「いいか岡、お前もテニスを愛するなら、

日本という小さな枠組みの中に留まろうと思うな!」

「やる以上はトップを、世界を目指せ!」

 

 

 

 

 

(……いきなりそんなこと言われてもなぁ)

 

 

 

 

冒頭から一人だけ熱くなっているドラマ

 

「エースをねらえ!」 ドラマレビュー 第6話・前編

 

 

 

 

 全日本のユース選抜の候補に選ばれたひろみ。

 

お蝶夫人のパパ(テニス協会会長)が会見を開いています。

 

この全日本ユース育成プロジェクトでは、テニス協会のバックアップの下で、

世界のトッププレーヤーを育てる事を目的としています。

 

「これはテニスに関わる者全ての長年の悲願です!」

 

感慨深げに話すお蝶パパ。

それだけ長い間、待ち望んできた計画のようですね。

 

テニスに関わる人間で、

この計画に興味の無い奴はいないでしょう!

 

         

おもいっきり関わるのに興味無しのひろみ

 

「なんか、えらいことになってるな。

こりゃあ、お父さんグズグズしていられないな!

 さっそくパスポートの用意しないと!」

 

ボケる父。

 

「ちょっとちょっと、無理に決まってんじゃん!

 日本中のすごい選手が集まって来るんだよ!」

 

つっこむ娘。

 

「ダメで元々。せっかくここまでやってきたんだから、

やるだけやってみればいいじゃない」

 

なだめる母。

 

3人のバランスが取れている家庭です。

 

 

しかし、いきなり「世界だ!ユース代表だ!」

と言われても、実感が沸かないのは仕方ないです。

 

むしろ、こんな事でやる気を出せる奴がいたら、見てみたいですね。

 

 

やる気満々だ〜!

 

 

 

 

 

 

「ラーメン美味いな」

「美味いね」

 

コイツらはやる気なし。

 

 

 

 

 

―――翌日

 

「ここだ、よく見てろ!」

 

宗方コーチから、何やらビデオを見せられているひろみ。

 

「巧みに相手を誘い、そして、逆を突く!」

 

どうやら昔のテニスの試合の映像のようです。

 

(このビデオに映っている選手は、もしかして……)

 

 

 

 

 

 

(若き日の宗方コーチ?)注:違います。

 

「テニスというのは、単なる球の打ち合いではない。

 どんなに優れたショットを持っていても、

それを生かす状況が作り出せなければダメだ」

 

「1球1球にいかに意味を持たせるか、

それが世界レベルの戦い方だ!」

 

すでに宗方コーチの目は世界に向けられています。

 

「なんだか、今のあたしとはかけ離れすぎていて、とても……」

 

ひろみの目は世界に何の興味もありません。

 

「だが、近い将来お前も必ずこうなる」

 

(こうなんのかよ!?)

 

「ヒンギスが世界を初めて制したのは、お前と同じ年の時だ!」

 

 

    マルチナ・ヒンギス

テニスコーチの父・カロル、テニス選手の母・メラニー

テニス一家に生まれ、わずか4歳でトーナメント初優勝。

 

 

    岡ひろみ

造園業の父・修造、普通の主婦・美智子

平凡な家庭に生まれ、高校入学からテニスを始める。

 

 

……比較するのもおこがましい気がしますが、

 

 

 

「彼女に出来て、お前に出来ないはずはない!」

 

ジャイアニズムにすら通ずる論理を展開する宗方コーチ。

 

「でも……」

 

弱音を吐くひろみ。すると、

 

「岡……」

 

目を閉じて、珍しく考え込む宗方コーチ。

今まで長い間コーチを見てきましたが、こんな真剣な表情は初めて見ます。

 

これは、含蓄のある言葉が期待できそうですよ!

 

 

 

 

「えっと………………………」

 

「お前なら出来る!」

 

(結局、それかよ!)

 

 

 

 

屁理屈コーチとの練習後に帰宅すると……

 

「ただいま〜」

 

「お帰りぃ〜!」

 

「マキ!?

こんな所で何してんの?」

 

森田彩華

「にへへぇ〜」

 

 

「……何コレ?」

 

「まあ、お守りみたいなものかな。

ホラ、明日から選考会でしょ。

だから、似せて作ったんだけど……

 

「……誰に?」

「……ひろみに」

 

「似てねーよ!」

 

「そんなこと言わないでよ〜

不器用な私が、一生懸命徹夜して作ったんだからさぁ」

 

マキちゃんの指には、絆創膏が……

 

「マキ……」(こんな物のために……)

 

「ひろみが一生懸命やってんのにさ、

私、全然力になってあげられないじゃん。

だから、できる事といったら、これぐらいしかないじゃん!」

 

(……いや、他に方法があるだろ!)

 

マキちゃんは何でも手作りしたがる娘のようです。

たまにいます、こういう人。

 

「ありがとう!」

 

とりあえず、喜んでおくひろみ。

いらない物でも、喜ぶ演技は大切です。

 

「まあ、とにかくがんばれよ!」

「うん!」

 

 

美しき友情……素晴らしいですね。

 

 

「ひろみが有名になったら、

私、大威張りしてみんなに自慢してやるんだからさ〜!」

 

 

 それが狙いか!

 

 

 

 

 

……その頃、宗方コーチは、

 

 

やや斜めに傾いてました。

 

そして、ついに選考会当日

 

お蝶パパの挨拶。

 

私見で恐縮ですが、マイクのリボンがシャアザクに見えました。疲れてんのかな?

 

前後で密度が全然違う、バランスの悪い並び方で話を聞く選手達。

 

(き、緊張するなぁ……)

 

(校長の話長いなぁ……)

 

「それでは、選考会の内容を発表します!」

 

太田がコーチ陣を代表して説明する。

 

「1次選考はブロックごとによる総当たり戦。

各ブロックの上位2名のみ、次の2次選考に進めるものとします」

 

「以上、解散!」

 

(オレも喋りたかった……)

 

残念そうな宗方コーチ。

 

(ここにいる全員が敵っ…………!)

 

ざわざわ……

 

(もし、お蝶夫人や緑川さんと同じブロックだったらどうしよう……)

 

さっそく掲示板を見に行くひろみ。

 

(よかった!あの人達とは違うブロックだ!)

 

(でも、知らない人ばっかりだ。

1回戦であたしと当たる美咲さんって?)

 

新しいクラスに馴染めるか不安なひろみ。

  

「ひょっとして、あたしのこと探してんの?」

「え?」

 

(……どちら様でしょうか?)

 

「あなた岡さんでしょ、美咲優子よ」

 

 同じGブロックの美咲優子さんという方のようです。

 

「あ、よろしくお願いします」

 

ひろみがペコりんこと丁寧におじぎをすると……

 

「あなた、県大会じゃずいぶんご活躍だったようね」

 

「だけど、プロの公式戦に出た事もある私からすれば、

所詮、あなたたちのやっていることなんて、

お気楽なクラブ活動じゃない!」

 

 

開口一番にキツイ一言。

 

 

あれ、前にもこんな事を言ってきた人がいたような気がする……

 

 

(お、音羽さん!?)

 

「テニス協会のお偉いさんたちも、

どうしてあなたみたいな人を候補に選んだのかしらね?」

 

(うわぁ、この感じ懐かしい。音羽さん元気かなぁ?)

 

「ま、試合をするだけ無駄だと思うけど、せいぜい頑張りなさいよ」

 

(ま、待って、音羽さん2号!)

 

美咲さん(音羽さん2号)が立ち去ろうとしたその時!

 

 

 

「プロを気取る割には、

ずいぶん姑息な手を使うのね♪」

 

「イギリスやオーストラリアにもよくいたわ♪

実力の無い選手に限って、そうやって、

相手にプレッシャーをかけようとするのよねー♪」

 

また変なのが来た!

 

「何なのよ、あなた?」

 

もっともです。あんた誰だよ?

 

「あなたもプロの端くれなら、

こんなことしないで、正々堂々戦ったらどう?」

 

(コ、コイツ、質問に答えてねえ!)

 

黙って去っていく美咲さん。

 

間に入ったこの娘は何者なのでしょうか?

 

ひろみを助けてくれたところを見ると、

相当性格が良さそうな印象ですが……

 

そうでもないみたいです。 

 

 

 

 

「……あのー」

 

恐る恐る声をかけるひろみ。

 

「お礼なんていらないわ。

別にあなたを助けようなんて思ったわけじゃないから」

 

「え?」

 

「あたし、宝力冴子!

この中で高校1年生は、私と岡さん、あなただけなのよよろしくぅ♪」

 

「は、はぁ……」

 

今までにない、ハイテンションなキャラを相手に戸惑うひろみ。

 

「え、帰国子女?」

「そ、あたしのパパ外交官なの。

それで生まれた時からずっと転々とね。

だから、テニスは向こうで学んだの。

向こうのレベルってすごいわよ。

みんな、物心ついたときからラケット握ってるし。

 学校じゃ正式な科目として、テニスの時間があるんだもん」

 

(ペラペラよく喋るなあ……)

 

「じゃあ、宝力さんも?」

 

「もちろん!オーストラリアにいた頃は、

地元の大会で優勝した事だってあるし

 はっきり言って、1時予選は眼中にないわね!」

 

すごい自信です。

 

ていうか、さっき美咲さんを散々バカにした割には、

言ってる内容のほとんどが自慢で、美咲さんと大差ないような気が。

 

「岡さん、あなたの評判は聞いてるわ。

2人とも勝ち残って、みんなをアッと言わせましょう!」

 

(さすが選ばれた人達、変なのばっかりだ……)

 

(あたし、こんな人達と戦わなきゃならないんだ……)

 

 

 

 

こんな人

 

「うおぉぉりゃぁぁ!!」

 

復活、弾丸サーブ!

 

打てなくっていいじゃないか、にんげんだもの。

 

圧勝。

 

蘭子もかなり貫禄がついてきました。

BGM「とんぼ」が流れてくるのも時間の問題のようです。

 

「どうやら、肩の具合はもういいようね。

以前に増して、サーブの威力が上がったわ」

 

「でも、くれぐれも油断なさらない事ね、

 追ってくるものの必死さを少しは知った方がよくってよ」

 

意味ありげな助言を残し、去っていくお蝶夫人。

 

            ↑

今まで、散々宗方コーチを必死に追って、

他校やら、試合会場やら、雪山に行ってた人。

 

一方、宝力冴子の試合

 

(どんなテニスをするのかなあ?)

 

 右に左に素早い動き!

 

 スマッシュも強烈!

 

リアクションもオーバー!

 

 

「ゲームセット&マッチ、宝力」

 

 

(すごい、この人。

口だけじゃない、本当に強い。

 勝った瞬間「YES!」とか言ってるし……)

 

最後はガットでギターを弾く余裕まで見せる。

 

「宝力さん、おめでとう」

「ありがとう、でもあまりにも手応えがないんで」

 

「なんか拍子抜けね」

 

 

「でも、くれぐれも油断なさらない事ね、

追ってくるものの必死さを少しは知った方がよくってよ」

(by お蝶夫人)

 

そして、いよいよひろみの出番。

 

対戦相手は…… 

 

 美咲優子りん

 

どう見ても、高校生に見えない。

 

 

次回「ひろみ VS 美咲」に続く。

 

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