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【テキスト】LUNA SEE

 

2005.4.22

 

前回までのあらすじ

平和主義者キラの駆るフリーダムによって、

タンホイザーが大破するなど甚大な被害を被ったミネルバ。

艦の修理のため、マルマラ海のタルキウス港に停泊します。

いつもなら喜び勇んで街へ繰り出して行くルナマリアさんですが、

前回の戦いで西川さんを失ってしまい、そんな気持ちにはなれません。

 

淡々と運ばれていく西川さんの遺品。

それを沈鬱な表情で見送るルナマリアさんたち。

最近、ラブコメアニメと勘違いしそうな展開が続いていましたが、

彼らが身を置いている場所は戦場、常に死と隣り合わせなのです。

 

走り去っていく車を無言で見送るルナマリアさんたち。

西川さんの加入で賑やかになったと思ったのも束の間、

再び元の4人組に戻ってしまいました。

 

「西川……」

 

あまりに突然の死は慟哭すらもたらしません。

皮肉にも自分に死の危険を忠告していた西川さんが死に、

その死の原因となったのは親友のキラ。

やりきれない思いだけがアスランの胸に飛来します。

 

「あいつらのせいだ、あいつらが変な乱入してこなきゃ!」

 

そして、カガリたちへの恨みを更に強くしていくシン。

これでフリーダムが家族を殺した元凶だと知ったら、

彼はどういう反応をするのでしょうか。

 

このままでは気持ちの整理がつかないアスラン。

直接キラたちに会って、彼らの真意を確かめるために、

一時、ミネルバを離艦することを決意します。

ただでさえ人手が少ないミネルバですが、

アスランの熱意に艦長も許可せざるをえません。

人に何かを頼む時は弱りきったときが狙い目です。

 

「待っていろよ、キラ!カガリ!」

 

善は急げと、ルナマリアさんたちに別れも告げず、

すぐにセイバーを発進させるアスラン。

 

「どうしてひとりでいっちゃうのよ!」

 

置いてけぼりにされたルナマリアさん。

発進の音を聞いて慌てて駆けつけたものの、時すでに遅し、

遠くに消えていくセイバーを恨めしげに見つめるしかありません。

 

「あんなに一緒だったのに……」

 

その曲は流れていませんでした。

 

「どこ行ったの!?」

「えっ?」

「言いなさい!さあ!」

「いや、さあと言われても……」

 

ルナマリアさんの叫びも虚しく、

アスランは恋人の元へと旅立って行きました。

 

「さて、どうしたもんかな……」

 

しかし、アスランはアスランで、

勢いよく飛び出していったものの、

キラたちがどこにいるのか見当がつきません。

 

(ドラマとかだったら、街で偶然会ったりするんだが……)

 

しかし、実際にそう都合よく事が運ぶことはありません。

 

「……って、ミリアリア!」

「ん?」

 

と思ったら、偶然、街を歩いていたミリアリアを発見。

こちらに気付いていない彼女を慌てて呼び止めます。

 

「何? ナンパ?」

「違う!オレだ!」

 

見るからに軽薄そうな男に警戒心を抱くミリアリア。

 

「オレだ、アスランだ」

 

颯爽とサングラスを取るアスラン。

こういう何気ない仕種に女性はドキッとするものです。

みんなも明日から真似してみよう。

 

「そのカッコつけ方……アスラン・ザラ?」

 

2年経っても全く変わらないアスランに

ミリアリアもすぐに気付いたようです。

 

「本当、すごい偶然ね」

「ああ、自分でもちょっと怖くなってきた」

 

ギャルゲーの神にでも導かれているのか、

行く先々で必ず女の子と出会うアスラン。

さっそくカフェでのデートイベントが始まります。

 

「オーブには戻らず、ザフトに戻っちゃったんだ」

「……まあ、簡単に言えば、そうなるかな」

 

呆れ気味のミリアリアに、ばつが悪そうなアスラン。

彼女の恋人のトールを殺してしまった過去もあり、

ザフトに戻ったことに後ろめたさを感じているようです。

 

「あ、向こうではディアッカにも会ったな」

 

微妙な空気に気まずさを感じたアスラン。

気になるお笑い芸人の話題で盛り上げようとします。

 

「えっ? だから?」

 

しかし、ミリアリアは冷めた反応。

どうやら選んではいけない選択肢だったようです。

 

「コホン。それはともかく、アークエンジェルだ」

 

「それ」扱いされるディアッカ。

まるでなかったかのように話が再開されます。

 

「知ってるわ、全部見てたもの、私も」

 

前回の写真を取り出すミリアリア。

彼女もあの場所で一部始終を目撃していました。

 

「西川……」

 

写真には西川さんのグフが爆発する瞬間と、

その横で何も出来なかったセイバーが写っていました。

 

「……キラやカガリに会いたい」

 

写真を見て再び強く沸きあがる感情。

彼らに会って、その真意を確かめたい。

しかし、どうやって連絡を取ればいいのでしょうか。

カガリもキラもラクスも携帯持ってないし。

 

「いいわ、あなた個人になら繋いであげる」

 

そんなアスランに救いの手を差し伸べる女神がここに。

ミリアリアがアークエンジェルへの連絡方法を知っていました。

今まで変な女の子たちに振り回されっぱなしだったアスラン。

久しぶりに会った優しい女の子に惚れそうになりますが、

ディアッカの手前、そういうわけにもいきません。

 

「本当は嫌なはずだものね、キラだって……」

「ああ……そうだな」

 

写真の中のフリーダム。

キラはどんな思いで銃を取ったのか。

遠く離れてしまった友に想いを馳せる2人。

 

アスランとミリアリアがしんみりしていた頃、

本当は嫌なはずのキラは、アークエンジェル艦内の

大浴場「天使湯」(題字:虎)で戦いの汗を流していました。

 

「いい湯だな、アスラン♪」

 

満足そうな表情で湯船に浸かるキラ。

頭にタオルまで乗せてリラックスしまくりです。

後悔や自責の念などは微塵も感じられません。

しかし、この冷徹人間は別として、他のアークエンジェルクルーたちは、

前回の行動に疑問や後悔を感じているのではないでしょうか。

 

「ずるずるずるずる〜」

 

美味しそうにきつねうどんをすする虎。

油揚げをどのタイミングで食べるかしか考えていません。

大浴場といい、食堂といい、純和風なアークエンジェルです。

ちなみにこれは「虎の胃を借るきつね」という、

虎の考えた高度なギャグなのですが、

マリューさんは気付いてくれませんでした。

 

「……………」

 

バカたちに囲まれて、一人傷心のカガリ。

落ち込むと湯船に顔を沈めるのが彼女の癖です。

自らが代表を務めるオーブに裏切られた形になり、

自分の居場所や存在理由がわからなくなっているようです。

 

「お背中流しましょうか?」

「いや、いい……」

 

キラからカガリを慰めろという指令を受けたラクス。

一人になりたいカガリを無視して一緒に入浴します。

 

「……………」

「……………」

 

そのまま無言になる2人。

普段はキラを通して会話をするこの2人ですが、

いざ2人きりになると話すことがありません。

そういう知り合いっていますよね。

 

「うわっ!」

 

沈黙を打破しようと、カガリにいたずらを仕掛けるラクス。

乳白色の液体をカガリの顔面に噴射します。(他意はありません)

 

「や、やめろ!ラクス!」

「いやよいやよも好きのうちですわ♪」

「いや、マジでやめろ!」

 

裸と裸の付き合いをすれば、カガリも心を開いてくれるはず。

明らかに間違った慰め方を実行するラクス。

 

「そ〜れ♪ 熱いお湯がピュピュ♪」

「アスランにもかけられたことないのに!」

 

 

(……バカだ、あいつら)

 

ラクスになんか頼んだ自分がバカだった。

今更ながらに後悔するキラ。

 

「まったく……何なんだ」

 

慌てて風呂を飛び出してきたカガリ。

もはやこの船に安らげる場所はありません。

 

「アスラン……」

 

唯一の拠り所はアスランのくれた指輪。

お互いに会いたい気持ちだけが募るばかりです。

それと蛇足ですが、この天使湯の女湯、

女性クルーの数の割にロッカーの数が多いので、

いずれルナマリアさんたちが入る伏線ではないかと睨んでいます。

 

「探索任務ぅ? ……でありますか」

「うむ、探索任務でありますよ」

 

さすがに大浴場はないミネルバでは、

シンたちがアーサーから探索任務を命じられていました。

アーサーの拙い説明によると、地域住民から寄せられた情報で、

「連合の息のかかった何やら不明な研究施設のようなものがある」とのこと。

ミネルバは修理のため、しばらくこの場を離れられないので、

暇そうなシンたちに面倒な仕事が押し付けられました。

 

「ぶ〜ぶ〜、なんでオレたちが……」

「シン、いい加減にしろ」

 

アスランと西川さんが一度にいなくなり、再びワガママ言い放題のシン。

こんな時にシンを叱るのはルナマリアさんの役目ですが、

呼ばれたのはこの2人だけ。彼女の姿がどこにも見当たりません。

アスランが出て行ったショックで寝込んでいるのでしょうか。

 

一方、ミネルバに残してきたシンたちのことなどすっかり忘れて、

ミリアリアからの連絡をホテルの一室で待ち続けるアスラン。

しかし、そんな彼を遠くから監視する人物が。

まさか、アスランを狙う暗殺者?

 

「じ〜っ」

 

隣の建物からアスランを監視しているのは、

見るからに怪しい人物。

カーテンも閉めずに堂々と覗き込むその姿から、

かなり熟練した技術を持っていることが推測できます。

 

「こっち向け!向いちゃダメ!」

 

その正体はルナマリアさん。

手を振って呼びかけたい衝動を抑えながら、

このまま姿勢で既に5時間が経過しています。

 

「異常なし……っと」

 

「あんたが異常だよ」と突っこまれそうですが、

これはルナマリアさんのストーカー行為などではなく、

艦長に命令されて、アスランの監視役を引き受けたのです。

作中で説明されてないけど、きっとそうです。そうじゃなきゃ困ります。

 

「赤の騎士が姫を探している?」

「赤……あか……ディアッカさん?」

「違う、アスランだ!」

 

天使湯からカガリたちが上がった直後、

ミリアリアからアークエンジェルに通信が。

暗号めいた文章は、アスランの帰還を伝えるものでした。

 

「アスランが戻ってきてるんだ、キラ!」

 

突如舞い込んだ朗報に大喜びのカガリ。

今すぐにでも会いに行きたい気持ちを抑え、

これからどうするかをキラに相談します。

 

「……………」

「……もしかして、会っちゃダメなのか?」

 

大喜びのカガリをよそに、

キラは何やら難しい顔で考え込んでいます。

また意地悪されるのではないかと不安になるカガリ。

 

「うん、アスランに会いに行こう」

「や、やったぁ!」

 

しばらく考えた末にキラも賛成。

予想外の返事に思わず顔を綻ばせるカガリ。

キラのアメムチ教育の術中にハマっています。

 

「うん……わかった、すぐに行く!」

 

ミリアリアからの連絡を受けたアスラン。

待ち合わせの場所へと急ぎます。

 

「わわっ、ま、待て〜!」

 

読唇術で会話の内容を読み取ったルナマリアさん。

通常の3倍の速さでアスランを追跡します。

 

「今行くぞ、キラ!カガリ!」

 

隠しておいたセイバーに乗り込むアスラン。

これはマズイ。空を飛ばれてしまっては、

さすがのルナマリアさんも追跡は不可能です。

 

「パラララララ……」

 

もはやこれまで……と思ったその時、

どこからともなく鳴り響くプロペラ音と共に、

古い街並みには不釣合いな小型の軍用ヘリが。

 

「待て〜!アスラ〜ン!」

 

もはやこの2人の関係は、ルパンと銭型警部のようなもの。

アスランが行くところ、ルナマリアさんはどこまでも追いかけます。

ルナマリアさんには遠距離恋愛などないのです。

 

「ファイト!」「いっぱ〜つ!」

 

待ち合わせの場所へ向かうキラとカガリ。

カガリはオーブの首長として顔が割れているので、

わざわざ離れ小島の遺跡のような場所で待ち合わせです。

 

「キラ!」

「ミリアリア!」

 

キラの姿を見つけて駆け寄るミリアリア。

久しぶりの旧友との再会を喜びます。

 

「そ、そ、そ、そ、それで、アスランは!?」

「……おちついて」

 

再会に喜ぶ2人を無視して、

鼻息も荒くミリアリアに迫るカガリ。

 

「報せてなかったけど、彼、ザフトに戻ってるわよ」

 

浮かれる2人に釘を刺すミリアリア。

以前とは彼らを取り巻く状況が違うため、

素直に再会を喜ぶだけとはいきません。

 

「ザフトに?」

「アスランが?」

 

ミリアリアからの思わぬ言葉に驚く2人。

2人が最後にアスランに会ったのが8話なので、

2人の中のアスランは8話のまま止まっています。

 

「キラ……カガリ……」

 

直後、アスランも到着。

セイバーから降りたアスランは静かに2人を見つめ、

そこにいることを噛み締めるように2人の名前を呼びます。

 

 「久しぶりだね、アスラン……」

 

 

「キラも元気そうだな……」

 

 

「アスラン……」

 

 

「キラ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

(……何なの、この2人?)

 

2人だけの世界に突入するアスランとキラ。

カガリとミリアリアはすっかり蚊帳の外です。

 

「どういう事だアスラン!

お前、ずっと心配していたんだぞ!

あんなことになっちゃって連絡も取れなかったけど」

 

自分も構ってくれとアスランに迫るカガリ。

どちらかというと心配していたのはアスランの方なのですが、

お姉さん気質から、自分が世話を焼かないと気が済みません。

 

「なんで、またザフトに戻ったりなんかしたんだ!」

「その方がいいと思ったからだ、オーブのためにも」

 

その様子を丘の上から見下ろす怪しい人物。

 

「うん、戻ってよかった。アスランは正しい!」

 

あの後、バレないようにここまで追跡して、

丘の上から監視を続けているルナマリアさん。

集音マイクまで持ち込んで用意周到です。

今までのへっぽこパイロットは世を忍ぶ借りの姿。

実は彼女、ザフト隠密部隊所属のくのいちだったのです。

 

「そんな、何がオーブのためだ!」

「カガリ!」

 

自分に何も言わずにザフトに戻ったアスランを責めるカガリ。

カガリは誘拐されていたので、アスランも報せようがないのですが、

それでも怒りが止まないカガリを誘拐犯が制止します。

 

「あれは君の機体? じゃあ、この前の戦闘……」

「ああ、オレもいた。ミネルバに乗っているからな」

 

複雑な面持ちでセイバーを見上げるキラ。

前回の戦いでセイバーに乗っていたのが

アスランだとは気付いていなかったようです。

 

「お前を見て話そうとした。でも通じなくて……」

 

話そうとしなくても通じているルナマリアさん。

 

「だが、何故あんなことをした? あんなバカなことを!」

 

再会の喜びも程々に、話は本題に入ります。

先週のキラとフリーダムによる無差別破壊行為。

あれはどういうつもりだ?お前はゴジラか?

 

「おかげで戦場は混乱し、お前のせいで、いらぬ犠牲も出た」

「……………」

 

アスランに客観的事実を指摘され、

穏やかだったキラの表情が険しくなります。

 

「バカなことって、相手はオーブ軍なんだぞ!」

「あそこで君が出て、素直にオーブが撤退するとでも思ったか!」

 

「バカ」の言葉に誰よりも早く反応するカガリ。

キラから「バカバカ」言われまくった条件反射で、

「バカ」と言われると自分の事だと思ってしまう、

かわいそうな子供になってしまいました。

 

「君がしなきゃいけなかったことは、そんなことじゃないだろ!」

 

自分で考えた末の行動をあっさりと否定されるカガリ。

 

「オーブを同盟になんか参加させるべきじゃなかったんだ!」

「お前は帰るし、結婚が決まるし、誘拐されるし、仕方ないだろ!」

 

戻らない過去をいつまでも愚痴る2人。

長く付き合ったカップルが別れる兆候です。

 

「でも、それで、ザフトのアスランはこれからどうするの?

僕たちを探していたのはなぜ?」

 

一方的に責めてばかりのアスランに対し、

キラもお家芸の質問攻めコンボで返します。

 

「やめさせたいと思ったからだ、もうあんなことは」

 

力を持ったバカほど手に負えないものはない。

今後も戦場に乱入されたらたまったもんじゃありません。

 

「そうよ、やめなさいよ!」

 

全くやめる雰囲気のないルナマリアさん。

 

「ユニウスセブンの後の混乱はどう見ても連合が悪い。

それでもプラントは、こんなバカなことを一日でも

早く終わらそうと頑張っているんだぞ。なのに、

お前たちは、ただ状況を混乱させているだけじゃないか!」

 

 

「本当にそう? あのデュランダル議長って人は、

戦争を終わらせたいって?」

 

アスランが4行にも渡って熱く語ったのも無視し、

またしても質問で返すキラ。

 

「お前だって議長のしていることは見ただろう。

言葉だって聞いたろう。議長は本当に!」

 

聞き分けのないキラに苛立つアスラン。

平和のためにとセイバーを託してくれたのは、

誰あろうデュランダル議長です。

疑う理由など何もありません。

 

「じゃあ、あのラクス・クラインは何?」

 

熱くなっているアスランに対して、

キラが冷めた声で反撃を開始します。

 

「あっ……」

「いまプラントにいる、あのラクスは何なの?」

 

痛いところを突かれたアスラン。

ミーアの存在だけは、どうにも弁解しようがありません。

 

「あれは……」

 

「何なの?」と聞かれても……

アスランの方が聞きたいぐらいです。

 

「素敵だなと思ったら、つい似たような風に……」

 

苦しい言い訳をするアスラン。

確かに、いきなり自分の彼女の偽者が現れて、

しかも本物より巨乳になっていれば、誰だって怒ります。

巨乳で明るいカガリなんて、考えただけで卒倒しそうです。

 

「なんで本物の彼女はコーディネーターに殺されそうになるの?」

 

衝撃の事実を告げるキラ。

口論では先に相手に好きなだけ言わせておいて、

その後で相手が知らない情報を言えば主導権を握れます。

 

「殺される……?」

 

突然出てきた物騒な単語に動揺するアスラン。

ラクスは既に政治の表舞台からは去っており、

命を狙われる理由など何もないはずです。

 

「わ、私じゃないわよね……」

 

突然出てきた物騒な単語に動揺するルナマリアさん。

そりゃあ、軽く呪うぐらいはしたけど、

直接手にかけるようなことはしていないはず。

 

―――その頃、探索任務中のシンとレイ。

彼らがやって来たのは、

今では無人となっている謎の研究施設。

辺りには濃い霧が立ち込め、いかにも怪しげです。

 

「こ、怖くなんかないからな!」

「そう言う奴ほど怖がっているが……」

 

研究施設の地下へと降りていく2人。

そこで彼らを待ち受けているものとは?

 

「オーブで僕たちは、コーディネーターとMSの

特殊部隊に襲撃された。狙いはラクスだった……」

 

動揺しているアスランを見て、

ここぞとばかりに畳み掛けるキラ。

ラクス襲撃事件の詳細を重い口調で語りだします。

 

「来たのが変な奴だったから、何となったけど。

だから、僕はまた、フリーダムに乗ったんだ……」

 

重い話をしているはずなのに、

なぜか思い出し笑いをしそうになるキラ。

 

「そんな、ラクスが……」

 

自分もミーアの登場には疑問を持ったが、

プラントをまとめるためには仕方がないと思っていた。

しかし、陰でそんな事が行なわれていたとは。

衝撃の事実にショックを受けるアスラン。

 

「ラクス・クラインが2人……?」

 

本物と偽者のラクスが2人いるということは、

単純計算で恋のライバルが1人増えることに。

衝撃の事実にショックを受けるルナマリアさん。

 

「暗いよ〜!怖いよ〜!」

「……………」

 

研究所を探索中のシンたち。

暗く冷たい廊下を進んでいると、

レイが何かの部屋を発見しました。

 

「ここは……」

 

真っ暗な室内は重苦しい空気に満ちており、

レイも思わず立ち竦みます。

この暗闇の向こうには何か恐ろしい物が、

見てはいけない物があるような気がします。

 

「なんだよ……誰もいないじゃん」

 

あっさりと部屋の明かりを点けるシン。

 

「何だ?……これは?」

 

明かりに照らされて姿を現したのは謎の装置。

生態的な実験装置か、もしくは録音スタジオか。

 

「あ……あ……」

 

それを見た瞬間、レイの様子が一変。

 

「あああああああああああ!!!!」

「……レイ? どうしたんだよ、レイ!?」

 

突然、何かに怯えるように叫びだすレイ。

シンが慌てて駆け寄ります。

 

「あああああああああああああああ!!!!」

「レイ!トイレか!?」

 

恐怖に絶叫するレイ。

この施設は一体何なのでしょうか。

ジャムおじさんのパン工場とかではなさそうです。

 

「……以上、現場のルナマリアがお伝えしました」

 

 

続く。