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スーパー鉄人大戦F
第四話〔浮上:Disinheritance than the mother articles〕
部屋カウンタ3000Hit突破記念後書きスペシャルパート
第三新東京市、そこは今日戦場だった。
赤い機体が兵装ビルや電源ビルのみ露出している第三新東京のビルの谷間を抜ける。
EVA弐号機だ。
兵装ビルに身を隠し、安全を確認すると素早く次のポイントへ進む。
その後方ではEVA零号機がバックアップする。
弐号機のハンドサインに合図を返す零号機。
そして、突入しようとした時だった。
弐号機が隠れる兵装ビルが瞬く間に銃弾によって削られる。
戦慄のおぜうさんは、その銃撃で機体を傷つける前に素早く退く。
そこへ精神的に追いつめられた事がありありと判る声が響いてきた。
『
来るな〜〜〜、こっちに来るな〜〜〜〜〜
』
それを聞き、おぜうは外部回線を開き怒鳴った。
『
コラッー!
なにすんのよ、バカシンジ!
』
それを聞いて、向こうでパレットライフルを構えているらしいEVA初号機が怒鳴り
返す!
『
僕を連れ戻そうってんだろう!
僕はいやだ、いやなんだ〜〜〜〜!
』
何時になく自分の意見を表明する軟弱小僧。だが、今は彼の成長を喜んでいる場合で
はない。【ネルフ】地上部隊と共に進む作者は、傍らの都市迷彩服姿の保安部員から拡
声器を受け取る。
拡声器のグリップには、Rをモチーフに猫をあしらったロゴがあり、何故かそれを扱
う保安部員の様子がビクついているように見えるのは、気のせいか。
作者は、そんな事に頓着せず拡声器を口の前に持っていき、そして大きく息を吸った。
十分息を吸い込んだ作者は、大声で張り上げる。
「
コラッァー、碇シンジィ!
抵抗は無駄だぁ!
大人しく出てこーい!
」
その叫びに軟弱小僧が珍しくも屁理屈をコネながら叫び返してきていた。
『
いやぁだー!
いま出ていったら、シベリアに連れて行かれてアスカと針葉樹の葉の数を数えること
になるんだ〜〜〜〜
そんなの、イヤだぁ〜〜〜〜〜
』
それを聞いて、おぜうが黙っていなかった。
『
このぶわぁかシンジ!……
』
「そーだ、いったれいったれ」
キレたおぜうを煽る作者。
だが、その次の一言でコケた。
『
それの何処がいやなのよ〜〜〜〜!
いい加減なこと言っていると、コロスわよぉ〜〜〜〜〜〜〜!
』
「あの〜〜〜おぜうさん、おぜうさん。」
『何よ。』
「ちょ〜〜〜と、論点がずれているような気がするんですが……」
『……チョット間違えただけよ。』
そのアスカの言葉尻に、天変地異の前触れかレイが乗ってきた。
『――そう、それは間違い。
碇君と一緒にいるのは私……数えるのは……(ぽっ)』
その内容に脱力感を感じる作者。
最後の(ぼっ)がダメ押しだった。
『チョット、ファースト……』
おぜうが何か言おうとしたらしいが、作者は構わず怒鳴る。
「だぁ〜〜〜、テメエら黙ってろっ!
話が前に進まんっ!」
そこに続くかわいらしい声
「
そうよ、シンジ君は私と一緒にデートして温泉に浸かってその後は
……(きゃ!)」
その声の主に一斉に集まる視線。
そこには、戦自の迷彩服に身を包みゴッツぃボディアーマーと対重装甲車両用らしい
バズーカを装備した国防少女が居た。
「おぉう、キミは出演決定した国防少女ことM.K嬢ぢゃないか!
なんで、此処にいる?
今の時点では、同期の連中と一緒に地球軌道艦隊にいるんじゃなかったのか!」
「出演応援してくれたみんな、アリガトー。
で、シンジ君のためなら、大気圏突入の一つや二つやってみせますっ!」
その国防少女の向こうには、焼けこげた可変MS・ゼータプラスがウェーブライダー
形態――この形態だとゼータシリーズは大気圏突入できます――で、無惨にも地面に突
き刺さっていた。
少女の言葉に頭痛を憶えて、作者はまず国防少女の説得をした。
「(えぐっ、えぐっ)たのむ……頼むから、本題に入らしてくれ……
このままじゃ、話が進められないんだよぉぉぉ〜〜〜〜〜〜」
滂沱の涙と共に少女の肩を掴み、無言の圧力をかける。流石にむさ苦しい男の泣き落
としに気力を使い果たしたのだろう。少女は抵抗する気力を失った。
「そうか、判ってくれたか!
ありがとう、ありがとう!」
そう言って、少女を抱きしめ何度もその背中を叩く。何か言ったような気がするが気
のせいだろう。
続いて、残り二人の説得に映る。
「と、言うわけでっ!
言うこと聞いてくれないとぉ……」
『『聞かないと?』』
珍しく声が揃う二人。
「ギっちゃん、ぶちゅじょぉ〜〜〜」
一瞬世界から色が抜けた。
その言葉に辺り一帯の全ての生物から、やる気が削がれた。
全ては白と黒で覆い尽くされたような錯覚がその場全員で共有される。
皆が静かに作者の言葉を聞くしかない状態になった。
作者必殺の【マヌケフィールド】全開の甲斐があったようだ。
:
:
:
「と、いうわけで碇シンジの説得を再開する!」
『「おー」』
聞こえてくる声に張りがない。
まぁ、気のせいだろう。
「(おほんっ)では。
碇シンジぃ〜、次は本格的な海外遠征だぁ〜〜〜!
ウラルを抜けロシアの大平原へと行くことが決まっている〜〜〜。
準備で忙しいんだっ!
無駄な抵抗はやめてサッサと出てこーい!
」
『
いやだ〜〜〜〜
僕は知っているんだ〜〜〜〜、そこに行く前とそこから戻ってくるまでの道中でどう
なるか……
僕は知っているんだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
』
[ちぃ、マズい展開になった……
なんで知ってやがる……]
内心でそう思いながらも、このままではFF連載継続の危機だ。話を逸らして、丸め
込むことにした。
「
そんなことはデマだ!
それより、お前はお前を必要とする人を見捨てて、逃げるつもりかぁ!
」
両脇のEVAが、何故か、揺れた。
[……整備不良か?赤木博士は何やってんだ。]
そのようなことを思っていると、軟弱小僧が話に乗ってきた
「
……なんでほっといてくれないんだ、みんな僕を要らないって捨てていったのに.
……どうして!
』
「
そんなことは無い。
周りの人々や両親からの応援の言葉も預かっているっ!
」
「
嘘だぁ
!」
「
嘘ではない!
今から読み上げる!
」
そして、いつの間にか傍らに立つM.I.B.の一人から紙を受け取る。
「
では、読み上げる!
まずは大家さんからだ
」
そこまで言って、疑問に思う。
傍らのM.I.B.二人に聞いてみる。
「この大家って、どこのだ?」
帰ってきた答えは極めてシンプルだった。
「「お答えできません」」
「そーですか……
では、読み上げる!
『下僕になれシンジ!抗っても時間の問題だ!
』」
チョット、外したかもしんない……
こういう場合は細かい内容など気にせず、畳みかけるに限る。
「
次、父からの言葉を伝える。
『ふっ……、問題ない。』
」
読み上げながらも、脱力感を拭い得ない作者。だが、ここで弱みを見せては本当に連
載に支障が出る。続いて、母親の応援の言葉を読もうとするがふと思いだし、再び傍ら
のM.I.B.に質問した。
「おい、ヤツの母親って確か鬼籍じゃなかったか……」
それを聞いて今まで一流のエージェントに相応しく感情を一切廃していたM.I.B.の二
人ともが、真っ青な顔をして震えて答えた。
「「……お答えできま……せん」」
「…………まぁいいか。
では、母親からだ!
『……無様ね』
」
……本気で作者は、彼の不幸な環境に同情した。
普段から血圧が高そうなヤツは回復が早い。再び、好き勝手なことを言い始めた。
『
そーよ、シンジ。
さっさと下僕になんなさい!
大家さんだって、心待ちにしてるんだからっ
』
そこまでアスカが言ったときだった。EVA弐号機側頭部へ盛大な火柱が上がる。
何事かと辺りを見渡すと、国防少女が『さっすが丈夫ね〜〜〜』と変な感心しながら
まだ煙たなびくランチャーチューブを放り捨てているところだった。
ちなみに弐号機はA.T.フィールド無展開であったが、着弾部位に焦げ目が付いた
程度である。
『流石、特殊装甲。
対重装甲ミサイル喰らってこの程度か、丈夫だな。』
と、作者も感心していた。
『何してんのよっ!』
アスカが突っ込む。
「え〜〜〜、だって……惣流さんったら急に電波受信しはじめるんだモン。
だいたい、大家さんって誰?
ホントに心優しい私としては、その様な知人を助けるのにやぶさかではないのよ。」
「大家って……
アタシとシンジの新居の大家よ
……てねぇ、アンタ!
アタシに喧嘩売ってんの!」
「あらやだ。
そのように聞こえちゃいましたぁ?」
そして、EVA弐号機と国防少女の視線が交差する。
『「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」』
……とっても怖い。
その時だった。無感情な声が響いたのは。
『……捕まえた。』
皆が一斉にそちらを向くと冒頭のパレットライフルで損傷した兵装ビル向こうでEV
A零号機に取り押さえられているEVA初号機の姿あった。
どうやら、自分を差し置いて勝手に盛り上がり始めたのを不審に思って出てきたとこ
ろを、只一人冷静さを保って回り込んでいた無表情少女に取り押さえられたらしい。
「でかした、流石赤木博士の秘蔵っ子!」
単純に喜ぶ作者。
この後、どうなるかの知らないで…………
『うわっー!
離して、綾波ぃーーー!』
『……駄目。
このまま、碇君が居なくなったら……
5話の私の見せ場が……(ぽっ)』
[……だから、何故ソレをお前らが知っている。]
そう思いつつも作者は、シンジを取り押さえることが出来たため、ようやく連載中止
の危機を乗り越えた事に安堵していた。
軟弱小僧の発言があるまでは。
『いやだぁ〜〜〜〜〜
このまま、連載でみんなに弄ばれるのはイヤなんだぁ〜〜〜〜』
『バカシンジ!
いい加減にしなさい!
私の頭脳的プレイでようやく話がまとまったのよ!』
「あら、ホントにぃ〜〜〜〜?」
国防少女が戦慄のおぜうに突っ込むが、珍しくおぜうは無視して続ける。
何か都合の悪いことでもあったんだろう。
『大人しく、お縄につきなさい!
下僕としての心得、大家さんとこでミッチリ仕込んであげるっ……』
そこで今度は、やたらな鋭い連続した風切り音と硬質な金属音を聞いた。見ると弐号
機の首が傾いで、その先にはパレットライフルを構えた零号機が居る。
『チョット!
何すんのよ、ファースト!』
これ以上は無い、と言った具合で零号機に怒鳴るアスカ。
だが、無表情少女は感情のこもらない声で返答していた。
『……ごめんなさい。
……暴発したみたいなの。』
『……へぇ〜〜〜
……まぁ、そんな動作検証用の実験機じゃ、そんなこともあるかもね。
そんなボロ、さっさと廃棄すべきなのよ!』
『――数打ちの初期ロット。不具合に将来装備(=無い機能が満載)が満載の駄作機が、
そんなにすごいの?』
この区域の空間密度が異常に高まっているのは気のせいか?
さっきから、この場から逃げるよう、錆び付いた逃走本能が壊れた目覚ましの様に騒
ぎ立てる。
シンジと初号機は、依然として零号機に足蹴にされつつも叫びながら抵抗している。
「
だから、それがいやなんだぁ〜〜〜〜〜
大体、作者さんは僕のことの前に、ヒロイン決める方が先じゃないかぁ〜〜
〜」
『『「そう言えば、そうね……」』』
この三人がハモることなど、凶兆の前触れでしかない。少なくとも作者は、その時そ
れを実感した。
「あ……あの……その……その点については……
読者のアンケートや私の好み等を加味して……」
『『「で、一体アンタは誰が好みなのっ!」』』
EVA零号機、弐号機ともパレットライフルの銃口をこちらに向けた。
間違いなく作者をポイントしているのだろう。
”ほっと・れでぃ”のパレットライフル銃口より展開されている電磁レールの影響で
全身の毛が帯電し始めたことがよく判る。
作者は、思わず後ずさり逃げようと振り返ったが、そこには新たなバズーカを構える
国防少女がいた。
作者は無駄であろうと思いつつも、少女に話し掛ける。
「……あの、そんな対重装甲用弾頭なんて榴弾――爆発して破片をバラ撒く広域制圧タ
イプの砲弾――じゃないから、対人戦闘には向きませんよ。」
国防少女は、全く身じろぎもせず朗らかに答えた。
「大丈夫、直撃させるから。」
作者は、[あの弾頭サイズだとノイマン効果のメタルジェットとミサイルの残燃料で
炭も残らんな]と、覚悟を完了した。
『『「
で、一体アンタは誰が好みなのっ!
」』』
再び、繰り返される問い。
(・・・・・・・・)
(じぃーーーーーー)
(キラキラキラキラ)
作者が何かを言おうとすると一斉に強まる視線。
戦慄のおぜうは烈火のような様な視線で、無表情少女は見つめられた人間が全て洗い
ざらい白状してしまいそうな視線で、国防少女はホンの一欠片の殺気と好奇心一杯の視
線で。
三者三様の視線で作者を見つめる。
心なしか、生命の危険のみならず不滅の存在であるはずの魂の滅却の危機すら感じて
いた。
「知らざぁ、言って聴かせやしょう…….」
しかし、この時作者はあらん限りの愛と勇気と根性を持ってこの難局に立ち向かった!
「……
アスカ、好きだ。
」
『えっ!?』
「
レイちゃん好きだ!
」
(ポッ)
「
マナちゃん、好きだっ!!
」
「まぁ(きゃ!)」
ベン
ベン
ベン
ベン
ベッンベケ
ベン
ベン
・・・・
どこからともなく、カン高く情趣的でなおかつ熱い三味線独特の音が聞こえてくる。
それにあわせるように、作者は振り上げた拳を力の限り握りしめて怒濤のように想い
を紡ぎ出す。
「
ミズホッ、好きだっ!。マユミ、好きだっ!。ミサト
さん、好きだっ!。リツコ、好きだっ!。ユイさんッ
、好きだっ!。キョウコさん、好きだっ!。ナオコさ
ん、好きだっ!。
」
ずぅぅぅぅぅ
ぅぅぅぅぅぅぅ
ぅぅう
次第に大きくなってくる重低音。
地鳴りだっ!
「
シーラさま、好きだっ!。エレさま、好きだっ!。マ
ーベル、好きだっ!。ガラリア、好きだっ!。ミゥジ
ィ、好きだっ!。リムル、好きだっ!。チャム、好き
だっ!。シルキー、好きだっ!。リリス、好きだっ!。
沙羅っ、好きだっ!。レミィ、好きだっ!。マリア、
好きだっ!。ちずる、好きだっ!。さやか、好きだっ!。
ジュン、好きだっ!。
」
ず
ざざざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ
続いて、地鳴りに混じり、大きな水音まで加わり始めた。
「
レッシィ、好きだっ!。アムちゃん、好きだっ!。エ
マさん、好きだっ!。クリス、好きだっ!。ファ、好
きだっ!。アルテイシア、好きだっ!。セシリア、好
きだっ!。フォウ、好きだっ!。ロザミア、好きだっ!。
リィナ、好きだっ!。ルー、好きだっ!。エル、好き
だっ!。キャラ、好きだっ!。プル、好きだっ!。モ
ーラ、好きだっ!。ニナさん、好きだっ!。レインさ
ん、好きだっ!。アレンビー、好きだっ!。ジュンコ、
好きだっ!。マヘリア、好きだっ!。
」
どぉぉぉぉぉぉぉお
作者の激情に呼応するかのように巨大な津波がこっちに押し寄せて来る!
「
パット、好きだっ!。グレース、好きだっ!。ミーナ、
好きだっ!。リン、好きだっ!。ウェンディ、好きだ
っ!。リューネ、好きだっ!。サフィーネ、好きだっ!。
テュッティ、好きだっ!。セニア、好きだっ!。モニ
カ、好きだっ!。
」
もうそこまで津波は迫ってきている。
逃げられない!
「でもやっぱりっ!
う
ぅ〜
み
ぃ〜
が
ぁ〜
好
ぅ〜
き
〜〜〜〜〜〜〜〜ぃ」
ドッぱぁぁぁぁん!
『ぶわぁか〜〜〜〜!』
『…………』
「きゃぁぁぁっ!」
一切合切が、その激流によって洗い流される。
激流に揉まれながらも、作者は最後の言葉を残そうと切れかけた豆電球の様に気力を
振り絞り、叫ぶ。
「この次もサービスゥ〜〜〜……………‥‥‥‥」
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ver.-1.02 2003/01/23 修正
ver.-1.01 1998/07/19 修正
ver.-1.00 1998/05/25 公開
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