お正月映画見てある記


1994年

 今年は9月下旬に「京都国際映画祭」が開催され、1週間にわたって世界各国の新作、秀作が上映される。映画ファンの期待にこたえる充実した国際映画祭として、ぜひとも成功させてほしい。昨年は、カンヌ・ベルリン・東京など世界の主な映画祭で中国・台湾映画が賞を独占したが、これらの受賞作品の京都での公開が待ち遠しい。

さて、今年のお正月映画だが、先月紹介した「クリフハンガー」のように、理屈抜きで楽しめる良質のアクション大作もあるが、大人の鑑賞にたえうる見ごたえある秀作、話題作が少なくない。おとそ気分のお正月にこそ、じっくりと名作を鑑賞したいものだ。

一番のおすすめは、ラブ・ストーリーの傑作「めぐり逢えたら」。ケーリー・グラント、デボラ・カー主演の古典的ラブ・ストーリー「めぐり逢い」をうまく生かし、現代によみがえらせている。

婚約を解消して運命的出会いに夢をかける女性新聞記者役のメグ・ライアンが素晴らしく、愛のキューピッド役をつとめる少年の好演も忘れられない。監督は、「恋人たちの予感」の脚本を書いたノーマ・エフロン。女性監督らしい繊細さで、大人のおとぎ話を見事にまとめ、幸せな気分にさせてくれる。ぜひ、カップルで。

次は、ケビン・コスナー主演、クリント・イーストウッド監督・助演の「パーフェクト・ワールド」。異色の西部劇でアカデミー監督賞を受賞し、ケネディ暗殺事件にこだわってきた2人の作品だけに、単なる娯楽映画に終わっていない。2人のからみの場面は少ないが、ケビン・コスナー扮する脱獄囚ブッチと人質の少年フィリップとの逃亡劇、その道中で生まれる2人の心の交流を感動的に描いている。コスナー初の汚れ役、これを追うイーストウッドの渋い刑事役、そして、フィリップ少年役の存在感ある演技が印象的だ。

少年が印象的な映画という点で、連続して公開されるイラン映画「友だちのうちはどこ?」「そして人生はつづく」も見逃せない。「友だちのうちはどこ?」のなかで、ノートを返すために、必死になって友だちの家をさがす少年の不安そうな目が印象的だ。2作品ともアッバス・キアロスタミ監督の作品。日本では初めて劇場公開されるイラン映画だが、知られざる新しい才能との出会いは、映画ファンにとって、何よりのお年玉だ。

なお、オリバー・ストーン監督のベトナム戦争物の第3作「天と地」、メル・ギブソン初監督・主演の「顔のない天使」は、いずれも監督の熱い思いが伝わってくる作品だが、内容が暗すぎて、お正月に見る映画としてはどうかと思う。とくに、「天と地」は、はじめてベトナムの一女性の視点からベトナム戦争がもたらした悲劇を描いているが、「アメリカの侵略もベトコンの侵略も同罪」と言わんばかりの中立的な描き方には疑問が残る。

他に、フランス映画では、パトリス・ルコント監督の「タンゴ」が注目。「仕立て屋の恋」「髪結いの亭主」でみせた純愛とは一味ちがう女性賛歌をコメディー風にまとめている。

アニメが中心の日本映画では、山田洋次監督のシリーズ46作「男はつらいよ 寅次郎の縁談」が欠かせない。しばらく、甥・満男の恋愛指南役が続いていたが、久しぶりに寅さんが主役で、マドンナ・松坂慶子を相手に真剣に結婚を考えている。


1995年

「映画100年、戦後50年」の年が明けた。

 昨年暮れから公開中の「お正月映画」では、アクション娯楽映画の傑作「スピード」が人気を集めている。「映画の面白さ」を再認識するためにも、ぜひ一見を。

 それに続き、新年早々、じっくりと鑑賞したい2本の名作が相ついで公開される。

 なかでも絶対に見逃せないのがフランス映画の力作「ジェルミナル」。原作はエミール・ゾラ。監督は「愛と宿命の泉」のクロード・ベリ。19世紀後半、北フランスの炭坑町モンスーを舞台に、毎日のパンを求めてストライキに立ち上がる炭坑労働者とその家族の生き方を、徹底したリアリズムで描いている。

 炭坑労働者のストライキは、軍隊の力を借りた資本側の攻撃により敗北する。だが、この映画は、たたかってムダなたたかいはないこと、労働者が団結してたたかえば、最後には必ず勝利することを暗示して終わる。とくに、夫と3人の子どもを失いながら階級的にめざめていく母親の姿が感動的に描かれており、ミウ=ミウの熱演が素晴らしい。

 「映画は文化」と位置づけるフランス文化省の全面的援助をうけて製作されたもので、久しぶりにフランス映画の底力を見せた。クロード・ベリ監督は、この映画に、(共産党に共感を寄せる一介の毛皮職人であった)「父のために」という献辞を添えている。

 なお、エミール・ゾラの原作では、主人公の内面的葛藤や登場人物の心理描写などが掘り下げられており、あわせて読むと感銘はいっそう深いものになる。ぜひ一読を。

 もう1本は、再公開されているアメリカ映画の秀作「ギルバート・グレープ」。京都でも10月下旬に2週間だけ公開されたが、見逃した方が多いはず。

 アメリカ中部・アイオワ州の田舎町・エンドーラが舞台。青春を犠牲にして、過食症の母親や知的障害をもつ弟の世話を続ける青年・ギルバート。そんな町にやってきた少女・ベッキーとの出会いが、青年の心に新風を吹き込み、人生を大きく変えていく。「あなた自身の望みは?」と聞かれて、ギルバートが「いい人間になりたい」と答える姿が印象的。

 監督は、「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」で世界の注目を集めたラッセ・ハルストレム。監督の人々を温かくみつめるまなざしが素晴らしく、しみじみと心にしみいる名作だ。

 典型的なクリスマス物のリメークである「34丁目の奇跡」は、ほのぼのとした佳作で、家族そろって楽しめる。また、妻に先立たれた白人男性とその娘、黒人家政婦のふれあいを描いた「コリーナ、コリーナ」は、お正月映画のなかで拾い物と言ってよい感動作。

 「スピード」以外のアクション映画では、ジャッキー・チェンが久しぶりのカンフー・アクションに挑んだ「酔拳2」が面白い。「今そこにある危機」は、米大統領の犯罪を告発する正義のヒーローを描いた政治サスペンスだが、ストーリーが複雑で印象は薄い。

 前評判の高かった石井竜也監督「河童」は、「E.T.」の向こうを張った作品だが成功していない。アメリカ映画のマネではなく、独自の良さで勝負してほしい。話題の「家なき子」もテレビドラマの延長線上。結局、邦画のおすすめは「寅さん」だけで、今年もさびしい限り。「写楽」「東京デラックス」などの第2弾に期待したい。


1996年

今年のお正月映画には、昨年の「スピード」のように目玉となる作品のないのが寂しいが、シリーズものの健闘が目立っている。

なかでも、22作目で「完結編」をうたう「ゴジラVSデストロイア」は、シリーズ中でも屈指の出来栄えだ。今回は「ゴジラの死」がテーマで、第1作の42年後という設定。その第1作でゴジラ退治に使われた悪魔の兵器=オキシジェンデストロイヤーが生み出した新怪獣・デストロイアとの死闘がくり広げられる。河内桃子が第1作と同じ役で出演するなど、ゴジラへの熱い想いが総結集されており、「ゴジラの最期」の場面が最大の見どころに。ゴジラ第1作をビデオでチェックすれば、2倍、3倍に楽しめる。

48作目の「男はつらいよ 寅次郎紅の花」は、浅丘ルリ子の扮するリリーがマドンナの真打ちとして4回目の登場。満男と泉(後藤久美子)との6年ごしの恋を、寅さんとともに応援してくれる。今回は、寅さんが神戸でボランティアとして活躍する場面も。「事実上のシリーズ完結編では」との噂もあるだけに、ファンには見逃せない。

一方、洋画の「ゴールデンアイ」は、6年ぶりの復活となった007シリーズの第17作目。5代目ジェームス・ボンドは、たばこCMでおなじみのピアース・ブロスナン。戦車による市街地での追撃戦やバイクでの空中ダイビングなど、ジャッキー・チェン顔負けの体当たりアクションの連続で、理屈ぬきに楽しめる。

シリーズもの以外では、「不滅の恋 ベートーヴェン」がおすすめの秀作だ。ベートーヴェンの死後、遺書とともに発見された宛名のない手紙に記された「不滅の恋人」。彼の弟子がその「恋人」を探しまわるなかで、意外な事実が明らかになる……。生涯を独身で通した偉大な作曲家・ベートーヴェン。その秘められた恋の謎に迫る人間ドラマとして見ごたえ十分だが、「運命」「田園」「交響曲第9番」などバックに流れる名曲の数々を楽しむだけでも一見(一聴)の価値がある。

恋愛映画の中では、「サブリナ」が一番のおすすめ。オードリー・ヘプバーンの往年の名作「麗しのサブリナ」を現代的にリメークしたもので、ハリソン・フォードとジュリア・オーモンドがさわやかに好演し、シドニー・ポラック監督が演出のさえを見せている。

「あなたが寝ている間に…」は、サンドラ・ブロックが都会に生活する孤独な女の子の役を等身大で演じていて好感をもてるが、ややインパクトが弱い。「9ヵ月」は、「妊娠と出産」をテーマにしたラブ・コメディ。

他に、「眠れる森の美女」「リトル・プリンセス」は、家族そろって楽しめる感動作。また、アニメファンには、「MEMORIES」も見逃せない話題作だ。


1997年

シリーズ物が目立った昨年と違い、今年のお正月映画はバラエティーに富んでいる。

大ヒット独走中の「インデペンデンス・ディ」は、地球を侵略する異星人と人類との死闘を描くSF超大作。世界の主要都市が次々に破壊されるシーンをはじめ、スケールの大きさと映像の迫力は前代未聞で、一見の価値がある。しかし、「地球を守るのはアメリカだ」「核兵器の使用も辞さず」と言わんばかりの無神経なストーリー展開には、開いた口がふさがらない。クリントン米大統領が絶賛したのもうなずける問題作だ。

洋画で一番のお薦めは、ベストセラー作家ジョン・グリシャム原作の法廷物の力作「評決のとき」だ。娘をレイプされた黒人の父親が、犯人の白人青年2人を射殺する。野心的な新米弁護士が黒人の弁護にのりだすが…。南部で今も根強い人種差別の問題をからませて、アメリカの裁判制度の問題点に正面から迫り、「もう一つのアメリカ」を描く意欲作だ。サンドラ・ブロックが、弁護士に協力する法学生を熱演して新境地を開いた。

アクション映画ファンには、「デイライト」が必見。交通事故に端を発した海中トンネル内での大パニックから市民の命を守るため、シルベスター・スタローン扮する元EMS(緊急医療班)の男が命がけの救助作戦を展開する。ジャッキー・チェンがスタントマンなしで体当たりの熱演を見せる「ファイナル・プロジェクト」も、理屈ぬきに楽しめる。

2本の恋愛映画も見逃せない。「天使の贈りもの」は、デンゼル・ワシントンとホイットニー・ヒューストンが初の競演。奇跡を届けるための天使が人間に恋をしてしまうという心温まるラブ・ストーリーで、カップルで見るのに最適の1本だ。「リビング・ラスベガス」は、ニコラス・ケイジがアカデミー賞主演男優賞などを獲得した秀作だが、アルコール中毒者と娼婦との切ない愛を描いた物語で、お正月に見るには少々の覚悟が必要。

今年は、「グース」「ピノキオ」「ジングル・オール・ザ・ウェイ」など、家族そろって楽しめる佳作が多い。なかでも「グース」が感動的で、16羽のグースと母親がわりの少女(「ピアノ・レッスン」のアンナ・パキン)が、カナダからフロリダへと500マイルの空の旅に出るシーンは、特撮ではない本物の魅力を発揮しており、心を洗われる。

「ジァイアント・ピーチ」と「ウォレスとグルミット」の2本は、セル・アニメとは違うストップモーションアニメの到達点を示す異色の力作。ぜひ、この機会に一見を。

邦画では、故・渥美清にささげられる山田洋次監督の新作「虹をつかむ男」が一番の期待作。地方の映画館主(西田敏行)を軸とした人間模様を描くドラマだが、劇中に登場する懐かしい名画の数々や映画好きの女性(田中裕子)との恋のゆくえも見どころの一つ。「モスラ」は、怪獣デスギドラとモスラ親子との死闘を描くが、「ゴジラ」シリーズとは一味違い、女の子にも人気を広げそう。


1998年

今年の「お正月映画」は、例年になく見ごたえある力作・秀作がそろっており、映画ファンにとっては、うれしい「お年玉」となりそう。

なかでも一番のおすすめは、3時間をこえる超大作「タイタニック」だ。史上最高の制作費240億円、人気絶頂のレオナルド・ディカプリオの主演が話題を集めているが、映画としての出来栄えも抜群。身分違いの男女の激しい悲恋をみずみずしく描いたラブ・ストーリーとして出色。

一転して後半は、超豪華客船タイタニック号の沈没を、圧倒的迫力で映像化している。監督のジェームズ・キャメロンは、実物大のタイタニック号をつくり、沈没までの経過を史実どおりに再現して、「オタク」ぶりを発揮している。この映画こそ、ぜひとも劇場の大スクリーンで見たい。映画の魅力を再認識するハズだ。

ブラッド・ピット主演「セブン・イヤーズ・イン・チベット」も見逃したくない力作。実在の登山家ハインリヒ・ハラーとダライ・ラマ14世との運命的な出会いと心の交流を壮大なスケールで描いている。東京国際映画祭では、この映画の上映を理由に、中国映画の引き揚げという一幕もあったが、今年はチベット問題を描いた映画が競作で、その走りとなる1本。後半では、ダライ・ラマ役に扮する少年がブラッド・ピットを食っている。

ウディ・アレンの新作「世界中がアイ・ラブ・ユー」は、アメリカ映画の魅力にあふれた楽しい1本。ジュリア・ロバーツ、ナタリー・ポートマン、ゴールデン・ホーンをはじめとする豪華キャストの総出演で、最近では珍しいミュージカル仕立て。ニューヨークとベニス、パリを結んだ恋のさやあて騒動をロマンティックに描いている。

アクション映画では、「エアフォース・ワン」がなかなかの力作。ハリソン・フォーズ扮する米大統領がテロリストを相手に孤軍奮闘で大活躍する話で、手に汗にぎるハラハラドキドキの連続だが、国際法を無視したアメリカの行動を手放しで容認している点はいただけない。

地球に潜入しているエイリアンを監視する捜査官たちの活躍を描く「メン・イン・ブラック」も人気を集めているが、話が荒唐無稽すぎて、最後まで乗れなかった。

アニメファンには、クレイアニメの傑作「ウォレスとグルミット大全」が見逃せない。

邦画では、21世紀の人類と50万年前の北京原人との遭遇を描いた「北京原人」が異色の話題作。香港の人気女優ジョイ・ウォンが出演し、中国ロケを観光した国際的スケールの作品で、日本映画の新たなジャンルを切り拓いている。特撮の出来栄えも合格点。

「モスラ2・海底の大決戦」は、沖縄の美しい海を守るために、新しい敵とたたかう話で、モスラが水中モードに変身してたたかうシーンが見どころ。

「虹をつかむ男・南国奮闘篇」は、完成が公開ぎりぎりのため未見だが、こちらも奄美群島が舞台。「寅さん」にかわるシリーズの第2作として、大いに期待したい。

竹中直人監督の「東京日和」を見逃した方は、アンコール上映されるので、この機会にぜひ。


1999年

今年のお正月映画では、「アルマゲドン」が大ヒット独走中。だが、昨年の「タイタニック」のような傑作は見あたらず、全体として「不作」の感が強い。むしろ、1月中旬から公開される正月映画第2弾に、見ごたえある秀作・力作がそろっている。

第1弾作品の中で、お薦めできる佳作は「マイ・フレンド・メモリー」(監督=ピーター・チェルソム)だ。体格は立派だが学習に障害をもつ少年マックスが、難病をかかえながらも天才的頭脳をもつ少年ケビンと出会い、生きる自信を取り戻していく…。

2人が「合体」して悪ガキどものイジメに立ち向かい、たくましく成長していく様が感動的に描かれている。「マイ・フレンド・フォーエバー」とほとんどそっくりの設定が少々気になるが、ケビンの母親役を演じたシャロン・ストーンが新境地を開いている。

超大作「アルマゲドン」のSFXシーンの迫力はすごく、それだけでも一見の価値はありそう。だが、「地球を守るためには核兵器が必要だ」と言わんばかりの展開には、「またか」とあきれてしまう。まだしも、TVシリーズ「宇宙家族ロビンソン」を映画化した「ロスト・イン・スペース」の方が、SF映画としてもよく出来ていて楽しめる。

「X−ファイル ザ・ムービー」は、一応、TVシリーズの全くの初心者にも理解できるよう作られているが、宣伝文句とは裏腹に、「謎」は何も解決されていない。

「ジョー・ブラックをよろしく」は、死神が人間に恋するラブ・ストーリー。ブラッド・ピットファンには満足かもしれないが、あの内容で3時間は余りにも長すぎる。

第2弾作品の中で、イチ押しでお薦めしたいのが、香港=日本合作の「宋家の三姉妹」(監督=メイベル・チャン)だ。辛亥革命から日本の中国侵略、そして、中華人民共和国の成立にいたる激動の中国近代史の中で、これに大きくかかわった実在の宋家三姉妹の生き様を、女性監督の目できめ細かく描いている。革命家・孫文と結婚した次女・慶齢と蒋介石と結婚した3女・美齢。この2人の葛藤が物語の軸にすえられ、見応えある人間ドラマとなった。慶齢に扮するマギー・チャンが、昨年の秀作「ラヴソング」に続いて熱演している。

日本映画の第1弾作品はシリーズ物が多くマンネリ気味。だが、第2弾の「のど自慢」(監督=井筒和幸)は、大いに笑って泣ける快作だ。映画の舞台は、群馬県の桐生市。売れない演歌歌手、何をやっても成功しない40男、不器用な女子高校生、ガンコな老人などが、様々な想いを胸にして「のど自慢」大会出場に夢をかける。「のど自慢」の舞台裏でくり広げられる悲喜こもごもの人間模様が、熱いエールとなっているのだ。売れない歌手役の室井滋が巧さを見せ、代表作となった。高校生役の伊藤歩の存在感にも注目したい。

もう1本、「おもちゃ」(監督=深作欣二)も、見逃したくない秀作だ。売春禁止法が成立する直前の京都・花街が舞台。芸者置屋で見習い修業をつんでいた少女・時子(宝塚出身の新人・宮本真希が好演)が、水揚げされて一人前の舞妓になるまでが快テンポで描かれている。新藤兼人が徹底取材をもとにして書き上げたシナリオを、深作監督が丹念に映画化。一人の少女の大人の女への成長物語として、爽やかに仕上げている。富司純子が26年ぶりに東映作品に出演し、女将役で貫禄を見せているのも、ファンにはうれしい。

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