「クロッキー」
poem by ひかり.S
日々のくらしの
いそがしさに忘れていた
クロッキー帳をとりだして
とりとめない形を
指にまかせて描いてみた
サクサクと
鉛筆の感触がこころを刻んだ
冷たい鏡に向かって
祈るように描いた自画像
覇気にあふれていたこともあった
くたびれ果てていたこともあった
聳え立つ山々
透明な空気に癒されながら
聖なるものを写し獲ろうと格闘した
そして愛したおんなたち
ふくらみを帯びたしなやかな線は
僕にいのちを与えてくれた
クロッキーする線の感触に
思い出のモチーフがよみがえる
サクサクと
鉛筆の感触がこころを刻む
ああ、クロッキーをする
この線の中に僕の人生がある
裕福でもない
道草ばかりしている
過ちも犯した
みっともないけれど僕だけの人生
僕だけの線
comment
アングルは一本の線を引いて、自分が来た
ということを友人に伝えたそうです。
20世紀の終わりに、僕のだけの「線」を詩にしてみました。