nForce4 Ultra を試す

いつの間にやらAGPは過去のものとなりPCI-Expressの時代となってしまいました.
もうPCパーツショップではAGPグラフィックボードよりもPCI-Expressグラフィックボードのほうがたくさん売れている
というところも少なくないようです.
個人的にはAGPは「まだだ…まだ終わらんよ」だったのですがそうとはいっていられない状況のようです.
とりあえずPCI-Expressに移行したいのも山々なのですが,
マザーとグラフィックボード両方を購入せねばならず,踏みとどまっておりました.
しかし,ある時地元のショップを訪れてみると….見つけてしまいました,PCI-ExpressとAGPが使えるマザー.
このマザーについてはネットもある程度は知っていたのですがPCI接続のAGP互換スロットXGPスロットを装備しており,
AGPグラフィックボードを利用しつつ,PCI-Express環境に移行できるということで,つい衝動買いしてしまいましたw
まあそれ以外にもシリアルATA2とかハードウェアファイアーウォールなどの機能にも興味があったわけですが.
AMDCPU用チップセットで最高性能といわれるnForcesシリーズをぜひ一度試してみたかったのです.
ということで早速以前試用していた環境との比較ベンチを行ってみました.
このマザーの特徴のひとつXGPスロットですが,PCIはAGP8Xの1/16しか帯域速度がありません,それに接続されている
XGPスロットですので,当然本物のAGPと比較して大きく性能が落ちることが予想されます.
果たして本物のAGPスロットにどの程度迫れるのか?シリアルATA2の性能は?K8最新のチップセットnForce4 Ultraの実力は?
テスト環境
CPU | AMD Athlon64 3500+ 2.2GHz Winchesterコア |
メモリ | I-O DATA DR400-512M*2 1GB |
マザー | Bioster NF4UL-A9 nForce4 Ultra | ASUS A8V-Deluxe K8T800Pro |
VGA | GeForce6800LE AGP版 |
HDD 01 | HGST GHDS728080PLA380*2 80GB*2 RAID0 |
HDD 02 | Seagate OEM160-72A |
結果
Superπ 104万桁
CPU | nForce4 U | K8T800Pro |
Time | 40秒 | 40秒 |
定番のSuperπ104万桁.やはり同じCPUではそれほど大きくは変わらないようで,同タイムとなりました.
ただもっと桁数を増やせば差が出てくるかもしれませんね.
HDBENCH Ver3.30
CPU | nForce4 U | K8T800Pro |
ALL | 86129 | 85173 |
CPU Integer | 102923 | 102528 |
CPU Float | 120655 | 120257 |
MEM Read | 115920 | 114744 |
MEM Write | 98417 | 70583 |
MEM Read&Write | 150073 | 131940 |
VGA Rectangle | 90736 | 94200 |
VGA Text | 73541 | 60357 |
VGA Ellipse | 11080 | 13160 |
VGA Bitblt | 1133 | 1090 |
VGA DirectDraw | 59 | 59 |
HDD Read | 109051 | 102296 |
HDD Write | 112899 | 118930 |
HDD FileCopy | 66913 | 76289 |
あまりあてになりませんが定番その2のHDBENCHです.CPUの項目は誤差程度ですがnForce4 Ultraが好成績となっています.
メモリでは以外にもnForce4とK8T800Proで大きな差が出ています.
Athlon64ではメモリコントローラはCPUに内蔵されているためあまり大きな差は出ないと思っていましたが….
nForce4のほうがAthlon64の力を引き出せているということでしょうか.
VGAの項目では,ほぼ同じ結果となりました.2DではXGPの影響は少なそうです.
個人的にはほとんど3Dゲームはしないので,2Dがこの結果ならとりあえずは満足です.
HDDの項目では,nForce4 UltraのシリアルATA2の効果を期待していましたが,なんとK8T800Proのほうがおおむね好成績となりました.
う〜ん,シリアルATA2は現状ではあまり意味ないのかもしれませんね.
CrystalMark 0.9.106.240
CPU | nForce4 U | K8T800Pro |
Mark | 64554 | 74940 |
ALU | 8407 | 8341 |
FPU | 9482 | 9301 |
MEM | 7047 | 6400 |
HDD | 13503 | 13386 |
GDI | 9180 | 8724 |
D2D | 9041 | 8798 |
OGL | 7894 | 19990 |
総合ベンチCrystalMarkです.特に気になったメモリは下で詳しく述べるとしてとりあえず総合点では
やはり3D(OGL)で圧勝しているK8T800Proが勝利しています.しかしそれ以外の項目ではすべてnForce4 Ultra
が勝利しており,nForceシリーズの優秀さを物語っております.
しかし,期待していたHDDの項目があまり大きな差がないということはちょっと残念なところです.
NCQとか結構期待していたのですが.グラフィック系では2D(GDIとD2D)はXGPの影響は全くないのか,
nForce4 Ultraのほうがむしろいい成績です.しかし3D(OGL)では圧倒的に負けております.
やはり大量のデータのやり取りのある3Dでは1/16しかない帯域ではかなり力不足であるといわざる終えないでしょう.
CrystalMark 0.9.106.240 MEM
CPU | nForce4 U | K8T800Pro |
Read | 2184.26MB/S | 2172.55MB/S |
Write | 1637.10MB/S | 1339.19MB/S |
Read&Write | 1596.71MB/S | 1272.73MB/S |
Cache | 16089.10MB/S | 15956.82MB/S |
CrystalMarkのMEMの項目から,メモリの速度です.HDBENCH同様nForce4 UltraのほうがK8T800Proよりも
Write,Read&Writeの項目で大きな差ができております.これがチップセットのせいなのか,
それともマザーのせいなのか….Readはほとんど変わらないだけに何が原因かよくわかんないです.
3DMark2001SE
CPU | nForce4 U 6800LE ノーマル | nForce4 U 6800LE 16パイプ化 | K8T800Pro 6800LE ノーマル | K8T800Pro 6800LE 16パイプ化 |
Score | 13815 | 13973 | 18138 | 19499 |
まだまだ現役の3DMark2001SEです.
さすがにPCI接続のXGPでは本物のAGP装備のK8T800Proの70〜80パーセントの成績です.
また,帯域速度が足を引っ張っているのか16パイプかしてもほとんどスコアに変化がありませんでした.
まあさすがにこれくらい点があればDireceX 8世代のゲームならなんら問題なくプレイできそうですが….
3DMark03
CPU | nForce4 U 6800LE ノーマル | nForce4 U 6800LE 16パイプ化 | K8T800Pro 6800LE ノーマル | K8T800Pro 6800LE 16パイプ化 |
Score | 5501 | 6937 | 6917 | 9407 |
3Dの定番ということで3DMark03です.こちらはノーマルでは3DMark2001SEよりも差が少ないようです.
処理が複雑になり帯域への負荷が減ったからでしょうか.パイプを増やせばそれなりに早くなります.
さすがに本物のAGPには及びませんが,前世代ハイエンドのRADEON9800XTやGeForceFX5900よりはよい成績なのでそれなりに
ゲームはできそうな気がします.
3DMark05
CPU | nForce4 U 6800LE ノーマル | nForce4 U 6800LE 16パイプ化 | K8T800Pro 6800LE ノーマル | K8T800Pro 6800LE 16パイプ化 |
Score | 867 | 991 | 2379 | 3363 |
3DMark05です.ついにこの時が来てしまった.nForce4 Ultraが圧倒的に負けております.
さすがにこのくらいの3DレベルともなるとXGPのような小手先の技はついようしないようです,K8T800Proの
本物のAGPと比較して1/3程度のスコアとなってしまいました.う〜ん,さすがにこの点数はショックです.
最新の重いゲームにはXGPスロットは使用できなそうですね.
FF BenchMark 3
CPU | nForce4 U 6800LE ノーマル | nForce4 U 6800LE 16パイプ化 | K8T800Pro 6800LE ノーマル | K8T800Pro 6800LE 16パイプ化 |
LOW | 5217 | 5430 | 6703 | 7176 |
HIGH | 3456 | 3662 | 4708 | 5195 |
未だ人気の高いFF11のFFBench3です.XGPでも以外にスコアは健闘しています.
しかし,ベンチ中に妙にカクカクするところがあり,点数はそれなりでもゲームをするのは難しいんじゃないかと
思ってしまう部分がありました.
午後ベンチ
CPU | nForce4 U | K8T800Pro |
Q=0 | 27.43倍速 | 27.36倍速 |
Q=5 | 72.96倍速 | 72.78倍速 |
Q=8 | 113.85倍速 | 113.48倍速 |
午後ベンチですべての拡張命令を有効にした状態での結果です.すべての項目で微妙にnForce4 Ultraが
上回っております.やはりXGPに負荷がかかる3D以外ではnForce4の方が早そうです.
エンコード TMPGenc 2.59.47.155
CPU | nForce4 U | K8T800Pro |
WMV→AVI(無圧縮) | 1分08秒 | 1分12秒 |
AVI(無圧縮)→MPEG1(固定レート) | 1分49秒 | 1分49秒 |
AVI(無圧縮)→MPEG2(固定レート) | 1分54秒 | 1分54秒 |
AVI(無圧縮)→AVI(WMV-VCM QB80) | 4分52秒 | 4分57秒 |
TMPGencを用いたエンコード結果です,日本ファルコムのHPで落とせる
イースY〜ナピシュテムの匣〜のデモムービーをTMPGencで無圧縮AVIに変換し,
それをMPEGやWMV-VCMに圧縮するのにかかる時間を測定しました.
MPEGへの変換はほとんど変わりませんがWMV→無圧縮AVI,無圧縮AVI→WMV-VCMではnForce4 Ultraが勝っています.
このあたりもメモリ性能が影響しているんでしょうか.エンコードはけっこうするのでエンコードが速いのはうれしい限りです.
エンコード aviutl A98c
CPU | nForce4 U | K8T800Pro |
AVI(無圧縮)→AVI(WMV-VCM QB80) フィルタなし | 4分41秒 | 4分34秒 |
AVI(無圧縮)→AVI(WMV-VCM QB80) フィルタあり | 5分50秒 | 5分31秒 |
先ほどTMPGencで作成した無圧縮AVIをWMV-VCMで圧縮するのにかかった時間を測定しました.
フィルタありは個人的によく使うノイズ除去フィルタ,ノイズ除去時間軸フィルタ,シャープフィルタの
3つを掛けた場合の圧縮にかかった時間を表しています.aviutlは圧縮にかかる時間を記録していないようなので
時間はストップウォッチで測定しました.
結果はTMPGencとは逆でK8T800Proのほうが良好な結果となりました.
原因は不明ですが同じ条件で何度やってもほとんどこの結果になるので間違いはないと思います.
個人的にはaviutlのほうがよく使うのでこの結果はあまりいいものではないですね.
考察
そんなこんなでnForce4 Ultraを搭載したNF4UL-A9を試したわけですが,結果としてはかなり微妙です.
性能はおおむねK8T800Proを上回りますが,この程度の微小な差では体感することは難しいでしょう.
そして,nForce4は熱いといわれているだけあってチップセットファンがかなりうるさいのもマイナスです.
XGPスロットですが,これはあくまで画面を映し出すだけと考えたほうがいいかもしれません.
高価で高性能なグラフィックボードをお持ちの方はおそらくこの成績では満足しないでしょう.
ゲームを楽しみたい方は素直にPCI-Expressのグラフィックボードを買ったほうが幸せかもしれません.
ただ,私のように3DゲームをほとんどしないけどとりあえずPCI-Express環境に移行したいという人には
安定してますしお勧めではあります.
シリアルATA2は現状ではほとんど意味ないのかもしれません.
体感的にもベンチでもほとんど差が見られませんでした.ただ出たばっかりの規格のようでこれからに
期待ですね.
やっぱり画質が悪いぞ…
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