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【テキスト】さよならミーアちゃん

 

2008.8.1

 

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前回までのあらすじ

ラクスを庇って、サラの凶弾に倒れたミーア。

敵側の人物(特に非パイロット)が改心するという、

ミハルから続く死亡フラグを彼女も回避できませんでした。

彼女の亡骸は、アークエンジェルに運ばれると、

アスランに抱きかかえられて、霊安室に安置されました。

 

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「プラントの子だよね、名前の他は?」

「わからない。何も聞かなかったんだ。オレも……」

 

彼女の亡骸の前で立ち尽くすアスラン。

キラの問いかけに対して、何も答えることができず、

自分が彼女のことを何も知らなかったことに気付きます。

もっと話が聞きたかった。もっと自分のことを話したかった。

その胸にも触りたくなかったと言ったら嘘になる。

 

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「あら、これは……」

 

二人の後ろで遺品を整理していたラクス。

ミーアのバッグの中には、調べたのでしょうか、

自分が使用しているものと同じ化粧品が入っていました。

本物に近づきたいという彼女の思いに複雑な気分になりながら、

さらにバッグの中を調べていると、気になる物を発見します。

 

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「どうしたの?」

「いえ、ミーアさんのメモリーカードが……」

「メモリーカード?」

 

それは一枚のメモリーカード。

バッグに入れて持ち歩いているということは、

日常的に使用するデータが入っていると思われます。

デジカメ用でしょうか? それとも中の人のモンハン用?

 

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「どうしましょう……」

 

どのように処置すべきかを二人に伺うラクス。

議長に近い位置にいたミーアさんのメモリーカードなら、

彼の計画に関する何か重要な情報が記録されているかもしれない。

でも、亡くなった方の記録を勝手に見るのは失礼ですわ。

私も死ぬ前には、ハードディスクの中身とメールボックスと、

アマゾンの注文履歴を削除しなければと思っていますし……

 

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「なら、見るしかないじゃないか!」

 

故人に対する罪悪感も、みんなで見れば怖くない。

何故かほとんど無関係のメイリンちゃんまで呼び出して、

ミーアの記録鑑賞会開始。まずはテキストファイルから。

 

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10月11日

今日やっと包帯が取れた。何か不思議な感じ。

鏡を見ると、そこにはラクス・クラインの顔があるんだもん。

 

「議長はヅラだった」みたいな驚愕の事実が書かれていれば、

それをネタに議長を脅して一気に形勢逆転できるところでしたが、

画面に現われたのは、ミーアが自分の日常について綴った文章でした。

1ページ目には、彼女がラクスの顔に整形した日のことが記されています。

 

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「日記?」

「ブログ?」

「みくしぃ?」

「テキストサイト?」

 

テキストサイトなんてやるのはダメ人間しかいないし、

mixiや公式ブログで整形のことを書くわけもないので、

彼女のプライベートな日記と判断するのが妥当でしょう。

というか、プライベートじゃない日記が存在する現代って何ですか?

 

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これは、どこからどう見ても、ラクス・クラインだわ。

大ファンのあたしが言うんだもの、間違いない!

その代行、身代わりなんて仕事、本当に大変だろうけど、

あたし頑張る。絶対に、バッチリやってみせるんだから!

 

ラクス・クラインの代行として生きていく決意を固めるミーア。

これまで彼女が偽のラクスになるまでの経緯が不明だったため、

田舎から上京してきた娘が、騙されてやらされているのかと思われましたが、

初めから、ラクスの代行という仕事を理解して行っていたようです。

無論、その裏の部分に関しては、知らされていないでしょうが。

 

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声は大丈夫、元々似てるって言われた。声優同じだし。

問題はしゃべり方や仕草よね。普段はどんな感じなんだろう?

ラクス様は歌われる他は、ほとんどメディアに出ないから。

演説の時みたいにいつも凛々しいのかな? そんなことないよね。

好きだったアーティストが、Mステに出て実際に喋っているのを見て、

想像していたキャラとの違いに、ショックを受けることってよくあるし。

 

どのようにラクス・クラインを演じるべきか?

これこそがミーアにとって、最初にして最大の問題でした。

そして悩んだ末に辿り着いた結論が、あの巨乳キャラだったのです。

下手に本物に似せようとしても、細部でどうしてもボロが生じる。

堂々と開き直って路線変更すれば、逆にバレないだろうという発想です。

仮にバレてしまったとしても、これはこれでありと一定の支持を得られますし。

 

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今日はあたしのバックバンドの人たちと初めての顔合わせ。

ギターの人に特注品のヒートホーク型のギターを見せてもらった。

彼はシャア専用ノートPCやシャア専用自転車も持っているんだって。

DVDも1stからOOまで全て持ってて、ブルーレイでも買い直してて、

結婚して子供が出来たら、アムロや刹那と名付けるんだって。

まあ、そんなこと言っているうちは結婚できないだろうけど、

こういう人たちがいるかぎり、バンダイも安泰だなあって思った。

 

こうして、ミーアのラクス・クラインとしての生活が始まりました。

彼女が偽者であることを知っているのは、一部の関係者のみで、

仕事上での付き合いの人間には、一切知らされてはいませんでした。

昨今では、個人ブログなどで機密を洩らされてしまいかねませんからね。

 

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今日はもう大変! アスランよ! アスラン! アスラン・ザラ!

いや、「カッコイイ」っていう噂は前々から聞いてはいたんだけど、

あくまで軍人さんだし、一昔前の男前みたいな人を想像してたのね。

でも実際に会ってみたら、これが100パーセント天然物の美少年。

分け目からチラリと覗くデコがもう鼻血ものでありますよ。

萌え〜!

ああん、興奮のあまり思わずフォントいじりまでしちゃった。

あたし頑張る! 頑張ってアスランと添い遂げる!

 

アスランとの初対面に大興奮のミーア。

初対面にも関わらず、いきなり抱きついたかと思えば、

強引に食事に誘っては、自らの不幸な身の上話をするなど、

全てアスランを利用せんとする謀略あっての行動かと思われましたが、

日記を読むに、本気でアスランを気に入っての行動だったようです。

 

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今日はもう大爆笑!

人気お笑いコンビのイザークandディアッカに会っちゃった!

会ったっていっても、基地を移動中に遠目からチラッと見ただけなんだけど、

あれが大物芸人だけが持っているオーラってやつかしら、すごい存在感だった。

出撃前なのか、二人とも真剣な表情だったんだけど、それが逆に面白い。

真面目な顔をしているのに面白いんだから、これはもう反則よね。

 

M−1グランプリ王者との遭遇に大興奮のミーア。

今年はそれぞれピンでR−1に出場するとの情報を聞き、期待が高まります。

イザークは1と3と9の倍数、ディアッカはエロ詩吟で勝負するらしいです。

 

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基地でのライブ終了後、ホテルでアスランに再会する。

今度は彼と一緒のホテルに泊まれるんだって。しかも同じ部屋。

実際は、あたしが勝手にフロントに言って合い鍵借りたんだけど。

同じ部屋ということは、当然同じベッド。ということは当然……

深夜でもOVAでもなく、夕方の放送だけど大丈夫かな?

最初の頃に議長と艦長もやってたし、たぶん平気よね?

 

ディオキア基地での衝撃のピンクザクライブを終えて、

ホテルでのアスランとの久しぶりの再会に心躍らせるミーア。

無論、早朝に部屋を訪れたルナマリアさんに関する記述はありません。

 

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その夜、彼は……

「ちょ、ちょっと待て!」

 

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アスランって真面目そうだから、あたしの方から色々してあげないと、

始める前はそう思っていたんだけど、本気になった彼ったらすごいの。

「ミーア……オレ、もう我慢できない!」

「えっ、いきなり!?」

彼は強引にあたしのスカートを剥ぎ取ると、そのまま下着を

(省略されました。続きを読むには「ディアッカディアッカ」と書き込んでください)

 

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「うぐっ……」

「アスラン……」

「複雑な気持ちですわ……」

「やってない!」

 

予想外の展開により、室内に流れる気まずい空気。

三者三様のショックを受けていますが、特にラクスにとっては、

かつての婚約者が自分の偽者と関係を持ったわけですから、

そのやるせなさと気持ち悪さは相当なものです。

 

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あたしの偽者が現れたとかで、今日はもう大変だった。

おかげでシャトルは遅れるし、出演予定だった番組もキャンセル。

マネージャーの髪形はいつも以上にモサモサになるわで、もう最悪。

ライバル陣営の嫌がらせかしら。人気者の辛いところよね。

あれ? ちょっと待って。そもそもあたしがラクス様の偽物だから、

偽者の偽者ってことは……もしかして本物のラクス様?

いや、それとは別の3人目のラクスが登場したのかもしれない。

あたしが春一番だとしたら、アントキの猪木みたいな。

 

ラクスと虎によるシャトル強奪に憤るミーア。

この頃から、次第に自分が偽者であるという意識が薄れ、

本物のラクスと自分に差異はないと思いこんでくるという、

SFのクローン物にありそうな感じに内面が変化していきます。

 

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連合のやってること、確かにちょっと酷すぎ。あたしだって許せないと思う。

今のあたしの言葉はラクス・クラインの言葉。本当にこれで世界が変わるなら、

どうか変わって! みんな、どうかあたしの声を聞いて! 最新アルバムを買って!

大きな戦争が起こると、それを材料にプロモーションできるのが歌手のいいところよね。

 

広がる戦禍にミーアの出番も増えていきます。

初期のころに比べて、かなり調子に乗ってはきたものの、

戦争を終わらせたいという彼女の気持ちは変わっていません。

戦争が終わったら用済みになるという事実を知ってか知らずか、

彼女はあざといまでの演出を用いて、民衆に向けて平和を訴えます。

 

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それにしても、演説中ずっと寒気がしたのはどうしてだろう?

まるで誰かに見られているような、背筋がゾッとするような感覚。

たぶん風邪だと思うから、今日は部屋に戻ったら早く休もうっと。

 

そんなミーアの演説を無言で見つめていたラクス。

彼女が電波ジャック計画を思いついたのは、ちょうどこの時でした。

そうすれば、手っ取り早く全世界に偽物の存在を証明できるうえ、

ミーアに与える精神的ダメージも甚大。一石二鳥の公開処刑です。

 

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「……」

 

徐々にミーアの元へと忍び寄る破滅の影。

やり切れなさに居た堪れなくなったアスランは、

日記を最後まで読むことなく退室します。

慌ててメイリンちゃんが後を追おうとしますが、

それよりも早くキラが立ち上がり、その後を追います。

 

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「さあ、続きを見ましょう」

「は、はい……」

 

退室するタイミングを逃したメイリンちゃん。

ラクスと二人でミーアの日記の続きを読むという、

自分がいる必要性が全く感じられない状況に立たされます。

 

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なんだかアスランの立場がやばい感じになってるみたい。

本人にそれを教えに行ったら、大変なことになっちゃった。

部屋にやって来た保安部の人をやっつけっちゃたかと思えば、

「君も議長に殺される!」と一緒に脱走するように言われた。

好きな男の子から「オレと一緒に逃げよう!」と告白される。

女の子なら誰もが憧れるシチュエーションだけど、

実際にやられると、ときめきよりも困惑が先に来る。

 

そして最大の事件であるアスランの脱走。

結局、アスランの手を取らなかったミーアですが、

彼女が受けた衝撃は相当なものだったようです。

この日を境にして、次第と日記は書かれなくなりました。

 

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「次は……あら、画像ファイル?」

 

ミーアの日記を読み終えたラクス。

しかし彼女の好奇心は、それだけでは満たされません。

メモリーカード内の残りのフォルダを次々と展開していきます。

 

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「あらあら、まあまあ、こういうのがお好きで。うふふ……」

(鬼だ……)

 

赤裸々にされる個人情報を目の前にしたメイリンちゃんは、

自分がもしも戦闘や急な事故で死んでしまったときのために、

フォルダにパスワードをかけておこうと心に決めたのでした。

 

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「オレが最初に認めなきゃ良かったんだ。こんなことは駄目だと……」

「うん。でもやっぱり、すぐにそんな風には言えないよ」

 

もっと早く議長の裏の顔に気付いていれば、彼女も死ぬことはなかった。

こんなグダグダにならずに、2クールぐらいで完結できていた。

今になって激しい後悔に苛まれるアスランをキラが慰めます。

ラクスが殺されそうにならなければ、自分も議長を信じていただろう。

声優が声優だけに、視聴者を含めた誰もが怪しいと感じていましたが、

ここまでとんでもない人物だとは、さすがに想像していませんでした。

 

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「ミーアさん……」

 

メモリーカード内の全ての記録を見終えたラクスは、

一人霊安室に戻ると、横たわるミーアの傍らに立ち、

もう動かなくなった自分と同じ顔の少女を見つめます。

 

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「あんな画像をどこで……?」

 

メモリーカードの中身を見て初めて知った真実。

彼女に聞きたいことが沢山ある。しかし相手は物言わぬ亡骸。

深い喪失感に、ラクスは流れる涙を抑えることができません。

 

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「あたしの命……どうか忘れないで……」

 

思い出されるのは、ミーアが最期に残した言葉。

今ならば、その言葉の意味が痛いほどわかります。

メモリーカード内の素晴らしいコレクションの数々は、

彼女にとって命とも言えるほどの物だったのでしょう。

 

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「忘れないわ。ミーアさん。私は決して……」

 

ミーアの遺志を継ぐことを誓うラクス。

貴女が大切にしていた画像は全てコピーして、

私のPCにしっかりと保存しておきましたわ。ZIPで。

 

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「今、私の中にも皆さんと同様の悲しみ、そして怒りが渦巻いています」

 

レクイエムによる攻撃でプラントが受けた甚大な被害、

および、月面基地においての連合との戦闘の勝利をうけて、

全世界に向けて中継を行う議長。最近ずっと全世界中継です。

いつものようにべったりと寄り添って放送を見るイザークとディアッカ。

そろそろ周囲にホモ疑惑の一つでも立てられそうですが、

既に艦内でも公認のカップルとなっているので大丈夫です。

 

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「シン……いないの?」

 

シンと一緒に放送を見ようと、艦内をうろつくルナマリアさん。

しかし巨大モニターのあるレクルームにシンの姿はありません。

いつもならみんなと一緒にここにいるはずなのですが。

 

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「議長はすごいな」

「うむ、ぎるはすごい」

 

その頃、自室にて、シンはレイと二人きりで演説を聴聞。

今までそういった要素をあまり感じさせなかった二人ですが、

ここにきて、特定の層へのアピールが顕著になってきています。

アスランとキラ、イザークとディアッカの人気ペアに対抗するためには、

多少あざといと思えるぐらい、ベタベタするのも仕方がありません。

それでも、上記の二組には到底及ぶべくもありませんが。

 

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「本当にこれはどういうことなのでしょうか、

愚かとも言える、この悲劇の繰り返しは!」

 

議長の言葉に厳しい表情を浮かべるカガリ。

一方的に被害者の立場を気取っているが、

いくらジブリールを匿っていたからとはいえ、

オーブに攻め込んだことを忘れたとは言わせない。

結果、バカ親子を始末できたことには感謝しているが。

 

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「だが、我々はようやくそれを滅ぼすことが出来ました」

 

議長の勝利宣言に歓喜の声を上げるコニタンら一般市民。

実際に連合の被害に遭った人たちにとって、議長は世界を救った英雄。

このまま彼が世界を意のままに導くことも、そう難しいことではありません。

 

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「だからこそ、今敢えて私は申し上げたい」

「始まったわね」

「我々は今度こそ、もう一つの最大の敵と戦っていかねばならないと」

 

このまま勝利宣言が続くと思われましたが、

議長の演説は思わぬ方向へと移行していきます。

ここにきて、新たな敵の存在を提示し始めたのです。

ロゴスを倒した今、残されている敵などいるのだろうか?

民衆はおろか、ザフトの軍人たちでさえ一様に戸惑う中、

アークエンジェルのクルーは、この展開を予想していました。

そうこなくては、ここでめでたく最終回になってしまいますからね。

 

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「常に存在する最大の敵。それは、いつになっても克服できない、

我ら自身の無知と欲望だということを!」

「私のこと?」

 

議長の鋭い指摘にドキッとするルナマリアさん。

これはもしかしたら、自分のことを言っているのだろうか。

いつになっても一向に上達しない私の射撃の腕のことなのか。

ジブリールを取り逃したのも、元はといえば自分の責任だけど、

さすがに全世界中継での個人攻撃は勘弁してほしい。

 

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「人は未だに人を解らず、自分を知らず、明日が見えない、

いつくしみふと分けあって、傷を舐め合う道化芝居……」

「議長は何を言っているんだ?」

(がんばれ! ぎる!)

 

いきなり宗教家のようなことを言い出す議長。

突然の展開にシンは全く付いていけていません。

その隣、艦で唯一議長の次の言葉を知っているであろうレイは、

子供のピアノの発表会を見守る父兄のように、固唾を呑んで見守ります。

ここで台詞を噛みでもしたら、全てが台無しになってしまいますからね。

 

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「私は人類存亡を賭けた最後の防衛策として、

デスティニープランの導入実行を、今ここに宣言いたします!」

 

ついに議長の口から飛び出したデスティニープラン。

これで出てきた策が、ザフト職員の給料削減とかだったら、

議長を悪役に仕立てたいキラたちが困るところでしたが、

科学者時代から全く変わっていない思想に一安心です。

 

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「ですてぃにーぷらん?」

 

シンはこんらんした。

 

 

続く。

 

 

 

 

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