String
「あっという間の中学校生活だったなぁ・・・。」
「ほんと、あっという間だったにゃ〜」
「ほら、あそこの女の子達 まだ英二君のこと探してるよ」
このこは、 3年生になって初めて一緒のクラスになった。
たまたま、席が隣で話をしてみたら、話が合って
それからは、一緒に勉強したり、たまに遊びに行ったりするようになった。
俺の・・・好きな子。
「まっさか、俺が屋上に居るとは誰も思わないだろうな〜。」
「行ってあげたら?一応、最後なんだし」
「・・・そっか、最後か・・・。」
「そっ、今日でこの校舎ともお別れ。」
「でも、実感無いにゃ〜、卒業したって」
「ほとんどが、そのまま高等部に進学だもんね」
「変わりばえが無いって言えば、無いし」
そう、変わらない・・・でも 何一つ変わらないって言い切れる?
・・・いつまで続く?
・・・いつまで、こうしてと一緒に居られる?
俺と、を繋げていたのは
ただの"クラスメイト"という、一本の細い糸だけ
卒業をしてしまった今、俺たちを繋ぐたった一本の"クラスメイト"という糸は
・・・音も立てずに切れた。
「・・・じ君・・・英二君っ」
「あっ、ごめん」
「どうしたの?ボーっとしちゃってさ」
「ちょっと考え事〜。」
「へ〜、英二君でも考え事するんだ」
「ひでぇっ!!俺でも考え事の一つや二つぐらいするにゃっ!!」
「あはは、ごめんごめん。」
「そう言えば、大石君は?」
「え・・・。」
やっぱり・・・
俺知ってるんだ。
が、大石のこと好きだってこと
俺が2組に行くと、一緒にしゃべってたり
・・・よく、一緒にいるの見かけるんだ・・・。
「あっ、今日はなんだか用事があるみたいだから、先に帰ったよ」
「そっかぁ・・・。」
ほら、そうやって残念そうな顔をする・・・。
やっぱり、今 俺と一緒に居るのも
大石が来ると思ったから?
「私たちも、そろそろ帰ろうか」
「あっ、ちょっと待って」
「ん?」
「・・・ごめん、何でもない・・・。」
「?」
「じゃっ、帰ろっか。」
やっぱり、聞けない・・・。
は、大石のことが好きなの?なんて聞けっこない
とりあえず、俺たちは屋上を後にした。
階段を下りて、教室の前を通って・・・
校門の外へ出たら、もう俺たちは・・・
「じゃ、私 家こっちだから」
「あ〜っ!!」
「ん?」
「えっと・・・、もうちょっと話したいにゃぁ・・・なんて」
「じゃぁ、ちょっと寄り道していこっか〜。」
「うん」
・・・ちょっと、迷惑だったかな?
俺たちは、近くの公園の中のベンチに腰をおろした。
「なんかさ、久しぶりだね こうやってゆっくり英二君と話すの」
「そうだにゃ〜、卒業式の練習とかで忙しかったしね」
「そう言えば、ボタン誰にもあげなかったんだ。
不二君とか大石君とかなんて 学ランごともぎ取られてたでしょ〜。」
は、綺麗に並んで付いている菊丸の制服のボタンを指さしながら言う
「これは・・・やっぱ・・・好きな子にあげたいじゃん。」
「好きな子か〜、私も好きな人の第二ボタン欲しかったな。」
「何でもらわなかったの?」
「う〜ん・・・多分、くれって言っても くれなかったと思う。」
・・・大石ってそんなにケチに見えるのかなぁ?
「でもさ、本人に聞いたわけじゃないんでしょ?」
「うん」
「言ってみなきゃ解らないじゃん」
「でも・・・」
「当たって砕けろってよく言うでしょ?って砕けちゃだめだけどさ」
「・・・そうだよね、言ってみなきゃ・・・解らないよね」
あぁっ、やっぱ俺ってバカだ・・・。
何で好きな子の恋応援してるんだ!?
でも、好きな子の幸せは、俺の幸せでもあるし・・・なんて
俺が言うと、ただの格好付けかもしれないけど
本当に、の幸せを望むんだったら
後ろから、背中を押してあげなきゃ・・・。
「さっ、今度こそ 帰ろっか〜。」
ひょいっとベンチから立ち上がって、の方を見ると
は、うつむいたまま動かなかった。
「っ?調子悪いの?」
「違っ、そんなんじゃないけど・・・。」
「どうした?」
は、すっとうつむいたまま 立ち上がって
俺の方を向くと・・・
「・・・第二ボタン下さい・・・。」
「はいっ?」
俺は、状況がよく理解できなかった。
は、大石のことを好きで・・・
は、好きな人のボタンが欲しいって言って・・・
は、俺にボタンをくれって言って・・・。
「だって、 好きな人のボタンが欲しいって」
「・・・だから、英二君のが・・・」
・・・『だから、英二君のが』ってことは、つまり・・・。
は、俺のことが好きって・・・事?
「お、俺なんかので良いの?」
「英二君のじゃなきゃいらない・・・」
次の瞬間、無意識のうちに 俺はのことを抱きしめていた。
「えっ、英二君っ!?」
「好き、の事が好き」
「・・・私も、好き。」
聞くことは無いであろうと思っていたの言葉を聞いて
抱きしめる腕に、力が入る。
「は、大石のことが好きなんだと思ってたから・・・」
「大石君・・・?」
「だって、よく2組に言って大石と話してたじゃん」
「あれは、英二君のこと色々聞きたくて・・・。」
「俺のこと・・・?」
「うん。」
「なぁんだ〜、そっかぁ。・・・そうだっ」
ずっと、抱きしめていたを離すと
ぷちっと制服の第二ボタンをとった。
「はい、どうぞ。」
「・・・ありがとう」
少し照れたように笑うは、とても可愛かった。
そう・・・切れた糸は、また結べる。
結べば、また一本の糸になる
また、切れてしまうことが有るかもしれない
そのたびに、しっかりと固く結んでいけば
いつかは、針金のように頑丈な糸になるかもしれない
その時も、俺の糸が繋がっているのは君だけでありますように。
end...
