お忙しい中,松尾祐孝先生ありがとうございました。
《ほたて児童合唱団の皆様へ》


つい先日,土肥先生からテープやビテオや演奏会のパンフレットをたくさん送っていただきました。そして,そのどれもが大変素晴らしく,感激しました。定期演奏会や合唱コンクールで,毎年毎年さまざまなたくさんの歌を,一生懸命に,楽しく,そして独創的な創意工夫の許に歌ってこられた皆さんの合唱団の歩みが,いただいた貴重な資料の中から浮かび上がってきました。そして今年は,私の作品=合唱オペラ〔二ングル〕を,出版直後に早くも舞台にかけていただくと聞いて.とても嬉しく思っています。この作品は,大阪すみよし少年少女合唱団の委嘱作品で,北海道の自然をテーマにした題材を基にしたものです。それを,今度は九州の合唱団が演奏するということで,とても楽しみにしています。実は,私の両親は九州の福岡県の出身なので,私自身も九州には強い愛着を感じているです。

さて,今回はこのオペラの伴奏部をシンセサイザーを使って上演されると伺っていますが,お送りいただいたデモ・テープのイメージ豊かな録音から察するところ,土肥章一先生御指導の許に,きっと素晴らしいステージになることでしょう。そして,できればその上で,近い将来に,原曲通りのピアノ伴奏でもう一度演奏してみてください。ピアノという楽器に託されたイメージの多彩さと,ピアノという楽器の素晴らしさを再認識できると思います。それにしても,当日の演奏に立ち会うことができないことが,残念でなりません。御盛会,御成功をお祈りしています。

私自身も,皆さんと同じ歳のころに,ひばり児童合唱団や東京放送児童合唱団に通っていたことがあります。そこで世界のたくさんの素敵な歌を歌った経験が,今の私の音楽家としての感性の基礎を培ってくれたように思います。私の〔ニングル〕という作品が,皆さんの心の中に少しでも刻まれることになれば,作曲家として大きな喜びです。そして将来,できることなら,皆さんのために新しい作品を書く機会を得たいものだと,皆さんの素晴らしい歌声をテープやビデオで聴きながら,思いを馳せているところです。


1999年2月5日 松尾祐孝
(東京都大田区の自宅より)
1999年 ほたて児童合唱団 第15回定期演奏会
(合唱オペラ「ニングル」に寄せて)