水無瀬神宮(みなせじんぐう)

祭神:後鳥羽天皇、土御門天皇(後鳥羽天皇第一皇子)、順徳天皇(後鳥羽天皇第三皇子)
大阪府三島郡島本町広瀬三丁目10-24

承久の乱で流刑となった三帝を祀る
 水無瀬神宮は、淀川の右岸、対岸に石清水八幡宮が望める島本町(大阪府三島郡)にある。社地は、後鳥羽天皇が生前こよなく愛された水無瀬離宮跡地。往時の水無瀬離宮は、桜、山吹、菊の名所として知られ、天皇は京の都から舟でたびたび離宮へ来ては、歌合せ、蹴鞠、狩猟や刀剣鍛錬等も行われたという。後鳥羽天皇崩御後、天皇を供養するために天皇の肖像画(藤原信実(のぶざね)筆)と天皇の「御手印置文(おていんおきふみ)」を形見として奉安してきた御影堂(法華堂とも)が水無瀬神宮のはじまり。
 水無瀬神宮は、社地の由来から察するとおり、後鳥羽天皇のほか、土御門天皇(後鳥羽天皇第一皇子)、順徳天皇(後鳥羽天皇第三皇子)を祭神としている。
 今回、阪急電車「水無瀬駅」から徒歩で神宮へ向かった。駅を出て、高架沿いの道を大山崎駅(京都)方向へ7分ほどのところに「水無瀬神宮→」の標示がある。後は表示に従って進むと正面鳥居となる。鳥居を潜り、砂利が敷かれた参道を進むと薬医門造りの神門。この神門の右柱に金網で覆われた箇所がある。大盗賊石川五右衛門の手形だそうで、神宮の神宝を盗もうとして様子を伺っていたが、神威により門内へも入れず、門柱に手形を残して立ち去ったという。
 神門を潜ると一面砂利が敷かれた広い空間。向かい正面に昭和4年(1929)に改築された拝殿、そしてその奥に本殿が見える。本殿は旧御影堂で、現在の建物は江戸初期に明正天皇から下賜された御所の内侍所(ないしどころ・かしこどころ:三種の神器の神鏡を祀るところ)の古材によって再建されたものという。

   
神門   石川五右衛門の手形が残る神門   拝殿・本殿

 拝殿・本殿の左側には桃山末期に建造されたという客殿。豊臣秀吉が家臣の福島正則に命じて造営し、寄進したと伝える建築物で、国の重要文化財に指定されている。その他にも国の重要文化財に指定されている、後水尾天皇が愛好された茶室「燈心亭」もあるが、一般拝観はない。また、境内には、環境庁が定めた全国名水百選として大阪府唯一つ選ばれている名水「離宮の水」が湧出ていて、常に汲みに来る人で賑わっている。
 本殿に祀られている後鳥羽天皇、土御門天皇、順徳天皇は、「承久の乱」(「承久の変」とも)で流刑となった三帝。鎌倉に幕府がおかれて、将軍職は源氏が世襲していたが、三代将軍源実朝が暗殺された後の幕府の実権は執権職の北条氏が掌握していた。その当時の後鳥羽天皇は快く思えるはずもなく、朝廷の権威回復を図るため、承久3年(1221)5月14日、時の執権北条義時追討の院宣を発した。この動きはいち早く幕府に伝わり。2ヵ月後の7月13日、北条泰時(北条義時の子)が率いた19万の幕府軍によって敗北。後鳥羽天皇は隠岐島(後鳥羽天皇は隠岐へ流される直前に出家して法皇となった)。戦いに協力した順徳上皇(後鳥羽天皇第三皇子)は佐渡。関与しなかったが土御門上皇(後鳥羽天皇第一皇子)は土佐へそれぞれ流刑となり、それぞれの地で崩御した。幕府は、更に戦後処理として六波羅探題を設置し、京(朝廷)の監視と勢力の及ばなかった近畿以西の旧勢力を少しずつ駆逐して、勢力範囲を拡大。武家政権を確立した。

   
境内中央の占い結び   国宝に指定されている、秀吉寄進の客殿   名水「離宮の水」が湧出る手水舎

 後鳥羽上皇は崩御の前、離宮で還幸を待っていた水無瀬氏(藤原信成・親成父子の子孫)へ朱の手形を捺した「御手印置文(おていんおきふみ)」(遺言状)を送り、末永く後世も菩提を弔うことを願われた。水無瀬氏は、お言葉に従い離宮内に聖廟「水無瀬御影堂」を建て、天皇の肖像画と天皇の「御手印置文」を奉安。近隣の僧侶により仏式で明治初年まで慰霊行事が行われていたが、明治6年(1873)、後鳥羽上皇を隠岐島、土御門上皇を阿波、順徳上皇を佐渡、のそれぞれの陵墓から霊を移して合祀。神鏡の奉還にあたっては、勅使と武装した軍隊が護衛したという。当神宮は官幣中社に列せられ、さらに昭和14年に官幣大社に昇格。神宮号を賜り、戦後は神社本庁所属神社として現在に至っている。
 国は明治になって政争などで不遇の生涯を終えた天皇や皇子の神霊を新しく神社を神宮を建立して祀っている。この水無瀬神宮と同時期に、白峯神社を建立し崇徳天皇、淳仁天皇の霊を祀っている。

◇水無瀬神宮の所在地など
・住所:大阪府三島郡島本町広瀬三丁目10-24
・電話:075-961-0078
・拝観:境内自由
・交通:JR東海道線「山崎駅」下車、南西方向へ約1キロ。
 阪急電車京都線「水無瀬駅」下車、東北方向へ約0.8キロ。

阪急「大山崎」駅前に立つ水無瀬神宮の石柱

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