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【テキスト】報われぬ魂

 

2007.11.24

 

「若井おさむじゃないよ」

 

何故かエンディングのキャスト一覧に名前のなかったリボンズ。

今回、ようやく初めて台詞らしい台詞があったのですが、

どこからどう聞いても、完全にアムロそのものでした。

 

「動きが見えんだよ!」

(この動き……!)

 

動揺したままサーシェスと交戦する刹那。

相手が新型とはいえ、性能はエクシアが上のはず。

しかし、刹那の動きは全てサーシェスに見切られており、

攻撃を繰り出す度に、持っている武器が弾き飛ばされます。

 

「立て! 立つんだ○○(刹那の本名)!」

「ううっ……」

 

刹那の脳裏に再び幼少時の記憶が蘇ります。

彼に戦闘訓練を施したのは、誰あろうサーシェス本人。

モビルスーツ搭乗時も生身と同じ動きなのかは気になりますが、

この時に教えられた動きが、今の刹那の元になっているようです。

 

(やはり奴なのか……)

 

しかし声が同じだからといって、本人とは限らない。

春日部のサラリーマンが軍人に転進しただけかもしれない。

敵パイロットが気になっていてもたってもいられなくなった刹那は、

光通信でサーシェスにコックピットから出るように要請します。

ありえない要請ですが、それが本気であると言わんばかりに、

刹那は自分からコックピットハッチを開いてみせます。

 

「エクシアが!」

「何ですって!?」

「ぐぅ……」

 

刹那の突然の行動に大慌ての司令室。

もちろんこれはスメラギの指示ではなく、刹那の独断行動。

完全に無防備。敵に攻撃されたらひとたまりもありません。

 

「おもしれぇな、おもしれぇぞ! ソレスタルなんたら!」

 

あまりに無謀な刹那に大爆笑のサーシェス。

その大胆さが逆に彼の興味を惹いたのか、

刹那に付き合い彼もコックピットから出てきます。

それにしても、ソレの正式名称を覚えていないのか、

「なんたら」でごまかしている辺り、言語感覚が完全に日本人です。

 

(やはり……!)

「何だよ。わざわざ呼び出しておいてこれか!?」

 

ヒゲを蓄えてはいるものの、紛れもなく奴だ。

サーシェスの顔を確認するやいなや、銃を構える刹那。

師弟関係とはいえ、信頼関係ではないようです。

 

「うおっ!?」

「デュナメスか?」

 

互いに銃を向けたまま対峙する二人。

その緊張を解いたのは、遠距離から放たれた光条。

スメラギの指示を受け駆けつけたロックオンです。

刹那を巻き込む危険があるため、あえて外しました。

 

「離れたな! 狙い撃つぜ!」

「おおっと!」

「なっ!? 避けやがった!」

 

すぐさまモビルスーツに乗り込むサーシェス。

今後は当てるつもりでトリガーを引くロックオンですが、

その攻撃をサーシェスはマトリックス避けで避けます。

これでは「ロックオン」という名前が完全に名前負け。

「カツ」なのに色んな意味で負けてるみたいなものです。

 

「事情は後で聞かせてもらうわ。ミッション、続けられるわね?」

「了解」

 

サーシェスはそのまま戦場を離脱。

それにより刹那も落ち着きを取り戻した様子。

スメラギは怒鳴りつけたい気持ちを抑えて、

刹那にこのまま作戦を続行するように指示します。

それにしても、間近で見るととんでもない大きさ。

クリスティナですら、思わずそこを凝視してしまいます。

 

「あいや〜、戦闘中にコックピットハッチを開けたアルよ」

「ゆとり教育ですね」

「これがゆとりアルか」

 

刹那の行動に未だ面食らったままの留美。

私も車のアクセルとブレーキはよく踏み間違えるアルが、

さすがに走っている時にドアを開けたりはしないアル。

勇気があるのか無謀なのか、訳のわからない子供アルな。

 

「圧縮粒子、前面に展開」

 

一方、刹那たちと別行動中のティエリアとアレルヤ。

その圧倒的な火力ゆえに、最強の呼び声も高いヴァーチェ。

しかしそれだけでは飽きたらず、ついにバリアを張り始めましたよ。

 

「ティエリア、刹那がまたやらかしたよ!」

「黙れ」

 

刹那の暴走を嬉しそうに報告するアレルヤ。

以前、刹那がガンダムマイスター入りを否定したティエリア。

繰り返された彼の失態に相当腹が立っている様子です。

 

「まったく、こんなルートを通らせるなんて……」

「ぼやくなよ。隠密行動で一気に頭を叩くのさ」


その後、ガンダムマイスターは再び合流すると、

キュリオスを先頭に無警戒の渓谷を抜けて進軍します。

電波障害が起こっているポイント狙っている敵の裏をかいて、

裏道から一気にモラリア軍の司令本部を陥とそうという魂胆です。

 

「刹那・F・セイエイ」

「ティエリア・アーデ」

「今度また愚かな独断行動をとるようなら、君を後ろから撃つ」

「後ろから……」

 

未だにフルネームで呼び合う微妙な関係の二人。

ティエリアの脅迫に違った意味で怯える刹那。

これと同じ台詞をグラハムが言ったら、

全く違った意味に聞こえていたでしょう。

 

「敵部隊、反応なし」

「ミス・スメラギに報告! 敵部隊の白旗確認! ミッション終了!」

 

そんな訳で敵の司令本部を強襲するガンダムマイスター。

ここから先は、いつもの40分過ぎの水戸黄門パターンなので割愛。

3分とはいきませんが、5分もかからずに敵部隊を全滅させます。

 

「無条件降伏信号確認。ミッション終了。各自撤退開始」

「やれやれ……」

 

刹那のせいで大幅なプランの変更があったものの、

今回も特に被害を出すことなく、作戦は成功しました。

というか、大きなミスをしても簡単に挽回ができるせいで、

刹那たちに緊張感が欠けているという見方もできますが。

 

「いや〜、お見事だったアル」

「とんでもないハプニングがあったけどね」

 

そんなスメラギの内心を知ってか知らずか、

留美は感心しきりといった表情で彼女を称えます。

 

「王留美、このミッションでどれくらいの犠牲者が出たかわかる?」

「いえ、わからないアル」

「私の予測だと、500人は下らないわ」

「でも、中国の人口は13億アルから」

 

勝利にも浮かない表情のスメラギ。

今回の作戦の犠牲者の数を気にしているようですが、

留美は何を今更気にしているのかといった反応です。

ソレに入った以上、こうなることは予想できていたはず。

留美がどうしてソレに入ったのかは、未だにわかりませんが。

 

「沙慈……私たち、ソレに助けられたのよね?」

「ああ、そうだよ。そうだけど……」

 

学校のテレビで今回の戦闘の被害を知る沙慈とルイス。

周囲は無関係なことと語りますが、彼らの心中は複雑です。

大勢の人を救ったかと思えば、それ以上の人を犠牲にする。

ツンデレというにも程があるぐらい前後の行動が違います。

 

「むにゃむにゃ……」

「ぐぅ……」

 

いつも以上に多くの犠牲者を出したということもあって、

今回のソレの行動には、各国とも否定的な報道ですが、

クリスティナとフェルトは、そんなの関係ないとばかりに熟睡中。

ニュースを見なければ、彼女たちが罪の意識を感じることもありません。

 

「殴られた理由はわかるな」

「……」

「強情だな。お仕置きが足りないか?」

 

作戦終了後、ロックオンに殴られる刹那。

危険で身勝手な行動の理由を問い詰められますが、

刹那は憂いを帯びた表情のまま黙って俯くばかり。

そんな顔しているから、変な男に付きまとわれるんだ。

 

「言いたくないなら言わなくてもいい。君は危険な存在だ」

 

数々の愚行、もはや論じるに値しない。

ティエリアは刹那に銃を向けて警告します。

脅しだと思いますが、キャラがキャラだけに、

このまま引き金を引いても何らおかしくありません。

 

「止めろ! ティエリア!」

「彼の愚かな振る舞いを許せば、我々にも危険が及ぶ危険性がある。

まだ計画は始まったばかりだ。こんなことでつまずいていたら……」

 

さすがにそれはやり過ぎと止めるロックオン。

ティエリアは刹那に相当不満が溜まっているようで、

ロックオンの制止にも、構えた銃を降ろそうとしません。

刹那がいなくても、戦力的には何ら問題はない。

アレルヤを今の二倍、馬車馬のように働かせれば、

計画は遂行できる。不安因子は取り除いておくべきだ。

 

「こんなオチになりますよ」

「むう、それは嫌だが……」

 

主人公がグダグダやっているせいでストーリーが進まず、

後半になって強引にまとめようとするが、結局グダグダのまま終了。

完全主義者のティエリアにとって、それだけは絶対に避けたいです。

 

「命令違反をした僕が言うのもなんだけど……」

「じゃあ黙ってろ」

「うん」

 

仲間のケンカを止めようとするアレルヤ。

しかし空気である彼にそんな権限があるはずもなく、

その訴えはあっさりと却下されます。役に立ちません。

 

「やはり起きてしまうのね……これが、悪意に満ちた世界」

 

バルコニーでウィスキーを飲むスメラギ。

しかしどうやら勝利の美酒とはいかないようで、

端末に入った情報を見て、またしても物憂げな表情に。

大学の同級生がまた一人結婚でもしたのでしょうか?

 

「ルイス、今日はどこに行くのさ?」

「ん〜っ、まずは洋服を見て、洋服を見て、洋服を見るの!」

「毎回同じ服じゃないか……」

 

ショックを受けていた沙慈とルイスですが、

そんなモヤモヤを吹き飛ばすように買い物に出かけます。

遠い国の出来事をいちいち気にしてもしょうがない。

ルイスにとっては、近隣諸国で人事じゃないはずなんですが、

本人が気にしていないので、沙慈もこれ以上は突っ込みません。

 

「しゅっぱ〜つ!」

「うわっ!?」

 

ルイスが駆け出したその時、

前方を走っていたバスが突然爆発します。

 

「バスが爆発したぞ!」

「テロや! これはテロやで!」

 

爆発の規模から、故障や事故などではなく、

どうやら車内に爆弾が仕掛けられていた様子。

突然の惨事に都内はパニック状態になります。

 

「バスガスばくは……」

「言っちゃダメだ!」

 

放心するルイスを慌てて制する沙慈。

事故現場を目の前にして言いたい気持ちは分かるが、

実際に被害者が出てしまっている以上、不謹慎にも程がある。

 

「おい、お前たち!大変なことになってるぞ!」

「何があった? おやっさん」

「世界の主要都市七ヶ所で、同時にテロが起こった!」

 

引き続きケンカ中の刹那たちの元に、

ニュースを見て慌てて駆けつけるイアン。

彼によると東京と同じようなテロが各地で起こったらしく、

事態は世界同時多発テロの様相を呈してきました。

 

「同時テロ実行犯から、たった今ネットワークを通じて、

犯行声明文が公開されたアル。」

 

ガンダムマイスターにテロリストの声明を報告する留美。

ソレが武力介入を中止し、武装解除を行わない限り、

今後も世界中に無差別報復を行っていくと言っているアル。

中国でも、肉まんの具にダンボールが混入するというテロが発生。

食品衛生を無視した何と卑劣な犯行。テロリスト許すまじアル。

 

「フッ、そんなことで我々が武力介入をやめると思っているのか?」

 

テロリストの声明を一笑に付すティエリア。

このような展開もスメラギが事前に予測済みです。

世界中に向けて声明を出したあの日から、

自分たちは修羅の道を歩んでいくと決めている。

この程度の障害で揺らぐような計画ではありません。

 

「何だとティエリア!?」

「一般人が犠牲になっとるのに、何とも思わんのか!?」

「ちっとも思いません」

 

てっきり皆もその意見に賛同すると思われましたが、

こういう時だけは、不思議と一般論を唱える他のメンバー。

どうやら彼らの間には、不殺のような自己満足こそないものの、

一般人は巻き込まないという、暗黙の了解があるようです。

 

「いつも飄々としているあなたらしくない態度ですね。

そんなにテロが憎いのですか?」

「テロが憎くて悪いか……!」

「世界から見れば、我々も立派なテロリストだ」

「おまっ……それを言っちゃあ、お終いだろ!」

 

どうやらテロに対して忌むべき過去があるらしく、

ロックオンは怒りをあらわにティエリアに詰め寄ります。

ティエリアはそれを知っているのか、挑発的な笑みを浮かべ、

視聴者の誰もが思っていることをぶっちゃけてしまいます。

 

「その組織は、テロという紛争を起こした」

 

いつもは止め役のロックオンまで熱くなり、

もはや解散寸前のガンダムマイスター。

アレルヤが今後のソロ活動を考えていたその時、

今まで放置されていた刹那が重い口を開きます。

 

「ならば、その紛争に武力で介入するのがソレ。

行動するのは、オレたちガンダムマイスターだ」

 

何も国や地域や民族間の争いばかりが扮装ではない。

テロという行為そのものが立派な紛争であると訴える刹那。

なんという発想の転換。自分たちが原因であることは完全に無視です。

 

「ふん、偉そうに……」

 

どうやら思っていたことは刹那と同じだったようで、

言いたかったことを先に言われて悔しがるティエリア。

自分が脱ぎ捨てた子供スーツを、刹那が未だ着ているから苛立つのであり、

本人は嫌っているものの、彼と性格的に一番似ているのは刹那です。

 

 

 


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