マナマナ2・おまけシナリオ
マナと乙女の希望の胸当て・後編
翌朝、まだパロさんが眠っている間に起き出したあたしは、早速乙女の希望の胸当てを試してみることにした。
でもね、着替えのシーンは乙女のトップシークレットだから。
その様子はお見せできないんだなあ。
覗いたりしたらダメだからね。
数分後。
乙女の希望の胸当てを装備して、その上からセーターを着た姿を鏡に映してみた。
「これ・・・あたし?」
あまりの変わりように、しばし呆然。
そして次の瞬間、へにゃあって頬がゆるんだわ。
だってそれは、夢にまで見た光景だったんだもの。
セーターの胸元がふっくらと膨らんで、とても女性らしい身体のラインを描いていたのね。
昨日までのペタンとした胸とは大違い。
これこそあたしが求めていたものよ!
あたしは上機嫌のまま、朝食の準備に取り掛かることにしたわ。
キッチンにはもうすでにシン君の姿があったの。
昨夜はいなかったはずなのに、いつの間に帰ってきたのかしらね。
「シン君、おはよう」
「ああ、おはようマナ・・・」
シン君の挨拶の言葉が止まったわ。
そしてあたしの胸元をじっと見ているじゃない。
ふふっ、どうやら乙女の希望の胸当ての効果は抜群みたいね。
シン君の前でわざとらしく胸を張ってみせる。
ふんぞり返った姿勢のまま、シン君の目の前を意味もなく行ったり来たり。
驚いた様子のシン君の視線はあたしの胸元にロックされたまま。
ふふふ、見惚れてる、見惚れてる♪
うーん、男の子って本当に女性の胸が好きなのねえ。
ちょっと呆れちゃうけど、でも異性の視線がこんなに快感なのは生まれて初めての経験だわ。
やがて。
「マナ・・・」
シン君があたしの名前を呼んでくれたの。
何か褒めてくれるのかなって、あたしもドキドキしちゃうわ。
『似合ってるよ』とか『見違えた』とか言われたらどうしよう?
ううん、それよりも『マナ、素敵だよ。君は理想の女の子だ。是非付き合ってくれ』なんて言われちゃったりして。
でもあたしはこう答えるの。
『ゴメンねシン君。シン君はあくまでパーティの仲間だから』
なんて、あたしってばちょっと悪い女かしら?
あたしはちょっと上目使いでシン君を見つめながら、彼の言葉を待つことにしたわ。
そしてゆっくりとシン君の口が動き始めたの。
「いくらなんでも、中身詰め過ぎ」
「うっ・・・」
シン君の言葉にグサリと傷付くあたしでした。
「シン君、やっぱり分かる?」
「当たり前だ。いくらなんでも、一晩でそんなに大きくなるわけないだろ」
それもそうよね。
後で説明書を読み返してみたんだけど、「使用する際は周囲に気付かれないように+1から始めて、徐々に+2〜+3へと増やしていくように」って書かれてあったの。
少しずつ胸を大きくしていってバレないようにするのがポイントだったのね。
なのに、嬉しさのあまりに舞いあがったあたしは、いきなり+3から始めちゃったものだから。
それはバレて当然よね。
「まあ落ち込むなって。そのうち大きくなるから、な」
そんなふうに慰められたって、ちっとも嬉しくなんかないし・・・
「うー、シン君のバカぁ・・・」
さっきまでの上機嫌はどこへやら、すっかり落ち込むあたしでした。
気分はまさに天国から地獄だわ。
そこへ。
「二人とも・・・おはよう・・・朝から賑やかねえ・・・」
大きなあくびをしながら、パロさんが起きて来たの。
まだ寝ぼけているのか言葉も回らず、髪もぼさぼさ、メガネだってナナメに傾いているし。
そしてパジャマの胸元がちょっとはだけて、あたしにはない谷間がはっきりと見えているわ。
「パロさん、パジャマパジャマ!」
あたしは慌ててパロさんにパジャマの胸元を直すように注意したの。
「ふぇ? どうかした・・・」
でもまだ寝ぼけたままのパロさんは、どうにも頭が回っていないようで。
その隙をシン君が見逃すはずはないわ。
「うわっ、朝から良いもの見せてもらったぜ。やっぱり胸は大きいほうが良いよなあ・・・」
ニヘヘとイヤらしく笑うシン君。
それを見てブチっと切れたあたし。
「シン君てばもう! よーし、サモン、バンシー」
あたしが叫ぶと召喚陣が輝き、バンシーのティアちゃんが現れたの。
「マナちゃん、何か用かしら?」
「ええ。シン君が朝から元気が有り余っているみたいだから、ちょっと相手してやってもらえるかしら」
「それは、『吸っちゃっても良い』ってことかな」
「そうね。遠慮せずにやってちょうだい」
あたしが命じるとティアちゃんはシン君へと手を伸ばした。
「うわっ!」
それを見たシン君の顔色が一瞬にしてサァっと青ざめ、狭い部屋の中を懸命に逃げ回る。
ティアちゃんもシン君を追って部屋の中を駆け回ったわ。
「待てマナ、話し合おう。って、どうせ吸われるならサッキュバスのほうがー!」
「へっ・・・?」
シンクン、イマナンテオッシャイマシタカ?
「ねえシン君、何でサッキュバスのこと知ってるのかしら?」
「私よりサッキュバスのほうがお好みなんですかぁ?」
怒りに肩を震わせるあたしと大粒の涙を浮かべるティアちゃん。
「いや、それは・・・決して覗いていたとかそんなんじゃ・・・」
「もーう、シン君のエッチー! ティアちゃん、遠慮せずにやっちゃって」
「了解です」
ガブリとシン君の首筋に噛み付くティアちゃん。
そして我が家には、朝からシン君の悲鳴が響き渡ったのでした。
マナマナ2・おまけシナリオ・・・END