クロスエターナル
present by ゲバチエル
第三章〜闇に傾く現実と光の仮想空間と〜

「海底神殿・・・海底神殿なんて潜水艦もなしにどうやって行くんだ。」 フォルがリリーに対して何か知っていないか、というように問い掛けていた。 「判らないわ。でもエターナルアースで海底神殿ってダンジョンがあったなぁ。  それと風の洞穴っていうダンジョンもあったわ。まるで現実を模しているみたい」 リリーの最後の言葉にフォルは閃いたように声を大きくした。 「そうだよ!エターナルアースだ。レベル・・・強さは現実の自分と同じ。  そして精霊の居場所へのヒントも見た。カギはそこにある・・・!!」 「でも・・・今から調べてたら時間がないよ・・・」 リリーが下を向いて不安げにささやいていた。 「ん・・・この紙は何だろう・・・?」 レナのノートパソコンの横には一枚のメモが置かれていた。 「あ、それはレナがネットゲームのデータを残したもの」 フォルはそのメモに目をとおし、気になるそれをそれを声に出して呼んでいた。 『ゲートの形をした謎のオブジェクト。海底神殿の内部。  風の洞窟に存在する不可思議な石碑。  氷の雪原に位置する炎に囲まれた空間。  雷の館に現われた、謎の扉』 おもに書かれているのはこれだった。まるでフォルの行き先に反応するかのように現われたようでもあった。 「もしこの前みたいな空間をつなぐゲートとかなら、海底神殿にワープするんじゃないか・・・?」 「ちょっと待って。なんか書き込みが。」 リリーはゲームの掲示板を開いた。そこには海底神殿に関する話題が流出していた。  件名入れない 名前 匿名希望 海底神殿の入口に黒いゲートが下りて入れなくなりました。これはどういう事ですか? 「フォル、これって・・・」 「多分悪魔たちが邪魔をしているんだろうな、俺たちに来れないように。  ・・・海底神殿って何処にあるんだ?そういえば俺MAPとか見てないからさ」 フォルは手段が封じられた、と思いながらも諦める姿勢を見せなかった。 「えーとこれ。これがゲームの全体マップだけど」 全体マップの中には、ダンジョンや町が点印で示されていた。」 「うーーん・・・なんか引っかかるぞ・・・」 「マップを見てどうしたの?引っかかることって?・・・マップが気になるなら現実のマップでも見て」 フォルは両方のマップを比較してじっと見ていた。そして現実のマップを回転させた時フォルは閃いた。 「リリーよく見ろ。ゲームのマップは細かい形と比率とかが変わってるけど・・・ほら。現実のマップを180度回転させると  かなり似たものになるだろ?風の洞窟は俺たちの学校の辺りに印がついてるし。・・・って事はこれをたどれば  海底神殿まで行けるんじゃないか?」 「海底神殿の近くには現実では・・・アレフサンドリア城下町があるわ。そこに行けば情報が得られるかもね」 リリーが言い終えるとフォルは魔法の剣を背負い立ち上がった。 「話もまとまった・・・。よし、行こう!!」 二人はリリーの家を飛び出していった。だが目の前にはクルトが立っていた。 「二人とも行くんだろ・・・?俺に黙っていくつもりだったのか?」 「クルト・・・どうしてここに?」 「昔からの親友なんだからさ、二人の考えそうなことはわかるって。まったく思い立ったらすぐ行動か。無茶するぜ。  そのたび、俺も行く。学校のほうにはもう話はつけてきてある。というか学校は襲撃にあったからしばらく休校だとさ。  戦いはこの斧で二人を守るからさ、ほら行こうぜ」 「クルト・・・ありがとう。」 リリーは恥ずかしいのか目を合わせずにクルトにそう言った。 「これぐらい気にするなって。仲間だろ」 クルトは上を見ながら静かにそう言っていた。 「アレフサンドリア城下町までは大陸を渡って行かなきゃならない。  ちょっとこの町で必要なものを最後に買い揃えていくか」 フォルはこの町を目にしっかりと焼き付けておいた。いつ戻れるか判らなかったから・・・。 そして三人は町の門をくぐり、外へと繰り出していった。 「アレフサンドリアは船乗るんだろ・・・?」 「そうだよ。船に乗るんだ。港町カノンはここだ。」 フォルは現在地点を指差し、カノンまで指で道筋をたどっていた。 「でも考えてもしょうがないよ。今はアレフサンドリアまで急ごう!」 三人はいつもより強い魔物をなんとか相手にしながら突き進んでいった。 もともとさほど遠くなかったせいか、カノンまでは一日足らずで到着していた。 「今日のところは一日休もう。丁度宿屋もあることだしさ」 三人は宿へと向かう。そして予約を済ませ、部屋を確保する。 そして疲労が溜まっていたのか、すぐさま夢の世界へと誘われていた。 ・・・・。 そして翌日。一向は船のチケットを購入していたところであった。 「いよいよ明日はアレフサンドリアか。気合入れていかないとな」 クルトは拳を握り何度か自分の手のひらを叩いてそう言った。 「今はいいよ余計な緊張は要らないさ。ついたとき考えればいいよ」 フォルは面倒くさそうにクルトにいった。 「でもよぉ」 「ここで緊張したって始まらないでしょ?レナを救いたいのは私達も一緒だけどさ、  こんなトコで要らない緊張をして変な失敗踏みたくないしさ」 「まぁ・・・そうだな。」 三人は意見もまとまったところで、短い船旅へと出ていた。しかしそれは思い通りにはいかないのだった。 ズオオオオオオン 何かが船にぶつかったかのような衝撃が走っていた。 「なんだ・・・?何が起きたんだ!?」 剣を握りながらフォルは甲板へと走りだしていた。クルトとリリーも後を追って走り出す。 すると甲板の先・・・船の一番前には一体の巨大なクラゲが姿を見せていた。 その横からは巨大な二本の腕をしならせている。どうやら原因はこれのようであった。 「船長さん。魔物は俺たちがなんとかしますから、他のお客さんとかの安全確保頼みます!!」 「でも危ない。救援を呼んだほうが・・・」 「駄目よ!!間に合わない。その前に沈んじゃうわ!!」 「だけど君達みたいな少年少女に危険な目には・・・」 「誰かがやらなきゃならねえだろ?危険を冒してでも。」 「そうだ。危険な思いをしてもやらなくちゃいけない事があるんだ。それにこんな所で沈んだら助けも来ません。  いいから俺たちを信じて!ここは任せてください」 フォル達が強く言うと船長は無言で頷き、客の誘導へと走っていった。 そしてフォル達も魔物へと距離を詰めていった。 「さぁて。問題はこれからだぞ、フォル。」 二本の触手と、巨大な本体。三人は武器を構えてそれらと戦闘をしていた。クラゲはこちらの動きをうかがうようであった。 「触手から倒そう。多分長い触手はあれだけのはず。それに水中の生物だったら、炎や雷の魔法が効き目があるはず」 フォルとリリーの魔法攻撃を織り交ぜながらのクルトの強烈な一撃が幾度と触手に命中する。 しかしもう片方から浴びせられる触手の打撃が時折リリーを集中的に襲っていた。 本体からは、魔法攻撃が飛んできていた。全てリリーを集中的に飛んできていた。 「あ・・・う・・・く・・・体力のない確実に仕留められそうな獲物から攻撃してくるってわけね・・・・」 何度も叩かれ、水の魔法の水圧で押され、ダメージは累積されていった。 だがそのクラゲは容赦なくリリーを襲っていた。 「くそ、回復の薬だ、使え!!」 クルトがそれを取り出してりリーの方へと投げていった。 「もう駄目・・・」 しかし二本の触手に集中的に攻撃されて、リリーは甲板に倒れてしまっていた。 クルトが投げた回復の水はリリーの身体にふりかかっていったが、その恩恵はなかった。 「クルト!!触手を頼むぞ。俺はリリーを」 フォルはそう言って倒れているリリーへと駆け寄っていった。 が、触手はリリーの身体を巻き上げて、本体へと運ぼうとしていた。 「させるかぁ!!」 フォルの一閃が触手にダメージを与えて、リリーの身体はそのまま落下していった。 その身体をフォルはしっかりと受け止め、身体に戦闘不能に陥った身体を回復させるという水をかける。 「・・・ありがと・・・。大丈夫・・まだいける」 リリーは自分の足でしっかりと再び甲板に立つと、武器を構えてそう言った。 「ああ、俺たちの近くにいろよ。よしじゃあクルトの近くの触手をやろう」 フォルはリリーをかばうようにクルトのもとへとかけよっていった。 「クルト!!ごめん、心配かけて。はいこれ回復の水」 リリーがクルトへ回復の水をかけ、体力を回復させる。 そしてフォルトクルトはリリーを守るように触手を潰しにかかっていった。 「防戦じゃない。一気にけりをつけよう!!」 フォルの掛け声で三人はフルパワーで攻撃を繰り出していった。 しばらくすると、二本の触手は海面へたたきつけるかのように力尽きていった。 「ふぅ・・・残るは本体だな。クルト、前衛頼む。俺たちが魔法援護をする」 しかし本体のほうは、魔法の威力こそ高いものの、体力はなくすぐに倒すことが出来た。 クラゲが力尽きて消滅すると丁度船長も駆けつけてきた。 「おお、無事だったか。しかし本当に倒してくれるとは。なんとお礼を言っていいのか・・・  たいしたおれいは出来ないがこれを受け取ってくれ。」 そういって船長はフォル達に盾を渡した。 「精神力を盾とかえる物だ。護身用と思ってたが私には必要のないものだ。是非貰ってくれ」 「ありがとうございます。」 三人は、レーザーシールドを受け取り、アレフサンドリアへ到着するのを待っていた。 ・・・・。 自分たちの部屋で先ほどの戦闘について話し合っていた。 「ゴメンなさい・・・・なんか足手まといで」 リリーが自分の打たれ弱さに責任を感じて謝った。 「いや、そんなことないって。魔法力の援護は助かったし」 「相手が集中攻撃してきたんだ、しょうがねえよ。」 「だけどさ・・・格闘がメインな私が一番打たれ弱いのはさ・・・」 「当って危なかったら回避すれば良いんだよ。それに足手まといじゃない。  リリーの魔法力をあてにしてるから、必死に助けるんだ。それに親友だしさ」 フォルはリリーの手をすっと握りそう言った。 「フォルの言うとおり。だからもう少し自分に自身もてよ」 クルトはリリーの肩にゆっくりと手を置いて、リリーは要らない存在じゃない、と目で口でリリーを諭した。 「そう・・・だね。うん。ありがとう」 話がまとまると、港に着いた笛が鳴り響いた。 「さてと、海底神殿は近いぞ。」 クルトが立ち上がり、それに続くようにフォル、リリーと続く。 そして船を下りて三人は新たな大地へと踏み入れた。 ・・・・。 アレフサンドリア城下町。それはかなり近代的で、随所に電気が使われている場所だった。 完全にこの場所は雷の精霊の影響を受けている、とフォルは肌で感じていた。 「しかしすげーな。この町は。なんでもありって感じだな。なんか文明が違う気がするぞ。」 クルトはめまぐるしい電気の配置に別の時代へ来た気分になっていた。 「まぁ、いいんじゃない?やっぱほら、変に緊張するよりいいんだってば」 リリーはどうも気が張っているクルトをなだめるようにそう言った。 「たまにはこういうのもいいだろう。旅行気分ってやつでさ。目的さえ忘れてなきゃさ。  でも今は海底神殿の情報を探さないとな。」 フォルのその言葉にふたりは、えっ!?という表情を見せていた。 「それマジで言ってるの?フォル、これみなさいよ。ほら目の前」 「目をこらしてよく見てみろ。その文字だぜ」 クルトとリリーが飽きれたようにフォルの目の前を指差していた。 「なんだよ。二人とも・・・・ん・・・・なんだこれ。『海底神殿はここを左に五百メートル』  これはやりすぎだろ。」 あまりに大胆な看板にフォルがあきれながらもそちらへ向かっていた。 するとなにやらその入口らしきところに従業服らしきものを着ている男が居た。 「はいはいはい。海底神殿の見学ですか?  入場料は一人250¥ですよ。天然水族館としても楽しめます。ただし神殿内部は入れません。さあどうですか?」 男がそういったので、三人はお金を払い内部へと入っていった・・・。 長い海底のパイプを進んでいく。海底の中なだけあって、水族館などよりかなりリアルに魚が見れた。 「内部に入れない・・・か。どういう事なんだか。まぁ調べてみれば判るだろうけどね。」 フォルが考える仕草をとりながら二人に言った。 「ここまで来て引き返す理由もないもんね。・・・ん・・・なんだろうこの感じ」 リリーは突然気配を感じて背筋に寒気をほのかに感じていた。 「・・・何か来るぞ。気をつけろ・・・武器を構えろ」 「・・・・・・この感じは!?」 白い光がその場に走ると、その場にはレナの姿があった。 「・・・レナ!?」 リリーがその名前を呼ぶ。しかしレナからは返事がない。 「おい、レナ!返事しろ!!」 クルトが叫ぶと我に帰ったかのようにセリフを返してきた。 「ゴメンネ。迷惑かけちゃったみたい。でもなんとか自力で逃げてきたよ。」 「良かった、レナが無事で・・・。レナ・・・・良かった本当に・・・・」 リリーはそのままレナの元へと駆け寄っていった。 「あ、危ない!リリー戻れ!!」 フォルはそれがレナでないことに気づきリリーを引き止めたが、もうおそかった。 リリーはレナの姿をしたものにサブミッションを完璧に決められ、そのまま動くことが出来なかった。 「また・・・足手まとい・・・だね・・・・レナじゃ・・・ない・・・・こいつは・・・?」 「ほほほ。どうやって私がレナじゃないってわかったのかしら?」 レナの姿をした者はリリーを捕らえままにフォルにそう言った。 「指だ・・・。レナは光の指輪をしている。闇の者は触れることすら困難な指輪を。  それをお前はしていなかった。今のレナなら外すはずはないからな。姿は真似できても  闇のものが光のものになるのは無理なんだ。  ・・・・いいからリリーをそこから離せ。話はそれからだ。」 剣を構え、レナの姿をした者へとゆっくりと強く言い放った。 「いいだろう。この女は離してやろう。離すまえに・・・どれ。」 リリーの身体にさらに強烈なサブミッションを入れる。バキバキバキという音を立てるのが判ると、 そいつはリリーの身体をクルトの方向へと飛ばしていた。 「リリー!!」 クルトはその身体をしっかりと受け止める。そしてその名を呼ぶ。 「大丈夫・・・・・・・でも今は・・・動けない・・・よ・・・・全身に痛みが走る・・・うく・・・」 「人間とは脆弱なものだな。サブミッションごときで行動不能に陥るとは。  おっと失礼。私の名前はドッペル・ゲンガー。大切な人の姿を借りて惨劇を繰り返す悪魔とでも呼んでもらいましょう」 ドッペルゲンガーが自分の名前を言い終わると、二人は武器を構えて襲い掛かっていった。 「レナの姿を借りて・・・ふざけるな!」 怒りのこもった強烈な一撃が命中する。それに続き、 「おまけにリリーをこんなめにあわせやがって。ゆるさねえぜ!」 斧が勢いよく振り下ろされていった。 「人間にしてはなかなか強いではないか・・・。」 ドッペルゲンガーはレナの姿のままに、槍を構え襲い掛かってきていた。 「ファイアーボール!!」 ドッペルゲンガーは小刻みに低級な魔法を連発してきていた。 だが怒りが頂点にある二人は引くことをしらず、せめてせめてせめまくっていた。 「喰らえ!ガトリング・レイピア!!」 フォルは剣技をフルに使用して敵に打撃を与えていく。 「きゃぁあぁぁあ!!!うう・・・よくも!」 だがドッペルゲンガーはレナの声で悲鳴をあげ、レナの声で攻撃をして、レナの姿で舞っているためか、 二人とも完全に武器を振り下ろせなかった。そのため戦闘には時間がかかっていた。 ドッペルゲンガーの魔法ひ被弾して、よろめいているところに、ドッペルゲンガーは捨て身の一撃をかけてきた。 「ぐぁ・・・く・・・」 フォルはドッペルゲンガーに正面から抱かれるような形で凶悪な力で抱き絞める。あまりの強さに フォルの身体は空中を浮いていた。 「これが・・・抱いてくれるのがお前・・・じゃなくて・・・・レナだったら・・・・どんなに・・・・どん・・なに!!」 フォルが必死に抵抗するところにクルトが打撃をいれて、フォルを地に下ろした。 「助かる・・・。くそ。あいつはレナじゃない。もう迷わない。俺はあいつを斬る!」 迷いを捨てたフォルとクルトの攻撃をドッペルゲンガーを完全に叩きのめしていた。 そしてフォルの一撃でドッペルゲンガーは闇へと消えていった。巨大な悲鳴を残して。 「ふぅ。・・・・・・フォル、大丈夫か?」 「あぁ、なんとかね。それよりリリーは?」 「大丈夫、意識はないがが命に別状はないはずだ。」 「良かった・・・・しかし、女の子のリリーがこんな目にばっか遭って。  俺はもう許さない。胸の奥が熱い。」 「リリーは俺が背負う。だから先に行ってろ」 だがリリーは目を覚まして、ゆっくりと立ち上がった。 「はぁ・・・はぁ・・・駄目。私も行くわ・・・。ここまで来たんだもん。これぐらいの・・・痛みで引き返せないよ。  レナは独りで助けを待ってるんだから・・・・。」 「そうだな。痛みは消えないかもしれないけど傷は癒える。回復の水だ」 クルトはリリーに回復の水をふりかけて、体力だけでも回復させた。 「じゃあ・・・行こう・・・・レナが待ってるもんね・・・・」 そうして長いトンネルをくぐっていった。 そしてトンネルの先には一つの扉が位置していた。 「この扉は・・・なんだ?」 「これが入口みたいだね・・・。でも押したり引いたりして開きそうもない・・・」 扉は、置物のようにそこに存在していた。 「ん・・・ペンダントが光って・・・・。」 フォルが扉に触れると、ペンダントは輝きだして、扉の中央が黄緑に点灯していた。 「黄緑・・・隣は・・・黄色?それに黄緑の光と一緒に風・・・隣は雷・・・・」 クルトがその扉を見て考えを張り巡らせていると、フォルは閃くように言った。 「ということはこれは精霊の力か魔力か分らないけど封印された扉だ。  だったら雷の精霊の力を借りに行けばいいんだな!」 「雷の精霊・・・確か・・・ラムーだったらエターナルアース内部で目撃情報や遭遇情報がいっぱいあるよ。」 「雷なだけに、情報世界に紛れているのか?電子?どのみち手がかりはそこしかないしな。善は急げと言うし町へ戻ろう」 三人は、アレフサンドリアへと戻っていた。 「しかし、この町もチカチカ眩しいなあ」 「ほんと。電気があちこちに現われてるもんね」 クルトとリリーは町の様子を楽しげに喋っていた。 「ん・・・どうした?フォル」 「電気・・・そうか。おそらくエターナルアースでもラムーは俺たちの世界で言うこの街の場所に居るはずだ」 「なら早く!レナを一刻も早く助けよう!」 ・・・・そしてパソコンの電源が着き、ゲームにログインしようと試みる。 そしてゲーム世界と精神を繋ごうと試みる。いつものように、ゲームのフィールドが広がっている。 「ふう。ゲームもゲーム感覚じゃないなんて、やな感じだなぁ・・・」 「しょうがないよ。こんな世の中だし、出来ることをするだけよ」 三人はネットタウンカサンドラへ向かっていた。そこは現実のチリで言うアレフサンドリアだ。 三人は特に問題もなくカサンドラへと到着していた・・・。 「はぁ・・・。やっと着いたぜ。で、雷の精霊は何処で目撃情報があるんだ?」 「えーーっとね・・・雷(イカズチ)の塔・・・の最上階だったかな。いかにも、な場所だけどね」 「そういえば、アレフサンドリアにも塔みたいのなかったけ?」 「ネオンタワーだっけか?全55階建てで、今は使われていない廃墟で魔物が住み着いているって言う。」 「何か共通点があるかもね・・・。このゲームのことだしさ」 三人は談笑を終えるとダンジョン内部へと進んでいった。 ネオンタワーと同じ55階層になる塔をのぼりおえた先には、雷の像が待ち構えていた。 「あの像がラムー・・・?なわけねえよな。それにしてもやけに電気が飛び交う部屋だな。」 クルトが部屋を見渡しながら感じたことを行っていた。 「ん・・・?像の後ろの剣が電気をせき止めてるみたいだな・・・。引き抜いてしまおう」 フォルがその剣・・ヴォルテックソードを入手すると同時に後ろのオブジェに光が点灯していた。 そしてそこから老人の姿をした者が姿を表していた。 「貴方がラムー・・・?」 リリーはその姿をゆっくりと見据えながら尋ねた。 「いかにも。私は雷を統治する精霊のラムー。その翼・・・それに風の力を感じる。  君は世界を救う資質のある者か・・・。」 「・・・風の精霊から話は聞きました。それでレナを助ける為にも貴方の力をお借りしたくて・・・」 そう言って三人は事情をラムーへと話していた。 「そうか。魔界と天界の戦争がここで行われようと言うのか・・・。邪気が世界を覆い始めてるのもそれが理由か。  これからは今まで以上にきつい戦いが待っているだろうな・・・。  だからこそ私も出来る限りは力を貸そう。だがネット世界では指輪に力は注げない。  ネオンタワー最上階へ来てくれ。頼んだぞ・・・」 そう言ってラムーは彼らをダンジョン外へと送っていた。 三人はすぐさまログアウトをしてダンジョンへと向かっていた・・・。 「現実でこの塔を登るのは少々危険だな・・・準備はしとかないとな。フォル、準備は良いか?」 「もちろんだ。一刻も早く雷の力を借りよう!」 三人は塔の内部へ走っていった・・・。 「!これってさっきの雷の塔と地形が似てる・・・」 「ねえ、この扉・・・というか雷が道をふさいでるけど・・・・・?」 リリーが入口すぐの扉のカタチヲしたものを調べながら言った。 「扉・・・スイッチ・・・このフロアを捜してみよう。そうすれば何か見つかるはず」 辺りをくまなく捜しはじめると、リリーが何かを発見していた。 「この石盤・・・見て。雷が閉じる時光は開く。光が閉じる時雷は開く。  現実空間と仮想空間の扉は互いにすれ違っていく・・・だって。これってもしかすると、雷の塔に何かあるのかも」 「そこの部屋・・・ロックすればモンスターも出てこないだろう。ちょっとノートパソコンを使おう」 ゲームの空間を展開させる。そしてすかさず雷の塔へと侵入していった。 そこには一つのスイッチが存在していた。スイッチを押して入口まで行きそこを通り抜けようとすると、電気が三人のPCを襲い 三人を弾いていた。他のキャラクターはその空間を通っていた。どうやら押したパーティーのみが通れなくなるようであった。 「ネットゲーナだけあるな。一人が何かしてみんなが迷惑かかるって言うおちはないみたいだな」 三人はその場所でログアウトすると、先ほどの場所へと戻っていた。 「通れるようになってる・・・。この調子で最上階まで行こう!!」 フォルは前を指差し駆け出していった。そしてそんな仕掛けが五十四階まで続き、ついに五十五階にたどり着いていた。 「なんだこの壁。鏡があるだけでなんもないし・・・どっちにも仕掛けはないし・・・。どうなってるんだ?」 「この鏡が道をふさいでるとしか思えないよ?どれどれ。ちょっくら触ってみよう・・」 クルトが鏡に触れると中から巨大な爪を持った魔物がリリーへ襲い掛かっていた。 「嘘!?」 リリーはなんとかそれを回避すると、鏡の中からそれは姿を表していた。 「ククク・・・俺は鏡に潜む龍・・・いわばミラードラゴン。ここから先はベルゼブル様の命令で通すわけにはいかない。  おとなしく死ぬか、帰りな。お前らの仲間の命はシラネエけどよ」 「私達は退けない理由があるんだよ!」 「一刻も早く助けなきゃならない人がいるんだ。死にもしないし帰りもしない」 「そうだぜ。お前を倒すんだ!!」 ミラードラゴンとの戦闘がはじまった。鏡の前に魔法は弾き返されてしまっていた。 首を集中的に攻撃するとドラゴンは崩れ落ち、鏡も砕け散っていた 「・・・ふう。なんとか倒せた。この奥だな・・・」 その部屋の奥に行くとラムーが姿を表していた。 「早速ですが、お願いします。」 フォルは指輪をかざすと、ラムーはそれに光を注いでいた。指輪は紫に点灯して輝き始めていた。 そしてゆっくりと紫の光を放ち続けていた。 「あとこれも持っていけ」 とラムーはフォルへ一つの石を差し出していた。 「この石は・・・?」 「雷の力を凝縮した石だ。なにか先に進めないときはそれを使うといい。もろい壁なら穴ぐらいあくはずだ。  海底神殿は古代の遺跡。これがあれば先へ薦めるだろう。  頑張れよ。未来は君たちが守るんだ・・・」 そう言ってラムーは消えてしまった。 ラムーが消えた場所には魔法陣が現われ、三人はそれに乗ると塔の外まで戻されていた。 「う・・・く・・・」 フォルが急に頭を抑えながらよろめいていた。 「おい、大丈夫か・・?」 「なんか頭に何かが・・・・。入ってきてる・・・。・・・光の技・・・」 フォルは頭で直接光の魔法を会得していた。 「ふう・・・もう大丈夫。新しい光の魔法が使えるようになったみたいだし」 「今日は休もう。こんな疲れた身体で行っても返り討ちに合うだけだよ。」 リリーはそう言って宿屋を指差していた。 「そうだな。明日の決戦かどうかわかんねえけど・・・備えておかないとな。」 三人は宿屋へ向かい、すでに夜を迎えているところであった。 「いよいよ・・・だな」 「ああ。明日はいままで以上につらい戦いになる。  だから・・・無理に俺について来なくてもいい。無事帰ってこれる保障だってない。  それでも・・・いいのか?」 「今更何言ってんの。レナを助けてみんなで帰る。それが目的なんだから。」 「ここで逃げちゃ意味ねえよ。何もかも水の泡さ。」 フォルは二人の返事を聞いて、ゆっくりと微笑んでいた。 「ありがとう。二人とも・・・それじゃあ今日はもう寝よう。おやすみ・・・」 そしてそのまま各自寝室へと向かっていった。 皆が寝静まったころ、フォルは月を見上げていた。 「レナ・・・。」 ただひたすらにレナの無事を考えて月を見上げていた。 「待ってろよ。必ず助けるからな」 フォルは一人決心を新たに眠りに付いていた。 そして夜はふけていった。  「よし行こう。レナを助けに!!」 「うん!」 「絶対生きて帰るんだ!」 三人は海底神殿の扉まで向かっていった。 すかさず扉に指輪をかざすと、扉の球は紫に輝き、隣の黄緑と共鳴しだしていた。 そして球と球は一つになり、ゆっくりとその大きなドアは開いていった。 「・・・行こう。」 三人はその扉をくぐり内部へと進入していった。 辺りは鎮まりかえっていて、非常に不気味であった。 後ろの扉は三人を入れるとすぐにしまっていた。 とはいえ、指輪の力で内部から開けられるようだったので、どうやら力のない人間を入れるのを拒んでいるようだった。 「閉じ込められたわけじゃないな。どのみち退けないし。レナを捜そう。」 海底神殿の中を歩いていく・・・。だがすでに悪魔や魔物によって神殿内部は守られていた。 「やっぱただじゃ通してくれねえよなぁ・・・。」 「強行突破だ!!行くぞ!」 「退いてばっかじゃ何にも始まらないもんね♪」 三人は武器を構えて激戦に身を投じていった・・。 神殿内部を探索していると、開けた部分に出ていた。 魔法力に覆われているのか海底神殿全体は空気で満ちていた。 反対側の建物へ移動しようとすると、巨大な魔物が行く手を遮っていた。 「・・・わがなはスキュラ。ここから先は通すわけには行かない。ここで海の藻屑と消えるが良い!!」 獣のような手足と、女の姿をしたその上半身でそれは襲い掛かった。 それもなんとか退けると三人はこの先にレナが要ると確信して進んでいた。 先ほどのと変わって今度は機械がたくさん並んだ場所へ出ていた。 「ベルトコンベアがいっぱい・・・。これを見極めて進む必要もあるみたいね。  あれ、このスイッチは・・・」 リリーが近くにあったスイッチを押すと、ベルとコンベアの一部が逆に回っていた。 「なるほど。流れを変えてなんとか進んでいくんだな・・・よし行こう」 三人は機械地帯を切り抜けると庭園に出て、そこには巨大な扉が見えた。 古そうな扉だが、内部からカギがかかっており、外から侵入するには難しく思えた。 「古そうだな・・・。もしかしたらこの雷の石で壊せるかも・・・。やってみよう」 石を扉の下に置き、フォルが魔力を放出させると、石は強力な電気を放ち爆発した。 案の定古かった扉は木っ端微塵に粉砕されていた。 「やったぁ!開いたね!!じゃあ早速行こう」 その扉をくぐると突然悪魔が現われていた。 「侵入者だ!捕まえろ!!」 悪魔達は大勢でこちらへ向かってきていた。相手にしたら敵わない。それほどまでの大勢で。 「・・・くそ・・・どうしたらいい・・!?」 「私が囮になるわ・・・。二人はなんとかレナを助け出して。大丈夫私もなんとか逃げるから」 「でも・・・リリー!」 「ここで三人がつかまったら全部意味ないだろう!?リリーの気持ちも判ってやれ」 「・・・く。分った。ここは任せた。クルト・・・行こう」 フォルとクルトは一足先にその場を離脱していた。 「逃げたぞ!追え!!」 だがその悪魔の隊へと雷鳴が走っていた。 「二人は忙しいの。だから私が相手になるよ。」 そう言ってリリーは敵の目をこちらに引きつけて、敵を自分の方へと誘導していた。 「待て!!逃がさんぞ!!」 「そう簡単につかまるもんですか!!」 リリーは庭園へと敵をおびき出していた。だが外へ出るとおびき出されたのは自分だと気づく・・・。 目の前にも悪魔がずらっと並んでいたからだ。 「こんな所で諦めるわけにはいかない!!」 リリーは勇敢にも単独で攻撃を仕掛けたが、大勢の悪魔を相手に、倒れてしまう。 「・・・ごめん・・・フォル・・・レナ・・・クルト・・・。私捕まっちゃうみたい・・・」 「この女を監禁しておけ。」 「了解しました。」 それでも必死に立ち上がり、抵抗を試みていた。 「離しなさい!やめて!!」 「うるさい女だ。黙らせろ」 「う!?・・・・・・」 リリーはそのまま気絶させられてしまい、そのまま運ばれていった。 「おい、起きろ。大丈夫か!?」 不意に自分を呼ぶ声がして目をあけるとそこには見知らぬ少年がいた。 「うん・・・。ここは・・・?それにあなたは・・・?」 「僕はリオン・リグスター。兄弟を捜して旅するうちにここに着いた。  まぁ精霊に導かれるままに兄弟を捜してたんだけど・・・。っていまはそんな場合じゃないな」 「リグスター・・!?フォルの名前も・・・フォル=リグスター・・・」 「今は一刻も早く二人の所へ向かおう。えーと・・・」 「リリー=アルフィス。リリーでいいよ。」 「体のほうは大丈夫か?俺がさっき治癒魔法をかけたけど」 「ええ。おかげで随分楽。戦闘するぐらいなら支障はないよ。」 「・・・フォルのところまで僕を案内してくれ。頼んだぞ」 「ええ。任せて」 リオンたちはフォル達の所へと急いでいった・・・。 そのころでフォル達は・・・ 先ほどの場所を抜けて、城のような建物の中にいた。 「これは過去に沈んだ・・・城下町なのか・・・?」 「それにこの都市巨大な魔法力で動かしていたみたいだ・・・」 「てことはやつらはレナの魔法力で・・・??」 「そこまではわからねえが・・・。魔法力で何かをしようとしているのは間違いないな」 城の長い通路を2人は突き進んでいく。 いかにもな扉を城のしかけを解除して開いていく・・・そしてその奥には・・・玉座の上で何かが待ち構えていた。 玉座の後ろのほうには何かで封印された扉があった。 「あそこの扉に何かある・・・あからさまに怪しい!」 「だが目の前のやつを倒してからだな・・・話は」 2人が構えると、それは襲い掛かってきていた。 「・・・・ルシファー様の邪魔をするものは排除するのみ!!」 またも天使・・・。その猛攻をしりぞけると同時に、後ろの扉の封印は消えていた。 「よし・・・行くぞ!」 扉を開けるとそこには闇が広がる下り階段が続いていた。そしてそれを下りきると妙な研究施設へとたどり着く。 「レナ!!!」 二匹の悪魔はレナを魔法陣の床に拘束し、施設に置いてある設備で魔法力を吸い取っていた。 「フォル・・・!?それに・・クルト・・・!?」 「遅かったな・・・」 すると声の方向からルシファーが姿を表していた。 「ルシファー!!レナをどうするつもりなんだ!!」 「かつては悪魔の拠点であったこの魔城・・・。 だが聖なる力を持って封印され・・・その力を失った・・・・。  この女の聖なる魔力を利用し、その封印を解くというわけだよ・・。それがどういうことか判るか!」 「どうなるというんだ・・・!?」 「地上は聖なる力により悪魔達が徘徊できないようになっているな。  だが城の邪悪な魔力が地上に現われれば、地上に悪魔が現われるのも時間の問題・・・。  フフ・・・・。召喚すらたやすいものとなる・・・・。そのときは天界の最後だ」 「なんだと・・・!?」 「まずは仮想現実を魔で染めてくれよう・・・。ゆっくりと着実に・・・・。  そしてその時は来た!!目覚めよ!!暗黒の魔城!!」 ルシファーはレナへ対し手をかざし、魔力を高めていった。 次第に城が揺れだしていく・・・。そして揺れがおさまっていく。 「・・・ついにこのときがやって来た!魔の住民達よ!地上へ巣食え!精神世界エターナルアースを占拠せよ!  聖なる者を全て破壊するが良い!!」 ルシファーから闇の波動が高まると、研究所から見える外では悪魔と思われる物体が外へ飛び立っていた。 「・・・レナよ・・・。その聖なる力を解放し・・・我が呪いと同化し最強の悪魔となれ・・・・!!」 ルシファーはレナに対して暗黒の魔法力を注ぎ込んでいた。 「ルシファー何を・・・・!!」 「直に終わる・・・」 闇の波動がおさまるとレナに漆黒の魔力の羽と白銀の翼が背中に見えていた。 右手には炎・・・・左手には刃・・・。レナはまるで悪魔に変わってしまっていた。 「レナよ。ここは任せたぞ。そのもの共を撃滅するのだ・・・。いいな」 「判りました・・・」 そう言ってルシファーは飛び立っていった。 「くそ・・・!レナと戦うなんて俺には出来ない・・・・」 「だが・・・。やらなきゃ殺されるぜ・・・・」 「やるしかないのか・・・。」 2人がためらっていると、レナは頭を抱え苦しんでいる。 「う・・・フォ・・ル・・・私を・・・私を・・・殺して・・でないと・・・私が地上を滅ぼす悪魔に・・・・・」 レナの指輪が光っていた。完全に意識を支配したわけではないようだった。 「フォル・・・・・。ここは戦うしかない・・・・!」 「・・くそ!」 だがレナの強さはすさまじく、2人はなかなか手が出せずにいた。 「ぐ・・」 2人は立っているのがやっとの状態まで追い込まれていた。 「これで止めよ・・・」 「開け!神聖なる門!ヘブンズ・ゲート!!」 突如光の魔法が炸裂する。 「フォル!?クルト!?・・・・それにレナ!??」 「く・・・リリーか・・・。」 「久し振りだね・・・フォル。」 「・・・リオン!?無事だったのか。」 「まぁね。それよりレナを救うことが先だ。この指輪を。  それで光の強さは増すはずだ・・・・。」 放しているうちにレナが再びこちらへ牙をむいていた。 「酷だが・・・レナを弱らせてその隙に光を撃つしか方法は無い・・・!!」 「・・・・・・・・・レナを助けられるならやってやるさ」 翼を広げてレナはこちらを睨んできていた。 「どうしたの・・・?おしゃべりはもう終わり!?」 フォルは剣に迷いながらも構えていった。 「第2ラウンドさ・・・。本当のレナを救ってやるさ・・・」 レナを四人がかりで攻撃する。猛攻に耐えながら。 そしてレナが焦りを見せ弱ってきた頃・・・。 「よしいまだフォル!・・・みんな魔法力を」 次の瞬間フォルの周りのすさまじい魔力が集まり、まるで別人のような感じを見せていた。 「・・・神聖なる浄化の光よ・・・・・・。魔に犯されしものを解き放て!!  暗黒よ無に還れ・・・・!!・・・星の光よ・・・・天空の星よ!!すべてを照らす光となれ!!  セレスティアル・・・スター!!!!!」 すさまじい光がレナを貫く。そして包み込む。 まばゆい光が走り一帯がどうなっているのかも判らない状況にあった。 目をあけるとそこにはもとの姿のレナが倒れていた。 「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・。」 フォルは無意識に強大な魔法を撃ったため、意識を保つのがやっとであった。 「レナは・・・・・。無事・・・か?」 フォルのその言葉にレナが答えていた。 「私は大丈夫・・・みんなのおかげね・・・。でも・・・みんなに・・・」 「所詮は人。ルシファー様への時間稼ぎにしかならなかったか・・・」 そこに現われるは謎の天使いや悪魔か? いままさに真の戦いは始まらんとしていた・・・ これが今で言う神話の、始まりだったのだ。 彼等の物語は、今開いたばかりなのだ。

あとがき〜未完なるままに〜

あとがきはこれを書き終えてから大分な月日が流れています。 というのももともと『三章』だったはずなのですからね。これは。 読めば判ると思いますが、終わるどころか始まっていますね。 しかし何故これで終章なのかというと、実はこの後の物語と言うのは、 もう一人の主人公「ルナ」視点で別の惑星があったという設定で書くつもりでした。 ですが、物書きをしばらく封印せざる終えない状況になり、その設定も無茶だろう。 と言う事で、どうせならコンセプトをついで次回作を作ってまえ!って思ったのですね。 そう思った結果、この章の大ラスの台詞で締める事にしました。 まるでプロローグですよ。自分は基本的には『一個の作品を終わらせないで他の作品を創る』 という事が出来ない、やるとどっちも駄目になる。 それに一個をキチント完結させることが自分のポリシー。 そんな人間なので極力やらないようにしてます。故にこれが三章止まりになった事は悔やみきれない。 でも、それはケジメとして次の作品に生まれ変わるのだという意味合いでもあるのです。 次回作もとい転生作を楽しみに待っていてください。 コンセプト同じに、まっとうな物を見せていきたいと思っております。 04,8月23日、ゲバチエル。

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