【テキスト】無差別報復
2008.9.24
「ねらいうつぜ!」
瓦礫の前に立ち尽くす幼き日のロックオン。
どうやら彼の住んでいた都市がテロにあったようで、
傍らには犠牲になった人たちの亡骸が並べられています。
前回、テロに対して強い憎しみの感情を見せた彼ですが、
おそらくこの時を契機にテロを憎むようになったと思われます。
それにしても、もしこの時の年齢で刹那たちと絡んでいたら、
違う趣味の女子の方々がえらいことになっていたでしょう。
「……何故そんな格好を?」
「カムフラージュよ、カムフラージュ」
「ちょっと趣味が入ってるかも……」
前回、テロに武力で対抗すると決めた刹那たち。
今後はこれまで以上に厳しい覚悟が必要となりますが、
合流したスメラギ一行は、完全にバカンスモード。
三人とも突っ込みどころ満載の水着姿で登場です。
「今がどういう状況かわかってるんですか? 揉ませろ!
嫁入り前の女性が揃ってはしたない。 将来的にタレルヤ」
緊張感が欠如しているスメラギたちを咎めるアレルヤ。
フィギュア化なども目論んでの水着だとは思うが、
このアニメは萌えとかを抜きでやってきたので、
今になってそういうのを持って来られても困る。
しかし、その両手は完全に揉む動きになっています。
「ハレルヤ、世界の秘部が見えるようだよ……」
「むふふ」
「…………」
細目になって、とある一点を凝視するアレルヤ。
その後ろ、完全にスケベオヤジの目になっているイアン。
さらにその後ろからこっそりと見ているむっつりスケベの刹那。
我らエロスタルビーイング。テロの撲滅とエロの繁栄を目指します。
「ヒサシブリ! フェルト! ヒサシブリ!」
「ハロ……」
スメラギに負けじと、オペレーターの二人も応戦します。
クリスティナの水着が食い込んだお尻と、ハロを抱えるため
屈み込んだフェルトの胸の谷間が同一画面上に映るという、
アニメ史上初(なのかは知らないが少なくともガンダム史上初)のカット。
彼らが何を目指しているのか、いよいよもってわからなくなってきました。
「……暇アルな」
スメラギたちがバカンスを満喫している最中、
留美は自宅のオペレーションルームに篭って、
世界中に放ったエージェントからの報告を待ちます。
といっても、実際に端末を操作しているのは紅龍。
彼女はそれっぽいポーズをとって立っているだけです。
「悪いな。お別れだ」
「フェルトマタナ! フェルトマタナ!」
ガンダムマイスターは各国に散らばり、
そこで留美からの報告を待つことになります。
先ほどフェルトが大事そうに抱えていたハロですが、
出撃を前に、再びロックオンの元に返されます。
「はろ……」
ハロとの別れに寂しそうな表情を浮かべるフェルト。
普段は無表情な彼女がここまで感情を表に出すのは初めて。
それだけ彼女にとって、ハロは大切な存在なのでしょう。
我らがフェルト嬢の初のロマンス。相手はハロです。
「ママがスペインに戻って来いってしつこくて」
「うん、たぶん戻らない方がいいと思う」
テレビ電話で通話する沙慈とルイス。
この三週間で二度死にかけたこともあって、
家族はスペインへの帰国を望んでいるようですが、
もし帰ってしまったら、それこそ現地で紛争に巻き込まれ、
二度と沙慈と会えなくなってしまう可能性が高いです。
「姫様の外交には、ケチがつきっぱなしね」
「全てソレスタルビーイングのせいよ……」
こちらはスコットランドを訪問中のマリナ。
イギリス外務省との会談を予定していましたが、
テロのためにキャンセルとなり、途方に暮れた表情。
全身からどことなく不幸オーラが漂っている彼女ですが、
ついに自身の運のなさをソレのせいにし始めました。
「ヴァーチェ、目標ポイント到達。待機行動に入る」
そんな訳で各国に散らばったガンダムマイスター。
ティエリアはオーストラリアの山間部で待機します。
元々岩みたいなフォルムのモビルスーツなので、擬態は完璧。
この場で指令が入るのを静かに待つことにします。
「いつまでかかるんだか……」
一方、砂漠地帯のど真ん中で待機するアレルヤ。
暑さと渇きと寂しさに早くも心が折れてしまいそうです。
各員の派遣場所は、ヴェーダが決定しているらしいが、
自分は一体どんな役割だと認識されているのだろうか。
このままだと、盆や正月も平気でシフト入れられそうだな。
「爆発現場から立ち去る不審者を発見アル」
「了解。現場に向かう」
スコットランドの山中で待機していた刹那の元に、
留美からテロリストらしき人物を発見との通信が入ります。
エクシアは使えないため、バイクでの追跡となります。
市街地ゆえ、民間人を巻き込んでしまいますし、
何よりテロリストが木っ端微塵になってしまいます。
「あら、変わったタクシー……えっ、子供?」
テロリストの車を追う刹那のバイクとすれ違ったのは、
テロを避けるために郊外のホテルへ移動中のマリナ。
バイクを操縦しているのが、まだ子供であることに気付いて驚きます。
無免許運転? 盗んだバイクで走り出している最中?
「ちっ!」
テロリストの乗る車にバイクを横付けして、銃を放つ刹那。
しかし車体は防弾加工されており、弾がはじかれてしまいます。
「真似させてもらうぞ、ロックオン」
ならば、タイヤを狙い撃つしかない。
バイクに乗ったままでは、角度的に狙うのが難しいので、
刹那は一旦バイクから降りると、流れるような動作で銃を構えます。
「目標を狙い撃つ……って、あれ?」
と、格好つけて銃を構えてみたのはいいですが、
前を走っていたテロリストの乗る車は既にはるか彼方。
スナイパーライフルでも狙うのが難しいような距離、
普通の銃ではどうすることもできません。
「おい! 何をしている!?」
(しまった……)
しかも最悪なことに、駆けつけたパトカーに捕まります。
路上で銃を構える刹那はどう見ても危険人物。
テロリストを追って逆にテロリスト扱いです。
(仕方ない。こうなったら……)
とっさに銃を懐に隠す刹那。
テロリストへの警戒が高まっている今、
下手に抵抗すると射殺の危険もあるので、
とりあえずは大人しく従っているフリをして、
警官が油断したところを逃げ出すつもりでしょう。
「貴様、何をしようとしていた?」
「え〜っ? ぼく、こどもだからわかんない」
そして飛び出した刹那の最終奥義「子供のフリ」
ティエリアは刹那がどうしてガンダムマイスターに選ばれたのか
疑問に思っていましたが、一番の理由は、彼がまだ子供だから。
どう見ても中学生。下手したら小学校高学年の刹那の外見なら、
仮に小学校にテロリストが立て篭もっても、容易に潜入できます。
逆に大人の店や、お酒を飲むような店に潜入は出来ないので、
そういう店にはロックオン、アキバ系の店にはアレルヤが行きます。
「IDを確認する!」
「5ねん3くみ12ばん、せつな・えふ・せいえい!」
「そのIDじゃない!」
警官の尋問にもシラを切り通す刹那。
そもそも社会的には存在しない人物なので、
正規のIDを持っているのかどうかもわかりません。
「じゃあ、お父さんか、お母さんの連絡先」
(スメラギ……いや、まずい……)
想定外のことを聞かれて焦る刹那。
ただでさえ行き遅れを嘆いているスメラギ。
子持ちだなんて言いふらしたら殺されてしまう。
見た目は子供の一人や二人産んでいそうな感じだが。
「すみません、ウチの子が迷惑をおかけしたようで……」
刹那の絶体絶命のピンチをマリナが救います。
連行寸前の刹那の元に彼女の乗った車が停車すると、
中から出てきた黒服が警官を説得。刹那はあっさり解放されました。
いくら小国とはいえ、さすがは一国の皇女、その権限は絶大です。
「こんな場所で同郷の人と出会うとは思わなかった。
あなた、アザディスタンの出身でしょう?」
どうしてマリナが刹那を助けたかというと、
刹那が同じアザディスタンの人間だと思ったから。
言われてみれば、二人とも髪の色や肌の色が同じです。
それにしても、すれ違った一瞬で同郷の人間だとわかるとは、
さすが皇女、自国の国民に対する愛情の深さが窺えます。
「違う。クルジスだ」
しかし、マリナの問いを刹那はあっさりと否定。
彼はアザディスタンではなく、隣国であるクルジスの出身でした。
どうやら確証はなく、雰囲気で判断しただけのようです。
そもそも髪や肌の色は同じでも、瞳の色が違います。
「クルジス……そ、そうなの。私、何て言ったらいいか……」
クルジス出身と聞いた途端、青ざめた表情になるマリナ。
その様子から察するに、両国の関係は良好ではない様子。
××人に向かって「××人でしょう?」と言ってしまうようなものです。
(××には各々が浮かんだ国名・人種を入れてください)
「自己紹介してなかったわね。私、マリナ・イスマイール」
「カマル・マジリフ」
「ガマンジル君ね」
気を取り直さんとばかりに、自己紹介を行うマリナ。
対して刹那は偽名を名乗ります(そもそも刹那自体が偽名ですが)。
沙慈に対しては、コードネームである刹那を名乗っていましたので、
おそらく出身がバレてしまった場合には、偽名を名乗るのでしょう。
刹那・F・セイエイじゃ「どこの国の人ですか?」とツッコミが入りますから。
「……」
「ま、待って! もう少しだけお話させて」
特に話すこともないので、そのまま立ち去ろうとする刹那。
急ぎ足で離れていく背中をマリナは慌てて引き止めます。
恋仲にはなるかは微妙ですが、後々絡んできそうな二人。
出会ったからには、フラグの一つも立てておかねばなりません。
「実行犯の一人を確保しました」
「各活動拠点の割り出しを急がせるアル」
刹那が任務を忘れてマリナと会話をしている間に、
待機中の留美の元にエージェントから新たな報告が。
先ほど刹那が取り逃がしたテロリストをエージェントが捕縛。
転送されたバイオメトリクス情報によると、国際テロネットワークは、
欧州を中心に活動する1st懐古主義組織『ライデンら』であると断定。
「そんな訳で、大人って色々と大変なのよ……」
「ふ〜ん」
どうやら話し相手というより、愚痴る相手が欲しかったようで、
太陽光発電システムを巡っての改革派と保守派の対立、
嫌味なメガネの側近の女に毎日のようにバカにされ、
外交先では、ここには書けないようなセクハラを受けるなど、
マリナは子供相手に大人の世界の大変さを訴えます。
実際は刹那の方が彼女よりずっと大変なことをしていますが。
「両者の対立を止めないと、彼らがやって来るわ」
「……ソレスタルビーイング」
「狂信者の集団よ。武力で戦争を止めるだなんて……」
それらに加えて新たな悩みの種が現れました。
刹那がソレスタルビーイングの名前を口にすると、
マリナは口にするのも汚らわしいといった感じで言い捨てます。
いや、すでにあなたの隣にやって来ているんですけど。
「戦争が起これば人は死ぬ」
「介入の仕方が一方的すぎるって言っているの!」
「話している間に人は死ぬ」
「もう、ああ言えばこう言う!」
組織の存在を頭ごなしに否定されて面白くない刹那。
最終的な犠牲が減るのなら、武力での紛争解決もやむを得ないと、
ソレスタルビーイングによる武力介入の正当性を説きます。
しかし、マリナはその強引なやり方がどうしても許せない様子。
とはいえ具体的な代案が出せない以上、強くも言い返せません。
「クルジスを滅ぼしたのはアザディスタンだ」
刹那がここまでマリナに強く言い切れる理由。
そう、彼の祖国を滅ぼしたのは、他でもない彼女の国なのです。
「確かにそうよ。でも、二つの国は最後まで平和的解決をしようと……」
そこには触れないように話を進めてきたマリナ、
いよいよ刹那の口から直接そのことを告げられて窮します。
何とか弁明しようとしますが、出てくるのはお約束の言葉ばかりです。
「その間に人は死んだ!」
「!?」
弁明しようとするマリナの言葉を遮って断言する刹那。
その戦争がどれほど悲惨なものだったのかは、
ギアスでも発動させそうなその瞳が物語っています。
「まさか……戦いが終わったのは六年も前よ。
あなたはまだ若くて……戦っていたの?」
見たところ中学一年生ぐらいだから、
六年前といったら、まだ小学校に入ったばかり。
信じられないという思いでマリナは刹那に問いかけます。
「今でも戦っている」
「ええっ!?」
自らの壮絶な境遇を告げる刹那。
その事実にマリナは衝撃を受けます。
「戦っている!」
「二回言った!?」
大げさな反応が楽しかったので、繰り返し言ってみる刹那。
日本に来てから、ダウンタウンの笑いにハマったようです。
「あなた保守派の? もしかして私を殺しに!?」
「いや、違う」
言葉の意味を勘違いして、発想を飛躍させるマリナ。
自分から刹那に接触しておいて、いきなり暗殺者扱いです。
ここだけの話、彼女の一方的な勘違いにより、
国家反逆罪で投獄された人が結構な数います。
「じゃあ体が目当て。そんな、ダメよ……」
(……何を言っているんだ?)
否定する刹那に対して、さらに発想を飛躍させるマリナ。
確かにいかにも凌辱されそうな女教師顔ですが、
少なくても、本編においてそういう場面はないでしょう。
「あんたを殺しても何も変わらない。世界も変わらない。
あんたの体にも興味はない。そもそもオバさんに興味がない」
自意識過剰なマリナを切り捨てる刹那。
いくら祖国を滅ぼされた過去があるとはいえ、
組織にとっては貧乏国家の娘など全くの攻略対象外です。
「オバ……」
「それにカマル・マジリフも偽名だ」
年の離れた子供による容赦のない言葉に固まるマリナ。
24歳という年齢は少年アニメのヒロインとしては確かに微妙。
そもそも彼女がヒロインなのか、今の段階では判断できません。
「オレのコードネームは、刹那・F・セイエイ。
ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ!」
どうやら刹那はマリナ(のリアクション)が気に入った様子。
もっと大きなリアクションを見てみたいがために、とっておきの秘密、
自分がソレのガンダムマイスターであることを彼女にバラします。
「えっ? ソレって? えっ? アレ? ソレ? あ〜ソレソレ♪」
(面白いな、この女……)
この少年がソレスタルビーイングのガンダムマイスター?
刹那によって矢継ぎ早に浴びせられる衝撃告白に、
マリナの脳は処理できる量の限界をあっさりと突破します。
「今、一万機のガンダムがアザディスタンに向かっている」
「ええっ!?」
どうやら壊れてしまったようなので、これ以上話を続けるのは無理。
しかし最後まで面白い反応を見たい刹那は去り際に宣言します。
「仲間の一人は男なのに常にブラジャーを付けている」
「ひいぃっ!」
動揺するマリナに更に追い打ちをかける刹那。
確かにチューブの吸いつき方がどこかいやらしいです。
「ちなみにオレは目からビームが出せる」
「す、すごい!」
次々に紹介される変態たちにマリナも圧倒されます。
狂信者の集団というより大道芸人の集団ではないか、
一体何を目的とした組織なんだ? ソレスタルビーイング。
「最後に一言言っておく、お前地味だ」
「ひ、ひどい……」
散々面白リアクションをさせられた挙句、
自分がやっていること全てを否定されて放置。
年下の刹那に完膚なきまでに叩きのめされ、
マリナはそのまま地面に崩れ落ちます。
「暇アルな〜。部屋に戻って寝ていいアルか?」
「これは……待ってください! テロメンバーと思われる者の
バイオメトリクス抽出情報がネットワークに流出しています!」
刹那がマリナで遊んでいる間にも、作業を続ける留美と紅竜。
しかし、ようやく突き止めたレジスタンスの活動拠点は既に蛻の殻でした。
もはや八方塞かと思われたその時、ネットワーク上に新たな情報が流れます。
『バイオメトリクス抽出情報』ってのが何なのかさっぱりわかりませんが、
これによりテロ組織の拠点の位置を捕捉。みなさんも流出には注意しましょう。
「ヴァーチェ、テロ組織の拠点への攻撃を開始する」
テロリストの背後からそっと忍び寄る死神。
物見台から辺りを監視しているテロリストですが、
闇に紛れたヴァーチェの存在には全く気付いていません。
テロリスト〜! 後ろ! 後ろ〜!
「ヴァーチェ、目標を完全破壊。ミッションコンプリート」
直後、巨大な炎に包まれて壊滅するテロリストのアジト。
テロリストも何が起こったのかもわからず死んだでしょうが、
恐怖を感じずに死ねただけでも幸せかもしれません。
「容赦しねえ、お前らに慈悲なんかくれてやるか」
テロリストのアジトを襲撃するロックオン。
普段、弱者相手の戦いは気が乗らない彼ですが、
テロリスト相手に関しては、ティエリア以上に無慈悲。
生身の人間相手にも、容赦なくビームライフルを撃ちます。
「エクシア、目標を駆逐する」
海上のテロリストの戦艦を襲撃する刹那。
毎回、自分ばかりが相手の反撃を受けるという、
劇場版のクリリンのような扱いが続いていましたが、
今回の相手は顔なしのテロリスト。さすがに大丈夫でしょう。
「何!?」
しかし、これにてミッションコンプリートと思った瞬間、
船底に搭載されていたモビルアーマーが突如起動。
UFOキャッチャーよろしく刹那の両足をがっちり掴みます。
「ちょっ、なんでオレだけ!?」
そのまま水中へと引きずり込まれるエクシア。
ギリギリのところで何とか脱出できましたが、
ついに顔無し兵にまで抱きつかれるという事態。
もはや刹那が安心して戦える相手はどこにもいません。
「ガンダム各機、目標を破壊しました」
「三人とも、御苦労さまアル」
紆余曲折ありましたが、今回の作戦も無事終了しました。
三人のガンダムマイスターの活躍でテロ組織は殲滅、
これで世界中の人々もテロの脅威から逃れられることでしょう。
実際のところ、ソレスタルビーイング自体がテロリストなんですが。
「この仕事、辞めようかな……」
一人砂漠で通信を待ち続けていたアレルヤ。
ファンの方は彼ばかりネタにするなと思われるでしょうが、
別に彼のことを嫌っているわけではなく、(むしろある意味で大好き)
オチ担当のキャラが彼しかいないので仕方がないのです。
「……」
スコットランドを発ち、次の外交先へと向かうマリナ。
貧乏国家の姫らしく、政府専用機ではなく一般の便です。
窓の外を眺める彼女の表情が物憂げな理由は――
「オレのコードネームは、刹那・F・セイエイ。
ソレスタルビーイングのガンダムマイスターだ!
必殺のガンダムセブンソードが火を噴くぜ!」
思い出されるのは、先ほど出会った少年の言葉。
クルジス出身のカマル・マジリフを名乗った彼。しかしその正体は、
ちっちゃな頃から少年兵で、15でガンダムマイスターの刹那・F・セイエイ。
どこからどこまでも突っ込みどころが満載で、今思い返してもありえない話だ。
あれ? ちょっと待って。よくよく考えたら本当にありえないじゃない。
「うふふ、刹那って……さすがにねえ……」
どうしてあんなことを信じてしまったのだろう?
マリナは自分の天然ぶりに思わず苦笑します。
あの時は、突然の事でパニックになってしまったが、
冷静になって考えてみれば、荒唐無稽もいい話ではないか。
オレオレ詐欺に引っ掛かること数十回。そろそろ自分も学習しよう。
「おい見ろ! モビルスーツだ!」
「あの白いの……ガンダムじゃないか?」
マリナが安堵していると、突然、乗客が騒ぎだします。
異変に気づいた彼女が天井の窓を見上げてびっくり。
刹那の乗るエクシアが機内を覗き込んでいたのです。
マリナが一般の便に乗っていると知っていたのか。
まさか飛んでいる全航空機を確認するつもりだったのか。
どうやら刹那はストーカーになりやすい体質のようです。
「……刹那君?」
コックピット内の刹那視点から見たマリナがこちら。
さほど大きくない胸を最大限に大きく見せる、
前半の水着シーンに続く斬新なカメラワークです。