生涯、食べたときに「うまい」と感じたものは案外数少ないと思う。
で、最近これに勝るとも劣らない、リアクションとしては味皇様、うなり加減では雄山、絶賛プリは100年後のお菓子を食べたのび太並みの食材と出会ってしまった。出会いはいつも突然です。
それは……
ところてん。
そうだよ、ところてんだよ。天草で固めた、ぷりぷりの食感以外ぶっ掛ける酢醤油の味しかしない、あのところてん。
もうね、信じられない衝撃が脳天を突き抜けるんですよ。たかがところてんのくせに。
もともとワタクシはところてんが嫌いだったわけです。
食感といい、味といい、何で合いもしない酢醤油をかけて食うのかわからいほど、もう酢醤油がかわいそうでかわいそうで……。酢醤油がこんなにまずくできるのはところてんしかない!! と信じていたくらいなシロモノだったわけです。
ところがね。
天草から作ったという、手作りところてんを母親が出してくるわけですよ。
ほんと、ありえない。
でもとにかく一度食ってみろと、ところてん嫌いのワタクシにところてんを強要。お前はそれでも親か!? かわいいわが子に不気味な食感と酢醤油の合わない日本の恥とも思っているお菓子を食えと!? 畜生、これがのどに詰まって死んだら呪い殺してやる……。
とまあそこまでは考えなかったものの、乗り気にならず一口だけ食べてみる。
つるり。
……ん? こ、これは……???
なんとゆううまさだーーーー!!!!
もうね、味皇様もびっくりの、口の中が光り輝くような、舌の上でシャッキリポンな、おい女将を呼んで来いといいたくなるような、とんでもないうまさ。のび太が涙してうまいと言ったあの100年後のお菓子の味はまさしくこれだ!! と思ってもいいくらいのうまさなわけです。
酢醤油が……こんなに引き立つ食材が未だかつてあっただろうか、いやない!!
って。後世に残すべき、最高傑作なお菓子ですよ。いや、お菓子なんていったら罰が当たりかねない、もうこれは一種の芸術品で、最高の料理ですよ!!
今まで食べていたところてんなんて、ところてんではない。これからはところてんの名を汚すようなバッタモンところてんは一切販売を中止するか、ところてんという名前で店頭に並べてほしくないね。ギンムツみたいに。
本物がうまいとか、自然から作ったものがうまいとか、添加物がだめとかは一切言わないよ。
なんといってもここまでうまいと言わしめたのは「フィレオ・フィッシュ」と「吉野家の牛丼」なんだから。
でも、ところてんだけは……ところてんだけは……。
とまぁ、ところてん絶賛レポート。
本当、うまいよ。ところてん。
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