磯の幸を食する  

カメノテ
カメノテ
 磯の岩のすき間などについている「カメノテ」。その名のとおり、亀の手のような形をしています。これをナイフや棒などでこそげとり、塩ゆでします。
 そして、殻と根元のざらざらした部分をむき、中身を食べよう。貝類に似たプリッとした食感で意外なおいしさ。新鮮なものなら、生でもOKだ。
 また、みそ汁のダシにするとうまみ抜群!伊豆七島の民宿などでは、カメノテのみそ汁が出されるとか。
カメノテは、フジツボの仲間。波がかかると、
殻の上部からエサのプランクトンをとるために、
「まん脚」という触覚のようなあしを出します

テングサ
干しテングサ
磯の浅いところにはえている、赤紫色の海藻。マクサと呼ばれることもある。テングサをとって、乾かす、洗う、乾かす、洗うを繰り返すと、次第に紫の色がぬけてうす黄色に。
 これを水をはった鍋に入れ、酢(または夏みかんの絞り汁など)を少々入れて弱火で煮る。次第にテングサがトローッとしてきたら、布巾などでこして流し箱などに入れて冷やそう。1時間もすれば、プルンプルンの寒天のできあがり。市販の寒天でつくったものより、色も味も濃く、弾力もある。
サイの目に切って黒蜜などで食べるもよし、ところてん突きで細長く押し出したものを、からし酢じょうゆで食べるもよし。
 内房では、土産物屋などですでに干しあげた(左の写真のような)テングサを売っているので、見かけたらお試しあれ! 夏のデザートに絶品! 食物繊維たっぷりで、おなかの調子もよくなるし・・・。
似たような海藻がいっぱいあるので、けっこう見分けにくいかも。写真は、干しあげた状態。

干しワカメ
ワカメ
 ワカメがとれ出すと、房総に春が来る。2月下旬から3月いっぱいくらいまで、磯にはワカメが生える。でも、意外と生えているのがワカメだと気づかないことも多いのだ。なぜなら、生えているときのワカメは、赤茶色(売っているワカメのような鮮やかな緑色ではない)。それが、湯に通すと、あの鮮やかな緑色に一瞬にして変わるのだ。
 夏に磯遊びに来た人などが、「あっ、こんなところにワカメがいっぱい!」と喜んで緑色の海藻をとってたりすることがあるが、たいていそれは、アオサやヒトエグサといった別の海藻。
 ワカメは、上から根元まで全部食べられる。うすい葉?の部分は、みそ汁、酢の物、といったおなじみの使い方。中央の太い茎はうすく刻んで佃煮に(昔、「くきわかめ」って佃煮のビン詰め、「桃屋」かどこかのが売ってませんでしたか!?)。
 根元のひらひらした部分はめかぶ。ここは湯通ししたあと、細かく刻んでかつおぶしと酢じょうゆなどをかけていただく。トロトロネバネバしていて、あったかいご飯にかけても、酒の肴にもおいしい。すでに細く刻んで乾燥させたものも、土産物屋などで売られていて、こちらは水で戻してから同様に食べる。
ワカメ
保存は、バリバリになるまで乾燥させて、上の写真のように、干しワカメにするのが簡単。しけないように保管すれば、いつでも料理に使える。
左の写真は生のワカメ。ワカメはもともとはこんな茶色い海藻です。
ワカメ干し
ワカメのとれるシーズンになると、庭先や漁港などで、干されたワカメガヒラヒラと風になびいているところが見られます。房総の風物詩!?

アラメの付け根 アラメ
アラメ
 内房の漁港では、2月ごろになると、干したアラメがヒラヒラと風に吹かれている風景が見られる。そっくりな海藻で「カジメ」というのもあり、こちらも食べられるそうだが(下記)、我が家の周辺で干されているのは、なぜかアラメである。いずれもコンブ科の海藻。
 葉の部分だけを干し、パリパリになったら保管。食べるときは、ヒジキのように水でもどし、これまたヒジキのようにしょうゆや酒、みりん、だしなどで炒め煮する。にんじん、干ししいたけ、油揚げなどを入れるのもポピュラーだ。
 地方によってはアラメのことをカジメと呼んでいる場合もあるらしい。
葉がシワシワしていて、葉の付け根がふたまたになっているのが、アラメ。成長すると堅くて食べられない
アラメ干し
ロープに下げた洗濯ばさみにはさまれて干されたアラメ。まだまだ風の冷たい季節だが、これを見ると、春が近くなった気分になる

カジメの付け根
カジメ カジメ
 アラメとそっくりの海藻。内房では、大風大波の後に浜辺を歩くと、カジメやアラメが大量に打ち上げられている。こちらも、食べるなら春先のまだやわらかいものがいいらしい。
 細かく切ったカジメに熱いみそ汁をかけて食べたり、カジメを湯通しして酢じょうゆで食べたりする地方もあるとか。
 また、ヨード分が豊富なので、カジメを煮出した茶色い湯を風呂に入れるとお肌にいいらしい。我が家の子供も、赤ん坊の頃、乳児湿疹がずいぶんひどかったが、カジメ風呂に入れたおかげか、じきによくなってツルツルの肌になった。茶色くてなんとなくトロンとしたお湯で、体もよく温まる。
 南房の旅館などでは、カジメ風呂を売りにしているところもある様子。
アラメより比較的背が高く、葉がツルツルしている。茎の付け根の部分が、ふたつに分かれてないのがカジメ 

ハバノリ
ハバノリ
 磯には、さまざまな海藻がある。アオサ、ヒトエグサ、ハバノリ、といったのりの仲間たちもその一部。
 ハバノリは、年末あたりから磯の岩に生え出す茶色いヒラヒラした海藻。地元のばあちゃんたちが、カゴ片手にゴムの胴長を履いて寒い海で採っている姿は、内房の冬の風物詩だ。ほかの海藻と同じように、出始めのものが柔らかくておいしく、年を越して春に近づくほどにこわく(固く)なってくるので、12月中にとれたものが、商品価値も値段も高いのだとか。
 たくさんとれたら、ふつうのノリのように、すのこなどに広げて乾燥して保管する。それがめんどうなら、ばらばらのまま乾燥させてもかまわない。
 内房では「雑煮にはハバがないと」という人も多く、お正月のお雑煮に、乾燥させたハバノリをさっとあぶり、お椀に雑煮をよそったところにパラパラッとかけていただく。
 あぶったものをごはんにかけていただくこともある。これも磯の香りが鼻をくすぐり、絶品! 生のハバノリを、刻んでからしょうゆやみりんで煮れば、ノリの佃煮だ。
これは、とったハバノリを見やすいように広げたところです。実際は、波打ち際の岩にアオサなどと一緒に生えていることが多いので、干潮のときを狙って、長ぐつや胴長をはいて摘みに行くのだ 

ウニ
バフンウニ
 内房でふつうに見られるウニは、ムラサキウニとバフンウニ。前者は長いトゲのある濃い紫色のウニ。後者はトゲが短くうす茶色のウニ。どちらも、磯の波打ち際の岩のすき間、石の下、海藻の間などにいる。
 ときたま見られるのがアカウニ。これはムラサキウニに似ているが、較べるとややトゲが短くて、赤紫色をしている。
 どれも大きなものは、カラの直径5センチが以上になるが、もう少し小さなものでも、食べられる。カラを割ると、ぬるぬるした内蔵が出てきて、カラの側面にへばりつくようにして、オレンジ色の部分がある。この部分は、ウニの生殖巣。ここが食べられる部分。内蔵を洗い落としてすくって食べよう! 売っているウニの身ほど大きなものはとれないが、磯でとれたてのものは、また格別の味。ただし、漁業権などの問題もあるので、大量にとったりしないこと!
 ものすごく鮮度が落ちやすいので、その場で食べるか、クーラーなどで厳重に冷やして持ち帰ることをオススメする。
 一般に寿司ネタなどになっているウニで、国産のものは、ほとんどが「キタムラサキウニ」か「エゾバフンウニ」。名前も形も似ているが、ムラサキウニ、バフンウニとは別種らしい。
トゲの短いバフンウニ。分布地は北海道南端から九州まで、と意外に広い。身の色は、濃いオレンジ色。
右下はムラサキウニ。内房の磯で一番多く見られるウニ。茨城県以南に分布。身の色はバフンウニとくらべるとやや淡いオレンジ色。
左下は、アカウニ。この写真は、自宅近くの磯でみつけたもので、子供の両手の平いっぱいになるような大きさ!
東京湾以南の比較的暖かい海に棲息するらしい。三重県などではけっこう一般的に食べられているそうだ
アカウニ
ムラサキウニ

シッタカ 磯もん
  シッタカとは、きれいな円錐形で、底面が平らな巻き貝の一種。ほんとうの名前はバテイラというらしい。磯のヒジキなどが茂っているところをこまめに探すとくっついていることが多い。直径3センチぐらいで、貝の入り口?に、薄っぺらい丸いフタが付いている。
 塩ゆでして楊枝などで身をくるくるとねじるようにほじくると、スルッと出てくる。サザエのような苦みはなく、味としては上かもしれない。また、みそ汁にするといいダシが出てうまい。
 そのほかにも「いそだま」「いそもん」「たま」などと呼ばれる巻き貝が磯にはいっぱい。サザエの小さいものも多い。これらも塩ゆでにして食べると美味! 
磯には、シッタカのほかにも、
食べられる貝がいっぱい。
貝はあさりだけじゃないぞ 

ナマコ
ナマコ
 ナマコにもいろいろ種類があるそうだが、東京湾に棲息していて、食用になるのは「マナマコ」。体長が30センチくらいで、全体がイボイボしている。どちらが頭か、パッと見ただけではよくわからない・・・。
 食べるには、ブツ切りにしてワタを出し、さっと湯がいたものを酢の物などにする。コリコリとした歯ごたえがオツな大人の味。歯とアゴの悪い人には、少々食べるのがつらいかもしれないが。
グロテスク系の容姿は、料理するのに勇気がいる!? 

ボウシュウボラ
 いわゆるホラガイの仲間で、修験者がブオ〜ッと吹いているのよりは、小型のホラガイ。形はほとんどふつうのホラガイと同じ。内房では魚屋さんに並んでいることもある。
 食べ方は、刺身で。といっても、まずは新聞紙にくるんで金槌などで殻を割り、中身を取り出す。そしてヌメリと殻の破片をよーく洗い、それから食べやすい大きさに切る。これも歯ごたえ十分、よく噛んで食べよう!
割ってしまうのがもったいない
きれいな貝。ホラガイはけっこう悪食で、
ヒトデやナマコを食べるらしい

川ガニ
クロベンケイ
 磯の幸……ではないが、河口付近の川の石ころのすき間や土の土手の穴などには、たくさんのカニがいる。海にも多くの種類のカニがいるが、川のカニも種類は多い。
 モクズガニ、クロベンケイ、アカテガニなどがよく見られる種類のカニ。モズクガニやクロベンケイなどのカニは、捕まえて泥を吐かせた後に食べられる。
 よくやるのがみそ汁。ザクザクと割ってから煮るとよいダシが出る。カニみそがいい風味を出してなかなかおいしい。少し大きなものになると、身も十分に食べられるので、単純に塩ゆでして食べても良い。とくにモクズガニは、ズガニなどとも呼ばれ、地方によっては専門に捕っている人もいるようだ。
カニにも様々な種類があるので、
正式な判別はけっこう難しい。
これはおそらくクロベンケイ。
モズクガニは、別名手袋ガニなどとも
いうそうで、ハサミの部分に
毛がはえているのが特徴。
(このカニは、毛は足にしかはえていない)


ムカデノリ
ムカデノリ
 ムカデノリ科の紅藻で、潮間帯の岩の上に生育する。日本各地,中国,朝鮮半島,大西洋に分布。房総では波のそれほど荒くない磯なら、どこにでも見られる海草のひとつ。
 名前のとおり、ムカデのような形。長さは20〜30cmくらい。中心から両側に細い枝が出ていて、それがムカデの形に似ているのだ。生えているときは。赤茶色、赤紫色をしている。4〜5月くらいのまだそれほど育ってないもののほうが、柔らかくておいしい。
 市販の海草サラダに入っていることもあるらしい。生でも食べられるし、サッと湯がいてもいい。アクはほとんどない。湯がくと茶色っぽい緑色に変色する。

その名のとおりムカデにそっくり!
気を付けてさがせば、
どこにでも生えている。
宮崎県ではこれをテングサと
同じように干したものを戻して
煮とかし、寒天のようにして食べる
郷土料理があるそうだ。

このページづくりに重宝&参考にさせていただいた本。
学研の図鑑「水の生き物」(学習研究社刊)
小学館の学習百科図鑑「植物の図鑑」(小学館刊)
「海辺のともだち」(松岡達英・構成、下田智美・絵と文。偕成社刊)
「イチゴはともだち」(同上)、この2冊は絵本ですが、大人も楽しめます

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