ほたて児童合唱団・時間列車

作詩家・新谷智恵子

10周年を迎えられましたほたて児童合唱団の皆様へ，心からお祝い申し上げます。
このすばらしい演奏会に，微力ながらもお手伝いさせていただきましたことを幸せに思います。

新作ミュージカルのお話を持って，土肥先生がうちへいらっしやったのは，昨年の2月でした。
外の寒さをも吹き飛ばすような児童合唱への情熱は，私を創作へと掻き立てました。
ほたての皆様のビデオを何度も何度も見せていただき，（お陰で，全員のお顔を覚えました）イメージをどんどん膨らませて，膨らませて，膨らませて‥そして・・「時間列車」が産まれました。

練習会頓にお邪魔した時のこと，笑顔いっぱいで足を踏み入れた私の目に飛び込んだのは・・・・現実の厳しい練習風景・‥・。
笑顔はいつしかこわばり，全身が固まっていくのを感じました。でも，そんな厳しさの中に垣間見た先生の暖かさ，子どもさんたちとのほのぼのとした交流に，私は感動しました。

最後に，10周年という大切な節目に，作品のすべてをお任せくださいました土肥先生へ，心より感謝申し上げます。
又，日々練習を重ね，「初演」という大きなプレッシャーを乗り越えて，今日のこの日を迎えられました「ほたて児童合唱団」の皆様へ，心からの拍手を送らせていただきます。
ほたての皆様を乗せた時間列車が，より明るい明日へ向かって走り続けることを祈りながら‥‥。

　（1994年2月13日　長崎県・佐世保市の自宅にて）

■新谷智恵子〈作詩家〉（社）日本童謡協会会員
　　　　　89，90年　毎日童謡賞受賞
　　　　　91年　日本創作童謡コンクールグランプリ受賞
　　　　　91年　佐世保市文化特別賞受賞
　　　　　92，93年　三木露風賞受賞
　　　＜主要作品＞
　　　　　「ねむれないおおかみ」「風をください」
　　　　　「地球はメリーゴーランド」他

作曲家・杉田志保子

ほたて児童合唱団10周年，おめでとうございます。

私が合唱団の皆さんと初めてお会いしたのは，昨年の12月です。12月とは思えない暖かな土曜日の午後，練習会場の階段を上がっていく私の耳に皆さんの歌声が聞こえてきました。

その歌声は，まだ仕上がっていない練習中のものではありましたが，まぎれもなく天使の歌声でした。
昨年私がこの「時間列車」を作曲していた頃，頭の中に思い描いていたイメージがありました。そのイメージと，目の前で歌っている子供たちの姿がピッタリ重なって見えたのです。
実は以前に練習の様子を映したビデオをいただいていましたので，皆さんにお会いした時は『初めて』というより『なつかしい』という感じがしました。

すばらしい歌声と共にもう一つ私が感動したのは合唱団の皆さんの“目”です。とても真剣なその目は，どの子も澄んだきれいな目をしていました。
土肥先生のレッスンは，見ている私まで緊張する程でしたが，厳しさの中に子供達に対する深い愛情と情熱を感じました。

「時間列車」全11曲は，新谷さんと私が心をこめて書き上げた作品です。10周年という大きな節目にほたての皆さんに歌っていただくことは，大変幸せな事です。
良い詩に恵まれ，良い指導者，合唱団に恵まれ，今の私の心は感謝と喜びの気持ちでいっぱいです。

　　（1994年2月13日　愛知県・岡崎市の自宅にて）

■杉田志保子〈作曲家〉（社）日本童謡協会会員
　　　　　91年　日本創作童謡コンクールダランプリ受賞
　　　　　92年　三木露風賞受賞
　　　　　98年　三木露風賞受賞
　　　　　93年　とやま童謡コンクール優良賞受賞
　　　＜主要作品＞
　　　　　「海からのてがみ」「麦の終わり」
　　　　　「ハーモニカ」「春のリズム」他