「エースをねらえ!」 ドラマレビュー8話・前編A 

 

 (お父さんが事故……)

 

動揺する宗方コーチ。

蘭子の父ということは、宗方コーチの父でもあります。

 

(お父様がジーコ……)

 

蘭子の声がでかいので、お蝶夫人にも聞こえました。

これから2人の試合が始まるのだが、蘭子はどうするのか?

  

「……ごめん、行けない。今から大事な試合が始まるの」

 

蘭子は父親よりも試合を選びます。

このチャンスを逃すわけにはいかないのです。

 

「いいのか…?行ってやらなくて」

 

兄である宗方コーチも心配しています。

しかし、宗方コーチが蘭子の代わりに行くわけにもいかない(修羅場になるので)

 

「大丈夫です、試合はします」

 

平静を装う蘭子。

 

しかし……

 

(どんな事故?容態は?保険金は入るのか?)

 

様々な想いが蘭子の胸に飛来します。

 

そして、宗方コーチにも、過去の記憶がよみがえってきます。

 

「お母さん!」

 

幼き日の宗方コーチ。

 

「お母さん!」

 

母親を失った時の悲しい記憶。

 

「……お父さんのせいだ……許さない…」

 

今と全然似ていないけど、幼き日の宗方コーチ。(ホクロで判断)

 

「僕は絶対にアイツを許さない!」

 

幼くして、魁皇ばりの恨み節です。

 

「許さない!」

その思いをずっと引きずってきた宗方コーチ。

 

今では「離さない!」に変わってますが。

 

「いいのか?」

「……何がだ?」

「お前にとっても、たった一人の父親だろ」

 

(父親……)

 

過去の感情と現在の感情の間で悩む宗方コーチ。

 

コートでは、いよいよ準決勝が始まります。

 

(来なさい、緑川さん)

 

(特訓の末に編み出した『必殺・弾丸サーブ返し!』披露してさしあげてよ!)

 

いつになく燃えているお蝶夫人。

 

「要チェックや!」

 

ひろみ以外の試合も撮影(盗撮)するようになった千葉。

 

パシャ!パシャ!

 

静かなコート内に、千葉のシャッター音だけが鳴り響く。

 


(うるさいわね……)

 

気が散るのか、なかなかサーブを打たない蘭子。

 

(なかなか打ってこないわね……)

 

「やべぇ!バレたか?」

 

焦る千葉。

 

「なんですか?あのメガネは?」

 

審判員も千葉を不審に思う。

 

「緑川?サービス?」

 

いつもの主審が蘭子を促す。

 

「はい……」

 

出た!必殺・弾丸サーブ!

 

ボールは天高く舞い上がり……

 

そして落下。……って落下!?

 

(……フェイント?)

 

お蝶夫人も首をかしげる。

 

「……棄権します」

 

試合を棄権することを宣告した蘭子。

やはり父親のことが気になって、試合ができる精神状態ではないようです。

 

(も、もしかして、俺のせい!?)

 

事情を知らないので、あわてるカメラ小僧。

 

(せっかくの弾丸返しが……)

 

お蝶夫人も残念そうです。

 

スコアボードはのまま、試合終了。

 

「行くのね」

「ええ……」

 

「そう……お大事に」

 

そう言って、お蝶夫人が帰ろうとすると、

 

「あたし、仁のためにテニスをやってきたの。

 テニスがたった1つのあたしと仁とのつながりだった」

 

早く父親の元に向かえばいいのに、いつものように長話を始める蘭子。

 

「勝ち続けて、自分が1番になれば、

 仁が振り向いてくれるんじゃないかって、そう思ってた」

 

(そこに、私という壁が現れた……)

 

「だけど、そうじゃないって気づいた。

 気づかされたの……岡さんに

 

(あ、ひろみの方!?)

 

お蝶夫人は特に関係なかった。

 

「今、あたしはテニスを愛してる。

 だから、こんな気持ちのまま、あなたと戦いたくないの」

 

(なら、最初から試合に出ないで、お父さんの所に行けばよかったのに……)

 

蘭子を見送りながら、そんなことを思ったお蝶夫人。

 

相変わらず、暑くて蒸れそうな服の蘭子。

宗方コーチといい、蘭子といい、黒を好む血筋なのでしょうか?

 

 

 

 

……その頃、宗方コーチは、

 

(竜崎と緑川、実力はほとんど互角……)

 

まだ、控え室に1人残っていました。試合見ろよ。

 

(この勝負、わからんな……)

 

もう試合は終わっています。

 

「暑い……」

 

父親の元に行く前に、自分が日射病で倒れそうな蘭子。

 

紆余曲折ありましたが、お蝶夫人、決勝進出です。

  

(主人公はひろみちゃんだよ!)

 

めっきり影の薄かったひろみも準決勝の最中です。

 

「くらえ!」

  

「必殺ジャンピングサーブ!(今考えた)」

 

強烈なサーブが相手コートに突き刺さる!

 

(あ、ほんとに決まった……)

 

打った本人が一番驚いてます。

 

「ゲームセット、アンドマッチ、岡!」

 

あっさり試合終了。

 

またもいい試合なのに、足しか映らなかった片山さん。

 

「いよいよ……」

 

決勝は、お蝶夫人とひろみの対戦に。

 

(とうとうお蝶夫人と……)

 

神妙な面持ちでトーナメント表を見つめるひろみ。

 

そこに偶然、お蝶夫人が通りかかる。

 

(ひろみ……ついにこのときがきたのね)

 

「お蝶夫人……」

 

「楽しみにしているわ」

 

「よろしくお願いします!」

 

  

(……無視された)

 

ちょっとへこみましたが、決勝を前にして、お蝶夫人との思い出が浮かんできます。

 

「そうね、そろそろ張り替えた方がいいかも」

 

初めて声をかけてくれた言葉。

まあ、この一言が原因で、宗方コーチと出会ってしまったんですが。

 

「コートにいるのは、あなた1人ではないのよ。私という味方がいるのよ」

 

時には、叱咤・激励され、

 

「ひろみ……よくがんばったわ」

 

最後にはいつも、優しい言葉をかけてくれた。

 

そして結んだ、姉妹(スール)の契り。

 

(お姉様……)

 

そんなお蝶夫人と、いよいよ決戦の時です。

 

そのためには練習あるのみ。

 

もはや、修行といえば、悟空かひろみかというぐらいの練習ぶりです。

 

 一人黙々と練習するひろみ。

 

(岡……)

 

それを陰から見守る(隠れてない)宗方コーチ。

 

(竜崎という壁を乗り越えるんだ。お前ならできる!)

 

決定的な一言。

もはや、西高テニス部のコーチではなく、完全にひろみだけのコーチです。

 

ひろみに負けじと、藤堂も練習。

  

「気合入ってるねー!」

 

よく知らないおっさん(太田)が来た。

 

 

「やっぱり、親友は最大のライバルか?」

 

馴れ馴れしく話しかけてくる太田。

 

宗方コーチですら、ひろみを陰から見守っているのに、

太田には選手に対する配慮というものはないのでしょうか。

 

「ええ、あなたと宗方さんのようにね」

 

そんな太田の質問を上手くはぐらかす藤堂。

 

(どっちが俺だ?)

 

高校生に上手くはぐらかされる太田。

 

「僕は、ある人をきちんと支えられる男になりたいと思っています。

 それが尾崎との試合に勝つことかどうかわからないけど、

 1日でも早く、1分でも早く、それに近づきたいと思っています」

 

いきなり自分の夢を真剣に語りだす藤堂。

彼の辞書に「恥ずかしい」という言葉はありません。

 

「お前、結構似てるかもな」

 

(誰に?あんたはナンチャンに似てるけど……)

 

 

「若い頃の宗方にさ!」

 

(うわ、微妙〜)

 

複雑そうな表情を浮かべる藤堂。

 

藤堂も将来、変な柄の浴衣を着たり、

「離さない!」とか真顔で言ってしまう大人になってしまうのか?

 

その頃、尾崎(太田に似ている方)もトレーニングを続けていた。

 

「やってるねえ〜」

「おお!」

 

お蝶夫人と蘭子の試合が早く終わって暇な千葉がやって来た。

 

「そんなに藤堂に勝ちたいか?」

 

「当たり前だ」

 

千葉が来た途端、練習をやめる尾崎。

 

「そうだな、ほい」

「サンキュ」

 

自分が邪魔だと気づいていない千葉。

水まで渡して、完全にテニス部のマネージャー気取りです。

 

「俺さ、こういう大きな試合で、今までなんだかんだ藤堂に負けてきたじゃん。

この試合で勝ったら、何かが変わるような気がするんだよね」

 

今の自分の心境を正直に語る尾崎。

 

「なるほどね、お蝶夫人のためにも勝ちたいって訳か」

 

そんなことは一言も言っていないのに、勝手に話を大きくする千葉。

こんな奴が新聞を作っているんですね。

 

「なあ、千葉……」

 

急に真剣な表情になる尾崎。

 

「うん?」

 

なぜか上目遣いで、可愛さをアピールする千葉。

 

「お前はどっちの味方だ?」

 

「うん?」

 

「俺か?藤堂か?どっちに勝って欲しい?」

 

(告白キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!)

 

照れる千葉。はたして千葉はどちらの男性を選ぶのか!?

 

「強い方が勝つ、それがテニスだろ」

 

何とも中途半端な返事でした。

 

(だから、どっちだよ!)

 

つまり、決勝戦の勝者が、千葉のハートをゲットできるのです!(いらない)

 

 

 

 

 

―――その夜

 

「そっか〜とうとうお蝶夫人と」

 

注:マキちゃんです。

 

「すっごいじゃん、ひろみ!」

 

はしゃぐマキちゃん。

決勝を前にして遊びに来る無神経さはさすがです。

 

「そんな簡単に言わないでよ、相手はお蝶夫人なんだよ!」

 

事の重大さを全く理解していないマキちゃんに、ひろみも呆れる。

 

(確かに「夫人」なんて付く高校生は、お蝶夫人しかいない……)

 

事の重大さを全く理解していないマキちゃん。

 

「でも、お蝶夫人に勝ちたくないの?」

 

勝つ気なさそう。

 

「勝ちたい……」

 

「勝ちたくない!」

 

(どっちやねん!)

 

決勝を前にして、ひろみも困惑しているようです。

 

「もう正直言って、よくわかんないの。

 だって、お蝶夫人はさあ、ずっとあたしの憧れだよ」

 

やはり、ひろみも悩み多き年頃の乙女、夜も眠れずに悩んでいるのでしょう。

 

「多分、この先も…ずぅぅぅっと……」

 

「ひろみ?」

 

ZZZZZっと……ZZZZZ……」

 

悩み多き年頃の乙女らしく、爆睡していました。

 

(眠りながらもダジャレを言うとは……)

 

その芸人根性に、マキちゃんも感服。

 

毛布をかけてあげるマキちゃん。優しいなあ。

 

 「う〜ん、コーチ離してください……」

 

悪夢にうなされるひろみ。

 

「ひろみは?」

「寝ちゃいました」

 

友達が遊びに来たのに寝る。

やられた方は大変困るのでやめましょう。(体験談)

 

「もう!せっかくマキちゃん来てくれているのに。今、お茶入れるからね」

 

「あ、気にしないでください!ひろみ疲れてるし」

 

とか言いながら、ちゃっかりこたつに入るマキちゃん。

 

「マキちゃんさあ、ひろみといつまでも友達でいてあげてね」

 

いきなり、親父が突拍子もないとこを言い出します。

 

 「え?」

 

リアクションに困るマキちゃん。

まるで、ひろみが重病にでもなったような口ぶりですが……

 

「最近ホラ、テニスのことでずっと気を張ってるでしょ。

 だから、いつまでも一緒にいてあげてください」

 

ひろみを大事に思う親心からでした。

 

「あなたも、たまにはいいこと言うわね」

 

「はい!」

 

それに笑顔で応じるマキちゃん。

 

「カワイイ!てか俺の娘になれ!」

 

エロ親父ご満悦です。

 

修造が湯飲みでお茶を飲んでいる頃……

  

グラスでティーを飲むこの人物は?

 

「決勝戦、岡君とあたることになったそうだね」

「ええ」

 

高級レストランでディナーを楽しむ竜崎親子。

傍から見ると、おじいちゃんと孫にしか見えませんが。

 

「麗香、全日本ユースの最終選考で全勝しなかった岡君が、

なぜメンバーとして残ることになったのか話しておきたい」

 

「……はい」

 

今さらですが、言わせてください。こんな高校生はいないだろ。

 

「あの時、理事会は岡君を残すことに反対した。

 しかし、その反対を押し切ったのは、この私だ。

私は、娘の竜崎麗香を外してでも、岡君を残したいと言ったのだよ!」

 

宗方コーチは「全会一致で決まった」と言ってましたが、

実際のところは、お蝶パパの力によるものが大きかったようです。さすがテニス界のナベツネ。

 

衝撃を受けるお蝶夫人(17歳)

 

決勝を前にしてのこの発言は、お蝶夫人の心情にどんな影響を与えるのでしょうか?

 

翌日、睡眠十分なひろみが、コートで宗方コーチを待っていると、

 

「岡君……」

 

そこに藤堂が、

 

「藤堂さん……」

 

久しぶりの再会。最近はテニス付けの毎日で色々と溜まっているでしょう。

自然と2人はいいムードに……

 

「よし、揃ったな」

 

イチャイチャタイム終了。

 

「藤堂、岡、今から試合だ」

 

そして、いきなりとんでもない事を言い出す。

 

「ええ!?」

 

男子、しかも藤堂とはスピードもパワーも違いすぎます。

どうやっても、ひろみが敵う相手ではありません。

 

藤堂にとっても、ひろみと試合してもメリットはない。

女子と試合なんてしたら、調子が狂ってしまうかもしれません。

 

しかし、宗方コーチはさらに追い討ちをかけます。

 

「藤堂……」

 

「ただし、本気でやれ!」

 

 「ええ!?」

 

そんな無茶な。

決勝を前にして、ひろみが怪我でもしたら大変です。

 

(断って!藤堂さん!)

 

「はい!」

 

藤堂、やる気満々。

 

 「ええ〜!?」

 

 

 

続く。

 

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