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【テキスト】いかにしてシンはネオと強化人間軍団にアーモリーワンで戦いを挑んだか

 

2005.3.8

 

「お兄ちゃんはどうして戦ってるの?」

「……どうしてだろう?」

 

マユちゃんが第1話から抱いていた疑問を第20話にして突っこんだ。

そもそも、どうしてシンはザフトに入り、インパルスのパイロットになったのか。

アムロやキラのように、偶然そこにあったガンダムに乗り込んだ訳でもないし、

家族を亡くしてから、第1話で登場するに至るまでの過程が、完全にブラックアウトしています。

そこで休止直前の今回は、シンの失われた時を求めて、過去の出来事を振り返ります。

 

C.E.70.2.14 「血のバレンタイン」

 

コーディネーターばかりがチョコをもらっていることに、

憤りを感じた地球連合が、コーディネーターの住むプラント、

「ユニウスセブン」に核ミサイルを打ち込んだことから、

地球・プラント間の長きに渡る戦争が始まりました。

 

マユちゃんからチョコをもらって浮かれ気分のシンは、

この後に襲い掛かる過酷な運命を未だ知る由もありません。

 

「僕に操縦代わって、オバサン!」

「オ…オバ……!」

 

そして、ヘリオポリスでのザフトによるガンダム奪取作戦。

この事件を契機にシンよりも早く運命の輪に飲み込まれていくキラたち。

この辺は前作のDVDを借りるなどして各自復習してください。

 

「むにゃむにゃ……」

 

そんなゴタゴタも中立国であるオーブには関係なく、

横になると3秒で眠れるシンは野外でも爆睡中です。

 

「えい♪」

 

そんなシンで落ち葉焚きをしようとする女の子。

兄のために常に制服を着用している妹のマユちゃんです。

 

「うおお!目が〜!目が〜!」

「あははははは♪」

 

シンの回想では、兄を慕う妹みたいに描かれていましたが、

どうやらあれはシンが自分の都合のいいように美化したもので、

実際のところ、マユちゃんのオモチャにされていたようです。

 

「ま〜ゆ〜ちゃ〜ん」

 

マユちゃんを追いかけるシン。(ルパン風に)

キラやアスランが必死こいて戦っている裏側では、

こんなシスタープリンセスが繰り広げられていたのです。

 

「えへへ、こっちだよ、お兄ちゃん♪」

 

そもそもシンは何故マユちゃんをここまで溺愛しているのか、

2人のこれまでの生活を、ショートコントで振り返ってみましょう。

 

「お兄ちゃん、クッキー焼けたよ〜♪」

「うわぁ、どれも美味そうだな〜」

「どれでも好きなの食べていいよ」

「こ…この形はハート? マユもオレのことを…?」

「それ、勾玉だよ」

「……………」

 

 

「お兄ちゃん、誕生日プレゼントありがとう!」

「うん、ガンプラとパンダで悩んだんだけど……」

「MGボールも捨てがたいけど、パンダの方がいいよ」

「そっか、それならよかった」

「じゃあ、この子の名前はシンちゃんね」

「えっ?」

「喰らえシン!チョ〜クスリ〜パ〜♪」

 「……………」

 

 

「お兄ちゃん♪」

「げっ!マ、マユ……」

「何のゲームやってるの? マユにもやらせて〜」

「いや、これは、その……」

「いもうとブル……」

「ギャ〜!見ちゃダメ〜!」

 

 

「マユとお兄ちゃんって、顔が似てるよね〜」

「えっ、そうかな?」

「うん、やっぱり血の繋がった兄妹だからね」

「似てない方が、夢が広がっていいんだけどな……」

「えっ? 夢って何?」

「いや、なんでもない……」

 

 

「お兄ちゃん、マユも今日から中学生だよ♪」

「制服似合ってるぞ、マユはカワイイな」

「えへ〜、ありがとう、お兄ちゃん」

「マユはカワイイな」

「うん、ありがとう、お兄ちゃん」

「マユはカワイイな」

「もう、お兄ちゃんったら……」

「マユはカワイイな、マユはカワイイな、マユはカワイイな」

「……お、お兄ちゃん?」

 

 

以上、マユちゃんはカワイイな特集でした。

 

                    資料提供:シン・アスカ

 

 

「何よ、それ!?」

 

あまりのくだらなさに驚愕するフレイ様。

しかし平和に暮らす人々の生活なんて実際はそんなもの。

そのくだらない日々がどれほど幸せだったのかは、

自分たちが戦争に巻き込まれるまでは気づかないのです。

 

「現実には、そんな妹などいない!」

 

シンがマユちゃんと楽しくやっている最中も、

キラは数多の戦場を潜り抜け、その秘めた力を目覚めさせていきました。

キラがいくら強くなろうが、シンには無関係のように思えますが、

その力がいずれ、シンの運命と交差することになります。

 

戦争はますます激化の一途をたどっていきましたが、

それでもシンは「オーブには関係ない」と信じて疑いませんでした。

 

「そうだ、オーブヘ行こう」

 

しかし、そこに疫病神がやって来ました。

コナンや金田一ばりに、行く先々で事件に巻き込まれるカガリ。

「中立だから大丈夫」というオーブの安全神話は、

彼女の帰還とともに、音を立てて崩れ去っていきます。

 

C.E.71.5.8

ザフトは「オペレーション・スピットブレイク」を発動。

地球連合のアラスカ基地へと総攻撃を開始します。

 

「これで終わりだ、足付き!」

 

地球連合の罠とも知らずにノコノコやって来たイザーク。

アークエンジェルに向けて止めの一撃を放ちます。

これでようやくディアッカと一緒に温泉旅行に行けると思ったその時、

 

空から恐怖の大王が。

 

反則的な強さを誇るフリーダムの参戦により、

戦況はますます混沌としていきました。

 

サイクロプスシステムの起動により、アラスカ基地を失った地球連合。

ブルーコスモスの盟主アズラエル(元いじめられっ子)が目をつけたのは、

優れた技術力を持ちながら、未だに中立の姿勢を貫いているオーブでした。

 

そして発動された「オーブ解放作戦」

「解放」などと銘打っていますが、実際は武力行使によって、

強制的にオーブを制圧しようというものでした。

 

戦場になったオーブのオノゴロ島。

家で寝ていたシンを残して避難する家族ですが、

逃げている途中、マユちゃんの携帯が落としてしまい、

それをシンが拾いに行った瞬間、辺りを閃光と爆風が……

 

「……それからは、もう、いいよね」

 

そして、シン一人だけが生き残りました。

 

「……………」

 

家族の亡骸の前で立ち尽くしていたところを保護されたシン。

シェルターの隅で膝を抱えて動きません。

 

へんじがない、ただのしかばねのようだ。

 

力石を殺してしまったジョー以上の落胆振り。

その虚ろな瞳には何も映ってはいません。

絶望を通り越して、もはや虚無の域です。

 

「お父様のバカ〜!」

 

同時期にカガリも父親であるウズミ氏を失っていますが、

シンの場合は目の前で突然家族全員がバラバラの肉片に。

一方、カガリは、あくまでウズミ氏が自らの意思で行なったこと、

カガリも泣いている自分に少し酔っている感は否めません。

言葉をかけるなり、抱きしめるなり、慰めようはいくらでもあります。

 

対してコレ。

 

触ったら壊れてしまいそうです。

 

「……君だけでも、助かってよかった」

 

そんな絶望に沈むシンに声をかけたのは、若き日のアーサー。

ではなく、ユウナの命令を無視したことでお馴染みのトダカ一佐。

全てを失い、今にもシェルター内で練炭を焚き始めそうなシンですが、

両親やマユちゃんのためにも、シンは生きていかなければなりません。

 

もし、シンの代わりにマユちゃんが生き残っていれば、

マユちゃんが主人公の楽しくて華やかなストーリーだったのに。

そんなことは絶対に考えてはいけません。 

 

そして、戦争はヤキンドゥーエでの最終決戦へ。

ザフト、地球連合、その他(アークエンジェル、クサナギ、ピンク戦艦)による、

人類の運命をかけた戦いの火蓋が切って落とされました。

 

「不可能を可能にする男……」

 

ED治療薬の宣伝のような台詞と共に散っていくムウ。

次回作の構想などまるで考えてもいなかったかのように、

この戦いで数え切れないほど多くの命が宇宙に散っていきました。

 

「まあ、オレも若い頃はヤンチャしたもんさ……」

「ネオはやっぱりすごいな〜」

 

ここまでネタにしておいて、全くの別人だったらどうしよう。

 

そして、戦争は一応の終結を迎えます。

皮肉にも、マユちゃんを殺した戦争を終わらせたのは、

マユちゃんが死んだ原因にもなったフリーダムでした。

 

しかし、全てを失ったシンにとって、

戦争の終結など、もはやどうでもいいことでした。

天涯孤独の身になったシンは、トダカ一佐の計らいで、

故郷のオーブを離れ、プラントへと移住することになりました。

 

プラントに移住したシンは考えた末、軍人になることを決意。

ザフトのアカデミースクールに入りました。

 

「退屈な授業ね」

「……………」

(……何だこいつら?)

 

そこでシンは、気が強そうなピンクのスカートの女の子と、

軍人を目指すのにロン毛を切らない無口な男と知り合います。

それぞれ性格が違う3人ですが、どういうわけか行動を共にすることに。

家族の死後、すっかり塞ぎこんでいたシンも、彼らとの出会いによって、

少しずつ本来の自分(バカな子供)を取り戻していきました。

 

ボケ(シン)とツッコミ(ルナマリアさん)と傍観(レイ)という、

現在まで続くお笑いトリオは、このときに形成されたのです。

 

アカデミーでのシンの活躍は目覚ましいものでした。

白兵戦の訓練においては、熱くなって教官をボコボコにしてしまうなど、

能力はずば抜けているものの、素行に問題があることから、

「ザフトのダルビッシュ」の異名を持つようになります。

「シンはもうちょっと周りをよく見た方がいいよ」

そんなシンを注意するのは、いつもルナマリアさんの役目でした。

 

そんなルナマリアさんも射撃の試験において、

アカデミー史上最低得点を記録。(最高得点はイザーク)

「ルナの方こそ、もっと的をよく見た方がいいんじゃない?」

とシンがバカにしたことから大ゲンカに発展、一週間は口を聞きませんでした。

そのとばっちりを受けたレイは、一人寂しく教室の隅で昼食をとることになります。

 

「何かあったら言ってくれよ」

「……………」

 

MSや戦闘機の扱いにおいても、シンは優秀な成績を記録。

当時はペアを組んだレイが今以上に喋らなかったため、

操縦から攻撃、レーダーに至るまで全てに気を配らなければならず、

これが現在、コアスプレンダーやインパルスを自由に操る礎となりました。

 

ルナマリアさんをリーダーとした仲良しグループに、

妹のメイリンちゃんと技術科のお調子者2人も加わり、

本編よりも面白そうなアカデミーでの生活は過ぎていきます。

卒業時には3人ともエリートパイロットの証である赤服を授与されました。

どういうわけかルナマリアさんまで成績上位者に入っているのが、

72年組が「谷間の世代」と言われる所以でしょう。

 

アカデミー卒業後は各自部隊に配属されるのですが、

シンにはルナマリアさんとレイという保護者が必要。

同じ艦の中に美人姉妹がいた方が盛り上がるだろう。

シンと会話ができる同程度のバカがいた方がいいだろう。

という理由から、仲良しグループ全員が新造艦ミネルバへと配属されました。

 

そして、アーモリーワンでのガンダム強奪事件。

デュランダル議長が訪問中という厳重な警備の中で、

3バカにあっさりと奪われた3機のガンダム。

 

思わぬ形での初陣となったシン。

同じく初陣のルナマリアさんは30秒で墜落、

ミネルバは進水式も行なわないまま宇宙へ発進と、

様々な混乱の中で、シン長い戦い(4クール)が始まりました。

 

「オレの家族はアスハに殺されたんだ!」

 

そんな経緯があってのこの発言。

カガリとは結局、お互いを理解することができないまま。

はたして2人が和解できる日は来るのでしょうか。

 

そして、強敵(とも)との出会い。

 

 

激闘の最中、ついにシンの種が弾けました。

アークエンジェルを救うために種が弾けたキラとは違い、

ザムザザー相手に殺されそうになったからというのが、

何ともアレですが、まあなっちゃったもん勝ちです。

 

戦いの中で運命を切り開く力を目覚めさせていくシン。

最初は地味だった彼も次第に主人公らしくなってきました。

これからもシンは大切なものを守るために力を振るい、

仲間や民間人や海で溺れている女の子を助けていくのでしょう。

 

「オレたちの戦いはこれからだ!」

 

 

第1部 完

 

 


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