★おしらせ★
ここはややマニアックなので、家庭用ビデオ編集向けのもっとベーシックな内容をhttp://dtv.sakura.ne.jp/に展開中です。あわせてご覧ください。

まえがき

前回の続き。PCで映像(画像)を表示するには赤緑青に変換するしかないのですが、これがなかなか曲者です。
YUVとYCbCrは、同じ意味で使ってます。適当でごめんなさい。

PCで編集するということ

普通に考えるとTVの世界の色をPCの世界の色に変換して、編集(加工)、それをまたTVの世界の色に変換してテープに戻すなりDVDに焼くなりするわけです。
そのときにストレート変換するならこのようになります。
YC伸長変換するならこのようになります。
なんか最初と最後だけ見ると同じじゃんという気もしますが、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

色の変換による劣化

ここまで、色といいつつ明暗に絞って説明してきましたが、実際には明るさと色差(YCbCr)←→赤緑青(RGB)を変換しなければいけないわけで、そのための変換式もあります。
それによると例えば、伸長している場合、
  • YCbCr(128,160,64) ←→ RGB(28,170,195) (こんな色)
  • YCbCr(144,64,176) ←→ RGB(226,135,20) (こんな色)
  • とまあここまではいいのですが、
  • YCbCr(208,32,128)  → RGB(224,261,30) (???)
  • YCbCr(32,160,144)  → RGB(44,-7,83) (???)
  • と、このように数値が(0〜255の範囲を)はみ出してしまうことがあります。
    仕方が無いのではみ出した部分は0や255にしてお茶を濁すのですが、そうすると
  • YCbCr( 208 , 32 , 128 ) → RGB(224,261,30) → RGB(224,255,30) → YCbCr( 205 , 34 , 130 )
  • YCbCr( 32 , 160 , 144 ) → RGB(44,-7,83) → RGB(44,0,83) → YCbCr( 35 , 158 , 141 )
  • と、このように最初と最後で色が変わってしまう、つまり色情報が失われてしまいます。
    RGBに変換している限り、どうがんばってもこの劣化は防ぐことができません。DV編集後、テープに戻してTV再生したら何もしてない部分の色が変わってたらこれが原因かもしれません。
    では、YCbCr→RGB→YCbCrと変換して、元の数値に戻ってくる範囲ってどれぐらい?と思い計算してみたのがこれ↓です。 ↑(小数の扱いとか適当にやったので誤差があるかもしれませんが)大雑把に見てストレート変換したほうが広い範囲で生還できることわかります(伸長の意味を考えたら当たり前ですが)。
    この範囲から外れた部分は劣化します。例えば「新緑(図の左上の明るい黄緑)」「アヤメの花(図の右下の濃い紫)」は特に危ないです。他、どんな色でも鮮やか系はヤバイですね。
    補足 デジカメで撮った画像をPCで見るとどうしても「深みのある空」が再現できないと思ったらこの「RGBの限界」が関係あるかもしれません。また、最近のカラープリンタの上位機種はこの「限界」を超えた範囲をうまく処理してPC画面よりも色彩豊かな印刷を行うことができます。

    ストレート変換・伸長変換

    多少、混乱させる内容になってきましたのでストレート変換と伸長変換についてまとめます。
    ストレート変換は、
  • 見た目上、色が薄く、コントラストが無く、グレーがかって見えてしまう。
  • 伸長変換と同じ色の範囲で比較したときに階調が少ない。
  • その代わりTVの世界→PCの世界へ変換のときの色の劣化をある程度防ぐことができる。
  • 輝度が15未満または236以上といったイレギュラーな信号もある程度拾って表示できる。
  • 伸長変換は、
  • 見た目上、黒は黒に、白は白にといったように本当の(?)色に近く見える。
  • ストレート変換と同じ色の範囲で比較したときに階調が細かい。
  • その代わりTVの世界→PCの世界へ変換のときの色の劣化が大きい。
  • といった特徴があります。余談ですがCanopusDVのオプションにある「YUV<->RGB変換を150%でクリップする」というのはこの色劣化をさらに防ぐための方法です(上記の比較のようなデメリットも当然ある)。

    もっといい方法は無いのか

    何もしなくても色が劣化してしまうのはもったいないということで、もっといい方法を採用しているアプリケーションソフトもあります。
    それは、内部でTVの世界の情報を持っておいて表示のためにPCの世界の色に変換するのとは別管理にするというものです。↓ ↑この方法は「内部YUV」を謳っている(謳ってないのもあるけど)ソフトが採用しています。私が知っている範囲ではAviUtl(RGBと選択できる)とCanopusの編集ソフトが該当します。TMPGEncやビデオスタジオは残念ながら内部RGBだったはず。プレミアは知らないです。

    結論

    この議論、PCで鑑賞するだけで、TVで見ない(RGBの世界だけで生きていく)のならあまり関係ないです。関係あるパターンは次回。