ここはアンアンゾーンのドラムの家。

ここに、ソファーでぐーすか寝ている男がひとり。ラムネスである。

そこに彼の名を呼ぶ、3人の女性の声が。

「ラムネス様ー!」

「ラムネス様〜!」

「ラムネス様ぁ!」

ラムネスを呼んだのはドラム、チェロ、トランペットの3人のアンドロイド少女たちであった。

「・・・んぁ?」

まだ少し寝ぼけながら、彼女達の声にようやくラムネスが目を覚ました。

「ん?ドラムたち、どうしたの?」

「はい、ラムネス様にプレゼントです!」

と、ドラムが笑顔いっぱいで答える。

「え、プレゼント! 何、何?」

プレゼントと聞いて、がばっと飛び起きるラムネス。

ラムネスにとっては、彼女たちがくれるものなら何でもOKの気持ちでいっぱいなのだが、

それとは別に、いやがおうにも期待感は最高潮になっていた。

「はい、これです。チョコレートです!」

と、今度はチェロが答えた。

続いてトランペットが、

「ラムネス様の世界では、『ばれんたいん』って言って、好きな男性に女性がチョコレートをあげる習慣があると

とある本に書いてあったんです。それで私たち、ラムネス様にチョコレートをと思って・・・。」

と話した。

するとラムネスがさらに身をのりだして、

「おぉ! 甘いもの大好き、特にチョコレートは大好きなんだよ! いやー、嬉しいなぁ〜!」

と満面の笑み。

「ほんと!? よかったぁー! じゃあ、最初に私が作ったやつから食べて、ラムネス様!」

そう言ってドラムが出した皿の上には一口サイズのチョコが10個ほど乗っていた。

ドラムだけでなく、チェロやトランペットのチョコも一口サイズのものだった。

「私たちが見た本には、チョコレートの中にチェリーを入れたものが載っていたんですけど、

 今、チェリーが無かったんで、冷蔵庫にあった赤い食べ物をチョコの中に入れたんです!」

「へ〜そうなんだ。そこまで手間をかけて作ってくれたなんて・・・オレは今、モーレツにウレシーッ!!!」

「ラムネス様、感動もいいですけど、早く食べてくださいよ!」

ドラムがラムネスに早くチョコを食べるよう、勧める。

「よ〜し、じゃ早速。これがドラムが作ったやつだね。」

パクっと一口でチョコを口に放り込んだラムネス。すると・・・

「んがっ、んがががっ。な、中身は何だい? ドラム・・・。」

「これですよ。」

と、ドラムが出したのは辛子明太子。

確かに赤いが、これにチョコレートって・・・。

(明太子にチョコって合うかどーかわかるじゃんか、普通・・・)

心の中でつぶやくラムネス。

「おいしくないですか?」

悲しそうな表情をするドラムにラムネスは、

「へ!? あ、いやいや、おいしいよ、うん! あまりにうまくてビックリしたんだよ、ナハハハハ・・・。

 パクッ、パクッ。んががががっ。」

と無理して明太子チョコをさらに3つも口の中に放り込んだ。

「じゃあ、ラムネス様! 次は私が作ったのを食べてください!」

と言って皿を差し出したのはトランペット。

「これだね。じゃ、いただきま〜す、パクっ。」

気を取り直して、ラムネスがトランペットの作ったチョコを口に放り込むと・・・、

「んごがっ、ト、ト、トランペット・・・、このチョコの中身は・・・?」

「これですよ。」

トランペットが出したのはなんと、赤唐辛子。

(だから辛いのとチョコが合うわけないじゃんかよ〜)

と、またしても心の中でつぶやくラムネス。

これはさすがに参った、と思ったラムネスだったが、ドラムのようにトランペットに悲しい顔をさせまいと

チョコをさらに2〜3個、口の中に放り込む。

「んがっ。か、か、辛い・・・、いや、うまい! うまいよ〜、トランペット!」

「そうですか、よかった〜!」

ホッとした表情のトランペット。

残るは、チェロが作ったチョコ。ここでラムネスは少し食べるのを少し躊躇していた。

(う〜む、ドラムとトランペットが作ったチョコが、あんな強烈なものだったんだ・・・。

 この展開からいくと、チェロの作ったものも強烈、いや、それ以上にとんでもないものかも・・・。

 チョコに合わない赤い食べ物なんていくらでもあるからなー。

 いやしかし、男として食べないわけには・・・)

ラムネスが心の中で必死に戦っていると、

「ラムネス様、どうしたんですか?」

心配そうにチェロがラムネスの顔をのぞき込む。

「い、いや何でもないよ! こ、これがチェロが作ったチョコだね。」

「はい。けど、二人の使った食材に比べると、あまり自信がないんですけど・・・。」

このチェロのコメントに、さらに食べるのをためらうラムネス。

しかし、悩んでもムダだと意を決してチェロのチョコを食べた。

「パクッ・・・。・・・・、ん? うまい。これは・・・リンゴ?」

「はい、そうです。他に赤い食べ物がなくて・・・。おいしいですか?」

さらに不安な様子のチェロ。

「うん、これもおいしいよ、チェロ。あとドラム、トランペット。みんな、オレのためにありがとう!」

「よかった〜! ラムネス様に喜んでもらえれば、私たちはそれだけで嬉しいです!」

と、ドラムが飛び跳ねて喜ぶ。

そのドラムの言葉を聞いて、ラムネスは少し心が痛んだ。

(そっか・・・。ドラムたちはオレに喜んで食べてもらいたくて、気持ちを込めて一生懸命作ってくれたんだよな。

 それなのに、オレは心の中でヒドイ事を言ってしまったり、食べるのを躊躇する気持ちがあったりして・・・、

 オレは今、猛烈に恥ずかしい・・・。ごめんな、みんな。そして・・・)

そうするとラムネスは立ち上がり、3人に深々と頭を下げた。

「ドラム、チェロ、トランペット! 改めて、ありがとう! みんなの気持ち、すごく伝わったよ。」

「ラムネス様・・・(×3)。」

「オレもみんなにお返しをしなくちゃな。

 オレがみんなにできるお返しは・・・アブラームを倒して、この世界に平和を取り戻し、

 ドラムたちに心から笑えるようにしてあげること。だから、もう少し待ってくれないか。

 必ず、そうなるようにして見せるよ!」

「ラムネス様・・・。はい! 頑張りましょう!」

ドラムたちのその笑顔を悲しませることのないよう、ラムネスは心に誓った。


(必ず・・・、君たちに心からの笑顔を・・・・。)










 いかがでしたでしょうか? 初のVSラムネ小説。
内容はNGラムネと変わらず、さっぱり訳のわからないものになりましたね。
それでも、最後まで読んでくださった皆様に感謝いたします。


今回はバレンタインのお話でしたが、これを書いていたのは5月・・・。
時期もへったくれもないですな。


VSラムネの小説は、どれくらいのペースになるかはわかりませんが、
なんとか続けていこうとは思いますので、お付き合いのほど、よろしくです。








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