「エースをねらえ!」 ドラマレビュー7話・後編A 

 

 

全日本ユース選抜選考会 

2次予選・第2試合 ひろみ VS 蘭子

 

1セットは蘭子が取った。しかし、

 

(バカだったわ……あたし)

 

ひろみと自分を見る宗方コーチの目が違うことに気づいた蘭子。

 

(あたしも一人のプレーヤーとして、

仁、あなたを魅了したい!)

 

それは、蘭子をますますやる気にさせた。

 

弾丸サーブはあっさり返される。

蘭子はどうやって、宗方コーチを魅了するのか?

 

「あんっ!」

 

今まで以上に、セクシーな声を出す蘭子。

これで、宗方コーチのハートも鷲掴みか?

 

「ふにっ!」

 

負けじと、なんだかよくわからない声を出すひろみ。

 

「ああん!」

 

「ふにっ!」はさすがにキャラ的に無理な蘭子。

 

ますます白熱する2人の試合に男子3人も息を飲む。

お前ら、自分の試合はどうした?

 

お蝶夫人も口を半開き。

 

宗方コーチは半笑い。

 

(よくぞ、短期間でここまで……

いつの日かひろみ、あなたとこうして戦うことになるのね……)

 

お蝶夫人もひろみの成長を改めて実感する。

 

(あたしは無視かい!)

 

蘭子怒りのスマッシュ!

 

速すぎです。

 

(あと1ポイント、もう後がない!)

 

蘭子のマッチポイント、ひろみ泣きそう。

 

(でも、あきらめるものか、絶対に!)

 

しかし、まだ、ひろみの目は死んでいない!

 

顔があずみバージョンに変わった!

 

「行くわよ!」

 

蘭子も試合を決めにかかる。

 

最後まで弾丸サーブ!

  

「ゲームセット&マッチ、緑川」

 

「……………」

 

「……………」

  

  

(か、勝った……)

 

全日本ユース選抜選考会 2次予選・第2試合

 

緑川蘭子  2 ― 0  岡ひろみ

        (7−5)

      (6−3)

 

ついに熱戦に終止符が打たれた。

  

「……ありがとうございました」

 

まだ、呆然としているひろみ。

 

「岡さん!」

 

(もう、ビンタはイヤ……)

 

怯えきった表情のひろみ。

 

だが、蘭子の口からは意外な言葉が、

 

「ありがとう」

 

「……ありがとうございました」

  

いがみあっていた2人(蘭子が一方的に)

だが、試合を通じて、お互いを理解しあったのです。

(ひろみが勝っていたら、どうなっていたかはわからないけど)

 

(いい試合だったよ、岡さん!)

 

ひろみの健闘に尾崎も拍手。

 

(頑張った岡君!)

 

藤堂も感動。

 

(ひろみ、いい試合だったわ……)

 

お蝶夫人も。

 

 

みんながひろみの健闘を称えるなか、

 

1人しょんぼりの宗方コーチ。

 

「失礼します……」

 

ひろみがドアを開けると、そこには、

 

ずーん

 

(うわ、入りたくね〜)

 

しかし、試合の結果を報告せねばなりません。

 

「負けました」

 

「あぁ……」

 

やはり、元気がない宗方コーチ。

 

「だが……」

 

「いい試合だった」

 

 「コーチ……」

 

怒られたり、失望されたりすると思ったのに。

 

いい笑顔。

 

(その笑顔が辛い……)

 

思わず逃げ出してしまうひろみ。

 

1人残された宗方コーチ。

 

なぜか着席する宗方コーチ。

 

これで、ひろみの世界への道が断たれてしまった。

宗方コーチは何を思っているのだろうか?

 

「ひっく…ひっく…」

 

確かにいい試合だった。だが、負けてしまった。

ただ悔しくて、ひたすら泣きじゃくるひろみ。

 

 

 

 

 

 

そして、選考会終了後、

 

理事達による、ユース選抜選手決定の会議。

 

 

ここで、お蝶パパの口から、思いもよらぬ発言が、

 

「確かに岡選手は、4戦全勝という選考基準は満たしてはいないものの、

 短いキャリアで、あの超高校クラスといわれる緑川選手と、

 あれほどの戦いを演ずるまでに成長しました」

 

 

なんと、ひろみを選手に推薦するお蝶パパ。

 

「しかし、今さら選考基準を変えるというのは……」

 

当然の反応をする他の選考委員、宗方コーチは無言。

 

「当初の目的をもう一度思い出していただきたい。

 このプロジェクトは強い選手を集めるということもさることながら、

 将来伸びる可能性のある選手の発掘と育成がその主だったはずです」

 

(よく言った竜崎さん!)

 

宗方コーチも感動。

 

「私個人としましては、娘の竜崎麗香を外してでも、

岡選手をメンバーとして残していただきたい!」

 

(え、それはやりすぎだろ!)

 

宗方コーチもびっくり。

 

「どうしますか?」

 

他の選考委員も、やや困惑ぎみ。

 

(あ、やっぱ娘は外さないで!)

 

言ってから後悔するお蝶パパ。

 

(よかったじゃないか、宗方!)

 

予想外の展開に、宗方コーチも興奮ぎみ。

 

はたして、ひろみは選ばれるのか?

 

 

みんなが帰っても、1人だけ残っている宗方コーチ。

 

「竜崎さん……」

 

まだ感動している宗方コーチ。

 

 

 

 

そんなことを知らないひろみは、

  

「惜しかったわね、あなたなら残れると思ったけど」

 

帰り道にベキ子と遭遇。

 

無視するひろみ。

意外と根に持つタイプのようです。

 

「そんな顔しないで、褒めてるのよ。

 あたしがあなたに叶わなくて当然だったわ」

 

なおも無視しつづけるひろみだが、

 

「あたし、1からやり直すことにした」

 

「え?」

(それは彼氏?テニス?)

 

興味津々のひろみ。

 

「もう一度自分を叩きなおすの!

どうやらあたし、ちょっと思い上がってたみたい」

 

(で、どっちを選ぶの?)

 

「だけどまた、必ず這い上がってみせる。

 それまで恋はお預けね」

 

どうやら、ベキ子も恋よりテニスを選んだようです。

 

(まあ、ちょうどフラれたしね)

 

「あたし、今度は絶対に負けないから!」

 

「……………」

 

どうやら、ベキ子も新たな一歩を踏み出したようです。

今は恋愛の話なんてしている場合じゃありませんね。

 

「宝力さんの話を聞いて、つくづく思い知らされました。

 恋は時として、人を惑わすこともあると……」

 

おもいっきり恋愛の話をしている尾崎。

 

「藤堂はとっくに気づいていた。

 だから、オレも変わります!」

 

「あなたにふさわしい男になれるよう!」

 

(いや、あなたの場合、片想いですから)

 

「それまで、待っていてもらえますか?」

 

とても片想いの奴のセリフとは思えないことを平気で言う尾崎。

 

「……………」

 

無反応のお蝶夫人。

 

(しまった!早まったか?)

 

言ってから後悔する尾崎。

 

はたして、お蝶夫人の返事は……?

 

 

 

 

 

 

そして、ひろみはまたいつも通りの日常へ、

 

「それじゃあ、あたしのお守りの効き目なかったってわけか〜」

「まあ、マキの作ったお守りじゃね〜!

 

「……………」

 

へこむマキちゃん。

  

「あ、それより、説明会の準備って何の説明会?」

 

慌てて話題を変えるひろみ。

 

「何のって、テニス部の新入部員のに決まってるでしょうが」

 

「新入部員?」

「これだよ、もうすぐうちら2年生だよ。

 そういうのは、2年生の仕事って決まってんの!」

  

(もう、2年生!?)

 

1年中テニスばっかりしていたので、

時間の経過がまったくわからなくなっているひろみ。

 

部活が休みなのに、テニスコートにやって来たひろみ。

 

「よろしくお願いします!」

 

無人のコートに挨拶するひろみ。

2年生になっても、変わらぬ気持ちでテニスをすることを誓う。

 

(新入部員が入ったら、音羽さんみたいにしごいてやる!)

 

そして、新たな野望を抱くひろみ。

 

(あれから、もう1年も経つのか……)

 

 

1年前の思い出が、走馬灯のように頭に浮かんできます。

 

お蝶夫人に憧れてテニスを始めた。

(忘れている人も多いでしょうけど)

 

藤堂にスカートの中を覗かれた。

 

そして、木から落ちた。

 

回想終了。

 

「信じられない、全部がたった1年の出来事だったなんて……」

 

この1年間の出来事を思い出すひろみ宗方コーチのことは無視)

   

「信じられないな。

君と出会ってから、まだ1年しか経ってないなんて」

 

そこに藤堂が。この男はひろみが1人でいると、必ずやってきます。

 

「この前の選考会、残念だったね。

   でも、いつか一緒に行こうって言った言葉、あれ、ウソじゃないから」

 

どうやら、藤堂は選考会を通過したようです。

 

「君なら出来る。

今回はダメでも、次は必ず残る。待ってるから」

 

そして、いつも通りのクサ〜イ台詞を吐く藤堂。

 

「藤堂さん……」

  

そのクサ〜イ台詞に、またもポッとなるひろみ。

 

なんかいい雰囲気に、この前の続きか?

 

「あ、そうだ。これ」

 

すると突然、金メダルを取り出す藤堂。

 

(え、何それ?自慢?)

 

「君に…預かってて欲しいんだ」

 

戦争に行く兵士みたいなことを言いだす藤堂。

 

「え……?」

 

「僕が初めて優勝したときのメダルだ」

 

何の大会かは言ってないので、かるた大会かもしれないけど。

 

「どうしてそんな大切な物を?」

 

「君に持っていて欲しいんだ」

 

(……いや、だから何で?)

 

「いつか、必ず取りに来る。

 だから、僕が君にふさわしい男になるまで預かっててくれないか?」

 

尾崎がお蝶夫人に言ったことと、同じことを言う藤堂。

 

(カ、カッコいい〜!)

 

またもコロリといくひろみ(尾崎も同じこと言ってるのに)

 

(作戦成功だよ、尾崎!)

 

尾崎と2人で相談したかいがありました。

 

渡すときにもさりげなく手を握る、これが藤堂流。

 

「じゃあ」

  

(最近「失敬」って言わなくなったなあ……)

 

「藤堂さん………」

 

(しかし、どうするよコレ?)

 

普通は、指輪なり、ペンダントなり、時計なり、

身に付けられたり、携帯できるものを渡すと思うのですが、金メダルって。

まさか、金メダルぶらさげて学校に行くわけにはいかないし。

  

「プルルルルル、プルルルルル」

 

その晩、岡家に一本の電話が。

 

「はい、岡です。コーチ!?」

 

「実は、ついさっきテニス連盟から連絡があった。

 理事達は、お前と緑川の試合を見て、

全会一致でお前のユース選抜入りを決定したそうだ」

 

「えっ?

でも、あたし負けたのに……」

 

突然のことに、驚きを隠せないひろみ。

 

「理事達は、お前の持つ可能性を評価したんだ」

 

「岡、全てはこれからだ。 

 今まで以上の努力をしろ」

 

日本一黒電話が似合う男、宗方仁。

 

「はい、コーチ。ありがとうございます!」

 

「よかったニャ〜」

 

さっそくメダルを取り出す。

 

「一緒に行こうずっと」

 

どうやら、もう少し藤堂と一緒の道を歩んでいくことになりそうです。

  

「ゴエモン選手、金メダル!」

「な、何するんだニャ〜」

 

そして、喜びを爆発させるひろみ(ゴエモンはいい迷惑)

 

「この一筆は、絶対無二の一筆なり!」

 

コーチは書道中。

白い服なので墨汁が飛ばないように注意してほしいです。

 

「うむ、なかなかの出来だ!」

 

これで、西高書道コンクール入賞間違いなし。

 

 

 

 

 

 

 

 

その時……

 

!?

 

突然、倒れてしまう宗方コーチ。

  

「岡……」

 

薄れゆく意識の中、ひろみの名を呼ぶ宗方コーチ。

 

「全てはこれから……」

自分がこんな所で倒れるわけにはいかない。

 

必死に起き上がろうとする宗方コーチ。

 

 

 

 

 

だが……

  

力尽き、倒れてしまう。

 

 

「夢」半ばにして終わってしまうのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「月が綺麗だね〜、ゴエモン」

「まるでCGみたいだニャ〜」

 

「8話に続くニャ〜」

 

 

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