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【テキスト】山ミーア壁ラクス

 

2007.7.25

 

前回までのあらすじ

みなさんごきげんいかかですか? ラクス・クラインです。

ついに私の偽者さんに引導を渡してあげる時がやって来ました。

今までも機会があったのに、どうして今頃になってですかって?

だって、何も知らないお馬鹿さんが登った梯子を外すには、

高いところまで登った時に外した方が面白いじゃありませんか。

うふふ。うふふ。うふふふふふ。

 

(BGM:ダースベイダーのテーマ)

 

「私と同じ顔、同じ声、同じ名、同じ胸の大きさの方が、

デュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています」

 

本物のラクス登場にプラントのスタジオは大混乱。

もはや本物のラクスの存在など完全に忘れていたミーア、

彼女のシンデレラストーリーも遂に終焉の時を迎えます。

 

「な、なんだぁ……?」

(本物……)

 

突然の出来事に戸惑うミネルバクルーたち。

そんな中で唯一事情を知るルナマリアさんは、

複雑そうな表情でじっと画面を見つめます。

この人がアスランたちの言っていた本物のラクス様?

何から何まで、まるっきりそっくりじゃない(胸の大きさ以外は)。

 

「彼女と私は違うものであり、

その想いも違うということを、

まずは申し上げたいと思います」

 

ラクスはミーアと同じ、しかし彼女より穏やかな口調で、

改めて自分が本物のラクス・クラインであると宣言します。

一方、ミーアは画面の右下でおろおろとうろたえるばかり。

完全に映像を切り替えるのではなく、動揺する様を映すことで、

視聴者がミーアに不信感を抱くようにする、キラの小粋な演出です。

 

「おっ、始まったな」

「ええ」

 

すっかりラブラブになったネオとマリューさんは、

虎の秘蔵のコーヒーを勝手に飲んで仲良く観賞。

虎が以前使っていた部屋はネオの部屋になり、

虎の荷物(虎柄の服や下着など)はゴミに出されました。

 

「つ……続いては芸能ニュースです。

人気漫才コンビ“イザークandディアッカ”が上方漫才大賞。

 また彼らの人気ギャグ“グゥレイト!”が流行語大賞に……」

 

このままではまずい。ミーアは原稿に目を落としますが、

この事態を乗り切るような言葉が載っているわけもなく、

適当なことを言って、何とかこの場を切り抜けようとしますが、

その慌てぶりがますます視聴者に不信感を募らせます。

 

「見ていられない……」

 

役者が違うとはまさにこのことか。

ミーアも本物のラクスを前にしては蛇に睨まれた蛙。

アスランもさすがに気の毒そうな表情になります。

 

「こちらの放送を止めろ! 奴らの思惑に乗せられているぞ!」

 

このままミーアが無様な姿を晒し続けていたら、

彼女の方が偽者であると誰の目にも明らかになってしまう。

議長は苛立ちをあらわにして放送を止めるように命じます。

そっくりさんを用意するなど小癪な!(お前が言うな)

こちらの演説中に電波ジャックなど汚いぞ!(お前が言うな)

 

「戦う者は悪くない。戦わない者も悪くない。

悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。

議長の仰るそれは本当でしょうか? それが真実なのでしょうか?

ナチュラルでもない、コーディネイターでもない、悪いのは彼等、世界。

貴方ではないのだと語られる言葉の罠に、どうか陥らないでください!

そもそも偽者なのに、本物より胸が大きいとは何事ですか。

気付いていながら、見て見ぬフリをしていたみなさんもみなさんです。

アイドルの年齢詐称には厳しいのに、豊胸に関しては疑わしきは罰せず、

そのような悪しき巨乳崇拝が、今回のような事態を招いたのです。

そもそもコーディネイターは、生まれる前から体型が決まっているので、

私のちょっぴり控えめな胸は、お父様の趣味なのです。

決して私の発育が悪いという訳では……」

 

こうなればもう彼女の独壇場。

ラクスは恋人譲りのマシンガントークで、

その言葉の裏に隠された議長の真の目的は何なのか、

胸が大きいだけでアイドルを名乗れる現状は如何なものか、

視聴者が今一度考える必要があると呼びかけます。

 

「コロサレル……」

 

放送終了後、その場に崩れ落ちて震えるミーア。

ついに自分が偽者だということが公然になってしまった。

こうなってしまったら、議長にとって自分はもう用済みだろう。

それに本物のラクス様。あんなに怖いだなんて聞いてないわよ!

 

「あっちが本物のラクス様だ!」

「いや、あっちのラクス様が本物だ!」

「オレはどっちも好きだ!」

 

二人のラクスの登場に世界は大きく揺れ動きます。

各国のニュースは連日このことについて大きく取り上げ、

インターネットの掲示板では、すさまじい勢いでスレが消費し、

佐藤藍子は「前から偽者だと思っていました」とコメントするなど、

「どちらのラクスが本物か」で巨乳派と貧乳派が激しく対立します。

 

「ご、ごめんなさい。私、あの……」

 

宿舎に戻ったミーアは、議長に呼び出されて恐る恐る彼の元に。

彼女の脳裏によぎるのは、アスランの最後の言葉――「殺される」

貝殻ビキニでも熱湯風呂でも何でもします。だから殺さないで。

 

「ああ……とりあえずお疲れ」

 

彼女の不安通り、議長の態度は急に冷たいものに。

もはや利用価値がなくなった彼女に存在意義はなく、

口では一応労わりの言葉をかけてはいるものの、

その目は完全に死んだ人を見る目になっています。

 

「レイはどう思う?」

「どう、とは?」

「どっちが本物かって」

「なんだお前まで。馬鹿馬鹿しい」

 

どちらが本物のラクス・クラインなのか?

ミネルバクルーの間にも動揺が広がりますが、

レイだけは我関せず。ルナマリアさんたちの問いにも無関心。

逆にどうしてそんなことが重要なのかと二人に問いかけます。

 

「議長は正しい。オレはそれでいい」

「レイ……」

 

議長原理主義者のレイにとって、信じるは議長のみ。

どちらのラクスが本物であろうが関係ありません。

彼を動揺させるには議長の偽者を出す以外ないでしょう。

 

「そんなこと言ったってなあ……」

「ねえ……」

 

レイのように簡単に割り切れない二人は困惑します。

確かにどちらが本物でも、オレたちにはあまり関係はない。

でも、地毛だと思っていた人が実はヅラだってわかったら、

どうやったって気にせずにはいられないじゃないか。

 

「オレたちには考えておかねばならないことが他にあるだろう。

フリーダム。そして、アスラン・ザラ」

 

そんなことで悩む時間も惜しいと、レイは話題を切り替えます。

フリーダムに続いて、アスランも生きていたことは、

我が軍にとって脅威となる。対策を練る必要があるだろう。

 

「アスランって……どういうこと!?」

(まずい……)

 

アスランの生存を知らなかったルナマリアさん。

今更になって降って湧いたアスランの話題に困惑します。

彼女に詰め寄られ青ざめるシン。まさか彼が生きていたとは言えません。

頼むレイ。彼の遺品をどうしようかみたいな話に誤魔化してくれ。

 

「生きて、アークエンジェルにいる」

 

しかし、そんなシンの願いも通じず、

レイはあっさりとアスランの生存を告げます。

 

「えっ……?」

 

思いもよらぬことを告げられて固まるルナマリアさん。

アスランが生きている? それは生存しているってこと?

「みんなの心の中に生きている」みたいな意味じゃなくて?

 

「奥さん、こちらをご覧ください」

 

まるで不倫調査を依頼された探偵のように、

ルナマリアさんに先日撮影した画像を見せ付けるレイ。

モニターには、アスランの乗るジャスティスが、

ものすごく躍動感溢れるポーズで映っています。

 

「じゃあメイリンも……メイリンも生きてるの?」

「さあ、それは分からない」

 

アスランが生きていたということは、

同じ機体に同乗していたメイリンも生きているの?

ルナマリアさんは震える声でレイに問いますが、

レイは彼女に気遣うことなく、淡々と事実を述べます。

 

「だが生きているとすれば、あの艦に乗っている可能性もあるだろう」

「ひいいいっ!」

 

レイが提示する可能性に怯えるシン。

メイリンちゃんもアークエンジェルに乗っているとしたら、

今後、ルナマリアさんは血を分けた妹と戦うことになります。

どうしてそんな大事なことを今まで黙っていたのか、

ルナマリアさんに問い詰められることは必至です。

 

「なんてことしてくれたのよぉ……」

「まあ、君も楽しんだわけだし……」

 

アスランは生きている。もしかしたらメイリンも。

本来なら喜ぶべき事態、しかし全てがもう遅すぎます。

それじゃあ、私たちって何のためにあんなことをしたの?

物言いたげな彼女の視線にシンは顔を背けるばかりです。

互いの傷を舐めあうべく結ばれた関係。しかし実際は無傷だった。

悲劇のヒロインが一転、とんだ早合点のオッチョコチョイです。

 

プラントから見て月の裏側にある連合のダイダロス基地。

その外れにある巨大な砲台「レクイエム」

地下では発射に向けてエネルギーが充填されています。

 

そのレクイエムの斜線上にある円筒状の建造物「グノー」

レクイエムの起動に合わせてゆっくりと動き出しました。

それと同時にグノーを警護するかのように出現した敵艦隊。

一体何のための施設なのか? 謎は深まるばかりです。

おもいっきり「ビーム偏向ステーション」って書いてありますが、

みなさん大人なのですから、そこは見て見ぬフリをしてください。

 

「うひょひょひょひょ」

「むひょひょひょひょ」

 

あくどい表情の司令と談笑するジブリール。

どうやらレクイエムを発射させるつもりのようですが、

月の裏側から一体どこを攻撃するつもりなのでしょうか?

「ビーム偏向ステーション」のことは忘れてお考えください。

 

「ちぃっ、報告通りけっこうな数だぞ」

「ああ。けど一体何故こんなところに?」

「さあな。友好使節じゃないことだけは確かだろうな。行くぞ!」

 

謎の建造物とその周囲に現れた目的不明の敵艦隊。

すぐさまイザーク探検隊がその調査に向かいます。

もちろん相棒のディアッカ隊員も同行しています。

 

「フフッ……」

 

正体不明の建造物がプラントに向けて移動している。

メサイアへと向かうシャトルの中でそう報告を受けた議長。

警戒すべき状況だというのに、笑みなんか浮かべています。

イザーク隊のことを思い出し笑いでもしているのでしょうか?

 

「何だ? 何をやろうとしている?」

 

敵艦隊を抜け、イザークが正面に回りこんだ途端、

グノーは前進するのを止め、ゆっくりと傾き始めました。

全く意味の分からない敵の行動にイザークは混乱します。

もしかしてオレを待っていたのか? 中に入れってことか?

 

「さあ、奏でてやろう、デュランダル!」

 

イザークたちがそうこうしている間にも、

ダイダロス基地ではレクイエムの発射準備が完了。

ジブリールは意気揚々と発射トリガーを取り出します。

 

「お前たちを葬るレクイエムを!」

 

おらっしゃああ!

ジブリールは躊躇することなくトリガーを引きます。

核ミサイルなどの大量殺戮兵器のスイッチを押すのは、

世界中の独裁者たち誰しもが夢見る行為なのです。

 

「ぜ、全軍回避!!」

 

突如、思いもよらぬ方向から迫る巨大なビーム。

隊長の絶叫に慌てて回避するイザーク隊ですが、

そんな彼らの目の前で信じられないことが起こります。

グノーの内部を通過したビームがその軌道を変えたのです。

 

「ビ、ビ、ビ、ビ、ビームが曲がったあああああっ!?」

「ええい、落ち着け!」

 

目前で起きた怪異にディアッカは大混乱。

ビームが曲がった!? どうなってんだこりゃあ!?

彼はセロのマジックとかを毎回食いつくように見ています。

 

「逸れていった……」

「ふう、助かった……」

 

ビームはイザーク隊を通り過ぎ、虚空に消えてきます。

敵が何をしたいのか最後までよく分からなかったが、

これで一安心だな。それじゃあ、プラントに帰るとするか。

 

「って、ああ〜っ!!」

 

とんでもないことに気付いた二人。

敵の狙いは自分たちなんかではなかった。

このビームが向かっている先にあるのは――

 

次の瞬間、ビームはプラントを貫きます。

遠目から見るとただの三角錐にしか見えませんが、

この中で何百万人という人々が生活しています。

 

「こ、これは……」

 

メサイアの司令室に着いた議長たちが見た光景。

それは真っ二つに切り裂かれたプラントの残骸でした。

イザーク隊の攻撃によってグノーの位置がわずかにずれ、

ジブリールの狙いであった首都アプリリウスは外れたものの、

ヤヌアリウスとディセンベルが壊滅。被害は計り知れません。

 

「こ、こんな……バカな!」

「……………」

 

議員や基地司令が混乱する中、

彼らの様子を横目でちらりと伺う議長。

おそらく今後の対応を考えているのでしょう。

さすがはプラント最高評議会議長です。

 

(よし、このタイミングだ)「どういうことだ!?」

 

しかし次の瞬間、議長は拳を握り締めると、

先ほどまでの冷静さが嘘のように怒鳴りつけます。

やたらと興奮していますが、どうしたのでしょうか?

 

「ああ、悔しい! 悔しいなあ! ベリー・シット!」

 

険しい表情で怒号する議長。

その割には、ものすごく棒読みですが、

ビビアンの霊でも取り憑いたのでしょうか?

 

「何で……何でこんな……」

 

プラント壊滅の報に激震するミネルバ。

レクルームのモニターにはプラントの残骸が映し出され、

室内は一瞬で家族を失った人々の悲鳴に包まれます。

もはや「どちらのラクスが本物?」など言っている場合でない、

プラントの歴史始まって以来、未曾有の大惨事です。

 

「私のせい……?」

「いや、ルナは悪くないよ」

 

青ざめるルナマリアさん。

私のせいじゃないわよね。いくらジブリールでも、

宇宙に上がってこんなに早くには行動しないわよね。

これはきっとガミラス帝国の仕業よ。そうに違いないわ。

 

「ジブリールだな」

「あっ……」

 

レイはあっさりジブリールの犯行であると断定。

このような悪魔の業。行えるのはもう後がない彼だけです。

しかし何も家族を失って泣いている女の子の横で言わなくても。

 

「同じだ……ジェネシスの時と……」

 

一報はアークエンジェルにもすぐに伝わります。

自分たちが戦場に乱入したことによって、

ジブリールを捕り逃したという可能性は考慮せず、

アスランは繰り返された悲劇に絶望します。

 

「こんなの……もう、きっとみんなが嫌だ」

「キラ、それ当たり前……」

 

いつものように当たり前のことを難しい表情で言うキラ。

どこの世界にプラントを破壊されて喜ぶ人がいますか。

 

「でも、撃たれて撃ち返し、また撃ち返されるという戦いの連鎖を、

今の私たちには終わらせる術がありません……」

「うん、撃って撃って、撃たれて撃って〜」

 

また始まったいつもの水掛け論。

皆も「それはもううんざり」といった表情です。

 

「議長はおそらく、そんな世界に全く新しい答えを示すつもりなのでしょう。

議長の言う戦いのない世界、人々がもう決して争うことのない世界とは、

生まれながらにその人の全てを、遺伝子によって決めてしまう世界です」

 

そんな戦いの連鎖を止める手段。

ラクスは抱えているノートに目を移すと、

議長が提唱するデスティニープランについて説明します。

 

「……遺伝子で?」

「ええ。おそらくは……

 

初耳だったのか、驚いた表情のマリューさんたち。

ラクスが最後に小声で呟いた言葉は聞こえていません。

あくまで議長の昔のノートを見ただけの推測に過ぎず、

もしかしたら全く別の素晴らしい人類救済計画かもしれません。

 

「それがデスティニープランだよ」(たぶん)

「恐ろしい計画ですわ……」(たぶん)

 

しかし計画の具体性を問う前に、

皆はキラとラクスの大仰な仕草に騙され、

議長の計画は悪であると思い込まされます。

実際にプラントを攻撃したのはジブリールなのですが、

彼らの眼中にないのか、議長憎しの話の流れになっています。

 

「生まれついての遺伝子によって人の役割を決め、

そぐわない者は淘汰、矯正、管理する世界だ」

「とうた、きょうせい……?」

 

戦いがない世界になるなら、それもありではないか?

誰かに突っ込まれる前にアスランがその危険性を示します。

議長はオレに戦士としての役割しか望んでいなかった。

キラみたいに遊び人として生きるなんて許されない。

 

「そんな世界なら、確かに誰もが本当は知らない

自分自身や未来の不安から解放されて、

悩み苦しむことなく生きられるのかもしれない」

 

自分に決められた運命の分だけしか生きられない世界。

確かにそれなら戦争などは起こらないかもしれない。

しかし、そんな世界では、カガリとも引き離されるだろうし、

キラと男同士でイチャイチャすることもできない。

 

「……………」

 

アスランの言葉にネオは表情を曇らせます。

自分がエクステンデッドの子供たちに行ってきたこと。

それはデュランダルがやろうとしていることと同じではないか。

そんな自分にデュランダルを否定する資格があるのか?

 

「ねお〜、一緒にうどんをこねて遊ぼう」

「ネオ、コンビニ行ってパン買ってきてよ」

「ネオ、オレのパンツが見当たらないんだが……」

 

いや、あいつらオレの言うことを全然聞いてなかった。

大の大人がたった3人の子供を管理できないのに、

世界中の人間を管理できるわけがなかろう。

悪いことは言わん。止めておけ、デュランダル。

 

「そこにおそらく戦いはありません。戦っても無駄だと、

貴方の定めが無駄だと、皆が知って生きるのですから」

 

ラクスは皆に厳しい現実を突きつけます。

議長の目指す世界では才能の無いやつは何をやっても無駄。

スポーツ選手になりたい? 歌手になりたい? 作家になりたい?

無理です。貴方はさえないサラリーマンとして一生を過ごすのです。

 

「本当に無駄なのかな? これで終わっちゃうのかな?」

 

もはやどうにもならないのか。沈黙する皆をキラが煽ります。

あくまで自分から「議長を止めよう」と言い出さないのは、

失敗した時に自分が責任を追求されるのを避けるためです。

サイトをご覧の政治家や企業のトップの方は是非ご参考ください。

 

「無駄なことはしないのか?」

 

キラの煽りにネオも乗っかります。

オレたちの戦いはこんなところで終わっちまうのか?

せっかく反撃の準備が整ってきたと思っていたのに残念だ。

誰かデュランダルを止める根性のある奴はいないもんかね?

 

「オレは……そんなに諦めがよくない!」

 

これに煽り耐性の無いアスランが即座に反応します。

「諦め」を「締め」と読んでしまうと大変危険ですので、

勘違いした腐女子の方は噴き出した鼻血を拭いてください。

 

「だよね!」

 

その素直な反応を待っていたんだよ!

アスランの言葉にキラは嬉しそうに応えます。

これでもし作戦が失敗したらアスランのせいね。

 

「私もだ! アスランと一緒!」

 

これまで全く話に参加できなかったカガリも、

アスランの意志に賛同。私もお前と一緒に最後まで戦うぞ。

ていうかお前、前作の最後であっさり諦めかけていたよな。

 

「オレも、かな?」

「そうね、私も」

 

ネオとマリューさんの夫婦も揃って賛同。

何てったってこちらは不可能を可能にする男。

失われた過去の記憶を取り戻す道すがら、

デュランダルの野望を軽く打ち砕いてやるとするか。

 

「うん、諦めたら、そこで試合終了だよ」

 

メイリンちゃんも一度言ってみたかった台詞を言って元気よく賛同。

正直、みんなが何の話をしているのかよくわからないけど、

私も頑張らなきゃ。お掃除でもお洗濯でも何でもするぞ〜!

文化祭のクラスの出し物とか、人一倍張り切る子でした。

 

「宇宙へ上がろう、アスラン。僕たちも」

 

プラント・オーブ双方の重要人物がいる中、

これからの行動の決定権があるのはこの無職です。

キラはアークエンジェルも宇宙へ上がることを決意します。

 

「議長を止めなきゃ。未来を創るのは運命じゃないよ」

 

運命に自分の人生を決められるなんてまっぴら、

僕は誰にも邪魔されずに一生ぐうたら生きていたいんだ。

キラは議長の決める運命に抗い、徹底抗戦する構えです。

普段は温厚な彼も自らの自由を奪おうとする者には容赦しません。

こいつは戦争反対のために戦争を仕掛けるような男です。

 

「なら……?」

「やるしかないじゃないか!」

 

二人で力を合わせれば運命だって変えられる。

熱き意志を胸に互いの手を取り合うキラとアスラン。

そんな二人のやり取りにメイリンちゃんは軽く嫉妬します。

男同士でそんなことする必要はないと思うんだけど……

 

 

続く。

 

 

 


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