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【テキスト】3B LAB

 

2005.5.7

 

前回までのあらすじ

いよいよ第3クールに突入し、怒涛の新展開。

キラたちと再会したアスランは今後どうするのか。

レイに異変を起こした謎の研究施設の正体は。

シンとステラさんは再会することができるのか。

ユウナは寝る時にどんな格好をしているのか。

 

それは……ラクスが狙われたというのなら、

それは確かに、本当にとんでもないことだ」

 

キラからラクス襲撃事件の真相を聞かされたアスラン。

それはデュランダル議長の裏の顔を告げるものでした。

 

だが、だからって、議長もプラントも信じられない。

というのは、ちょっと早計過ぎるんじゃないのか、キラ?」

 

しかし、アスランにも反論があります。

みんなの役に立ちたいと言ってくれたミーアと、

平和への想いを語ってくれたデュランダル議長。

彼らの言葉を偽りだとは考えたくもありませんし、

大体キラたちのやっていることもテロリストと大差ありません。

 

「そ、それもそうよね!」

 

早計すぎたルナマリアさん。

アスランの言葉を聞いて考えを改め直します。

 

「その襲撃も、議長のご存知のない連中が

勝手にやったことかもしれないじゃないか!」

 

プラントとて一枚岩ではありません。

現にユニウスセブンの落下事件は、

パトリック・ザラ派の残党が起こしたもの。

ラクスの襲撃もラクスの存在を邪魔に思っている

他のアイドルのファンによる犯行かもしれません。

 

「アスラン……」

 

元婚約者が殺されそうになったというのに、

まるで他人事のように冷静なアスランに驚くキラ。

そうは言ってもラクスが殺されそうになったのは事実。

そこまで悠長に構えている余裕などありません。

 

「そんなことぐらい、わからないお前じゃないだろう!」

 

完全に食い違っている双方の言い分。

なおもアスランは目を見開いて必死に訴えます。

 

「まぁ、言われてみれば……」

 

確かにあれはないでしょう。

美少年好きのデュランダル議長の趣味とはかけ離れています。

 

「ともかく、その件はオレも艦に戻ったら調べてみるから、

だから、お前たちは、今はオーブへ戻れ」

 

このままではいつまで経っても結論は出ない。

この問題については自分が調べると約束して、

キラたちにオーブへ戻るように促すアスラン。

 

「えっ、じゃあ、お前……」

「僕たちと一緒には行けないの?」

 

その言葉にアスランを連れて帰るつもりだった2人は面食らいます。

アークエンジェルでは今頃、マリューさんとラクスが、

「アスランおかえりなさい会」の準備の真っ最中なのに。

虎も宴会で披露するマジックの練習に勤しんでいるのに。

 

「戦闘を止めたい。オーブを戦わせたくない。

と言うのなら、まず連合との条約から何とかしろ!」

 

思わぬ展開に動揺しまくりのカガリに対し、

アスランは一貫して条約の破棄を訴えます。

 

「戦場に出てからでは遅いんだ!」

「そ、それは……わかっちゃいるけど止められない」

 

アスランから激しい語調で言われて、

カガリは俯いたまま口ごもってしまいます。

条約をどうにかしようと思った結果、

ミサイルを打ち込まれたわけなのですが。

 

「じゃあ、お前は戻らないのか!?

アークエンジェルにも、オーブにも!」

 

カガリにとって重要なのはそこです。

このままアスランが戻ってこなければ、

アークエンジェルではキラにいじめられるし、

オーブに戻ってもユウナにどんなセクハラをされるかわかりません。

 

「どうするの?」

 

固唾を飲んで見守るルナマリアさん。

(自分を取るのか?カガリを取るのか?)

彼女の脳内ではそのように変換されています。

 

「オーブが今まで通りの国であってくれれば、行く道は同じはずだ」

「アスラン……」

 

別にルナマリアさんを選んだわけではありませんが、

今後もザフトの軍人として戦う道をアスランは選びました。

 

「オレは復隊したんだ!今更戻れない!」

 

今にも泣きそうな表情のカガリに、

アスランは容赦なく現実を突きつけます。

 

「そんな……」

「カガリ……後は僕に任せて」

 

ショックで言葉を失うカガリ。

震えるその肩をキラが優しく叩きます。

感情的になりやすいカガリは説得には不向き、

ここは常に冷静沈着なキラの出番です。

 

「何を言われても、オレの決意は変わらない」

 

険しい表情でキラを睨みつけるアスラン。

ペテン師の口車に乗せられないよう気を引き締めます。

 

「……………」

 

何も言わずに瞳をうるうると潤ませて見つめるキラ。

 

「捨て犬のような目で見るな!」

 

思わず一緒に帰るところでした。

 

「でも……それじゃあ、君はこれからザフトで、

ずっと連合と戦っていくって言うの?」

「……終わるまでは仕方ない」

 

今日も冴え渡るキラの巧みな話術。

あえて回答がわかりきっている質問をして、

それを声に出して答えさせることによって、

相手に罪の意識を植え付けさせていきます。

 

「じゃあ……この前みたいにオーブとも?」

「オレだって、できれば討ちたくない!」

 

嫌味な上司のようにネチネチネチネチと。

そんな回りくどいキラのやり方にアスランがキレました。

 

「でも、あれじゃ、戦うしかないじゃないか!」

 

アスランの伝家の宝刀「〜しかないじゃないか!」が出ました。

これが出てしまったら、アスランを説得することは不可能です。

 

「連合がここで何をしているか、

お前たちだって知っているだろう。

それはやめさせなきゃならないんだ!

だから、条約を何とかして、オーブを下がらせろと言っている!」

 

 

「でも、アスラン、それも分かってはいるけど、

それでも僕たちは、オーブを討たせたくないんだ」

 

アスランが4行にも渡って熱く語ったことを「それ」で片付け、

逆接を用いて自分を話題の中心に持っていくキラ。

 

「お前の話は聞いてねえよ!」

 

今はカガリに言っているのだから、キラには関係ありません。

 

「本当はオーブだけじゃない。

戦って、討たれて失ったものは、もう二度と戻らないから……」

 

アスランのツッコミを無視して、

キラの一人しゃべり場は続きます。

テーマは「人の命って大切だよ」です。

 

「二度と戻らない……」

 

その言葉を聞いたアスランの脳裏に浮かぶのは、

先日の戦闘―――目の前で散っていった西川さん。

戦場で散った命は二度と戻ることはありません。

 

一部例外あり。

 

 

「自分だけわかったかのような奇麗事を言うな!

お前の手だって、既に何人もの命を奪ってるんだぞ!」

 

先の大戦でニコルを殺したのはお前だ。

お前が乱入しなければ西川さんも死ぬことはなかった。

お前がカガリを誘拐しなければオーブと戦うことも防げた。

元はといえば全部お前が悪いんじゃないかこの野郎。

アスランは声を張り上げてキラを責め立てます。

 

「知ってる……」

「あっ、その辺は自覚しているのか……」

「だから……もう本当に嫌なんだ、こんなことは……」

 

そんなアスランの抗議をキラは正面から受け止めます。

これは別に開き直ったわけではなく、キラの本音です。

 

「討ちたくない……討たせないで」

 

感情を込めた声で痛切に訴えるキラ。

何やら上からの物言いなのが気になりますが、

完璧超人かのように思われているキラにも、

力を持つが故に抱える苦悩や葛藤があるようです。

 

「なんて贅沢な……」

 

討ちたいのに当たらないルナマリアさん。

キラもそんなに戦いたくないのなら、

この娘にフリーダムを貸してあげてください。

 

「ならば尚のこと、あんなことはもうやめて、

オーブへ戻れ。いいな!」

 

本人が自覚しているのなら話は早い。

アスランが最初から何度も言っているように、

オーブが条約を破棄すれば両者の希望が合致します。

アスランは最後に念を押すようにそう言うと、

キラたちに背を向けて歩き出しました。

 

「ア……アスラン……?」

 

一方的に別れを告げるアスランをカガリが慌てて呼び止めます。

 

「……お前」

 

呼び止めたものの後に続く言葉も浮かばず、

カガリは哀願するような瞳でアスランを見つめます。

ようやく会えたのに、また離れ離れになるなんて耐えられません。

 

「……………」

 

しかし、振り返ったアスランの表情は冷たく、

カガリが何と言おうと意志を変える気はありません。

 

「ほ、ほら、覚えているか、この指輪」

 

夕陽に照らされて光るのは左手の薬指の指輪。

一度は捨てたはずの指輪を今もはめているのも、

全てはアスランのことを想い続けてきたからです。

 

「あの時は本当にビックリしたぞ」

 

思い出されるラブコメ時代。

あの頃はいつでも2人一緒でした。

 

「お前、すごくカワイイ顔して……」

 

あいつがあんな表情を見せるのは自分だけ。

アスランにとっては恥ずかしい過去かもしれませんが、

カガリはそれだけを心の支えに今まで頑張ってきました。

 

「理解は出来ても、納得できないこともある。オレにだって」

 

どんなに大切な思い出でも過去は過去。

今のカガリが向き合わなければならないのは現実です。

あの頃のアスランとは立場も考えも作画監督も違います。

 

「……………」

 

再び背を向けて歩き出すアスラン。

今度は振り向くことなくセイバーに乗り込み、

そのまま飛び去っていきました。

 

「アス……ラン……」

 

弟からはバカにされ、

母国からは偽者扱いされ、

唯一の頼りだった恋人からも捨てられた。

この世の終わりのような表情で立ち尽くすカガリ。

 

「……………」

 

一方のアスランも浮かない表情。

自分でも言い過ぎたと反省しているようです。

しかし、今から謝りに戻るのは格好悪いし、

キラの勝ち誇った顔が目に浮かぶので戻れません。

そもそもキラが余計なことを言わなければ、

もうちょっと穏やかに話し合えたのではないのか。

 

「ど、どうしよう……」

 

アスランがミネルバに戻ってきてくれた喜びよりも、

目の前で起こった出来事に呆気に取られるルナマリアさん。

アスランも先に行ってしまい、帰るタイミングを完全に逃がしてしまいました。

 

「いや、オレは何ともないっすから」

「だが、脳に異常が見られる」

「それは元からです」

 

ミネルバの医務室で治療を受けるシンとレイ。

あの後、シンがレイの異変を報告してミネルバが到着。

現在、別部隊を派遣して研究所を調査中です。

それなら最初からこいつらに行かせるなって話です。

  

「……………」

 

医務室のベッドで横たわるレイ。

ようやく落ち着きを取り戻したようです。

あの異常の原因は一体何だったのでしょうか。

 

(……………)

 

レイの脳裏に甦るのは過去の記憶。

研究所の暗い部屋の中で会話をしているのは、

若き日のデュランダル議長と自分と同じ金髪の男性。

やはりデュランダル議長が絡むと彼は変になるようです。

 

「模擬タービンの補給急がせろよ!」

「補給班、車をどかせてくれ!」

 

騒々しい声が響き渡るオーブ軍の基地。

フリーダムによって破壊された機体を修理するため、

兵士たちが眠らずに作業をしています。

 

「よし、バカがいないうちに急ぐぞ!」

 

テキパキと指示をするトダカ一佐。

ユウナの姿がどこにも見当たりませんが、

前回の戦闘で負傷してしまったのでしょうか。

 

「むにゃむにゃ……すごい、夢みたいだ〜」

 

かなりの重傷です。

 

「まさか、こちらも3機が3機ともやられるとはなあ」

「うずうず……うずうず……」

 

同じ基地で整備中の地球連合。

フリーダムの乱入は全く予想外の事態。

修理中の3機を前にネオも半ば呆れ気味です。

その隣でステラさんがバードマンみたいな仮面を見つめています。

 

「ねおねお〜」

「ステラたちは、まだ元気だしな……」

 

猫のように喉をゴロゴロ鳴らしながら、

ネオの肩に頬を摺り寄せるステラさん。

既に記憶を操作されたのでしょうか、

敗戦のショックは微塵も感じられません。

 

「ねえねえ、なでなでして〜」

「ロアノーク大佐、ロドニアのラボのことなんですが……」

「どうした?」

 

ステラさんがネオに愛撫をねだっていると、

兵士がネオへ何やら報告をしにやって来ました。

にゃ〜にゃ〜うるさいステラさんを無視して、

ネオは呼びかける兵士の方へと向かいます。

 

「ね、ねお……」

 

ネオに無視されたステラさん。

捨てられた子供のような目でネオを見つめます。

 

「アクシデントで処分に失敗したようで、

さらに悪いことにザフトが……」

「おいおい、冗談はよしこさんだぜ」

 

重い口ぶりでアクシデントを報告する兵士。

後ろで聞いているステラさんにも緊張が伝わります。

 

「ろどにあのらぼ?」

 

全く理解できていないステラさん。

 

ロドニアのラボ―――ネオが話題にしているそれこそが、

レイに異変を起こした地球連合の研究施設の名称でした。

 

「な……な……」

 

そこへ再び調査にやって来たシンたち。

リアクション要員のアーサーがこれでもかというフリ。

 

「これは……」

 

戻ってきたばかりのアスランも言葉を失います。

彼らの眼前に広がる光景とは、

 

死体、死体、死体。

 

散乱しているのは腐乱した無数の死体。

闇と静寂に包まれた廊下には死臭のみが漂います。

白衣を着ている死体は研究所の研究員でしょうか。

 

「うぎゃああああああ!」

 

またもリアクション要員のアーサーが絶叫。

怖がりほど怖いものを見つけてしまうようです。

そんなに怖いなら来なければいいのに。

 

「シンが!シンがああああ!」

「ち、違いますって!」

 

そこにいた、もとい、そこにあるのは、

全身にチューブを繋がれた子供の死体。 

廊下を見渡すと子供の死体も多数確認できます。

 

「これは一体……何なんですか、ここは!」

 

神にでも祈るかのように叫ぶアーサー。

しかし、その質問に答えられる者は誰もいません。

 

「内乱……ということでしょうね、自爆しようとして……」

「で、でも、何でこんな子供が!?」

 

物言わぬ骸は謎ばかりを投げかけます。

ここで行なわれた研究とは何なのでしょうか。

 

「ろどにあのらぼ……って何?」

 

そんなアーサーの叫びを感じ取ったのか、

アーサーに代わってステラさんが質問します。

 

「ロドニアのラボって、そりゃお前……」

「オレたちが前にいたとこじゃんか」

「何だ……いきなり?」

 

ステラさんの質問にバカにするような口調で答える2人。

どうやらロドニアのラボで彼らは生まれ育ったようです。

 

「悪いことにザフトが……ってネオが」

 

バカ扱いされて落ち込むステラさん。

大人の冷めた対応が子供の好奇心を奪っているのです。

 

「えっ!?」

「なんだと!?」

 

ステラさんが最後にぽつりと呟いたその言葉に、

2人は驚きの声を上げてステラさんに詰め寄ります。

 

「あのね、えっとね、ねおがね」

 

予想外に食いつきのいい2人に戸惑うステラさん。

2人がこれほどまでに反応してくれたのは初めてです。

いつも「あっそ」とか「よかったな」で済まされていますので。

 

「64年7月、11廃棄処分、3入所……」

「何ですか、それは?」

 

―――再びロドニアのラボ。

生存者は一人もいませんでしたが、

研究所の設備はまだ動いていました。

 

「被験体の……つまり子供の入出記録ってとこかしらね。

連合のエクステンデッド、あなただって聞いているでしょう.」

 

データベースに登録されていたのは、

ナチュラルがコーディネーターに対抗できるように、

ブルーコスモスによって作り出された生きた兵器、

エクステンデッドの研究対象となった子供たちです。

彼らはここで投薬による強化と戦闘訓練だけを施されました。

右上も右下もメインキャラになってもおかしくない美少女ですが、

「廃棄処分」という言葉からもわかるように、

使えない子供は容赦なくゴミのように捨てられていきます。

 

「こ……これが全部……」

 

陳列された子供の脳を見て青ざめるアーサー。

しばらくカニ味噌は食べられそうにありません。

 

「離せよ!この芝生頭!」

「おい!ちょっと落ち着けって、アウル!」

 

そんなロドニアのラボの卒業生3人組。

ステラさんの言葉を聞いたアウルが突如暴れ出しました。

 

「落ち着いていられるか!ラボには母さんが!」

 

制止するスティングを振りきり、

ラボにいるという母親の危険を訴えるアウル。

 

「かあ……さん……」

 

その言葉を脳が認識した途端、

脳裏に浮かび上がる過去の映像。

それと同時に全身に襲い掛かる恐怖。

どうやらアウルの禁句は「母さん」のようです。

 

「母さんが死んじゃうじゃないか!」

「お、お、お、おちゅつけ!」

 

恐怖に絶叫するアウル。

スティングが必死に落ち着かせようとしますが、

恐慌狼狽しているアウルには届きません。

 

「死んじゃう……」

 

「死」という言葉はステラさんの禁句。

 

「ワイがお母ちゃんやで〜!」

「違う!母さんじゃない!」

「死んじゃう……死んじゃう……」

 

泣き叫ぶアウルに暴走するステラさん。

これまでツッコミ2人ボケ1人で仲良くやってきたのに、

突如ボケが2人に増加。スティングもてんてこ舞いです。

 

「死んじゃう、死んじゃう、しんじゃう、しん……」

 

おぼつかない足取りでフラフラ歩きながら、

焦点の定まらない瞳で死への恐怖を呟くステラさん。

 

「シン……」

 

呟きと共に思い出されるのは、

消去されたはずのディオキアでの記憶。

シンが覚えやすい名前で助かりました。

ディアッカとかだったら完全にアウトでした。

 

「ロアノーク大佐!すぐ来てください!アウル・ニーダが!」

「えっ? ウチの子が何か?」

 

アウルの異常に駆けつけた兵士たち。

お母さんはいないので、お父さんに連絡します。

 

「ちょっとこのガイア借りるね!」

「あっ! ちょっと〜!」

 

大変なのはアウルだけではありません。

舘ひろしがバイクを借りるかのように、

整備中のガイアへ飛び乗るステラさん。

突然の出来事に整備兵も呆気に取られて動けません。

 

「ハッチ開けて!開けないと、吹き飛ばす!」

「そ、そんな、選択の余地なしだよ」

 

ガイアに乗って外に出ようとするステラさん。

整備兵に容赦ない二択を突きつけます。

 

 「ロアノーク大佐!来てください!ステラ・ルーシェが!」

「ええい、幼稚園かここは!」

 

子供たちに振り回されっぱなしのネオ。

女性艦長がいるミネルバやアークエンジェルと違い、

男ばかりの艦で子供を養うのは色々と大変そうです。

 

「母さん……ラボ……守る!」

 

盗んだガイアで走り出すステラさん。

行く先はロドニアのラボ。

ラボに関しての記憶は失っていたようですが、

帰巣本能からか道は覚えているようです。

 

「本当に信じられませんよ。

コーディネーターは自然に逆らった、間違った存在。

とか言っておきながら、自分たちはこれですか!」

 

ロドニアのラボで目の当たりにした凄惨な光景。

人を人と思わない地球連合のやり方に、シンの怒りは収まりません。

 

「遺伝子弄るのは間違ってて、これは有りなんですか!」

 

遺伝子組み替え作物はダメで、

農薬使いまくりの作物はいいのか。

農家のシン・アスカさんは熱く語ります。

 

「バカもの!何故出した!」

 

部下の失態を厳しく叱るネオ。

生身でも迷子になるようなステラさんを

MSに乗せて外に出したらどうなることか。

 

「あ、これは仕方ないわ」

 

ハッチの惨状を見てネオも納得。

艦ごと壊されなかっただけマシでした。

 

「かあさん……かあさん……」

 

駆けつけたスタッフによって薬で眠らされるアウル。

意識がなくなるまで虚ろな瞳で母を呼び続けています。

 

「お母ちゃん、ここにおるから」

 

だんだん母性に目覚めてきたスティング。

慈愛に満ちた表情でアウルを見守っています。

 

「ガイアが一機で? どういうつもり?」

 

ミネルバのレーダーがガイアを捕捉。

突然の敵の襲来に艦長も困惑しています。

 

「施設を守るのよ、いい? アスラン、シン」

「はい!」「はい!」

 

ルナマリアさんが不在、

レイは病み上がりということで、

出撃するのはアスランとシンのみですが、

特に戦力的には大きな変化はありません。

 

「母さん……守るも攻めるも!」

 

闇夜に舞う漆黒の機体。

久しぶりの陸での戦闘ということで、

いつもより心なしか嬉しそうに飛んでいます。

 

「このぉ!やってやるよ!」

 

西川さんの死、フリーダム戦の敗北、ロドニアのラボの惨状と、

フラストレーションが溜まる出来事が立て続けに起きたシン。

その怒りを破壊衝動に変えて、ガイアに襲い掛かります。

 

「気をつけろシン。施設の破壊が目的なら、

何か特別な装備を持っているかもしれない。

爆散させずに倒すんだ!」

 

血気に逸るシンを制するアスラン。

何も考えず一機でやって来るなどありえない。

これは地球連合の作戦なのではないかと考えます。

実際ステラさんにそんなつもりは毛頭ないので、

アスランの考えすぎなのですが。

 

「えぇ〜?」

 

爆散させなきゃストレス発散にならない。

アスランの指示にシンは明らかに不満そうです。

 

「どこ見てんのよ!」

 

シンがよそ見をしている隙に急接近するガイア。

インパルスのシールドへ向けてキックを炸裂させます。

 

「うわあああああああ!」

 

そのまま地面に吹き飛ばされるインパルス。

 

「シン!」

 

お前が爆散してどうする。

 

「ネオ……」

 

単独での戦闘は初めてのステラさん。

不安そうな表情を浮かべています。

 

「はっ!」

 

しかし、敵は一時の感傷も許してはくれません。

 

上空からビームライフルで牽制するセイバー。

今までの戦闘ではセイバーの相手はカオスでしたが、

今回はこの2機を同時に相手にしなくてはなりません。

 

「くっ!」

 

一瞬にして焼き払われる森林。

ニコル(C.Wの方)も真っ青な攻撃に、

ガイアは変形して空中へと逃れます。

 

「甘い!」

「きゃん!」

 

直後、叩き込まれるセイバーの斬撃。

ガイアのビームライフルが切り落とされます。

遠くから飛び道具で牽制しておいて、

飛び上がったところを対空技で撃ち落す。

対戦格闘ゲームのセオリーです。

 

「ず、ずるいぞ、この!」

 

基本的に接近戦キャラのガイア。

セイバーのように中距離からチクチク攻撃してくる

いやらしいキャラは一番苦手とするところです。

 

「あれは……インパルスとセイバー?」

 

ガイアとの激しい戦闘が続く中、

何も知らずにノコノコやって来たルナマリアさん。

 

「迎えに来てくれたのかしら?」

 

違います。

 

「シン、合体攻撃だ!」

「えぇ〜? そんなの決めてないっすよ」

「いいから、オレの言う通りにしろ!」

 

バラバラに攻撃していては埒が明かない。

ここは接近戦での攻撃力に勝るインパルスを

セイバーが援護してのコンビプレイで撃破を図ります。

 

「行くぞ!」

 

背部のアムフォルタスを展開するセイバー。

超高温のプラズマ収束ビーム砲が雷のように放たれます。

 

「くっ!」

 

寸前のところで回避するガイア。

その一瞬の隙をアスランは見逃しません。

 

「くらえ!」

「きゃっ!」

 

瞬間、セイバーがガイアに向かって急降下。

超高速での突撃にガイアは地面に吹き飛ばされます。

 

「今だ、シン!」

「おっしゃあああ!」

 

 

「光になれえええええ!!」

 

ガイアの体勢が回復するよりも早く、

勢いよく振り下ろされるビームサーベル。

リアルロボットは必殺技がないのでセリフは適当ですが、

とにかく勝負を決めるために放たれた一撃です。

 

「あ………」

 

―――避けられない。

恐怖に悲鳴を上げるよりも早く、

ステラさんの視界は光に包まれます。

 

ガイアのコックピットを切裂くビームサーベル。

「爆散させるな」というアスランの指示の元、

パイロットの命だけを奪うために放たれた一撃です。

 

「きゃあああああ〜!」

 

地面に吹き飛ばされるステラさん。

コックピット内で反響していた悲鳴は、

切裂かれた穴から夜の闇に消えていきます。

 

「勝ったど〜!」

 

長きに渡ったガイアとの戦いに勝利。

これこそ自分がずっと待ち望んでいた展開、

主人公としての面目躍如にシンも大喜びです。

 

「次回もオレの活躍をお楽しみに……」

 

シンが上機嫌で次回予告を始めたその時、

モニターに映る人影に気付きました。

 

「女の子……?」

 

剥き出しになったガイアのコックピットには、

頭から血を流して倒れている少女の姿が。

意識を失っているのか、既に死んでいるのか、

その細い身体はピクリとも動きません。

 

「あの子……」

 

そこにいたのは見覚えのある少女。

そう、あれは確か……

 

「……誰だっけ?」

 

 

「……ステラ!?」

 

おっぱいで思い出しました。

 

 

続く。