こちらメリケン探偵社  劇場版
『地上最強』 - the strongest on the ground -
 
東京の主要な建物が何者かによって占拠された。
国会議事堂、東京駅、羽田空港、都庁、そして警視庁本庁舎までもがその手に落ち、行政、経済、交通網は完全に麻痺した。
それに便乗した悪者が次々と犯罪を働き、中にはニセの犯行声明まで出す者も表れ日本中が混沌とした状態になった。
事態を重く見た政府は、その重い腰をようやく上げ、全国の警察官、そして自衛隊の出動要請までも行ったが、
それでも事件解決の糸口すらつかめなかった。

そこで茶木麗の直訴で、内閣は特別措置として南健太郎と沢下条茉梨にその全権を委ね、犯人を逮捕するように依頼した。
そしてとうとう犯人から本物の犯行声明が出された。
内容は天皇制の廃止、国会の即時解散、そして共和党の単独政権樹立である。
それらの要求を1つでも拒否すれば占拠中のビルを全て爆破すると言う前代未聞のテロだった。
当初依頼を断っていた健とマリだが、犯人の名前を聞いて驚愕した。
その犯人とは元日本人特攻隊第2代隊長「二階堂 玄」。健太郎の師匠である。

応援に駆けつけた光一郎や恵、昔の傭兵仲間が傷つき、そして親友だったマイクが死んだ。
怒りと悲しみに打ちひしがれる健とマリ。そしてラストバトルが始まる直前、健はマリにつぶやいた。

「この件が片付いたらお前に話しがある。・・・大事な話しだ。」
「わかった。じゃあ絶対に勝って、その話しを聞き出してやる。」と、マリ。
こうしてメリケンと二階堂の"地上最強"をかけた戦いが始まった。

しかし、いくら2人がかりで奥義を駆使しても二階堂は倒せない。健は"もうダメか"と思った瞬間、あることに気づいた。
それはマリのスピードが上がっているという事。そして今も少しづつ、少しづつ疾くなってきていると言う事だった。
マリは自分自身、気づかぬうちに、この闘いのさなか二階堂でさえ断念した「村上流」を体得していたのだった。
神から与えられた才能、"天賦の才"によって・・・。

勝機を見出した健太郎は、最後の賭けに出る。それは二階堂との"一撃"勝負。
自らの気を全て右拳に集め、一気に放つ。二階堂もそれに応え迎え撃つ。
相打ちかと思われた瞬間、二階堂の頭上にはマリが跳んでいた。
そして二階堂がマイクを殺した必殺技、"翔"が炸裂する。二階堂もすぐさま反応し反撃に出る。
が、健太郎がその攻撃をブロックする。神業とも言うべきコンビネーションが勝敗を分けた。

二階堂は息を引き取る直前つぶやいた。
「お前達なら本当に地上最強、いや史上最強にさえなれるかも知れんな・・・。」

だが別れを惜しむまもなく轟音が2人をつつんだ。敵の中の1人がビルの爆破スイッチを押したのだった。
満身創痍の体で脱出する2人。崩れ落ちる壁や天井。だがそこにマイクの亡骸があった。
連れ帰ろうとするマリの頭上に柱が落ちてくる。ふと見上げると、健太郎が盾となって柱を支えてくれえている。
「何やってんだ!早くしろ!」健の体は限界だった。
それを見たマリは、ふんぎりをつけるかのように「ごめん・・・マイク」と言い残し、健の腕を取り走り出す。

その頃、ビルの外では健とマリを逮捕する為に機動隊が待機していた。
二階堂と同じ特攻隊出身と言うだけで共犯の容疑がかけられたのだ。

本当の敵は"日本"そのものであった。



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