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【テキスト】蒼白の吐くユウナ

 

2005.4.10

 

前回までのあらすじ。

ついにシンとステラさんが運命の再会を果たし、

これから戦場で2人が戦うことになるという悲劇を思うと、

倒すべき敵が誰なのか、視聴者がわからなくなってきたところで、

好きなだけぶっ飛ばしていい敵こと、ユウナが再び登場です。

地球連合と同盟を結んだオーブは、劣勢の地球連合を援護するため、

黒海のザフトを打つべく、派遣軍を出すことになりました。

 

そして、不幸にもその派遣軍に選ばれたのが、

ユウナの命令を無視したことでお馴染みのトダカ一佐。

「他国に争いに介入せず」というオーブの理念は、

ユウナによって、あっさりと破られてしまいました。

 

「総司令官として、私が行く!」

「な、何ですと!?」

 

動揺するトダカ一佐をさらなる衝撃が襲います。

この作戦にはユウナも同行することになりました。

しかも掃除係、ではなく総司令官として。

 

「……しっかり頼むよ、今・度・こ・そ!

「……はっ!」

 

結婚式では国民の前で大恥を掻かされたユウナ。

自分の名誉を回復するためには手段を選びません。

カガリが誘拐されたことで、結果的にユウナはやりたい放題。

キラたちのやったことが完全に裏目に出ています。

 

「やぁん、そこはダメ!」

「むむっ!」

 

そのオーブと組むことになった地球連合。

艦の通路にまで響き渡るステラさんの悲鳴に、

ネオがほんのりエロスの香りを嗅ぎ付け現場に向かうと、

 

「あっち行って、触んないで!」

 

そこではステラさんがハンカチを持って、

注射を嫌がる子供のように暴れていました。

残念ながらエロスはありません。

 

「どうした?」

「あのハンカチを取った途端、怒り出しまして……」

 

困惑した様子のスタッフ。

3人の中でもっとも扱いづらいステラさんですが、

これほどまでに暴れるのは初めてのことです。

 

「これはシンの形見なんだから!」

 

知らぬ間に故人にされているシン。

別れてからもなお、ステラさんの中では、

シンの存在が大きくなり続けているようです。

 

「あはは、ステラの大切な物を取るわけがないだろう」

「ほんと?」

「本当さ、だからそのハンカチをちょっと貸してくれるかな?」

 

ステラさんの扱いは慣れたもののネオ。

いつものようにステラさんを撫でて落ち着かせます。

 

「じゃあ、ネオのお面も貸して」

 

 

「……………」

 

 

「やっていいことと、悪いことがあるぞ」

「す、すみません……」

 

誰にでも大切にしたい思い出や忘れられない過去があります。

しかし、強化人間であるステラさんにとって、それは邪魔なだけ。

ただでさえ不安定なステラさんが、今後同じように暴走しないためにも、

マイナス要因になるような余計な記憶は全て消去されます。

 

ディオキア基地に停泊中のミネルバでは、

新しくミネルバのパイロットに加わった西川さんが、

改めてルナマリアさん達に配属の挨拶をしていました。

 

「西川……じゃなくて、ヴェステンフルス隊長」

 

言いにくい名前に苦労するルナマリアさん。

オランダ代表ゴールキーパーばりに長い名前に、

戦闘中に噛んでしまわないか心配でありません。

 

「西川でいいよ、ルナマリア」

「は、はぁ……」

 

妙に軽い西川さんにルナマリアさんも困惑気味。

西川さんもアスランと同じフェイスなのですが、

ルナマリアさんはあまり興味がないようです。

 

「オレが来たからには、ビシビシ行くぜぇ!」

 

来たばかりだというのに仕切りまくりの西川さん。

引き気味の周囲に気付くことなく、一人で盛り上がっています。

 

「た、たいちょう〜!」

「いいから、言われた通りにするんだ」

 

突如として持ち込まれた体育会系のノリ。

これまでとタイプの違うキャラの加入に戸惑うシン。

 

「ダメダメ、敬語を無視する今時の強さくれよ!

 

いきなりダメ出しを始める西川さん。

アスランのことを「隊長」と呼んでいるのが気になるようです。

 

「隊長とか、そんな風に壁を作っちゃダメだぜ。

フェイスも、赤服も、ディアッカも、みんな同じでいいじゃない」

 

ザフト皆平等を呼びかける西川さん。

ザフトのパイロットは階級に関係なく全員同じ。

「ファンのみんなもT.M.Rの一員」みたいな論理です。

ですが、軍隊というのは絶対的な階級社会ですし、

中には他人と親しくするのが苦手な人もいます。

誰もが賛同できる提案だとは思えませんが。

 

「す、素晴らしいお考えです!」

 

おもいっきり賛同するルナマリアさん。

これでカガリやラクスに気後れすることなく、

アスランとイチャイチャする大義名分ができます。

 

「今日から、みんなで頑張っていこうぜ!」

「お〜っ!」

 

今までバラバラだったミネルバのパイロット達が、

西川さんの加入によって、変な感じにまとまりました。

合コンとかを仕切らせると便利そうな人です。

 

「オレもああいう風にやれたらいいんだけどね……」

「えっ、隊長が?」

 

年長者らしくみんなをまとめる西川さんを見て、

不器用な自分の性格を反省するアスラン。

 

もしも、アスランが西川さんみたいなキャラだったら……

 

「オレのことはアスランと呼んでくれ!」

 

みんなに気さくに挨拶をするアスラン。

 

「アスランって呼んでくれよう!」

 

名前で呼んでくれずに拗ねるアスラン。

 

(……気持ち悪いな)

 

やはり性格は人それぞれ。

おとなしい人が無理に性格を変えようとして、

フレンドリーに振舞っても、余計に痛いだけです。

 

「何してんの、アスラン!」

「アスラン!」「……アスラン」

 

結果、みんなから呼び捨てされるようになったアスラン。

ルナマリアさんはノリノリですが、レイは余計に緊張する羽目に。

 

ミネルバが新メンバーを加えて盛り上がっている頃、

オーブの空母「タケミカズチ」は黒海へと向かっていました。

この艦には、ミネルバのような美男美女はいませんが、

トダカ一佐を代表するように、実直で優秀な軍人揃い。

ザフトとの戦いの時を静かに待ちます。

 

ぷ……」

 

約一名、船酔いしている男を除いて。

 

「げるずげ〜」

 

勢いよくゲロ粒子砲を放つユウナ。

土曜日の18時という一家団らんの時間に、

もんじゃ焼きパーティーを開いていた家庭を戦慄させます。

 

「もっと揺らしても構わんぞ」

「はっ!」

 

あえて荒波へと進路を取るトダカ一佐。

戦闘が始まる前に、ユウナをダウンさせるのが狙いです。

 

「オーブ軍の総司令官か、どんな人物なんだろうな?」

 

オーブ軍との合流地点へと向かうネオ。

まさか今頃ゲロ吐いているとは、思ってもいないでしょう。

 

「うぅ、頭がガンガンする……」

 

揺りかごからお目覚めのステラさん。

二日酔いのような症状に襲われています。

 

「……何これ?」

 

あんなに大事にしていたハンカチに無反応のステラさん。

シンの記憶がすっかり消去されてしまっています。

ていうか、この装置、すごく欲しいです。

 

一方、特に記憶を操作したわけでもないのに、

みんなの記憶の中から消え去りつつあるミリアリア。

ラクス(ミーア)のライブを撮影するために来ていたディオキアで、

スエズに地球連合の増援が向かっていることを知ります。

今は報道カメラマンとして活躍している彼女。

ジャーナリスト魂から、彼女も戦場へと向かいます。

アイドルのパンチラ写真だけを撮って帰るわけにはいきません。

 

地球連合がスエズに増援を向かわせているという情報は、

ミネルバにもすぐに伝わり、早速、作戦会議が開かれます。

 

「ま、いつものことだけど」

 

あっけらかんとした反応の艦長。

常に一隻と四機で戦ってきたミネルバにとって、

今更、増援がどんなに来ようと驚くことではありません。

 

「……いつものことなのか?」

「はい、それが何か?」

 

改めて大変な艦に配属されたことを実感する西川さん。

いつもミネルバ一隻で艦隊を相手にしているため、

クルー全員の感覚はすでに麻痺しています。

 

「オーブのユウナです。どうぞよろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

そうこうしているうちにも、地球連合とオーブ軍が合流。

同盟を誓って握手をする2人。(さっきゲロを押さえていた手で)

 

(うわ、変な奴〜)(うわ、変な奴〜)

 

お互い本心は隠したままに、

利用できるものは利用しようという魂胆です。

 

「オーブが?」

「そ、援軍オーブだって」

 

仲良く同じポーズで食事を取るこの2人。

シンは援軍にオーブが来ることを知らなかったようですが、

ルナマリアさんがあっさりと洩らしてしまいました。

 

「信じられないわよね、はむはむ……」

「そんな……なんであの国が……」

 

動揺するシン。

いくら捨てたはずの故郷とはいえ、

それが自分達と戦うことになれば思いは複雑です。

 

「……………」

 

同じくオーブとの戦いに複雑な思いを抱くアスラン。

しかし、首長であるカガリが行方不明な現在、

彼にオーブを止める術はありません。

 

「オーブにいたんだってな」

「あっ……」

 

そこにやって来たのは西川さん。

この世界では一人でたそがれていると、

必ず誰かがやって来るように出来ています。

 

「戦いたくないか?」

「はい……」

「オレもそうさ。だが、割り切れよ」

 

迷いを抱くアスランを諭す西川さん。

軍人ならば戦場では感情を殺さなければなりません。

 

「じゃなきゃ、死ぬぞ」

 

アスランの気持ちを理解しながら、

軍人としてのあり方を教える西川さん。

さすがは実力でフェイスまで登りつめた男。

ただの軽い兄ちゃんではありません。

 

(……オレが死んだら、ツッコミがいなくなる)

 

このレビューにおいて大きな痛手です。

まあ、戦うことに迷いや疑問を感じていた方が、

逆にそれを解決するまで生き延びられる可能性が高いです。

 

「私の考えた作戦はこうです!」

 

しかし、一刻も早く死んで欲しい男によって、

諸君らの愛してくれたオーブはすでに死んでいました。

ミネルバとの戦いを前に、総司令官のユウナはやる気満々。

自分が考えた作戦を誇らしげに説明しています。

 

「うわ〜、すごいさくせんだな〜」

 

わざとらしく感心したリアクションをするネオ。

ステラさん同様、バカは適当に褒めておくのが一番です。

 

「フフン、徹夜で考えたんですよ!」

(バカは使いやすくて助かるな……)

 

さくせんをかめんのおじさんにほめてもらって、

ゆうなくんもおおよろこび。よかったね、ゆうなくん。

 

「……こっちの代表はバカだし」

「……あっちの代表は変な仮面だし」

 

頭がクラクラしてきたトダカ一佐。

ウズミやカガリの元で楽しくやっていた日々が、

今更ながらに懐かしく、戻らない日々に思いを馳せます。

 

「めざせ、ピューリッツア賞!」

 

ミリアリアも現場に到着し、撮影準備OK。

ついにミネルバと地球連合・オーブの戦いが開戦します。

 

「オーブには裏切られっぱなしだな!」

「カガリがいれば……」

 

オーブへの苛立ちを押さえきれないシンに対し、

改めてカガリの不在を嘆くアスラン。

戦争を繰り返したくないという気持ちだけは誰よりも強いカガリ、

彼女がいれば、この事態だけは防げたのではないか。

 

「気持ちだけじゃ、どうにもなりませんよ!」

 

どうにもならないことを言うアスランに、さらに苛立ちを強くしていくシン。

未だにカガリとオーブへの恨みは深いままのようです。

 

「そうだな……」

 

気持ちだけの奴に言われると、ものすごく説得力があります。

 

「ようし、ダルダノスの暁作戦開始!」

 

対するオーブ軍、常にメダパニ状態のユウナが、

戦闘を前に何やら意味不明なことをほざいています。

 

「はぁ?」

 

思わずハモる2人。

ダルダノス?誰だそれ?

 

「ギリシア神話だよ。聖闘士星矢読んでないのか?」

 

誰も興味のないことを自信満々にひけらかし、

一人で悦に浸るユウナ。すごく鬱陶しいタイプです。

ちなみにダルダノスを調べてみたところ、トロイの建国者だそうです。

何やらオーブの国の行く末を暗示しているような気がしてなりません。

 

「うふ♪」

 

 

「……何で笑ってるんですかね?」

「……何も言うな」

 

トダカ一佐も覚悟(諦め)を決めたようです。

 

「うふ♪」

 

不敵な笑みを浮かべるネオ。

美味しいところは自分たちが持っていくことにして、

まずはオーブのMSの性能とやらを見せてもらうことにします。

 

ユウナの意味不明な作戦により、オーブ軍の指揮系統は混乱。

たった2機のインパルスとセイバーを相手にやられ放題です。

 

「うわ、すごい!すごい!」

 

目の前で繰り広げられる激しい戦闘。

一心不乱にシャッターを切るミリアリア。

 

「……私、変な女に見えてないかしら」

 

ふと我に返るミリアリア。

戦場を命がけで駆け回るカメラマンなのですが、

端から見ると、ただの軍事オタクみたいです。

 

「作戦変更、ガンガンいこうぜ!」

 

余裕がなくなったユウナ、早くも作戦を変更します。

 

「な、何ですか、それは?」

「全力で攻撃するんだよ!ドラクエやってないのか?」

 

ユウナに振り回されっぱなしのトダカ一佐。

だんだんとバカ殿と家老の構図に見えてきました。

 

トダカ一佐がユウナに気を取られている間に、

ミネルバのタンホイザーがオーブ軍に向けて起動。

その射線軸にはユウナの乗るタケミカズチが。

 

「た、退避!」

「ま、間に合いません!」

 

ついにユウナ最期の時か。

巻き添えになるトダカ一佐は可哀想ですが、

これでようやくオーブに平和が訪れそうです。

 

「タンホイザー撃て〜!」

 

雄々しく叫ぶアーサー。

ついに彼にも見せ場がやって来ました。

 

「て……?」

 

と思った次の瞬間、

遥か上空から降り注ぐビーム一閃。

発射直前のタンホイザーを貫きます。

 

「うわああああ!助けて〜!」

 

そのまま激しく爆発するミネルバ。

予期せぬ方向からの攻撃に艦内は大混乱です。

一体、誰がこんなことを?

 

「な、何?」

「……誰だ?」

「わ、私じゃないわよ!」

 

この3人はまだ出撃していないので、

ルナマリアさんの誤射ということはなさそうです。

 

「あの3機か!?」

 

姿なき強襲者に身構えるシン。

この状況で思いつくのは、あの3機ぐらいです。

 

「ひと〜つ、人世の生き血を啜り、ふた〜つ、不埒な悪行三昧」

 

しかし、わざわざ発射する直前に攻撃をするような、

回りくどく、勿体つけた登場をする奴は一人しかいません。

 

「みっつ醜い浮世の鬼を、退治てくれよフリーダム!」

 

そう、国際指名手配犯こと、フリーダムとキラです。

 

「……何だぁ?」

 

突如現れた謎の機体に唖然とするシン。

あれこそが家族を奪った直接の原因なのですが、

覚えていないのか、そもそも見ていなかったのか、

そのことがわかっていないようです。

 

「うわぁ……」

 

見覚えのある機体に顔を顰めるアスラン。

どうやら呼んでいない友達が来てしまったようです。

 

「また来ちゃいました」

 

誰もが迷いを抱いて戦場へ赴く中、

何の迷いもない表情で登場してきたキラ。

はたして彼の目的は何なのか?

そもそも目的とかあるのか?

 

 

続く。