平等寺(因幡堂) びょうどうじ(いなばどう)

真言宗智山派 福聚山 平等寺
京都市下京区烏丸松原上ル東入ル因幡堂町728
平等寺は、「京都十三仏霊場第七番札所」、「洛陽三十三所観音第二十七番札所」である。

 平等寺は、烏丸通と松原通が交差する東北側のビルの裏にある。町名が“因幡堂町”であるように、正式名の平等寺より因幡堂や因幡薬師の通称名で知られている。寺地は、従四位上中納言橘行平(たちばなのゆきひら・第三十代敏達(びんたつ)天皇の子孫)の邸宅。
 橘邸がなぜお寺になったのかは次のとおり。『京都因幡堂平等寺略縁起』によると、平安中期の村上天皇の時代、勅使として因幡国(鳥取)の一ノ宮へ代参していた橘行平は、天徳3年(959)神事が終わって帰京しようとしたが病から寝込んでしまう。行平はひたすら平癒を祈っていたところ、ある夜の夢に異様な姿の僧が現れ
 「この国の賀留津(かるつ)の海中に一つの浮木がある。その浮木は世の全ての人々に神の恵みを与えるために、遠い仏国土から来られたものである。速やかにその浮木を引き上げ、ひたむき(一念)に供養すれば病気は治り、願いが叶うであろう」
と告げた。行平は不思議な夢に心を動かされ、病をおして賀留津に来てみると安太夫(やすだいふ)と名乗る老人と出会い、老人から
「この沖の海底に四方に不思議な光を放つものがある。人々はみな恐れ、心配している」
と告げられた。早速、行平が漁師に命じ、網で海底を探らせると1本の浮木が引き上げられた。近づいてこれを見てみると、それは御丈5尺あまりの薬師如来の尊像で、行平は信心を尽くしてこれを供養すると、たちまち病気が治ったという。大変喜んだ行平は、この浦に草堂を建て尊像(薬師如来)を安置し帰京した。

本堂   観音堂(如意輪観音坐像を祀る)

  京都へ戻った行平は、忙しく役所の仕事を務めていた。ある夜のこと、夢枕に僧が現れ「私は西天から来て、東土の衆生を化益しようと思いやってきた。あなたとは縁がある。あなたは約束事を果たそう」と言った時、行平は夢から覚め、ある約束事を思い出した。それは、行平が京都に戻るとき、賀留津浦の草堂へ参り「近いうちに都へ迎える」と尊像に誓ったことだった。役所の仕事に追われて、延ばし延ばしにしていた。申し訳ない。約束を守って いない・・・・と慙愧に苛まれていると、邸宅の西門で家人を呼ぶ声がする。家人が名を問うと「因幡の僧である」と応えた。行平は、“因幡”と聞いてすぐに家人に門を開けさせると?外には誰もいなく薬師如来の尊像があるのみであった。行平は驚き尊像を大切に取り上げ碁盤の上に置き、すぐさま屋敷を寺に改造して尊像を安置。これが長保5年(1003)4月と伝えられ、平等寺がそのお寺である。平等寺のことを因幡堂や因幡薬師と呼ばれるようになったのは、このことからと思われる。さて、尊像が後光と台座を残して京都へ飛来してしまったことで、尊像のない草堂を賀留津の人々は後光と台座を奉り「座光寺」(現JR鳥取駅の西南にある座光寺とされる)と呼ぶようになったという。この霊験談はひろく伝わり、一条天皇の篤い信仰を受け八つの子院の建立を賜り、勅願所と定められるなど因幡堂は歴代天皇はじめ庶民の深い信仰をうけた。その後、承安元年(1171)4月、高倉天皇から「平等寺」の命名と勅額を賜っている。
 また、鎌倉中期には一遍聖人(時宗の開祖)も一時期この堂に住まわれ、京での布教の起点とされたことから、ますます庶民に身近なお寺となった。とくに室町時代後期になると、経済力を持ち始めた庶民の自治的な組織、いわゆる「町衆」とよばれる組織 がつくられたことはよく知られている。この町衆は、定期的あるいは臨時に集会を開き、町単位での決め事をした。この集会の場を「町堂」と称し、その代表として上京の
革堂(行願寺)、下京の六角堂(頂法寺)そしてこの因幡堂(平等寺)がある。また町衆は、天災や戦乱などの緊急時には、町堂(寺)の鐘を突き鳴らして人々に急を知らせた という。
  しかし、維新を迎え廃仏毀釈などにより衰微。堂宇の殆どを焼失、僅かながら残った堂で法灯を伝えて、明治19年(1886)に本堂を復興、本尊を安置している。また町堂としての機能も再開したが、戦後は町衆とのつながりも薄れ寺を閉ざす時代が続いていた。昭和54年(1979)、再びお寺を開け参拝を受けるようになったという。市中にある平等寺は、たびたびの大災に遭い、寺地も次第に小さくなったが、祀られている本尊薬師如来像は創建当初のものとされ、重要文化財に指定されている。像は一木作りで、古くから善光寺(長野県)の阿弥陀如来像、清涼寺(京都・嵯峨)の釈迦如来像とともに、日本三如来に数えられている。

◇平等寺(因幡堂)の所在地など
・住所:〒600-8415京都市下京区烏丸松原上ル東入ル因幡堂町728 
・電話: 075-351-7724
・参拝:境内自由
・アクセス:京都駅から市バス「烏丸松原」下車すぐ


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