梅のいわれ

 「ウメ」の語源は「熟む実」、中国の「烏梅」(ウバイ)、梅(メ)の韓音からなど、様々な説がありますが、
「梅は百花にさきがけて咲く」と言われるように、寒い冬をじっと耐えて春の訪れを一番に知らせてくれます。
 「春」は「張る」お腹が張る、美味しいものをいっぱい食べて幸せになる。お腹がふくらむ、つぼみがふくらむ、新しい生命の誕生に喜ぶ・・・
このように私たちの祖先は、言霊(ことだま)といい、一つ々の言葉の中にもいろいろな霊力がこもると考え、言葉を大切にしてきました。
 そして、すべての花にさきがけて「芽」(め)をうみだす此の木に、力強い御霊(みたま)が宿ると信じ「うめ」と名付けたのかもしれません。

明治天皇御製
 
ふりつもる雪をしのぎて咲く梅の
  花はいかなるちからあるらむ




 日本の気候風土と梅
 梅の原産地は、中国の四川湖北省とする説や、日本にも原産していたとする二つの説かありますが、日本の梅の木は、中国・台湾・韓国など外国の梅の木とは、全く違う日本独特のものといわれています。
それは、日本の梅の実だけが持つ、強い酸味のことをいいます。中国や台湾にも梅の木はたくさんありますが、その実の味はどちらかというと、杏に近く、また日本の梅の木を同緯度の朝鮮に移植しても、何年かするとスモモのような味に変化してしまうという報告があります。
 その理由は、日本には四季の変化があること、火山国という土質の特長、梅雨(入梅、実の成熟期間の雨季)があることなどが原因だといわれています。
 日本の梅の木は、長い歳月をかけて、日本の気候風土を受け入れて、独特の強い酸味を多く持つ実をつけるようになったのです。

梅の酸味について
 この酸味はクエン酸と呼ばれています。
 イギリスのクレープス博士は、日本の梅の実に多量に含まれている成分を使って研究を重ね、1953年「細胞の物質代謝の研究」でノーベル生理医学賞を授与されました。
 天然の良質のクエン酸(梅の実に含まれる)が、人体において疲労や老化の原因となる焦性ブドウ酸の発生を減らす力があると科学的に証明されました。

   参考文献「梅の健康法」松本紘齋著 


梅干しについて
 
私たちの祖先は、「梅は三毒を断つ」といい、古くから梅の効用を知っていました。
 千年も前の「医心方」という書に、梅干しのことが既に記されています。
 今も各地に残る梅林、又は梅の産地と呼ばれるところの多くは時の将軍などが造成させたものです。
 梅干しは、日本の気候風土と祖先の知恵が生み出した大切な宝物です
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烏梅(ウバイ)について
 成熟期の梅の実をいぶして乾かしたもの。中国では三千年の歴史があり、漢方薬に使われています。その黒い色から「烏梅」と付けられたといわれています。又水に溶かして紅染を行う時に媒染用の酸としても用いられます。
 日本では奈良県の月ヶ瀬が産地として知られています。

塩梅(あんばい)について
 
古くから梅酢は、料理の調味料として使われ、「塩梅」とは、味かげん、程良く味付けることなどの料理用語として用いられてきましたが、
 菅原道真公は「朝廷塩梅の臣下なり」。のように時代と共に、物事の折り合いや、体の具合など幅広く使われる様になりました。

青梅は食べられません

 そのままで食べると下痢や腹痛をひき起こします。成熟していない梅の実は、病害虫から果肉を守るために、果肉の中にごく微量の青酸を含んでいます。


天神様と梅
 菅原道真公と梅の関係は深く、幼少にして梅花を詠い、また飛梅の故事もあまねく知られ、文人学者に景仰され、近年では、勧学の信仰が盛んになっています。
須賀神社(喜多見) 天神社(鎌田)菅原道真公をお祀りしています。

氷川神社の神饌「歌枕の梅」
東京の開祖江戸太郎重長の末流喜多見久太夫重勝は、堺の南宗寺に澤庵和尚の勧請した歌枕天神を神木の梅樹と共に承應年中(約三百年前)喜多見村園地に移しました。

 
歌枕天神は現在喜多見天神森に祀られ神木は「歌枕の梅」として氷川神社境内に植えられたものであります。
 この神饌はその神苑の梅実を調進したもので、遠く澤庵和尚の遺徳と喜多見重勝の敬神の事跡を偲ばせるものであります。因みに重勝は茶人佐久間将監宗可の門人で、氏神として当社を篤く崇敬し、兄重恒とはかって石の鳥居を寄進し歌枕天神と共に今もその遺芳を伝えているものであります。


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