起きています。五大湖やフロリダではハクトウワシも激減し、PCBやDDTが卵から検出されています。北アメリカやイギリスではヤマギシ、ミサゴ、ハイタカなどの産卵数減少、卵の殻が薄く弱くなる現象が起き、DDTとその代謝産物DDEの影響が書くにされています。



魚介類

五大湖のサケに甲状腺肥大やオスの二次性徴の欠如が、フロリダではカダヤシ(メダカ目の魚)のメスがオス化する現象が起きています。イギリスでは川に棲むニジマスの精巣などに発達異常が見られ、羊毛工場の洗浄廃液中に含まれるノニフェノールや、下水処理場から流れた経口避妊薬に含まれる合成女性ホルモン剤が原因として疑われています。日本では国立環境研究所の堀口敏宏氏の調査で、巻貝のイボニシのメスにオスの生殖器が出来るインポセックスという現象が各地の沿岸で見つかっていて有機スズの影響と確認されています。また前出の井口氏らの調査では、東京・多摩川のコイのオスで生殖器や精子の異常が調査検体の3割も見つかりました。



爬虫類

フロリダでワニが激減し、調べたオスの8割にペニスの矮小化や精巣機能不全が似られました。卵の異常や幼い輪にの死亡も多く確認され、DDTの影響が疑われています。



哺乳類

五大湖ではカワウソやミンクが、カナダではイルカが激減し、PCBやダイオキシン類汚染が原因と指摘されています。フロリダではヒョウの生殖器異常や精子数の減少、異常精子、オスのメス化が出現し、餌のアライグマの化学物質汚染が報告されています。




人間の生殖器にも異変が

デンマークのスキャべク博士は20カ国の男性1万5千人の調査で、'40〜90の半世紀でヒトの精子数が半減し、精液量も25%減っていると伝え、その後に各国から同様の趣旨のデータが出されています。

日本では慶應義塾大学教授の吉村泰典氏らが'70〜90年代の30年間で日本人男性の精子数が1割減っていると報告し、帝京大学講師の押尾茂氏らは、20代男性の精子数や精子の運動率が低下しているとのデータを発表しています。

ただ、精子数は減っていないという報告や、結論を出すにはデータ不足との見方もあり、世界的に議論は分かれています。

女性では、子宮内膜症の増加が各国で問題になっています。

ヒトに近い遺伝子を持つアカゲザルの実験では、ダイオキシン類の摂取によって子宮内膜症が起きやすくなることが確認されています。最近は各国で男性の精巣ガンや前立腺ガン、女性では子宮ガンや乳ガンが増えており、また、不妊症患者も増加傾向にあります。

生殖器のガンは性ホルモンと関連が深いので、環境ホルモンの影響が無いとは言えません。

欧米では男の赤ちゃんに尿道下裂や停留睾丸というし生殖器の異常だ増えており、日本でも欧米よりは少ないものの増加傾向にあります。日本体育大学教授の正木建雄氏は、男児の死亡率が年々増えているのも環境ホルモンの影響ではないかと懸念しています。



化学物質が性ホルモンに

ノニフェノールの環境ホルモン作用の環境ホルモン作用は、アメリカの学者が乳ガン細胞の培養実験中に発見しました・乳ガン細胞は女性ホルモンによって増殖しますが、女性ホルモンを与えなくても増殖する細胞があり、よくよく調べて実験器具中から溶出した添加剤ノニフェノールの作用だと突き止めたそうです。

体内で分泌されるホルモンは、標的とする細胞の中の、そのホルモンと合うレセプター(受容体)というタンパク質と結びついて、初めてその作用を発揮します。普通、レセプターは相手を確認しなければ結びつかないのですが、女性ホルモンの一つのエストロゲンのレセプターは、エストロゲンと似たような化学物質に応答して細胞を取り込んでしまうのです。

また、化学物質には複数の女性ホルモンレセプターあるいは男性ホルモンのレセプターと結びついたり、女性ホルモンや男性ホルモンを抑制したり、甲状腺ホルモンを見出したりするものがあります。

そうした作用が生殖機能の低下や奇形、オスのメス化、ガンなどを招くのではないかと考えられています。



脳や諸器官の形成期が最も危険

一番心配なのは、胎児期から乳児期にかけての身体の基礎が作られていく時期です。

胎児は胎盤によって有害物質や余分なホルモンが入ってこないように守られていますが、環境ホルモンは胎盤をすり抜けてしまうことがあります。

脳の発育や身体の各器官の形成に最も重要な時期に化学物質によって不要なホルモン作用を受けると、生殖機能や脳の発達に間違った情報が入力されてしまい、修復出来なくなります。

動物実験では、成長体では影響のない極微量の化学物質でも、胎児期に投与されると異変を起こすことが確かめられています。人間では、妊娠初期が最も大事な時期にあたります。

'60〜80年代に各国で、DES(ジエチルスチルベステロール)という女性ホルモン剤を流産防止薬などとして服用した女性の子供に、生殖器の異常や膣ガン、停留膀胱、精子数の減少などが多発した事件もありますが、妊娠初期に服用した人の子供に被害が現れています。

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2.環境ホルモンの具体的な影響



母乳汚染 母親が母乳を与えるという自然な行為が危険にさらされています

母乳には赤ちゃんを病気から守るために様々な成分が含まれています。ところが、この赤ちゃんを守るべき母乳が汚染され、守っているのか苦しめているのかわからなくなっています。

埼玉県では'97.10月〜'98.1月に、母乳を摂取し、県レベルで調査を行いました。
調査は県に原則として5年以上居住した25〜34歳の女性100人を対象として、母乳中に含まれるダイオキシン濃度を調べるといったものです(実際は5年以下居住の人が41人)。 調査協力者の家から廃棄物処理場までの平均距離は1.4kmでした。

その結果、脂肪1gあたりの平均値は15pg(TEQ)、最大値は産廃物処理施設が集まっている所沢を含む西部地区の75.8pg(TEQ)/gでした。厚生省が出している、成人の1日の摂取許容量が10pg(TEQ)/kg体重・日なので、最大値は約36倍!も上回る値でした。

母乳が汚染されるということは、それを口にする乳児が汚染されるということです。

母乳は、水分、タンパク質、糖質、無機質、脂質から出来ています。環境ホルモンは脂肪に溶けやすい性質を持っているので、母乳中の脂肪含有率3.5%前後に濃縮されて乳児へと移動します。

乳児は、母乳を通じて短期間に高濃度の環境ホルモンを取り入れることになりますから、その汚染レベルは授乳期間が長いほど上昇し、母親の汚染レベルは授乳期間が長いほど減少します。

このように汚染された母乳を飲んだ子供を長期的に調査したデータは無いため、その影響についてわからないのが現状です。しかし、アトピー性皮膚炎などを含むアレルギー性疾患が増加した原因の一つとして、母乳中に含まれるダイオキシン類が考えられます。

なぜなら、ダイオキシン類は人の免疫系に影響しアレルギー性疾患は免疫系の異常により発症するからです。

厚生省が'92に発表したアトピー性疾患実態調査報告書によると、アトピー性皮膚炎の乳幼児の割合は生後12ヶ月において母乳育児で8%、人口授乳で5.8%と差がありました。ダイオキシン類だけがアトピー性皮膚炎の原因ではないのですが、この30年間で発症率が7倍にも伸び、現在、乳幼児の3人に1人がアトピー性疾患であることを考えると、その関係は軽視してはいけないのではないでしょうか?



増え続ける乳ガン 90年の統計では6000人が死亡。毎年、新たに23000人が乳ガンと診断

アメリカでは'80〜87にかけて乳ガンの症例数は32%も跳ね上がり、以前は14人に1人であったのに対して、現在は9人に1人の割合にまでなっています。日本でも乳ガンの発症率はアメリカ同様増加傾向にあり、近いうちに死亡原因の1位になるのではと言われています。

ガンとは体細胞が、変異により周囲の細胞による制約を無視して自律的に過剰増産する病変です。乳ガンは浸潤の程度によって非浸潤ガンと浸潤ガンに分けられます。非浸潤ガンとはガン細胞が転移を起こさずに乳管内に留まるもので、胃ガンや大腸ガンの粘膜ガンに相当します。浸潤ガンは日本の乳ガンの8〜9割を占めるもので、これが「しこり」として発見されます。浸潤ガンは乳管内に浸潤したガンが周囲に広がり、次第に発達すると同時にリンパ管を経て血液を通り、あちこちに転移します。

乳ガンの発生の誘発は、乳腺細胞の増殖を起こす女性ホルモンの「エストロゲン」が大きく関係しています。'50年代に早期に卵巣を摘出した女性の乳ガン発症率は75%も低下してという研究発表により、卵巣から算出されるエストロゲンが乳ガン細胞を増殖させると考えられるようになりました。

環境ホルモンはエストロゲン様物質が大部分です。乳ガンの増加はエストロゲンで誘発されるので、近年の乳ガン増加と環境ホルモンが関係していると考えられます。ミシガン大学の研究報告によると、乳ガンになった女性の胸の脂肪を調べたところPCBやDDTが平均よりも50〜60%も高く含まれていたそうです。



子宮内膜症 過去においては珍しい病気が、この20年で著しい増加

'21年以前には、世界中の医学文献を調べても子宮内膜症についての報告は20例しかありませんでした。

この病気の正確な患者数は本人に自覚症状が無いため、確定するのは難しいのですが、日本の出産適齢期の女性のうち、120万人がかかっているとされています。

アメリカの国立小児保健発達研究所の調べでは、出産適齢期にあるアメリカ女性の10〜20%(約500万人)が子宮内膜症にかかっているといいます。この急増には、内膜症を検査する腹腔鏡が、この10年間に普及したことも要因の一つです。子宮内膜とは、エストロゲン、プロゲステロンが作用して出来る、子宮の内側を覆う粘膜状の組織です。まず、エストロゲンが子宮内膜の根底層の上皮細胞を刺激して子宮内膜腺を作り、月経周期に合わせて子宮内膜は徐々に厚みを増し、排卵後に受精卵が着床して、そこで胎児が育つための準備を整えます。

受精が行われないと、エストロゲン、プロゲステンの放出が減少し、子宮内膜組織は弱体化し、崩れ、体外に血液と共に放出されます。これがいわゆる月経です。

子宮内膜症が何故起こるのか未だにはっきりしていませんが、有力な説が二つあります。第一の仮説は、月経の際、本来ならば対外に排泄されるはずの子宮内膜組織が卵管を逆流し腹腔に入り、その周辺に着床、この組織がエストロゲンに反応して増殖するというもの。第二の仮説は、腹腔細胞が何らかの刺激を受けて子宮内膜に似た細胞に変化し、そこで増殖するというものです。

子宮内膜症の発症原因は定かではありませんが、子宮内膜がエストロゲンの作用によって出来ていることや、症状の進行にエストロゲンが関与していることを踏まえると、環境ホルモンが何らかの関係を持っている可能性が考えられます。



精子減少

精子減少の原因は、精巣での精子形成障害、精子輸送路の通行障害、副性器の障害、射精障害の四つに分けることが出来ます。動物実験では、胎内のエストロゲン・レベルが高まると、成長後にオスが産出する精子数が減少する恐れがあることが分かっています。それは精巣内で非常に重要な数々の働きを行うセルトリ細胞の増殖が抑制されるためです。

セルトリ細胞は精細管内に物質を運び、精子形成に最適な環境を作るなど精子形成の全過程をコントロールしています。このセルトリ細胞の増殖は、下垂体から分泌される、ろ胞刺激ホルモンによって促され、エストロゲンの濃度が高くなると、ろ胞刺激ホルモンの分泌が抑制され、セルトリ細胞が増殖できなくなります。

環境ホルモンが精子の減少をもたらすという仮説は環境ホルモンが、ろ胞刺激ホルモンを分泌を抑制し、セルトリ細胞が充分に増殖しないため、精子の数も少なくなってしまうからというものです。

また、セルトリ細胞は、ろ胞刺激ホルモンの刺激によって、精細胞、ライデッヒ細胞、筋様細胞の制御も行います。ライデッヒ細胞に対しては、エストラジオールを分泌してテストステロン合成を阻害し、制御します。テストステロンは男らしさを生み出し、精巣の下降や生殖系や外性器の発達に関わっています。

セルトリ細胞のホルモン分泌が阻害されれば、精巣の下降や尿道の掲載に影響し、精巣ガンへ至る一連の異常を引き起こすと考えることができます。



精巣ガン

若い人たちの間で精巣ガンが増加しているという報告が最近発表されています。

15〜34歳のスコットランド人男性では、精巣ガンがガン全体の約30%を占め、一位です。'81〜90年という短期間に、発症率が15%増えたちう報告例もあります。

子宮内膜症などど同様に、ごくまれにしか発症しなかったはずのこの病気が、ここ数十年に渡って、毎年2〜4%ずつ増加しています。しかし、もともと若い男性に多い病気で、発見の方法がよくなったのだという反論もあります。



停留精巣

片方あるいは両方の精巣が陰嚢に降下しないままの状態が停留精巣です。

ガンにつながることもあり、生殖障害の原因ともなるため、普通生後2年くらいで手術します。成人後に発見されると、生殖能力の回復は期待できません。精巣下降の見られない男性は精巣ガンになる確率が高く、精子数も少なく、精子の奇形も多いのが一般的です。

停留精巣は次第に増加しており、現在では男の新生児全体の2〜3%、イングランドのウェールズの病院の記録によると、発症率は'61年に1.4%、'81年は2.9%で、20年間で倍増しました。スコットランドでは、'61年に326件、'85年には2084件と急激に増加しています。同じような傾向はスゥエーデンやハンガリーでも報告されています。



小陰嚢症

男性生殖腺を持ちながら不完全な男性化を示すもので、男性仮性半陰嚢の症例も多数報告されています。

大量のDSEにさらされた半陰嚢と診断されたある子供の症例では、ペニスはわずかに15mm、尿道口の奇形や停留精巣もあった。また最近、イヌイットの一部の子供達に性器の未発達がおこっていることが報告されています。

過去の悲惨な事件や事故、そして動物実験の結果などから、環境ホルモンへの大量の暴露が生殖能力に対して非常に悪影響を及ぼすことは間違いないと思います。

科学者の「わからない」は「それ以上聞かれても本当に知らない」「検証されるまで厳密さを欠く」ということであって、普通に生活する人の心配の解決や、悲惨な運命に生まれてくる人の理不尽な苦悩とは、全く別の問題です。化学物質が原因かどうかわからないと言いながら、対策が遅れれば、例えそれが歴史が決めるものだとしても、解決の方向を誤った「水俣」のような悲劇を繰り返すことになってしまいます。

環境ホルモン問題全体にあてはまることですが、世界一のダイオキシン汚染大国である日本の研究はようやく始まったばかりで、他の先進国よりも10年以上遅れているといいます。様々な動物実験がスタートして興味深い結果が出ているとはいえ、肝心の「人の精子は減少しているか?」「環境ホルモンは人の精子や生殖器に影響を与えているか?」といったことについては、全くといっていいほど研究結果が出ていません。

「日本人はいい研究材料だ」と言った欧米の研究者もいるのですが、これは「公害の最もひどい時代に生まれた世代が20代・30代の青年になっていて、生殖健康に重度の障害がある可能性がある」「経済発展でダイオキシン汚染大国になった日本の子供達は、数多くの知見をもたらしてくれるだろう」ということを暗示しています。(彼ら研究者から見れば、日本人ほモルモットなどの実験動物と同じだと考えているということです)

ここまで発ガン性や生殖異常についてまとめてきましたが、環境ホルモンが新しいタイプの汚染物質だといわれる理由、機能・行動面への影響などについて検証していきます。



学習障害  近年、LD(Learning Disability)という新しいタイプの学習障害が増えています

LDとは、聞く、話す、読む、書く、推理する、計算する、といった、ごく基本的な能力のいずれか、もしくは複数が習得、使用できないことをいいます。

一般にLD児の知能指数は平均かそれ以上であり、全体的な知能の遅れがあるわけではありません。知能の発達に部分的な偏りがあるため、学習することができないのです。重要なのは、子供の努力不足や親のしつけといったことが問題の原因ではなく、子供自信の発達それ自体に問題があるということです。

アメリカではこのLD児が'77年の時点で80万人(全就学児童の1.8%)でしたが、'96年には260万人(同4.3%)にもあがりました。全就学児童の4.3%というのは明らかに異常で、読み書きが困難になる何らかの神経障害を抱えている児童は全体の20%にものぼるという報告もあるほでです。

一方、日本での出現率は'90年の調査によると約2.3%ですが、そもそも障害児の現状調査は人権問題との兼ね合いもあり、正確な結果が出ていません。

このLDの具体的な症例は以下のようなものです。



読書障害

文字を発音することが難しく、発音が似通っている単語を混同するLDの最も一般的な障害で、同じ家系に発生する傾向があり、遺伝すると考えられている。



書字障害

考えていることを紙に記すことが出来なかったり、「書く」という行為そのものが困難なこともある。鉛筆がうまく握れなかったり、判読不明な字を書くといった特徴がある。



計算力障害

単純な計算の仕組みが理解出来ない。図形を認識出来なかったり、加減乗除の記号を混同してしまう。



統合運動障害

言葉を発するために必要な筋肉を動かすといった複雑な動きが出来ない。



聴覚性認知障害

似たような音(「ピッグ」と「ビッグ」など)を聞き分けられない。また、「エレファント」を「エファレント」と間違えるなど、音の順番を混同するケースもある。



視覚認知障害

背景と、そこに書かれているものを区別出来ない。あるいは似たような形の数字、文字、図形、物、シンボルを区別出来ない。



注意欠陥多動障害(ADHD)

極端に落ち着きを欠き、注意が散漫。着席することが困難であったり、じっとして人の話を聞くことが出来なかったりする。多くのLD児が、このADHDを合併している。



換語困難

日常的な物の名前や単語が出てこない。

LDの原因は、はっきりした答えが出ていないものの「LDの原因となるもの」が、脳に何らかの痕跡を残しているのではないでしょうか?



甲状腺ホルモン  甲状腺ホルモンの働きは広範囲に渡り、動物の成長や変態に欠かせません

最近の研究により、甲状腺ホルモンが脳の正常な発達に不可欠であることがわかってきました。

ホルモンというのは一般に、然るべき場所に、然るべき時期に、然るべき量が、然るべき場所にピタリと届いて、初めて正常な作用が起きるのであって、これらの一つでもズレるときちんと作用しないばかりではなく、マイナスの作用すら引き起こしかねません。

特に、成長ホルモンが多く分泌される「胎生期及び生後2年間」という敏感な時期にホルモン作用が攪乱されると、後々まで影響が及んできます。

このように生物の生長に大きな役割を果たしている甲状腺ですが、厄介なことに問題の化学物質、ダイオキシン、PCBなどの標的になりやすいのです。その攪乱メカニズムははっきりとはわかっていませんが、PCBなどの化学物質が甲状腺レセプターの数を増やしたり、ホルモンを運ぶ物質に作用したりするのではないかと考えられています。その結果、正常なホルモンが伝達されず健全な発育を妨げ、様々な障害の原因になると考えられています。

実際、「胎生期及び生後2年間」に甲状腺ホルモンが不足すると、肉体的にも精神的にも成長が遅れることが知られています。これをクレチン症といい、早期にホルモン補充療法を行わないと精神遅滞を引き起こしてしまいます。厚生省の調査では、かつては新生児7500人に1人の割合であったが、'85年には6500人に1人、'90年には3900人に1人と実に3倍近くに増えています。

さらに、妊娠中の母体の甲状腺ホルモンのレベルが著しく低いと、生まれてくる子供は多動症になる率がかなり高くなるという報告もあります。



ストレスへの過剰反応

ニューヨーク州立大学の研究は、汚染度の高いオンタリオ湖のサケを食べさせたラットと、比較的汚染度の低い太平洋のサケを食べさせたラットとを比べ、その影響を調べるというもので、最初のうちは両者の間には何の違いも見られなかったが、ラットの行動をつぶさに観察しているうちにあることが分かりました。

生活が快適で平穏な場合には、どのラットにも行動の違いが見られなかったのですが、ひとたび厄介な問題が発生すると、オンタリオ湖のサケを食べさせたラットは、太平洋のサケを食べさせたラットに比べて激しい反応をとったのです。観察記録によると、ストレスがそれ程堪らない状況であっても、オンタリオ湖のサケを与えたラットは過剰反応を見せました。

このようなストレスに対する過剰反応は、ヒトにも現れています。

化学物質に汚染された子供達の調査、研究をした際、何人かの子供は知能検査をボイコットしたのです。

子供達にとって、その検査を受けることが多少ともストレスの溜まることだったからなのでしょう。

他にも、赤ちゃんを使った馴化能力の実験があります。眠っている赤ちゃんに、ガラガラを鳴らしたり、瞼に光を当てたりして起こそうとすると、赤ちゃんは刺激に反応して目を覚ましますが、普通は何度か繰り返すうちに慣れて、その後は一切反応しなくなります。ところが、オンタリオ湖の魚を食べていた女性の子供は、なかなか慣れずに、刺激が繰り返されるたびに、いちいち反応を見せたといいます。これはラットに現れたストレスに対する過剰反応と実によく似ています。

その他にも、この研究からは、いくつか気になる事実が発見されています。

環境ホルモンに敏感な子供のラットだけではなく、大人のラットにも行動変化が見られた。

これは身体面での影響では見られなかったことです。成長前の子供が敏感で危険なことに変わりはないが、成長期を過ぎた大人であっても、行動異常の面からは安全であるとは言い切れない。

汚染物質の影響が、孫の代まで受け継がれる可能性があることがわかった。

メスのラットが似分泌攪乱物質に暴露すると、その子供はもちろん、孫にまで行動変化などの影響が及ぶ恐れがあるのです、つまり、生まれた子供に行動異常が現れたが、その原因は親なのか、それとも親の親なのか、それともさらに遡った先祖なのか、といった具合に原因の可能性が止め処なく広がってしまいます。



環境ホルモンは身体面より行動面に影響を及ぼしやすいと考えられる。
行動に異常が現れていた個体でも身体面に異常が見られないことが多く、身体的異常をもたらすよりも低レベルの汚染で、行動障害を引き起こしてしまうということです。

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3.「キレる」現象と環境ホルモン


ドイツのニーダザクセン犯罪研究所のクリスチャン・プハァイファーの研究によると、'80年代半ば〜90年代半ばにかけてイギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどの先進諸国で未成年による凶悪犯罪は約50%増加。

以前から、少年犯罪といえばアメリカだけが抱える問題のように思われてきましたが、他の先進諸国でも深刻な問題となっています。

国別で見ると、フランスでは強盗事件の半数近くが未成年によるものです。

その他、学校での暴力事件発生件数は'97年の1年間で1000件以上にも上っています。

イギリスでは'93年に10歳の少年2人が用事を殺害した事件を機に、犯罪の起った原因を分析してきましたが、凶悪犯罪防止には至っていません。今後の対策として事件当時の内相が10歳未満の夜間外出を禁止し、常習犯には居場所が探知できる電子タグを体につけるプログラムを導入。

ドイツでは'90年初頭をピークに少年犯罪は減少しているものの、国民の80%は若者が暴力的になったと感じていて、ドイツ当局では刑事処分の対象年齢を14歳から12歳に引き下げました。

スペインでは麻薬取引の増加が少年犯罪の増加に繋がっているため麻薬中毒の若者に職業訓練をしています。

アメリカでは年間200万人以上の少年が逮捕されています。なかでも深刻な校内暴力については、金属探知機の導入、監視カメラの設置、武器所持者の退学処分など様々な対策を講じているにも関わらず、'97年には調査対象の公立高校の10%で深刻な暴力事件が起きていて、校内(小中高を合わせて)で起きた殺人事件は30件近くに上っています。

若者が「キレて」衝動的な暴力行為に及ぶといった現象が近年増加し、多くの先進諸国で社会問題になっています。

日本でもナイフを使った事件が立て手続けに起こったり、小学生が殺人事件を起こすなど、記憶に新しいと思います。

現在、こういった「キレる」現象について専門家や教育関係者がいろいろと説明していますが、明快な答えは見出せないままです。これは若者たちの犯行に至った背景の解釈が、学校、教育、社会、メディアなど、あまりにも社会学的な説明だけに偏りすぎているためではないでしょうか。

無論それらも犯行に及ぶ大きな要素ではありますが、犯罪には他の要因も関与しているのではないでしょうか。ここで「犯罪に向かう脳」という本から、犯罪の生物学的な解釈の必要性を学び、社会的な説明だけでは不足していると考え、それに基づき「キレる」現象の分析をしてみます。

これまでの野生生物に関するデータ、研究室での実験、DSEにまつわる症例、そして極僅かですが人を対象にした研究からすると、「キレる」複合要因の一つとして環境ホルモンが挙げられるのではないでしょうか。

人が犯罪を犯す原因を生物学的に追究した場合、主要な研究対象は、脳、神経系、内分泌系の三つになります。

これらの箇所に異常が起こったとき、人は衝動的な犯罪行動に向かいやすい。そこで具体的にどのような異常が起きたときに、人は犯罪行動に至りやすいのかというと、



脳の異常

基本的に行動は脳の活動の結果で、衝動的な行動や暴力行為も例外ではないでしょう。つまり脳に損傷や異常があると、自分の行動を正常に管理出来ない為に誤った行動をしてしまいます。

現在、脳の機能異常についての研究は臨床研究者などによって進められていますが、脳の異常が犯罪発生率を押し上げているとは断言できません。しかし、犯罪行為が引き起こされる複合要因の一つとしては充分に考えられ、なぜ脳に異常が現れるのかということになると環境ホルモンとの関連性も考えられます。

脳の発達において重要な時期は胎生期及び乳幼児期です。この時期は遺伝情報をもとに形質を作り出すほか、環境条件が重要となります。脳は胎児の頃から外界の影響を受けやすく、複雑な神経構造など簡単に壊れて変質してしまいます。脳の発達過程において遺伝要因と環境要因は相互作用を成すのですが、脳の構造や機能が複雑であるため、環境要因の重要性が他の臓器の発達過程よりずっと高まります。



胎生期に環境ホルモンの影響を受けた例

'82年と'83年初頭、ミズーリ州タイムズ・ビーチは、道の埃が巻き上がるのを防ぐために撒いた産業廃棄物の石油がダイオキシンに汚染されていたためゴーストタウン化しました。この事故をめぐり子供への影響を調査したところ、免疫異常と脳の左右前頭葉に機能障害がみられました。ここで問題となるのは、脳障害の見られた部位です。前頭葉の機能は主に行動の結果を予測し、それに応じて計画を変更、中止することです。つまり、感情的な行動を制御する役割を果たしているのです。そのため、この部位に障害があると「後先考えずにキレて」衝動的な暴力行為に出てしまうのです。

脳に障害が現れる原因は様々ですが考えられるものとして、病気、ケガ、ストレス、有毒物質の摂取などがあげられます。病気ではウイルスの感染による脳炎などが脳に障害を与え精神障害を引き起こします。また、ケガによる脳内出血があると神経細胞が侵されて脳に障害をもたらしていしまいます。幼児期の虐待や親の愛情不足など、追い詰められた環境がストレスとなり、脳内化学物質の状態を変化させてしまいます。そして、食物や大気中から摂取される有毒物質も脳の働きを妨げることがあります。環境ホルモンの可能性ならば有毒物質の摂取であり、日常生活において簡単に体内に入り込んできます。その結果、環境ホルモンが脳の発育や行動に影響を及ぼすということは多くの研究から明らかになっています。



神経系の異常

中枢神経の情報処理は、多数の神経細胞の電気的な興奮によって行われます。

電気的な興奮による信号は、神経細胞の軸索内を高速に伝えることが出来ますが、基本的に他の神経細胞には直接伝えることは出来ません。神経細胞間での情報のやりとりは、シナプスで行われます。シナプスとは神経細胞同士の繋ぎ目ですが、厳密には繋がっていないほどの僅かな隙間があり、神経伝達物質は電気的信号の代わりに、この隙間に放出され、情報を伝えているのです。

神経伝達物質とホルモンは互いに影響を及ぼすなどの関連があることがわかっています。そして、環境ホルモンが人間の神経系に作用するということを裏付ける証拠が次々と見つかっています。

デトロイトのウェイン州立大学心理学者ジェイコブソンは5大湖でとれた魚を定期的(月に2〜3回)に食べていた書生から生まれた子供の発育に関する研究を行いました。すると、「へその緒」の血液に含まれるPCB濃度の高い子供に神経系の発育異常がみられました。

また、台湾職業環境健康局が'85〜92年にかけて行った調査は、PCBとフランに汚染された食用油を'79年に摂取した128人の子供について長期的かつ大規模に行われました。その結果、子供達は生殖器障害はもちろんのこと、神経系の障害、つまり学習障害や多動症などの行動障害がみられました。その他、妊娠期間中に環境ホルモンにさらされた場合、神経系に異常が生じるということを示す報告もいくつかあります。

神経系の異常によって引き起こされるものの一つに精神疾患があります。精神疾患は長い間「心の病気」であるとされ、特に効果的な治療法も存在しなかったし、時代によっては患者は独房に押し込められて隔離されるなど悲惨な状況に置かれることもありました。ところが、脳科学や神経科学の発達、'50年代の精神医学革命により、精神疾患は他のあらゆる疾病と同様、神経伝達物質が異常を訴えているものであるということがわかってきました。

そして、従来の心理学的な治療法ではなく、薬物(向精神薬)による治療が行われるようになりました。

'79年に行われた実験で、攻撃的な行動障害を持つ兵士はノルアドレナリンのレベルが高く、セロトニンのレベルが低いという結果が報告されています。この他にも米国国立衛生研究所がフィンランドで1000人以上の囚人を調査し、対象の囚人を衝動的な暴力犯罪者とそうでない者に分類した結果、衝動的な囚人達は共通して、低セロトニン、習慣的飲酒(セロトニンが少ないとアルコールの摂取欲求が高まる)、低血糖(ブドウ糖が減少するとノルアドレナリンが増える)などが見られました。

セロトニン量はホルモンによって間接的に制御されています。プロゲステロンやエストロゲン(共に女性ホルモン)は、セロトニンのレベルを上昇させる役割をもっています。また、男性ホルモンであるテストステロンはセロトニンのレベルを抑える働きをします。これらの関係は複雑ですが、セロトニンは全ての性ホルモンに影響していることを表しています。



内分泌系の異常

ホルモンと攻撃性については、男女共に男性ホルモン(アンドロゲン)の血中レベルの高さと結びついています。

男女共にというのは、女性にも少なからず男性ホルモンがあるからです。アンドロゲンの量と攻撃性に関する裏付けは、女性よりも男性に犯罪が多いことからもわかります。

実際、あらゆる犯罪の80〜95%は男性によるものであり、暴力犯罪に限れば男性の独断場となります。また、多くの犯罪は攻撃性に結びつくものであり、攻撃性の高い犯罪者(例えば武装強盗)は、そうでない犯罪者よりアンドロゲンのレベルが低いことが報告されています。

ジョージア州のタブス博士の研究では、血液中のアンドロゲンの濃度が最低のグループは11人中9人が非暴力犯罪で、最高のグループは11人中10人が暴力犯罪で有罪になった者だという報告もあります。

また、思春期の少年がイライラしやすく非行に走りやすい傾向にあることも、ホルモンと攻撃性に関する様々な実験から分かっています。スゥエーデンの少年院で14〜19歳までの重大犯罪を犯した少年を対象に調べたところ、同年代の犯罪を犯していない少年に比べてアンドロゲンのレベルが高かったという報告があります。

女性に関しては、月経直前の4・5日間(バラ月経期)にプロゲステン(女性ホルモンの一種)の量が最低のレベルまで落ち込み、ホルモンのバランスが崩れてイライラが高まることによって、犯罪を起こしやすくなる人もいます。

これを月経症候群といい、世界中の月経症候群で身体的・精神的に何らかの症状で苦しむ女性は症状の軽い者で40%、深刻な者で10〜20%いるといわれています。

テストステロンにさらされた動物実験を行ったミズーリ大学の生物学者のザールは、胎生期のホルモン量が重大な問題で、そのことが後々まで影響すると報告しました。

マウスの子宮内における位置が成長後のマウスの行動と関係してくるというもので、子宮内でオス同士に挟まれて育ったオスの胎仔は過剰な攻撃性が現れる。これは子宮内で高濃度のテストステロンに暴露したためである。さらに胎生期にエストロゲンに暴露したオスには、子供を殺してしまうなど強い攻撃性がみられた。

これはエストロゲンがテストステロンの効果を高めることによって、オスがよりオスらしくなるということです。

ロンドン大学のハインズによるマウスの実験では、オスに少量のDESを投与環境ホルモンは身体面より行動面に影響を及ぼしやすいと考えられる。

行動に異常が現れていた個体でも身体面に異常が見られないことが多く、身体的異常をもたらすよりも低レベルの汚染で、行動障害を引き起こしてしまうということです。した場合はザールの実験と同様の結果がみられたが、DESの投与を増やした場合はオスのマウスの「メス化」現象がみられたといいます。この動物実験から、まず浮かび上がってくるの問題は、人にも起こるのではないか?ということです。

これらの動物実験と関連して、人から得られた報告では、大量のマリファナを摂取した男性は「女性化」するというものです。マリファナには精巣に作用してアンドロゲンの合成を阻害したり、脳に作用して黄体形成ホルモン(アンドロゲンの生産に不可欠)を抑制する働きがあったのです。人体と動物(哺乳類)の反応は基本的に同じということを裏付けるデータが次々と出ており、動物実験の結果がヒトにも当てはまると考えられます。

男性ホルモンのアンドロゲンと女性ホルモンのエストロゲンは反対の作用を持っていると考えるのは誤りです。

大事なのはホルモン分泌のバランスは極微量でも多いか少ないかで崩れてしまうということです。

だからこそ、環境ホルモンが正常なホルモン分泌量を狂わし、身体に影響を及ぼすことが懸念されるのです。

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4.環境ホルモン  日本での汚染現状



有機塩素系農薬の汚染

農薬は環境ホルモンの60〜70%を占める物質です。野生動物から検出されるDDT、ディルドリン、クロルデン、HCH(商品名BHC)などは有機塩素系農薬で、毒性が強いため'60〜80年初頭までに欧米や日本では使用禁止になっています。

しかし、南米、アジアなどの発展途上国ではまだ多く使われています。

これらのは農薬は分解性が極めて悪く、過去に使われたものが広範囲の大気や土壌、川や海に残留し、食物連鎖の中で生物の脂肪組織に濃縮されています。海洋汚染は、北極から南極まで地球規模で広がっていると報告されています。

日本沿岸の魚介類や鳥類からもDDTやクロルデンが高い頻度で検出され、農作物からもしばしば検出されます。

環境ホルモンのリストには、現在使われている農薬も多数あります。ペルメトリン(ピレスロイド系殺虫剤)は家庭用殺虫剤としても用いられるものです。



猛毒PCB

PCB(ポリ塩化ビフェニール)は不燃性・絶縁性に優れた有機塩素系化合物で、'70年代までトランスやコンデンサーの絶縁油をはじめ、インク、ノーカーボン紙などに使われてきました。

しかし、発ガン、皮膚障害、肝機能障害など強い毒性が認められたため、70年代初頭に各国で製造中止になっています。

それまでに世界中で100万トンものPCBが生産されたといわれています。日本では'54〜72年まで製造されていました。

PCBは209の異性体を持つ同族体で、その中でもコプラナーPCBという13種は毒性が極めて強く、生体への作用がダイオキシンと似ているため、近年ではダイオキシン類に含めて毒性を評価するようになっています。

'68年に九州で起きたカネミ油症事件は、PCBの混入した米油を摂取した人々に、ひどい皮膚障害や神経障害が起き、死者も多く出て、なおかつ生まれた子供達にも影響を及ぼしました。

PCBは複数のホルモン攪乱作用があるほか、免疫機能や神経、脳への影響も指摘されています。また、非常に安定した物質で、今でもこれを無力化する処理方法が見つかっておらず、廃棄されたものがDDTなどと同様に地球全体を汚染しています。

日本沿岸の魚のコプラナーPCB濃度も大変高く、母乳汚染も深刻です。人体や母乳の汚染は製造中止になる前から問題視されていて、筑波大学教授・鈴木正成氏は当時、PCBが米や野菜にも多く移行することを実証し、汚染経路が魚介や大気だけではないことを指摘しています。

製造中止から20年以上経っても汚染が減らないのは、保管が義務付けられているPCB含有廃棄物や、今もPCB含有トランスなどの管理が不十分で流出なども多いこと、また、アジア諸国ではPCB含有製品が多く使われていることなどによります。PCB汚染は現在も進行形しています。



猛毒物質ダイオキシン

ダイオキシン類も環境ホルモンの一種です。ただし、女性ホルモン様作用を持つのではなく、特定のレセプターに結びつくことによって様々なホルモンを攪乱してしまうとみられています。

ダイオキシン類は強力な発ガン性や催奇形性を持つことで知られていますが、その他免疫機能や神経系を狂わせる作用もあり、胎児や乳幼児への影響がとりわけ懸念されています。

ダイオキシンは75の異性体を持つ有機塩素系化合物です。

ダイオキシンと構造がよく似た物質にポリ塩化ジベンゾフラン(135の異性体)と、コプラナーPCB(13の異性体)があり、この3種を総合してダイオキシン類と称しています。

これらの毒性は一つ一つ異なっていて、もっとも急性毒性が強いのは2.3.7.8−四塩化ダイオキシン(2.3.7.8−TCDC)という物質で、その毒性はサリンの2倍、青酸カリの1000倍といわれます。

ダイオキシンの毒性を現すときは、この2.3.7.8−TCDCの毒性に他の主な物質の毒性を換算し、トータル値で示します。

ダイオキシン類は塩化ビニールなど塩素を含むものを300〜600℃で燃やすと大量発生します。

一般のゴミ焼却炉が1800あまり、産業廃棄物処理施設が1万以上もある日本はダイオキシン大国といわれています。

焼却のほか、ある種の工業生産の過程や自動車の排気ガス、タバコの煙などからも発生します。

環境庁の調査では、'97年の総排出量は6.3kgでしたが、'98年はその後の規制強化により2.9kgに減っています。その内訳は50%弱が一般ゴミ焼却場から、30%強は産業廃棄物施設からの排出でした。

しかし、減ったといっても、その量はヨーロッパ各国の数倍〜数十倍です。

大気中濃度も焼却場周辺や大都市では依然高めです。

大気や地下水に放出されたダイオキシン類は土壌、河川や海に拡散し、生物濃縮されて人体に入ります。ダイオキシン類は脂肪組織に蓄積しやすく、半減期(体内濃度が半分に減る期間)は5〜10年といわれています。

日本人はダイオキシン類を食べ物経由で90%以上を摂り、残りは大気などからとっているとみられています。

WHO(世界保健機構)では、人が一生摂り続けても健康を損なわない摂取目安量(耐用1日摂取・TDI)を1日に体重1kgあたり1〜4pgとしています。

日本では'99年7月からこの基準を基に、当面のTDIを4pgと定めました。

環境庁の試算では日本人の平均摂取量は1日体重1kgあたり2.6pgですが、居住地や食べ物によって5pgを超える場合もあるとみています。また、赤ちゃんの母乳からの摂取量は、それ以上と考えられています。

汚染の現状はかなり厳しいとえるでしょう。

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5.こんなものからの環境ホルモン



缶コーヒー缶の内側のコーティングから、ビスフェノールAという環境ホルモンが

ビスフェノールAは硬質プラスチックのポリカーボネートやエポキシ樹脂の原料で、塩化ビニールの安定剤や酸化防止用添加物としても用いられています。

ポリカーボネートは給食食器、哺乳ビン、CD、OA機器などに広く使われており、エポキシ樹脂はお椀やお箸(横浜市では学校給食用の食器として使わないようにしているそうです)、缶詰のコーティング剤(昔の缶詰は鉄の味が飲食物に移っていることがありましたが、今の缶詰の内側を見ると何かプラスチック状のもので覆われているのが確認できると思います)や歯の充填剤などに用いられています。

この物質は乳ガン細胞を増殖させたり、精子数を減少させたりする疑いがあり、給食食器や缶詰からの溶出が問題視されています。缶飲料ではジュースやお茶よりコーヒー飲料からの検出が多い(最大で1缶あたり40pg)ことが、国立医薬品食費衛生研究所の実験で報告されています。

また、多くの川や海からの検出もあるので、魚介類や飲料水からの二次的な摂取も心配されます。



塩化ビニールに添加されるフタル酸エステル

フタル酸エステルにはいくつかの種類があり、主に塩化ビニールの可塑剤(柔軟性を持たせるために添加)として、また、接着剤や塗料などとして世界中で多量に使われていて、塩化ビニールには原料の30%も添加されているといいます。

脂溶性なので油分に溶けやすく、食品用ラップや赤ちゃんのオモチャからも溶け出します。

塩化ビニールや接着剤は建材、家具、オモチャ、文具まで広範囲に使われているため、室内の空気を高濃度に汚染しているという報告もあります。また、焼却や廃棄で大気に広がり、各地の川や海を汚染しており、魚介からも検出されています。

フタル酸エステル類は動物実験でオスの生殖器の異常や精子形成不全、神経機能や免疫機能の障害を起こすことが指摘されており、ヨーロッパ各国では使用規制を設け始めています。

日本でも製造量の多いフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DEHP)は代謝産物の毒性が強いことが明らかになっています。



カップめんの発砲ポリスチレン

スチレンはカップ麺などで馴染みの深い発砲ポリスチレンです。前出の国立医薬品食品衛生研究所の実験では、カップ麺に熱湯をかけて30分後に、スチレントリマー(スチレン分子の3量体)を5〜62ppb検出しています。

また、油揚げ麺の表面に最も付着しやすく、スパゲティなどでは電子レンジ加熱のほうが熱湯を注ぐより溶出量が多いことも報告されています。

スチレンの環境ホルモン作用はよくわかっていませんが、カップめん、缶飲料は「若者の常食」であるだけに軽視できません。



アルキルフェノールが川を汚染

アルキルフェノール化合物は、非イオン系合成洗剤の界面活性剤をはじめとして、プラスチックやゴムの添加物、農薬などにも使われています。これが下水などに入って分解されて出来るノニフェノールやオクチルフェノールは川や海に流れ、魚介などの体内に蓄積します。

そして、乳ガンや子宮内膜症の誘発、精巣機能障害などをもたらすと疑われています。環境庁の調査では、調べた河川や海などの80%からノニフェノールが検出されており、また、東京の多摩川や隅田川、東京湾の汚染は高濃度だという報告もあります。

ヨーロッパでは使用規制が進みつつあります。



経口避妊薬も水を汚染

合成ホルモン剤などの薬品も当然のことながらホルモン攪乱作用があり、その作用は強力です。

イギリスでは経口避妊薬の女性ホルモン剤が尿中から下水経由で皮に流れて水を汚染し、魚の生殖機能に異変を生じさせたと疑われる例があります。

日本でも'99年9月に低用量ピルが発売されましたが、体と環境双方への影響を指摘する声が上がっています。

また、日本では欧米諸国では使われていないような合成ホルモン剤が産婦人科で使われており、安易な薬剤の使用に対して、専門家だけでなく一般市民も関心を払う必要があります。



環境ホルモンが活性酸素を作る

同志社大学教授・西岡一氏は、環境ホルモンといわれる物質の60%は発ガン性や催奇形性があると見ています。

また、ほとんどの物質が活性酸素を発生させることを確かめました。

活性酸素は不安定な電子を持つ酸素や酵素を持つ分子で、安定した状態に戻ろうとして他の物質から電子を奪い酸化してしまう性質があります。この現象が顕著に現れるのは不飽和脂肪酸の多い生体膜で、脂質が酸化されると有害な過酸化脂肪酸が出来、連鎖的に増えていきます。

また、細胞の核酸やタンパク質を傷つけてしまう力も強力です。こうした作用が原因となって、ガンや様々な病気、老化なども起こると考えられています。このことから、環境ホルモンが生体ホルモンを攪乱するだけではなく、いくつもの弊害をもたらす危険物質だと分かります。

こうした物質を現代人は、おそらく何十種類も体内に取り込んでいます。

一つ一つの量が少なくても、複合作用があるかもしれません。

化学物質はヒトが一生摂り続けても安全とされる許容範囲が設けられていて、それを基に摂取量が問われまが、今の基準値は複合汚染や環境ホルモン作用を加味したものではありません。前出の西岡氏は、化学物質と金属類を同時に摂取すると体内で活性酸素が発生しやすくなることから、食品周りにも金属類を多用している現代人は机上で考える以上のリスクを受けているかもしれないと警告しています。

ところで、ダイオキシンは850℃以上の光高温で燃やすと毒性が分解されると言われ、厚生労働省ではダイオキシン削減対策として高温焼却炉の新設を各自治体に促しています。

しかし、前出の西岡氏は、塩化ビニール樹脂を1000℃で燃やすとベンズアントロン、ベンゾ(C)シノリンという強い変異原生(遺伝子のDNAを傷つけ、突然変異を起こさせる)を持つ物質が生成されることを報告しています。 高温焼却炉はダイオキシンを分解させても、新たな毒物を生成させる危険があるのです。

高温の大型炉の推進は、なんでも燃やしてしまえばそれでよいという気運を生み出し、有害物質の発生抑制、使用規制という根本的な必要性をあいまいにしてしまう恐れもあります。今、なによりすべきことは、有害な化学物質の製造や使用を出来るだけ減らして、安全管理を徹底していくことでしょう。

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6.命を守る食べ物、食べ方



文中に川や海の汚染という言葉が何度か出てきましたが、魚介類にだけ気をつけて食事を摂れば安全かというと、やはりNO!ということになります。

どうすれば、今までに蓄積してしまった有害物質を対外に追い出せるのか?食材の選び方、調理の仕方などを「まとめ」てみました。



食物繊維が汚染物質を対外に追い出す

食物繊維には有毒物質の体内蓄積を防ぐ効果があります。

ラットを使った実験で、植物性食品から抽出した食物繊維を食事に混ぜると、糞中のダイオキシン類の排泄量が食物繊維を与えない場合より増加することが確かめられました。

ダイオキシン類排泄の作用は葉緑素においても高い効果が認められています。食物繊維も葉緑素も最も多い青菜類は、ダイオキシン汚染の槍玉に挙げられたこともありますが、抗酸化作用のあるビタミンなども多く有益性の高い野菜と考えられます。

また、食物繊維は発ガンや生活習慣病も防ぐことは広く知られています。



緑黄色野菜のビタミン

食物繊維と並んで植物性食品に多く含まれる優れた有効成分として見逃せない存在なのは、ビタミンC、E、β−カロテンです。ビタミンCは野菜全般や果物、芋などに、ビタミンEは緑黄色野菜や穀物、豆、種実、植物油などの他に魚介類にも含まれています。β−カロテンは緑黄色野菜に豊富です。

この三種のビタミン(β−カロテンは体内でビタミンAに変化するので、プロビタンAと呼ばれている)は環境汚染物質から身を守り、健康を保つ上で大きな働きをしています。

しかし、ビタミン剤の頼るのは考え物です。脂溶性のビタミンAやDなどは大量に摂り過ぎると副作用を生じます(食事で摂るなら過剰症の心配はありません)し、ビタミン剤に頼ると日常の食事が疎かになりやすいのです。



ダイオキシンや農薬による作物の汚染状況

日本全国にゴミ焼却場は1800あまり、1万を超える産業廃棄物焼却炉があり、有機栽培の野菜が少ない現在では、農作物の汚染は深刻ですが、汚染を受けている食物は野菜だけに留まりません。

日本人のダイオキシン類摂取量を食品群別にみてみると、魚介からの摂取が60%、肉・卵・乳類からの摂取が25%を占め、穀物や野菜など食物性食品全体からの摂取量は10%程度です。つまり、最大の摂取源は動物性食品なのです。

こうした現状を考えると、野菜類の汚染はあるにしても、むしろ食物性食品の持つ多くの効用に期待して積極的に摂り、魚介や肉類から摂取するダイオキシン類の害を減らすのが賢明な自衛策だと思われます。

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7.農作物の汚染から身を守る工夫



旬の物を求める

その作物にとって一番ふさわしい時期に育った物は、季節外れに育てた物より農薬、化学肥料の使用量が少なくて済み、栄養価が高い。



生産地に関心を持つ

生産地は、その作物の安全性などをつかむ上で大事な手がかりです。生育から輸送までにかかる環境への付加なども推測できます。



農薬使用状況などに関心を持つ

最近は農薬使用状況や生産者グループ名を記した野菜や果物をスーパーマーケットなどで見かけるようになりました。農薬使用量の少ない作物、生産者のわかる作物を求めることは、自衛と同時に農薬削減に取り組む生産者への支援にもなります。

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8.農薬やダイオキシン類の洗浄、農作物の調理法



よく水で洗う

いくつかの実験・研究によると、青菜などの農薬は水洗いで50〜80%落とせると報告されています。ただし、丁寧に洗うことが大事です。青菜類は水を何度か替えながら、よくふり洗います。キュウリやナスなどの果菜類、ニンジンやゴボウなどの根菜類は、よくこすり洗いをします。中性洗剤で洗っても効果はほとんど無く、かえって洗剤の毒性が残る危険があります。



表皮、ヘタ、外葉、根などは取り除く

特に脂溶性の化学物質は食物の表皮の下、ヘタ、外葉、ひげ根などに溜まりやすく、これらを覗くと、かなりの量が取り除けます。なお、穀物類の残留農薬は、穀や外皮を除くことで、かなり低くなると報告されています。



ゆでる、炒める、煮る

青菜はゆでることで70%以上の農薬を減らせるという報告があります。また、野菜を油で炒めたり揚げたりすると、脂溶性の農薬が50〜95%溶出、分解するとの報告もありダイオキシン類も溶出効果が期待できます。ただし、あとで油をよく切ることが肝心です。

米の残留農薬のマラチオンなどは、炊飯によっえある程度(多い場合で80%)揮発、分解されるという実験データがあります。

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9.動物性食品は量をほどほどに


魚介はタンパク質をはじめ良質のビタミン、ミネラルも多く日本人の健康の大きな支えですが、中でも注目されているのは脂質の働きです。DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(イコサペンタエン酸)ばどの多価不飽和脂肪酸が豊富で、これが血管壁にコレステロールが溜まるのを防ぎ、動脈硬化、心筋梗塞、脳血栓などの予防に役立ちます。

また、アレルギーの発症抑制、脳神経機能の向上、ガンの発症や老化の予防などの効果が動物実験で認められています。

しかし、魚油は摂り過ぎると過酸化脂質を増やす恐れも一部で懸念されており、心筋疾患や脳出血を起こしやすくなるともいわれています。また、日本で販売されている魚油カプセルを調べたところ、ほとんどからPCBやDDT、HCBなどの有機塩素系化合物が検出され、ものによっては指示通りに飲むと体内が高濃度に汚染される危険があります。



魚介の摂り方

1.都市や工業地帯、河口に近い場所でとれた沿岸魚介はなるべく避ける。

2.同じ傾向の魚ばかり食べずに、なるべく多種類の魚を食べる。

3.有機毒物の蓄積しやすい内臓は食べない。脂肪の多い魚、泥に棲む魚、内臓ごと食べる魚、養殖魚は摂り過ぎない。

4.1日に80g程度を目安に食べる。



肉も魚と並ぶタンパク質です。豚肉には炭水化物の代謝を助け神経の調節などにも関与するビタミンBが多く、牛肉には鉄が豊富です。鶏肉は脂肪の中に動脈硬化予防によい不飽和脂肪酸を含んでいます。また、肉類は魚介類と同様にビタミンや亜鉛の供給源でもあります。

しかし一方で、肉やその脂肪の摂り過ぎは、血中コレステロールを増やして動脈硬化やそれに伴う心疾患を招くほか、痛風、胆石、腎臓疾患、ガンなど様々な病気の誘因となることも知られています。

日本人の肉の摂取量は平均1日80gくらいで丁度良いのですが、問題なのは若い世代です。平成9年の国民栄養調査を見ると、10代後半から20代は肉の摂取量が100gを超えています。この傾向は汚染物質の摂取という点でも心配なことです。

肉の汚染要因として懸念される化学物質は、ダイオキシン類、農薬、薬剤にあります。



肉類の摂り方

1.脂肪の多い肉やレバーなどの内臓は控えめにして、食べるなら薬物投与の点で安心なものを選ぶ。

  飼料や薬物投与状況を表示したものがよい。

2.同じ肉ばかり食べずに、色々な肉を食べる。また肉と魚を交互に食べる。

3.食べる量は1日に80gほどを目安とする。

4.野菜類を必ず一緒に摂る。


肉類は決して「悪者」ではなく、体の基礎を作り、体の抵抗力を高める上で大事な食品です。それだけに、特に未来の命を育てる若い世代は、汚染源の現状にも関心を持って欲しいものです。

卵と牛乳も、健康作りに欠かせない動物性食品の仲間です。

卵の最大のメリットは、含まれるタンパク質が人体では作れない必須アミノ酸9種を全て含む極めて質の高いものであるという点です。また、鉄、ビタミンA、B郡、良質の脂質も豊富で、完全食品とも言われます。

牛乳は、良質のタンパク質はもとよりカルシウムが豊富で、そのカルシウムが吸収効率も高いものであるのが特徴です。カルシウムは骨の主材料として知られていますが、それ以外に大脳の中枢神経や各種ホルモンの指令伝達、心筋の収縮作用、細菌やウイルスに対する免疫抗体の生成など、生体機能の維持に関わる重要なミネラルです。環境ホルモンの作用に負けない体を作る上でも大切な栄養素の一つと言えるでしょう。

卵も牛乳も育ち盛りには特に大事な栄養源で、菓子などに加工される頻度も多く、摂取量が多い食品です。

ゴミ焼却場から半径5km内の牧場でとれた牛乳(生乳のみ)のダイオキシン類濃度は1gにつき0.2pgもあり、ゴミ焼却場から遠くなるほど汚染度が低くなります。仮に体重30kgの子供が汚染度0.05pgTEQの牛乳を飲むと、それだけで体重1kgあたりの摂取量は1pgTEQとなり、バカにならない量となります。牛乳によっては、もっとダイオキシンを取り込む恐れもあり、市販の牛乳や乳製品は複数の生乳をブレンドして製品化しているため汚染状況を消費者が知る術も無く、大変危険な状況です。

卵に関しては検査データがまだ少なく、詳しい実態はよくわかりません。しかし、ベルギーでは'99年5月に蓄肉や卵から高濃度のダイオキシン類を検出しています。飼料が汚染源だったため、自国の牛乳やフランス、オランダなどの家畜と、その副産物も汚染の疑いがあるとして販売が一時ストップしました。諸外国から様々な形で、食品、飼料が輸入されている現状では思わぬところに汚染源が潜んでいるかもわかりません。



卵、牛乳の摂り方

1.卵は1日1個を目安に食べ過ぎない。

2.牛乳は1日に育ち盛りで400g、大人で250〜300gを目安に摂り、摂り過ぎに注意する。
これも飼料などの安全性を表示したものを求める。妊産婦や摂取量が多くなりがちな子供では、低脂肪乳を利用するのも良い。

3.できれば飼料や薬物の点で、安全なものを求める。


卵や牛乳の摂り過ぎはアレルギーの誘因にもなります。菓子などの加工食品も含めて考え、安易に摂り過ぎないように注意が必要です。

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10.身の回りの環境ホルモンから身体を守る方法



プラスチック製品をなるべく使わない

軽くて丈夫な発泡スチロール製容器からはスチレンダイマーやスチレントリマーが、ポリカーボネート製食器からはビスフェノールAが検出されています。食器類は陶器かガラス製のものが安心です。

食料品を包むラップや食品トレイには燃やすとダイオキシン類やPCBなど、多くの有害物質を発生させる塩化ビニール製ラップ、発砲スチロールなど環境ホルモンを含んだ材質が使われています。



建材の化学物質を減らす

家の建材などから科学物質が揮発し、体に取り込まれて様々な症状を引き起こすシックハウス症候群が増えています。

最近の建造物は機密性が高く、化学物質が室内にこもりやすくなっています。

特に新しい住宅では建材に染み込ませた殺虫剤や防腐剤、防カビ剤、合板や壁紙の接着剤、畳の防虫処理など、あらゆるところに環境ホルモンの疑いのある物質が使われています。

部屋は常に風通しを良くするなど、換気を心がけるようにしましょう。

また、最近は防菌加工された、抗菌グッズが増えきましたが、この抗菌グッズには発ガン性の疑いのある物質が使われており、使用には注意が必要です。



家庭用農薬の使用は控える

特に夏になると、ハエや蚊、ゴキブリなどの害虫駆除に、簡単に使える殺虫剤を使用することが多くなると思います。

スプレー式のものは周囲の空気を汚染し、私達の口、鼻などから体内に入り込んでしまいます。これらの化学物質は免疫力を低下させたり、発ガン性や環境ホルモンの疑いがあるものが数多くあります。

衣料用防虫剤にはナフタリンが使われていますが、不純物にベンツピレンという環境ホルモンの疑いのあるものが含まれています。また、パラジクロロベンゼンは発ガンの疑いがあります。

不快な虫を発生させないためには、普段から台所や部屋を清潔にし、家の周りの側溝を掃除するなどして発生源を無くすことが先決ではないでしょうか?

また、最近は家庭で楽しむ園芸、ガーデニングが流行していますが、ここで使われる殺虫剤や除草剤のほとんどが環境ホルモンを含んだ農薬です。むやみに毒性の強い薬剤は使わずに有機肥料などを利用して土造りをして、少々にの虫は手で取るなどの処置を施し、出来るだけ化学農薬は使わないようにしましょう。



家庭排水にも気配りを

食器を洗ったり、洗濯に使う合成洗剤には合成界面活性剤や漂白剤などが含まれていますが、これらの仲間には環境ホルモンの疑いのあるものがあり、また、自然界で分解されることの難しい化学物質です。

合成洗剤の使用を控え、純石けんをしようしましょう。

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