豊国神社 (とよくにじんじゃ)

祭神:豊臣秀吉公         
京都市東山区大和大路正面茶屋町

  市街の南方、七条通の東の端は東山三十六峰のひとつ阿弥陀ヶ峰。標高200mほどの山であるが、この山の頂上から麓の大和大路通りに至るまでには、“太閤さん”すなわち豊臣秀吉に関係する遺跡や社寺が幾つか存在する。その代表格が方広寺と豊国神社。
 まず、豊国神社。七条通と大和大路通の交差点を北へ向かい、国立京都博物館の正門を通り過ぎると隣接して巨石の並んだ石垣となる。この石垣の内側、一段高くなった敷地内に豊国神社が鎮座している。石垣に使われている巨石は、秀吉が方広寺大仏殿(現方広寺)建立の際、諸大名に命じて集めさせたもの。鳥居の下に立ち正面を見据えると、失礼と思ったが豪華絢爛な唐門(国宝)が見える。それもそのはず、元は伏見城の城門の一つで、金地院(南禅寺)から再移築したとの説。西本願寺(伏見城から移築)、大徳寺(聚楽第の遺構)と並ぶ京の三唐門のひとつという。唐門の奥に拝殿、そして本殿があり「豊国大明神」すなわち、関白太政大臣正一位豊臣秀吉公を神とし祀っている。「豊国大明神」の神号と正一位の神階は後陽成天皇から賜った。

   
境内石垣は巨石が並ぶ   唐門(国宝・桃山)   唐門に架かる「豊国大明神」の扁額

 慶長3年(1598)、伏見城で亡くなった秀吉の遺体は遺言により東山三十六峰の一つの阿弥陀ヶ峰山頂に埋葬し、墓所とした。翌年、中腹を切り開き約30万坪の広さの太閤坦(たいこうだいら)を造成、豊国廟・豊国社が造営された。豊国神社の前身である。元和元年(1615)大阪夏の陣により豊臣家が滅亡すると、幕府は徹底的に豊国廟・豊国社ともに破壊した。その後、約260年の時が過ぎた明治13年(1880)、明治天皇の命により方広寺大仏殿跡地に「豊国神社」として再建され、現在に至っている。
 豊国神社本殿南側(右手)には、秀吉公を内助の功で支えてきた妻・北政所、いわゆる“ねね”を祀る摂社・貞照(さだてる)神社があるが拝殿できない。更に南側にあるのが宝物館で、旧豊国社関連の神宝や秀吉着用の胴服(重文)その他の秀吉関連遺品が展示されている。
 宝物殿奥(東側)に大きな五輪塔がひっそりと建っている。阿弥陀ヶ峰の豊国廟にあったものと伝える。豊臣家滅亡後、幕府により取り壊されたが秀吉公を慕う人たちによってこの地に移築された。その際、幕府に再び破壊されることを恐れ、近隣の地名である馬町(馬の市があったため)にちなみ“馬塚”と称して祀ったとされる。

   
宝物館   秀吉画像(豊国神社宝物館蔵)   馬塚

 豊国廟所も、明治になって再建された。豊国廟へは東山七条にある智積院妙法院の間の道を山へ向い、京都女子大校舎を超えたところ。一本道だが、廟所から頂上までの石段は560段超。途中、休み休み登らないと苦しい。頂上には高さ10mほどの石の五輪塔が建っている。

   
阿弥陀ヶ峰中腹の太閤坦・豊国廟所   豊国廟の入り口の看板   ここから山頂まで560段余りの石段となる
   
300段ほど登ったところの中門があるが、さらに石段は続き、上方に空が見える。   頂上には高さ10mほどの五輪塔が秀吉 の墓所   五輪塔の周りには何もない

 また、豊国神社の正面(正面通り)を西へ。公園の西側に小さな丘陵がある。近づくと丘陵の頂上にひときわ大きな石塔が建っている。16世紀の末、秀吉が支配力を大陸へも伸ばそうと朝鮮半島へ進出した(文禄・慶長の役)。当時の武将は戦功の印として倒した相手の首を持ち帰る風習があった。半島へ進出した秀吉の部下は、首の代わりに鼻や耳を塩漬けにして持ち帰っている。秀吉は国が違えど、霊を厚く弔うべしとこの地に埋葬し「御身塚(おんみづか)」としたが、訛って「耳塚(みみづか)」と呼ばれるようになったとか。塚の前に立つと、痛々しい気持ちに陥る遺跡だ。豊国神社の北側が方広寺で、豊国神社から木立の間を抜けて境内へいける。豊国神社の参拝が終わればぜひ立ち寄りたい社寺。

     
耳塚公園の西側に耳塚がある        

 他にも、秀吉に関係する遺跡や社寺として智積院(秀吉が長男の鶴松(棄丸)の菩提を弔うために建立した元祥雲寺)、そして妙法院(秀吉が中興)、また三十三間堂の東側に秀吉の側室淀殿が父浅井長政の追善に建立した血天井で知られた養源院。さらにその南の南大門と築地塀(太閤塀)などがある。

◇豊国神社の所在地など
・住所:〒605-0931京都市東山区大和大路正面茶屋町  ・電話:075-561-3802
・拝観:境内拝観自由 (宝物館:9:00〜16:30で大人300円)
・豊国廟所:大人50円
・アクセス:市バス 206,208 三十三間堂前下車、又は市バス 207,特207 東山七条下車徒歩3分。


 ●名所旧跡めぐり ・目次へ戻る    ●トップページへ戻る