これはまだ、パフェがラムネスに会う前、キラキラ神霊界がアブラームに制圧される前の話・・・。
キラキラ神霊界でのある日、パフェは買い物をしに街中へ来ていた。
パフェがぶらぶらと歩いていると・・・
「そこのお嬢さん。赤い髪をした綺麗なお嬢さん!」
と呼ぶ声が。
きょろきょろと周りを見るパフェ。
周りには赤い髪の女性は自分以外にはいないようなので、どうやら自分を呼んでいるようだと気付き、
「綺麗なお嬢さんって私のこと〜?」
と、パフェは嬉しそうな声と顔で、自分の名を呼んだ声の主の方を向く。
そこには黒い服を着ていて、丸いサングラスのような黒メガネをした小太りのおじさんが
木の桶の前に座っていた。
「そう! そこの綺麗なお嬢さん、金魚を買いませんか〜? お安くしときますよー!」
愛想よくおじさんはパフェに金魚を勧める。
「金魚・・・?」
「そう、金魚! おひとつ、どう?」
パフェはおじさんの方へ近づき、桶の中を覗き込んだ。
しかし、桶の中には金魚など一匹もいなく、水が入っているだけ。
「なによー、金魚なんかいないじゃない! それで金魚を売ろうとするなんて、あたしギモン〜!」
「いやいや、実は1匹だけ売れ残ってしまってね〜。
お安くするって言ったけど、タダでいいからもらってくれないかな〜、綺麗なお嬢さん!」
「売れ残り〜!? 『綺麗なお嬢さん』と言われて悪い気はしないけど、
売れ残りの金魚をもらってもなぁ・・・。タダっていうのがまた怪しいし・・・。」
「売れ残りといっても、そこら辺の安物の金魚とは訳が違う、超高級の出目金だよ!」
「超高級〜!? ほんとに〜?」
パフェはまだ疑っている目でおじさんを見ている。
「そうだよ! その金魚には名前が付いていて、
その名も『キング・サイダロン・クィーン・スカッシャー2世』っていうんだ!」
「あはははは! なにそれ!? おかしな名前! けど、どこかで聞いたことがあるような・・・?」
パフェが金魚の名前に爆笑している間に、おじさんはさっさと店じまいの準備をしていた。
「いやはや、お嬢さんみたいに綺麗な人にお会い出来て良かったよ〜!」
そう言うとおじさんは、金魚を入れるひもの付いたビニールの袋をパフェに差し出した。
「へ? なに、なに?」
袋を渡されて戸惑うパフェをおかまいなしに、おじさんはその袋に水を入れ、こう言った。
「お嬢さん、その袋の口を開けたまま、持っていてくれないかい?」
「こ、こう・・・?」
おじさんに言われるがままにするパフェ。
そしてずっと座っていたおじさんがすくっと立ち上がり、
「じゃ、金魚をかわいがってあげてね! よろしく!」
と言った。
「ちょ、ちょっと! 私、まだ飼うなんて言ってないわよ!」
「じゃ、行くよ!」
「へ!?」
突然、おじさんがパフェに向かって飛びついてきた。
「キャー!! なにすんのよー・・・・って、あれ?」
ぱちゃん。
飛びついてきたおじさんの姿は無く、袋の中から水の音がしただけだった。
「あれ・・・? おじさんは?」
そう言いながら、パフェが持っていたビニール袋の中を覗いてみると、
そこには黒い少し太めの出目金が1匹、ゆらゆらと泳いでいた。
「ま、まさか、あのおじさんが金魚・・・!? あは、あはははは・・・。まさか・・・ね。」
不思議な感じがしたまま、パフェはその金魚を持って帰ることにした。
そしてきちんと自分の部屋で飼い、世話をしましたとさ。
いかがでしたか? VSラムネ小説の2作目。
今回は少し不思議なお話風にしたかったんですけど、どんなものでしょうか。
やはり書いている人間の力量不足が前面にでているのでは、と思います。
パフェを主役にしたのは、金魚売りのおじさんとのやり取りが一番ピッタリ来るキャラをと考えたら、
自然と決まりました。
私的にはこれでよかったと思います。
VSラムネの小説は、どれくらいのペースになるかはわかりませんが、
なんとか続けていこうとは思いますので、お付き合いのほど、よろしくです。