■TOPに戻る■ 

 

【テキスト】対外折衝

 

2007.10.29

 

「あっ、どうも……」

 

「ガンダムOO」をご覧のみなさん、こんにちは。

私設武装組織ソレスタルビーイングの戦闘母艦、

プトレマイオスの戦況オペレーター、フェルト・グレイスです。

他人とのコミュニケーションが苦手な最年少の女の子という設定に、

ルリルリの再来を期待された方も多くいらっしゃると思いますが、

第3話終了時点では、全くと言っていいほど見せ場がありません。

おそらく、普通に毎週放送を見ているだけの方は、

未だに名前すら覚えていらっしゃらないのではないでしょうか。

今後の活躍に期待して欲しいところですが、当分は無理そうです。

 

「私たちのしたことで、人革連の軍備が増強されていくんじゃ……」

「ええ、これは私も予想外だったわ……」

 

プトレマイオスのブリーフィングルーム。

艦の誇るダブルオー二人が見つめるモニター上では、

人革の国家主席が、ソレの武力介入を受けて声明を発表。

ソレに対抗するため、新たに特別軍事措置法を制定するなど、

各国のソレに対する包囲網は、日増しに厳しくなっていきます。

 

「彼らがそうすると言うのなら、我々は武力介入を続けていくだけです」

「あっ、うん、そうだね!」

 

それにしてもクリスティナ、背中を丸出しという大胆な格好。

ここが戦艦の中とは思えぬほどの露出度です。

これには男性クルーも意識せずにはいられますまい。

童顔ですが、実際は22歳と彼氏の一人も欲しいお年頃の彼女、

オープニングの最終カットの立ち位置から想像して、

ティエリアを狙っているような感じですが、どうでしょうか。

 

「ついに都市部にまで、テロの波が押し寄せてきたようね……」

「穏健派が手を組む前に、改革を推し進めないと」

 

いよいよ本編のメインヒロインらしき人物が本格的に登場。

アザディスタン王国の第一皇女マリナ・イスマイールです。

彼女をメインに据えて「マリナ様がみてる」にした方が、

前作のレビューとタイトルの整合性が取れて良かったなと、

管理人が今更になって思ったことは、悟られぬようにしなければ。

 

「なら、やるべきことは一つです」

 

中東の新興国であるアザディスタン王国も、

今や化石燃料が枯渇し、衰退の一途を辿っています。

軌道エレベーターの建設計画へ参加していないため、

エネルギー供給権を保有していない国を立て直すためには、

太陽光発電システムを有する国家に援助してもらう以外になく、

マリナは他国への援助要請のため、世界中を飛び回っています。

その見た目から、穏やかそうな印象を受ける彼女ですが、

自分が外交の道具として使用されていることを自覚しているなど、

只のおっとり平和主義者という訳ではなさそうです。たぶん歌いません。

 

「このまま国内が荒れ続ければ、程なく彼らが現れる。

私設武装組織ソレスタルビーイングが」

 

マリナに進言するこの女性は、シーリン・バフティヤール。

メガネに声が根谷さんとキレ者の要素を多分に含んだ彼女、

皇女であるマリナにもタメ口で話すなど、油断ならぬ感じです。

 

「超人機関技術研究所より派遣されました。

超兵壱号、ソーマ・ピーリス少尉であります」

 

とどまることを知らない新キャラ登場ラッシュ。

オヤジばかりでむさかった人革軍に咲いた一輪の白い花。

前回、刹那を強襲したセルゲイ中佐の部隊に配属されたのは、

「超人機関技術研究所」からやって来た少女、ソーマ・ピーリス。

いかにも怪しげな名前の施設は、ムラサメ研究所か、げんしけんか、NSCか。

強化人間の類にしては、精神が安定している感じですが、はてさてどうでしょう。

 

「パンうめぇ……」

 

基本的にミッションがない時間は暇な刹那。

公園のベンチで一人寂しくホットドッグを食べています。

この子供が世間を賑わすソレのガンダムマイスターだとは、

公園を歩いている誰一人として、夢にも思わないでしょう。

 

「それで言ってやったんだ、おいおい、それはオレのウンコだって」

「やだ〜! ちょ〜ウケる〜!」

(ウケねえよ……)

 

目に付くのは、幸せそうなカップルばかり。

自分は毎日紛争地域を駆け回っているというのに、

日本は腹が立ってくるぐらい平和そのものです。

もし自分たちの活躍で世界から戦争がなくなったら、

こんな光景ばかりが広がっている世界になってしまうのか。

そう考えると、今後の戦いへのテンションも下がります。

 

(今、ここに爆弾が落ちたら……)

 

思春期の男子にありがちな妄想を始める刹那。

戦争根絶を願う彼らですが、いざ平和な世界を目の当たりにすると、

逆に戦争が起きて欲しいという、本末転倒な考えになってしまいます。

 

「あれ、君……」

「沙慈・クロスロード……」

「うん、そう。名前覚えてくれたんだ」

 

その後も刹那の危険な妄想は更にエスカレート。

いよいよ妄想が放送禁止レベルまで行きかけたその時、

ふいに誰かに呼びかけられて顔を上げると、

そこにいたのは、ルイスとデート中の隣人である沙慈。

前回は人の名前を笑ったかと思ったら、今回は彼女連れ。

この男はどれだけオレの神経を逆撫ですれば気が済むんだ。

 

「だれさん?」

「隣に住んでる、えっと……」

 

刹那の正体を知らない沙慈にとって、

昼間から公園のベンチで一人パンを食べている珍名男は、

どこからどう見ても負け組。ルイスに説明を求められると、

勝ち組としての余裕からか、つい嘲笑を浮かべてしまいます。

 

「刹那・F・セイエイ……」

 

むっとした表情(いつもですが)で答える刹那。

自分が言って笑われるのには慣れているが、

他人の口から言われて笑われるのは我慢できない。

ていうかお前、言おうとして出てこなかっただろう。

人の名前で一度笑っておいて、覚えてないって最悪だな。

 

「バックパックと各部間接の強化、機体表面の対ビームコーティング、

武装はアイリス社が試作した新型のライフルを取り寄せた」

「壮観です、プロフェッサー」

 

一方、こちらはユニオン基地の格納庫。

グラハムが感嘆の声を上げながら見上げているのは、

エイフマン教授によって様々な改良を加えられたフラッグ。

いきなり新型機とかは、予算の関係上無理なのです。

プラモ化の際もノーマルフラッグと同じ金型が流用できますし。

 

「その代わり、耐Gシステムを稼働させても、

全速旋回時には12Gもかかるけどね」

「フッ、望むところだと言わせてもらおう」

 

ビリーの脅しにも、グラハムはやる気満々です。

Gが付くものは何でも大好きなGマニアのグラハム。

ガンダムを倒すためなら、どんなGにも耐えてみせます。

また彼らが手に入れた武器はこれだけではありません。

一人だと暴走しがちなグラハムをフォローするため、

対ガンダム調査隊に新たな隊員が二人加わりました。

需要がないと思いますが、念のため簡単に紹介しておきます。

ハワード・メイスン准尉ダリル・ダッチ曹長です。

ほら、需要がなさそうでしょう。

 

「わが国は、劣悪なる米国支配に断固反対する!」

 

今週も世界は急ぎ足で変革していきます。

前回、麻薬農場を燃やされたことでお馴染みのタリビアが、

アメリカの独裁体制で運営されているユニオンの現状にぶち切れ、

ユニオンを脱退し、独自のエネルギー使用権を主張したのです。

他国からの圧力には、軍事力をもって対抗すると徹底抗戦の構え。

このような行為に、アメリカが黙っているはずありませんが、

タリビア側もそれは重々承知です。それでも強硬姿勢を貫くのは、

ユニオンが軍事行動を起こせば、ソレが介入してくると考えているからです。

 

「ソレがどうタリビアに対応するかで、

この国の未来が変わるかもしれないわね」

「この国の未来が?」

「利用できるということよ、彼らを」

 

ついにソレを利用しようとする国が現れた。

ソレの対応次第では、自分たちも彼らを利用できるかもしれない。

シーリンにそう進言され、マリナもソレの動向に注目します。

 

「たとえ利用されているとわかっていても、私たちは動くアル」

 

無論、ソレのみなさんもこうなることは予測済み。

むしろ利用されているということを利用してやるアル。

 

「みんな、準備はいい?」

 

報告を受けてクルーの元に駆けつけるスメラギ。

今回のタリビアの行動も彼女の予報の範囲内、

事前に計画していた作戦を実行に移します。

 

「ミッションですね」

「頑張りましょう!」

 

作戦を前に表情を引き締めるクルー。

すぐに地上のガンダムマイスターにも連絡が入ります。

そんな中、全く出撃しようという気配を見せないティエリア。

地上のことは当分、残っている三人に任せようという魂胆です。

 

「その前に、いったんCMよ」

「ええ〜っ!?」

 

この世界は放送局と製作会社とスポンサーに利用されており、

ソレの活動も全てはプラモやDVDを売るための販促に過ぎません。

番組を支えてくださっているスポンサー様のCMは本編よりも大事。

視聴率を上げるためなら、シャワーシーンの一つや二つ、

いつでも見せられる覚悟がなければ、この仕事は務まりません。

 

「ラルク・アン・シエルの新曲“DAYBREAKS BELL”発売中よ」

「この番組のオープニングテーマにもなっている曲です」

「私は来月発売のアルバム待ちです」

「tetsuプロデュースのMS IN ACTION!もよろしくね」

 

 

「PSP用ソフト“ガンダムバトルクロニクル”発売中よ」

「歴代のガンダムが登場する、3Dアクションゲームです」

「と言っても、我々は登場しませんけど」

「ミリオン! ミリオン! ミリオン!」

 

 

「ニンテンドーDS用ソフト“コードギアス反逆のルルーシュ”発売中よ」

「プレイヤーが実際に声を出して命令する、ギアスが使えるRPGです」

「これ、電車内でやったら勇者ですね」

「オレンジ君に死ねって命令したい!」

 

 

「しまった……エクシア、戦争に遅刻する」

 

そんな訳でCM明け、フォースミッションの開始です。

しかし刹那はうっかり一人カラオケに熱中してしまい、

作戦開始時刻にも関わらず、未だに都内を走っています。

目的地であるタリビアは、日本から見て地球の裏側、

どんなに急いでも、他のメンバーより遅れてしまうでしょう。

ファーストミッションでは、開始時刻を完璧に合わせていたのに、

最近は気が緩んできたのか、かなりアバウトになってきています。

 

「いそがばべべば……」

 

いきなり水の中に飛び込む刹那。

これは遅刻を苦に入水自殺を図ったという訳ではなく、

エクシアをコンテナごと東京湾の底に沈めていたのです。

誰かに見つかったら終わりではないか、と思われそうですが、

ガンダムは四機とも、生体認証システムで管理されており、

本人以外には起動させられない仕組みになっているのです。

しかし仮に動かせなくても、機体を持っていかれたら終わりなので、

現在、ロックオンが大きめの貸し倉庫をアパマンショップで探し中です。

 

既にタリビア近海をユニオンの艦隊と米軍の艦隊が包囲。

対するタリビア軍も、主要都市に陸上用モビルスーツ部隊を集結。

まだ戦闘状態ではありませんが、事態は一触即発です。

そこで気になるのが、タリビアに向かっているソレの動向です。

ソレが武力介入をすれば、タリビアの強硬姿勢を手助けすることになる。

逆にユニオンの軍事行動を許せば、紛争根絶という彼らの行動理念が瓦解する。

果たしてソレはどのような武力介入を行うのか、世界中の注目が集まります。

 

「な、何だ!?」

「我々はまだ何もしていないぞ!」

 

突如、タリビア軍のモビルスーツ部隊に降り注ぐ光条。

今回の戦争でソレが攻撃対象に選んだのは、タリビア軍でした。

てっきり弱者である自分たちを味方すると思っていたタリビア兵、

ソレによる突然の攻撃に「聞いてないよ!」と大慌てです。

 

「あれ? 爺さんの声明を聞いていなかったアルか?」

 

南国のビーチでバカンス中の中華御一行。

今日も大好きなオレンジジュースをちうちうと吸っている留美。

ソレの攻撃対象――イオリアが第一話で詳しく説明したはずです。

 

「言ったはずアル。戦争を幇助する国も武力介入の対象でアルと」

 

「戦争根絶」を旗印に掲げているソレですが、

別に弱者を救う正義の味方という訳ではありません。

今回の戦争はタリビアがユニオンを脱退しなければ起こらなかった。

それを理解しておきながら、ユニオン脱退を強行したタリビア政府は、

ソレ基準における戦争幇助国。火のないところに煙は立たずです。

 

そんな訳で、ソレとタリビア軍の戦いが始まりますが、

いつものようにガンダムが一方的に敵を殲滅するという展開。

毎回紹介するのも面倒なので、今回からは省略していきます。

 

「フン、とんだ茶番だ……」

 

結局、タリビア政府は即座に宣言を撤回し、ユニオンに復帰。

タリビア軍に代わって、米軍がソレに攻撃を開始しますが、

こうなってしまっては、もはやソレが戦う意味はありません。

三機のガンダムは米軍と交戦することなく、戦場から離脱します。

 

「エクシアに接近する機影があります! 米軍のフラッグです!」

「米軍? どういうこと?」

「スペックの二倍以上のスピードでエクシアを猛追してます!」

 

今日も無事にミッション終了と思いきや、レーダーに反応が。

戦闘空域から離脱したエクシアを追う、謎の高性能フラッグ。

エクシアを執拗に追う人物といえば、あの男しかいません。

 

「さあ、今週のラブラブタ〜イム!」

「げげっ、また来た!」

 

またしても自分とのフラグを立てに来た変態。

必死に振り切ろうとするエクシアですが、

カスタムフラッグは同等以上の速度で追跡します。

通常の二倍の速度で自分を追ってくる変態。

夜道で全裸の男が全速力で追ってきたと想像してもらえれば、

刹那の恐怖が少しでもご理解して頂けるでしょうか。

 

「どうして逃げるのかな?」

 

刹那は本気で嫌がっているのですが、

グラハムの中ではツンデレ変換されており、

瞳孔が開いた危ない表情でエクシアを追いかけます。

アップにすると若干アムロ似です。

 

「このっ!」

「うっ! くっ! むうっ! いいっ! はあぁ〜ん!」

「速い! その上いちいち気持ち悪い!」

 

前回のように抱きつかれてはたまったものではない。

近づかれまいと牽制にビームライフルを放つエクシア。

カスタムフラッグはその攻撃を軽々と避けて接近します。

短期間で飛躍的に向上した運動性に驚きを隠せない刹那。

それでも機体性能はエクシアの方が俄然上のはずですが、

酷く動揺しているため、動きが完全に読まれています。

 

「受け取れ! 私の愛!」

「くっ……」

 

カスタムフラッグが放ったライフルもなかなかの威力。

エクシアはシールドごと吹き飛ばされ、海に落下します。

しかしフラッグと違い、機体の地形適応オールAのエクシア、

これ幸いと、海中に潜ったまま、戦場を離脱します。

今回の勝負は、グラハムの判定勝ちと言ったところでしょうか。

 

「ソレスタルビーイングがタリビア軍を攻撃って、

あの国は戦争も何もしてないじゃないか!」

 

いつものようにニュースに突っ込みを入れる沙慈。

前回、北アイルランド紛争を終結させたことで少し見直しかけたけど、

何もしていない国を襲うなんて、やっぱりただの戦闘狂の集まりだった。

 

「戦いを止めさせるとか言っていたくせに、

戦いを引き起こしている。そんなのおかしいよ!」

「そんなに簡単じゃないのよ、世界は……」

 

憤懣やる方がない沙慈を絹江がなだめます。

結果的に、両軍が交戦するよりも被害は抑えられた。

また、これにより、タリビア国内の反米感情は沈静化し、

アメリカ主導の政策に舵を切ることができる。

タリビアの現政権も、アメリカの支援を受けて安泰と、

ソレの介入は、タリビアにとってもプラスになったのです。

 

「しくしくしくしく……」

 

隣室、グラハムに初めてを奪われ悲しみに暮れる刹那。

今回は何とか離脱できたから良かったものの、

もしあのまま撃墜されて、奴に捕まりでもしたら……

想像するだけで、身の毛もよだつ恐怖です。

来週辺り、ソレに退部届けを出すかもしれません。

 

 

 


ホームページ制作