【黒日記】 「劇画・オバQ」
2004.2.24
「劇画・オバQ」を読んだ。
読む前はギャグマンガだと思っていた。
だって、オバQが劇画ですよ(Qちゃんは、ほとんど変化はないが)。
でも、読んでいくと全然ギャグマンガじゃない。
僕が知っている子供向けの藤子・F・不二雄の作品ではなく、
大人向けの短編作家としての藤子・F・不二雄の作品だった。
読んでいくと、もうせつなくてせつなくて、たまりません。
↑まず、最初にせつなくなったのがこのコマ。
再会後、正ちゃんの家にやって来たQちゃん。
正ちゃんの奥さんもQちゃんを歓迎してくれます。
しかし、毎回ごはんを20杯も食べ、
昔と同じように正ちゃん遊ぼうとするQちゃんに、
次第に正ちゃんの奥さんの不満も溜まっていきます。
そして、Qちゃんが正ちゃんと一緒に寝ようと、
部屋の前を通った時に聞こえてきた、正ちゃんの奥さんの
「ねえ、Qちゃんいつ帰るの」
それを聞いたQちゃんは何も言わずに、そのまま一人で部屋に戻っていきます。
まず、この表情を見ただけで泣けてきます。
だって、Qちゃんがうれしそうに「正ちゃん一緒に寝よう」と思って、
やって来たのに、「いつ帰るの?」ですよ。Qちゃんの心情を察すると、胸が痛くなります。
正ちゃんの奥さんも悪気がある訳ではないのがまた辛い。
でも、Qちゃん可哀想だなぁ。マクラまで持ってるし。
↑昔の仲間たちとの再会の場面。
楽しいシーンのはずなのだが、子供の頃の場面と並ぶと、
みんなの外見が変わってしまったことにせつなさを感じます。
また、みんなが飲んでいるのは、コーラからビールに変わっています。
↑最後のページのQちゃん。
正ちゃんに子供ができた事を知り、
Qちゃんはこの言葉をつぶやいた後、何も言わずに帰っていった。
「正ちゃんはもう子どもじゃないってことだな……」
子どもの頃に読んできたキャラクターに、
「もう子どもじゃない」というセリフを言われるのはかなり辛い。
大学3年で就職を控えていて、
嫌でも大人になることを求められている自分にタイムリーに響いてくる。
この「劇画・オバQ」涙は出ないけれど、ホントせつなくなった。
2時間そこらの映画やドラマなどと違い、
子どもの頃から知っているキャラクターが変わっていくのはホント辛い。
読まなきゃよかったとすら思った(でも、面白いから興味のある方は是非)。
オバQはそこまで思い入れがないのに、ここまでせつなくなったのだから、
子供の頃から大好きなドラえもんだったら、号泣していたと思う。
うぅ、いつ見ても泣けるよぉ……