死神と呼ばれた少年
present by ゲバチエル
登場人物
ナイトメア
死神。魂を刈り取る鎌、デスサイズが象徴的。
天使に拾われた人間で、感情は憎しみしか持ち合わせていないが・・・

アズラエル
死を司る天使。死神に魂狩りの任務を与えている。
自分の利益の為なら手段を選ばない残酷で非道な天使だが・・・

サツキ
噂好きなで活発な少女。変わった事があると飛びつくようなノリを見せる
四人の中のムードメーカー的存在

アカネ
物知りな四人組の一人。物事を全体で見ていて多少大人びて見える

ミゾレ
おっとりした感じのするおとなしい四人組の一人。
さり気なく、しっかりとした意見を言いみなを静止する事が多い。

アキラ
いい加減な少年で、サツキと同じくムードメーカー的存在。
バカをよくやるが、その裏でかなり現実的な一面も持ち合わせている。

ユキエ
サツキたちの担任。先生らしくない。精神年齢は子供のまま止まっているかのようだ。

  ルシフェル
かなり偉い天使。いかなる場合でも全体を見て判断を下す

デス
魔界の死神。地上を我が者にしようと天使になりすまし計画をもくろむ

テーマ〜環境や命の大切さ〜

あらすじ

天界から送り込まれた一人の死神。
学校生活へと身を溶け込ませ、クラスメイトと日常を過ごしていく。
気づかぬうちに、感情が変わっていく死神。
クラスメイトは何も知らないままに時間は過ぎていく。
そして語られる真実、現われる天使。
空間を越えた出会いと争いがまきおころうとしていた・・・。

本編

アズラエル「ナイトメアよ、お前に死神としての初任務を与えよう」
ナイトメア「任務・・・?」
アズラエル「地球上のこの地区にいる、汚れている人間の魂を狩れ。
        だが正常な人間までもをまきこむな。判ったな」
ナイトメア「汚れている人間?」
アズラエル「そのとおり。心から腐ってしまっている人間の魂を狩るのだ」
ナイトメア「その判断基準は?」
アズラエル「他人を無意味に傷つけるもの、地球そのものをおびやかすもの、
       自分の意思を見失っているものなど、様々な人間が対象だ。
       あとはお前の判断に任せよう。」
ナイトメア「俺が?」
アズラエル「そうだ。お前は腐っている人間を憎んでいるだろう?
       お前を捨てた両親のように腐った人間を」
ナイトメア「ああ。あいつらのように腐ったものを狩ればいいんだな?」
アズラエル「だがナイトメアという名前じゃ、下界に降りて何かと不便だろう。
       下界で蒼月幻夜(そうげつげんや)と名乗れ。
       普通の人間として社会に溶け込み、不意をついて狩れ。
       死神はいかに隠密に魂を狩れるかにかかっている。無茶はするなよ」
ナイトメア「了解した。」
アズラエル「こちらから何度か指示を出す事もあるだろうが、よろしく頼んだぞ」
ナイトメア「このデスサイズにかけてやってみせよう。では早速地上へ降下する」
アズラエル「ああ。悪しき人間を根絶やしにするのだ!!」

ナイトメア「俺の名はナイトメア。死神。もともと人間だが、俺の両親は三歳の俺を捨てた。
       人を憎しむなか、俺は天使に拾われ死神として教育された。
       そんな過去の話はどうでもいい。死神の仕事は、汚れた魂を狩りとること。
       肉体と魂を切り離せばその人間は死ぬ・・・そう、血塗られた仕事。
       そして今日からこのデスサイズを振るう日がやってきたのだ」

サツキ「ねぇねぇ、知ってる!?」
ミゾレ「知ってるって何が?」
アカネ「あー転入生の話?」
サツキ「なんだ。アカネ知ってたのか。あーつまんないの」
ミゾレ「ふーん新しく入ってくるんだ。ってどんな人が入ってくるのでしょう〜」
サツキ「そこまではわたしもしらないよ」
アキラ話に加わる
アキラ「お前等何はなしてんだ?」
アカネ「えーっと転入生が今日来るって言う話。どんなのが来るのかなって」
アキラ「あーその話か。さっき職員室でそれらしきやつがいたけど。うーーん顔まで見れなかった」
ミゾレ「肝心な所見なさいよ!もうー」
アキラ「いいだろーどうせ直に判ることだしさ。」
サツキ「よくなーい。こういうのはいち早く知りたいってもんよ!」
アカネ「サツキ、その噂癖いい加減なおしなよ(苦笑)」
サツキ「えーなによ。いいじゃないこれぐらい」
アキラ「これぐらい、じゃないだろ。その噂で何人が被害にあったか・・・なぁミゾレ?」
ミゾレ「え!?あ・・・まぁ・・・色々と・・・(言いながら沈む)」
サツキ「何よーー。もうー」
ユキエ「みんなおっはよーー」
アキラ「ユキエ先生!もう少し先生らしく入ってきてもいいんじゃないですか!?」
ユキエ「今日は新入生よ〜こんなに嬉しい事はないわ!新入生ゲットだぜ!」
アキラ「(ポケモンの歌を歌う)」
サツキ「歌うなそこ!(攻撃を入れる)」
ミゾレ「それで、どんな新入生なんですか?」
ユキエ「入っていいわよ。蒼月君〜」

ナイトメア「・・・。」
サツキ「なんか妙に無口じゃない?」
アカネ「近寄りがたいオーラ出てない?」
アキラ「オーロラ?」
ミゾレ「アキラさん・・・静かにしていただけますか?」
アキラ「わかったよ、もう」
ユキエ「ほら。自己紹介よ。名前と趣味とか言ってくれればそれでいいわ」
ナイトメア「・・・蒼月幻夜。特に好きな物はない。今後ともヨロシク」
ユキエ「まぁいいか。君の席はそこ、アキラの横。」
アキラ「よろしくな。えっと・・」
ナイトメア「蒼月幻夜。幻夜でいい」
アキラ「あ、ああ。よろしくなゲンヤ」
ナイトメア「ふん」
しばし沈黙
ユキエ「はぁ・・・、それじゃあ休み時間よ〜」

アキラ「なぁ、ゲンヤ・・・お前何処から来たんだ?」
ナイトメア「答える義務はない」
サツキ「好きな食べ物とかは?」
ナイトメア「そんな事を知ってどうする」
サツキ「どうするって・・・ねぇ?」
アカネ「え?わたしにふらないでよ・・・ほら新しい友達だし知りたくなって当然じゃない?」
ナイトメア「友達・・・?くだらない・・・」
ミゾレ「くだらない・・・って」
ナイトメア「言ったとおりだ。友情なんて感情がくだらないと言っている」
アキラ「なんだとー!友情のなにがくだらないんだ!」
サツキ「アキラは黙ってよ!ゲンヤ君だって色々あったんだろうし」
ナイトメア「黙れ」
アキラ「あー判ったよ。触れられたくない過去の一つや二つはあるよなそりゃ」
サツキ「そーいうこと。ごめんねゲンヤ君。」
ナイトメア「ふん」
ナイトメア、教室の外へ静かに出て行く
アカネ「機嫌を損ねた・・・みたいね?」
アキラ「なんていうかさ、ほら、あいつ・・・」
サツキ「あいつがどうしたって?」
アキラ「なんか、無表情だし声のトーンはかわんねえし、機械みてえだったって思ってよ」
ミゾレ「言われてみれば・・・」
アカネ「もしかしてあいつ感情がない・・・とか?」
サツキ「そんな感じがしたし。例えるなら」
ミゾレ「感情のない・・・殺人マシーンのような・・・死神・・・みたいな・・・そんな感じがしました」
アキラ「ちり紙みたい!?」
アカネ・サツキ・ミゾレ「し・に・が・み!」
アキラ「・・・すいませんでした」
サツキ「わかればよろしい!」
アカネ「死神ってあの鎌もってるあれ?とてもあいつがそうには見えないって」
ミゾレ「例えの話ですよ」
サツキ「でもあんな無表情なままどこいったんだろう?なんか気になる・・・」
アキラ「じゃー追いかけてみる?」
サツキ「たまには良い事いうじゃん。どうせ自習でしょ?みんな行こう!」
アカネ「課外授業っていうことにしておけば大丈夫ね」
アキラ「・・・たまに・・・かよ。友達がきになっちゃわりいかよー。まったく」

ナイトメア「あれが人間。馬鹿馬鹿しい。友情にじゃれあって何が楽しい?」
アキラ「あ、あそこだ!」
サツキ「あの長い棒・・・まるで鎌ね」
ナイトメア「気配・・・?背後・・・人間・・・か!?」
ミゾレ「気づいたみたいですよ」
アカネ「なんか・・・怖い」
アキラ「静かにして伏せていよう・・・」
ナイトメア「おい。そこに居るのは判っている。姿を見せろ(鎌をつきつけながら)」
サツキ「みんな仕方ないわ」
ナイトメア「お前等か。何のようだ」
アキラ「いや、ほら。お前が気になってさ」
ナイトメア「馬鹿馬鹿しい。俺に関わるのは止めろ。」
サツキ「関わるな!じゃないって。人が心配しているのに・・・」

ナイトメア、鎌を振るうように構える

ナイトメア「命が惜しければ帰れ。これ以上深入りするようならここでお前らを殺す。」
アカネ「殺す・・・!?あなた何言ってるのよ」
ナイトメア「繰り返す。命が惜しければ帰れ。さもなければ殺す」
ミゾレ「ここは・・・帰ったほうがいいんじゃないですか?」
サツキ「そうね・・・。判ったわ、ゲンヤ君の言うとおりに私達は帰るとするわ」
ナイトメア「フ・・・適切な判断だな。判ったなら行け」
アキラ「はいはい。判りましたよ。みんな帰ろうぜ!」
アカネ「ええ、しょうがないわね」
ナイトメア「お前等。ここでの事は誰にも喋るな。喋ろうものなら死あるのみだ。
       俺の真の姿を見た以上、否定の余地はない」
サツキ「・・・。そう何度も殺すだの死だの言わなくていいわよ。約束は守るわ。それじゃまたね」

四人、退場

ナイトメア「姿を見た奴は、皆殺し。ましてや真の姿をだ。
       俺は・・・何故あそこでデスサイズを振るえなかった!?
       教えてくれ・・・デスサイズ!何故だ・・何故殺せない!?
       死神は殺人鬼とは違う。だが機密をわずかでも知られた以上は死を持って隠滅するしかない。
       ・・・何故だ・・・頼む答えてくれ・・・デスサイズ!」

デス「アズラエル様。ナイトメアが死神としての姿を見られたにも関わらず、鎌を振るわなかったようです」
アズラエル「甘い・・・死神と言うのは、残酷・冷酷・そして機械のような心の持ち主。
        まぁあいつにも考えがあってのことだろうな・
        そして人間という生命を見極めるつもりなのか・・・・。
        だが私は地球を汚す人間どもを許すつもりは無い。
        死の天使・アズラエル、全ての人類に制裁を加えるまではな!」
デス「おっしゃるとおりです。今の人類は己の罪も理解していないおろかな種族。私達の手で裁かなくてはなりません」
アズラエル「そうだ。だからこそ死神に裁きを任せている」
デス「お言葉ですが、自ら手を下さなくてあなた様はよろしいのですか?自分自身の手で裁くのも一興かと」
アズラエル、何かに納得するように
アズラエル「ふむ、そうか。確かに死神だけに任せておれんわ。私も地上へ降下しようではないか。
        死と破壊をもって人類に己の愚かさを気づかせてやるわ!!」

アズラエル退場、
デス「ふふふ。人類を滅ぼすという目的のためだけに力を貸しているだけだ。
         それが終われば奴等も血の海と帰してくれよう・・・。
        滅ぼしあうがいいさ・・・ハハハハハ」
変わって四人が入ってくる

アキラ「あーびっくりした。殺すとか何とか言っちゃって。」
サツキ「でもあの目つきは、本気だったわよ」
アカネ「殺意に満ちた目って言うのかな、修羅場をくぐってきたっていうか」
ミゾレ「アカネさん、どうしてそんな事が判るんですか?」
アカネ「殺人の武器を持っても動じないのよ?あいつにも相当な覚悟があるんだと思う」
アキラ「鎌・・・。」
サツキ「持ってたね〜鎌。あれは冗談抜きで死神なんじゃない?」
アカネ「それに漆黒のマント。怪しいオーラただよいまくりよ」
アキラ「ああ、匂いがプンプンしたもんな!」
サツキ「余計なことは言わなくていい!(アキラを叩く)」
アキラ「っつーーー。俺が悪かったよ・・・」
アカネ「そういえば死神についてこんな話を聞いた事があるわ」
ミゾレ「どんな話ですか?」
アキラ「あんな話!」
サツキ「反省して無いだろ!(ケリを入れる) で、その話って?」
アカネ「黒衣に身を包み、影のように忍び寄る。
     その手には『デスサイズ』と呼ばれる魂を狩る鎌を持つ。
     姿を見たものは、皆殺しにするといわれている。
     隠密に行動し、機密は絶対で単独行動を行う。
     そして悪しき魂を狩り取るもの、これが死神・・って」
サツキ「ゲンヤ君と酷似しているわね・・・やはり彼は死神?」
アキラ「(けられた場所に手をさすりながら)
     にしてはおかしくないか・・・?」
サツキ「まだ何か言うつもり!?」
ミゾレ「サツキさん・・・とりあえず話を聞きましょうよ」
アキラ「いやだってよ。もしアカネの言った事が全て真実なら俺等とっくに死んでるよ。
     真の姿というべき状態をこの目で見たんだから。」
ミゾレ「『たまには』良い事を言うんですね」
アキラ「たまに・・をわざわざつけなくてもいいって・・・」
アカネ「殺さなかったと考えるべきなのか、殺せなかったと考えるべきか・・・どうなのかしら」
サツキ「けどさ、確か喋ろうものなら死あるのみ、殺すって言ってたよね?」
アカネ「悪しき魂を狩り取るが正しいとすれば、私達はそれに死神から見ればそれに属さないって事?」
ミゾレ「謎は深まるばかりですね・・・」
アキラ「まぁ・・・生きてたんだしさ。いいじゃんそれで」
アカネ「そうね。生きている事は救いね。」
サツキ「それにこの話はゲンヤ君の目つきからするとあまり話さないほうがよさそうね」
アキラ「気になる事には変わりないけどな」

ナイトメア、教室に入ってくる。
ナイトメア「何だ?」
アキラ「別に・・・何でもないけどさ」
ナイトメア「なら何故こっちを見ている」
サツキ「何でって・・・ねぇ」
アカネ「え!?・・・・ねぇ?」
ミゾレ「私ですか!?・・・気になっただけです」
ナイトメア「ふん。俺に深入りすると死を意味する。覚えて置けよ」     
サツキ「判ってるわよ。もう・・・。そんな言い方しなくてもいいじゃない」
ナイトメア「他人と関わる事が苦手だ。なら喋る必要も無い」
アカネ「苦手でもさぁ、私達は別に変に感じてないし」
ナイトメア「俺をほっておいてくれ!」
アキラ「んなこといわれたらなお更ほうっておけねえよ」
ミゾレ「ただ心配なだけです」
ナイトメア「心配など余計なお世話、むしろ迷惑だ。俺には一人が一番にあっている」
アカネ「そんなまるで独りよがりな考え方しなくても・・・。私達出会って日は浅いけど、
     友達でしょ?そんな他人を遠ざけなくてもいいじゃない」
ナイトメア「友達だと!?(不快そうに)」
サツキ「そう。と・も・だ・ち!だから相手を知ろうとしたり心配かけるのは当たり前でしょ?」
アキラ「お前はどう想ってるかしらないけど、俺は友達と思ってるぜ!!」
ナイトメア「・・・・・・・・・・・・なら」
サツキ「なら?」
ナイトメア「この俺を友と想っているのなら、一人にしてくれ」
サツキ「そんなに言うならしょうがないわね」
ミゾレ「でも私達は友達ですからね」
ナイトメア「好きにしろ・・・」
サツキ「じゃほら、外まで行って遊んできましょ」

ナイトメア「何故だ・・・奴等といると何かが違う。何かが違って思えてくる・・・何故だ!?」

アキラ「ふぅ・・・ったく学校の授業ってかったるい」
ミゾレ「ためになることが非常に少ないですから」
アカネ「それは言いすぎじゃない?」
アキラ「そんなことはない!やりたくない勉強をやらせるのは、嫌々を増幅させるだけだ!!」
サツキ「珍しく良い事言うじゃん」
アキラ「珍しくなんかないのに・・・」
アカネ「ゲンヤ君はどう思う?」
ナイトメア「・・・・」
サツキ「ちょっと聞いてる?」
ナイトメア「大声出さなくても聞こえている」
アキラ「なら答えろよな」
ナイトメア「・・・必要性の無いもの、向上の無い現代の勉強のやり方は無意味だろう」
アキラ「ほらな!」
ナイトメア「だが」
ミゾレ「だが・・・?」
ナイトメア「向上心のあるものにとっては無意味にはならない。やる気があるならばな。
       もっとも教える内容が役に立たない物ばかりだがな・・。
       ただ文句を言うのもどうかと思うがな。教育の場に居る以上黙ってやればいいだろう?」
サツキ「黙ってやる・・・機械じゃないんだから。それに教育は勉強を教えるだけが教育じゃないよ」
ナイトメア「お前等を馬鹿にしていたようだ」
全員「え?」
ナイトメア「ただ文句を言うだけの馬鹿だと思っていた。だがそれが判っているなら少しは認めてやる」
ミゾレ「どういうこと・・・です?」
ナイトメア「さあな。だが今のやり方の勉強では何も得る物は無い。無駄が多すぎる」
先生登場
ユキエ「そんなこともないわよ?」
ナイトメア「何故断言できる?」
ユキエ「生徒が自主的に勉強に取り組めば、それは大きなプラスだわ。」
ナイトメア「・・・ナツヤスミの読書感想文。あれは本嫌いを増幅させるマイナスでしかない」
ユキエ「でも好きな人は書くでしょう?プラスになる人がいればそれでいいじゃないの」
ナイトメア「嫌いを増幅させて、可能性を断つ事が正しいのか?」
ユキエ「それは・・・」
ナイトメア「授業だって、将来特殊な道に出なければ使わない物ばかりだろう。
       数学や理科が代表例だ。将来ミトコンドリアなんて単語使うか?
       二次方程式なんて計算式をたてるか?」
ユキエ「確かに使わないわ。でも、結果じゃなくて過程が大事なのよ。つらくても勉強を耐え抜いたという過程が。
     その過程があるから次に何かした時も頑張れる」
サツキ「ちょっと先生・・・ゲンヤ君も・・・」
アキラ「サツキ、ここは黙って聞いてようぜ」
サツキ「でも・・・」
アカネ「いい話聞けるかもね」
ナイトメア「過程?ならば好きなことをひたすらに引き伸ばせばいいではないか?やりたいことを。
       やりたいことをやりぬく過程にも辛くて悩み苦しみ、そしてやりぬくではないか。
       わざわざ嫌いな事で過程を求めても意味が無いのではないか?」
ユキエ「嫌々を乗り越えた事に意味があるのよ・・・」
ナイトメア「嫌々はさらなる嫌々を増幅させるだけだ・・・。「
アキラ「でもよ、嫌いを克服した時は達成感があるけどなぁ」
アカネ「そうね。嫌でも、やりきればきっといい事があるって思ってるから続けられるわ」
ナイトメア「嫌で辛くてもその先に希望があると思ってやるのか」
ユキエ「成長する段階で結果ばかりを追い求めてはいけません。」
ナイトメア「そうかもな。都合の良い事ばかりやるのは逃げと変わらないな。」
ユキエ「ええ。ただあなたの意見も決して間違ってるわけじゃない。」
サツキ「勉強は嫌な部分もあるけど、楽しい時もあるからね、一長一短よ」
アキラ「まぁぐだぐだ言ってもなるようになるって」
ナイトメア「そうだな・・。嫌いの中に可能性があるかもしれないからな・・・」
ユキエ「そう言うこと・・・見方を変えればなんだって・・・ね」
ナイトメア「固定概念・・・・俺はそれに捕らわれすぎてたみたいだ」
ユキエ「まぁそういうことね。それじゃ次の授業行くわよ」
ナイトメア「・・・何故だろう・・・。ここにいると何かが違う・・・自分の居場所のような・・・」

ルシフェル「何?アズラエルが地球へ向かった?」
デス「はい。おろかな人類に制裁を下す、と魔剣ラグナロクを手に」
ルシフェル「ラグナロクだと・・・?」
デス「間違いありません。あの剣は終焉と再生の剣ラグナロクでした」
ルシフェル「・・・破滅を持って終わらせ、そして世界を再生しようと考えているのか」
デス「それを止められるのは天使最上級セラフィムの称号を持つ貴方だけかと思いまして」
ルシフェル「よせ。生命に上級も下級もおかしいはなしだからな。」
デス「―で、アズラエルはどうするおつもりで?」
ルシフェル「ラグナロクを手にしたアズラエルは危険だ。俺が止めに行く」
デス「アズラエルは真っ先に死神であるナイトメアを狙うでしょう」
ルシフェル「人間として覚醒しつつあるからか・・・アズラエルにとっては邪魔な存在でしかないという事か」
デス「はい・・・ですがアズラエルは人類に裁きを下すつもりでしょう」
ルシフェル「確かに今の人間は支配者を気取っているな。だが俺たちが直接関わる事は危険だ。
        天界の力は大きいがゆえに、人類のゆくすえをコントロールも不可能ではないからだ」
デス「その支配者気取りが行き過ぎて、ラグナロクを持ち出すしまいとなったんではないでしょうか」
ルシフェル「魔剣は持ち主を狂わせる。魔剣に操られ自我を失うだろう・・・。そうなれば憎しみは天界すら砕くかも知れない」
デス「・・・。」
ルシフェル「破壊こそ正義なんてそんなことがあっていいはずがないからな。人類は消させない!」
デス「せいぜい頑張るがいいさ。人間界を掌握するのは俺達魔界の住人さ・・・。
   所詮は力こそが真の正義だって天使どもに思い知らせてやる。」

ナイトメア、ひとりたたずみ何かを考えている
ナイトメア「・・・あいつらは俺にとって破壊の対象に過ぎないはず・・・だが何故だろう。
            自分の居場所というものはこういうものなのかと思ってしまう」
アキラ「おーい。なにやってんだ。」
アキラ、呼びかけながら走ってやってくる
ナイトメア「・・・アキラか」
アキラ「アキラか。じゃないだろ。こんなところにいたのか・・・。最近変だぜ・・・?」
ナイトメア「変・・・俺が?」
アキラ「他に誰がいるんだよ?最初はびっくりしたけどな、お前が鎌なんて持ってるからさ」
ナイトメア「・・・」
アキラ「でもな、お前が死神だって・・・関係ない」
ナイトメア「関係ない・・・だと?この鎌でお前達を狩るかもしれないのにか」
アキラ「俺・・・いや、俺達はお前を信じてるんだよ。友達としてな」
ナイトメア「友達・・・か。あんな姿を知ってもなおそんなことを言い続けるつもりか」
アキラ「何者だろうが関係ない」
ナイトメア、一瞬驚いたようにアキラを見る
アキラ「そりゃー関係ないっていったら嘘かもしれないけどさ、秘密のない人間なんていないじゃん・・・」
サツキ「そうそう、秘密全部判っちゃったら魅力もなにも感じないよ」
アキラ「サツキ・・・!どうしてここに」
サツキ「幻也君とアキラが気になって探しに来たの。そしたらこんな話してて・・・気になっちゃってね」
ナイトメア「なんでそうなんだ。俺のことはほうっておけばいい。気にかけられる理由なんて―」
サツキ「アキラも言ってたけど・・・あなたが何者でもいいの。ただ心配だから。理由はそれで充分でしょ?」
ナイトメア「・・・だが俺はお前達をそんなふうに思ったことは無い」
アキラ「あるじゃないか」
ナイトメア「なんだと?」
サツキ「なら・・・なんで正体を知った私達が今こうして生きてるの?」
ナイトメア「それは・・・」
サツキ「幻也君自身気づいてないかも知れないけど、私達を友達って思ってるからでしょ?」
ナイトメア「・・・・・」
アキラ「まぁ人間を憎む気持ちは判らないでもないけど。山を切り開いてゴルフ場にしたり、ロクなことしてないからさ」
ミゾレ「権力を利用してとんでもないことする人もいますからね」
アカネ「自分がよければそれでいい、そんなのが増えちゃってるのよね」
アキラ「お前らまで」
ミゾレ「ふふ。こっそりついてきちゃいました。」
アカネ「考える事はみんな同じなのよ」
ナイトメア「・・・。お前達・・・。」
アキラ「どんな目的かしらないけど・・・あんまそう考え込むなよ」
ナイトメア「・・・見ろ汚いな」
全員その方向を見る
サツキ「何が汚いの?」
ナイトメア「都会の高層ビルなどの光によって、夜空の星は何一つ瞬いて見えない。
       本当はうっすらと月が差込み、暗闇のなかに満天の星が浮かぶはずなんだ」
アキラ「確かに・・・都会はネオンの光とかも人工的過ぎて綺麗じゃないな」
ナイトメア「今ここに瞬いているのはすべて人が作り出した、偽者の夜を照らす光。
       人は発展に夢中で、本来あるべきの地球の姿を忘れてしまっている。
           あるはずの物が無いことに気がつかない。愚かな人。
       技術や便利さだけを見れば確かに繁栄しているだろう。
       だがそれに伴い心はどうだ・・・?技術や便利さだけを追い求め何かを無くしているのではないか?
       長い年月の中で地球の支配者気取りになり、心は衰退していてしまっていた。
       俺はそんな人間がますます許せなかった。だから死神として生きることを決意した」
ミゾレ「心の・・・衰退ですか?」
ナイトメア「そうだ。同じ星に生きる生物のことなど考えていない。
       自分達でその生物を追いやっておいて、居場所が無くなったものたちを駆除。
       人間は自分たちのためなら、なんでもする愚かな精神に成り下がったのだ」
アカネ「そうね・・・。でもそう考えているのが人間の全てではないわ」
ナイトメア「・・・そこで俺はお前たちに出会った」
アキラ「初めてお前に会った日はビックリしたぜ。今でも驚いているけどよ。
     まだたいして一緒じゃないけど、まさか目の前に本物の死神がいるなんてよ」
ナイトメア「お前等は違った」
アカネ「違った?どこが違ったって言うの?」
ナイトメア「お前等の心は衰退していない、って事だ」
アキラ「俺たちそんな立派な人間じゃないぜ?」
サツキ「別に頭や運動能力が秀でているわけでもなく、カリスマもないしねぇ」
ナイトメア「俺が死神と知ってからも俺と普通に接してきていた。
       そして今の地球の状態を変える意思がある」
アカネ「無意味な自然破壊や、権力に食われた馬鹿を許せないだけよ」
アキラ「そういうのが考えすぎだと思うんだけどなぁ」

アズラエルが現われる

アズラエル「人間と共に何をしている?ナイトメアよ」
ナイトメア「アズラエル・・・!」
アズラエル「忘れたか・・・?死神としての素性を知られた奴は皆殺しのはずだぞ?」
ナイトメア「罪も無く、心の衰退をしていない人間を殺す理由がどこにある!」
アズラエル「人間そのものが死すべき存在なのだよ、ナイトメア」
ナイトメア「人間は悪い面のほうがおおいかもしれない。
       だが俺はこの目で見てきた。人間の良い面もだ」
アズラエル「人間は地球にとってゴミの存在でしかないのだよ。地球を汚す外道でしかない」
ナイトメア「そうやってゴミの存在を変えようとしている正常な人間までもを殺すのか!」
アズラエル「死神のわりにやけに感情的だな・・・」
ナイトメア「感情の高まり・・・封鎖できません・・・」
サツキ「さっきから聞いていればゴミゴミ言うけど、判ったわ」
アズラエル「人間ごときになにが理解できるというのだ」
アキラ「その態度さ、アズラエルさんよそうやって人間を悪者にしているけど、
     本当の・・・事件は人間界でおきてるんじゃない、天界でおきてるんだ!!」
アズラエル「本当の事件は天界でおきているだと?馬鹿馬鹿しい」
ミゾレ「そう考えているから判らないのです」
アカネ「天界のその気持ちが人を成長させないんじゃない?
     殺し・・・憎しみはまたあらたな憎しみを生む。誰かが死んでも、
     心が変わらない限り、私達人間は何も変わりはしないわ。」
ナイトメア「殺しは奪うのみ。なにも変わらない。いやむしろ憎しみを生むだけだ。
       奪うだけに何の意味があるというんだ?デスサイズは本来破壊の道具ではないはずだ。
       死んでも死にきれず魂と身体が離れ切れないものを切り離すためのものだったはず。
       それを歪めたのもお前たち天界じゃないのか?」
アズラエル「人間がいなくなれば、地球を邪なるものから解放できる。聖なる星地球それこそ我等が理想!」
サツキ「そんなこといって地球をのっとろうなんて思ってるんじゃないでしょうね?」
ミゾレ「強い支配力の持った生命体がいなくなれば制圧は楽ですからね。案外ありえるかもしれませんね」
全員アズラエルを見る。
アズラエル「く・・・・・・・・」
ナイトメア「私利私欲のために、命を刈り取っていたのか?
       それではお前の考える悪い人間と何も変わらない。
       答えろ。アズラエル(鎌を構える)」
アズラエル「ククク」
アカネ「急に笑い出したわよ・・・?」
アキラ「様子がおかしいぞ」
アズラエル、口調を変える
アズラエル「ふざけるな!翼の無い下等種族と一緒にするつもりか!?
        翼のある我々こそが地球の支配者にふさわしいのだ!」
        絶対的正義を持つこの我々が!!」
サツキ「正義って言う言葉、たやすく口にしないで!!俺が正義だ!なんて言ってる奴・・・。
     人によって価値や見方は違う。信じるものも違う。
     正義って言葉を盾にしないで!絶対的な正義は人を殺すことなの?
     そんなの絶対に間違ってる!!何をもって正義なのよ!!」
アズラエル「だまれ!下等種族。絶対的力を持つ物・・・力こそが正義なのだよ!!」
ナイトメア「力が正義・・・なら俺は正義なのか・・・?人殺しが正義なのか・・・?」
ミゾレ「幻也さん・・・。」
アキラ「正義は武力だけじゃない。心の強さもだ!」
アカネ「力だけの正義も駄目だけど、力なき正義もまた無意味。・・・難しいわね」
アズラエル「何を言うのだ?絶対的な力さえあれば恐怖で押さえつける事が出来る。
        心など無駄だ。力こそ正義なのだよ!」
ナイトメア「何が・・・何が・・・何が正義だ。そういう建前でお前は殺しを軽々と行っている。
       命の重さは天使も人間も何一つ変わるものではない」
アズラエル「地球という資源豊富な惑星を支配する事で、我々は完全な自由を手にする事が出来るのだ!」
ミゾレ「完全な自由ですか・・・?」
アズラエル「天使はほとんどが天界というシェルターに入っているようなものだ。そしてそこから出る事が出来ない。
       地球ならば、その制約などなしに、全てが自由になれるのだ!!」
サツキ「私達の自由は奪われてしまうじゃない」
アズラエル「下等種族に自由を語る資格はない」
ナイトメア「すむ世界の違いと翼があるかないかの違いだ。
       考え方はアズラエルよりここの四人のほうが立派だったようだな。
       お前は自分の目的を追うがゆえになにかを失ってしまった。
       心を変えれば殺す必要など無いのだからな。」
アズラエル「ナイトメア・・・。お前は我に従えばいいのだよ!」
アキラ「アズラエルだっけか?お前は現実をしらな過ぎたんじゃないか・・・?」
アズラエル「我々天使は自由が欲しいだけだ」
アキラ「自由って言うのは、全ての生命がありのままに生きられることだ。
     欲望のために手段を選ばないんだったら、お前の言うような
     人間となんら変わらないって。それは自由じゃなくて自分勝手って言うんだ」
アズラエル「・・・。我が人間と同じ・・・。笑わせるな・・・・」
ミゾレ「本当はあなたも気がついているんじゃないですか?」
アズラエル「何!?」
アカネ「過ちを正す勇気も必要よ。そしてあなたはその過ちに気づいているんじゃないかしら?」
ナイトメア「人間にいわれて悔しいとは思わないか。」
アズラエル「フフフ・・・。そうだよ我は死の天使アズラエル。 
       人間全てが悪じゃないのは我でも判るわ。
       だがその悪が伝染する前に全ての人間を根絶やしにすればすむことだ!
       さあ最初は誰からいこうか・・・!!」
アズラエル、銃を構える
ナイトメア「お前等!逃げろ!!」
ナイトメア鎌を持ちながらアキラ達をかばうようにアズラエルと向き合う
サツキ「ゲンヤクン・・・?」
ナイトメア「これからの地球の未来にはお前たちのような人間が必要だ。死なせるわけには行かない」
ミゾレ「ですが・・・」
ナイトメア「間違った天界いや、アズラエルを俺は許すわけにはいかない」
アカネ「・・・だけど・・・」
アキラ「俺たちも手伝う・・!!」
ナイトメア「残酷な天使と成り下がった天使とその下で育った死神の始末だ。お前等は見ないほうがいい」
アカネ「(背を向けて)判ったわ・・・。気をつけて・・・。それじゃあね」
アカネ、ミゾレをひっぱりながら退場
アズラエル「何をするナイトメア。邪魔は許さんぞ。素直に通せ!」
ナイトメア「アキラ!サツキ!早くしろ」
アズラエル「・・・もう遅い・・・死ね!!」
ナイトメア「アズラエル!!待て!その刃を振り下ろすな!!」
アズラエル剣をふるう
ナイトメア「っく・・・」
アキラ「お・・おい!ゲンヤ!」
ナイトメア「大丈夫だ・・・」
アズラエル「人間をかばうとは・・・。死神らしくないじゃないか」
ナイトメア「正しい物のために自分を死ぬんだったら立派な死神じゃないか」
サツキ「ゲンヤ君・・・やっぱり私も!!」
ナイトメア「駄目だ・・ここでお前等を死なせられるか」
アズラエル「何をするつもりなんだ?」
ナイトメア「出来る限り正しい物のために死神でありつづけてやる・・・」
アキラ「馬鹿やろう自分の心配をしろ!!」
ナイトメア「お前たちを逃がせず殺されてしまったら、俺のこの戦いは無駄になる。
       俺の気持ち判るんだったら、助けたいって思うなら・・・
       お前たちは逃げろ。俺は始末をつける・・・」
アキラ「・・・くそ。判ったよ。でもお前は帰って来いよ!」
サツキ「アキラ・・・。いいの?」
アキラ「あいつの覚悟を無駄にするようなこと、俺には出来ないよ!」
ナイトメア「行け!早く行け!お前たちには未来がある!」
サツキ「一人だけ死ぬような真似、許さないからね!」
ナイトメア「・・・・・。」
アキラ「絶対生きて帰って来い!」
ナイトメア「・・・・・・・」
アキラ・サツキ「約束だ!」
ナイトメア「任務了解・・・」
アキラ、サツキ、退場
アズラエル「・・・何故だ?何故お前は人間の味方をする!」
ナイトメア「人間の味方をしているわけじゃない。正しいものの味方を死神なりにしているだけだ」
アズラエル「何故だ?人間を滅殺すればお前は天界の英雄となれるのだぞ?」
ナイトメア「・・・大量殺人の英雄になるのなら、死神のほうがまだいい」
アズラエル「死神として生きることなく自由になれるのだぞ?」
ナイトメア「・・・多くの犠牲の上になりたつものは本当の自由なのか?違うだろ!!」
アズラエル「平和の為、自由の為なら犠牲もしかたあるまい」
ナイトメア「命の重さに違いなんてない・・・ここから見る太陽も、天から見る太陽も輝いているように、
       命の重さは一つ一つ同じなんだ。そんな犠牲もしかたないだと!」
アズラエル「同じ・・・だと?お前はまだ人間と天使の命が等価値と言うのか」
ナイトメア「ああ。滅ぼす事・・・憎しみは憎しみを増幅、生産するだけだ。
       だが、時を繋げば、変わっていく。希望は希望を生む。
       朽ちたものだけが人間ではない。人間には俺たちと同じように、様々な面がある。
       お前はその負の面ばかりを見ていた。だが俺は正の面も見て判ったんだ。」
アズラエル「何が判ったんだ・・・?」
ナイトメア「憎しみを断とうと、希望の火を絶やさない、地球を救おうとする意思もあることをな」
アズラエル「・・・・・そうか。なるほどな」
ナイトメア「判ったのか・・・・アズラエル・・・」
アズラエル「お前の言いたい事が判ったんだよ。甘い!憎しみの連鎖は止められまい!私の憎しみは止まらないのだから!」
剣で叩く
ナイトメア「ぐ・・・・アズラエル・・・お前!!」

ルシフェル「お前たち、いい加減にやめるんだ!」
二人「ルシフェル様!?」
ルシフェル「二人の言い分は良くわかった。だが争う事はやめるんだ」
アズラエル「ですが・・・」
ルシフェル「アズラエル、お前が自由を望む気持ちは判る。だが、お前と同じように自由を望む心を持つ人間もまたいることを忘れるな。」
アズラエル「ですが・・・人間など翼のない下等生命体!そのようなものに自由などふさわしくありません!」
ルシフェル「アズラエル。お前は自由の意味を判ってるか?」
アズラエル「自由の意味?ありのままにってことですか?」
ナイトメア「まだ判ってないみたいだな・・・」
ルシフェル「ナイトメアの言うとおりだ。全ての生命体がありのままに生きる世界それが自由だ。
        食物連鎖・弱肉強食の中で失いまた生まれるありのままの世界。それこそが自由だ。
        誰かの意思により人間が滅んだりする事はありえないことだ!」
アズラエル「その自由には不便が含みますが・・・」
ルシフェル「それはその世界に生きるものが決める事だ。何が不便かなんか判らないだろ」
アズラエル「それでは真の意味では自由ではないではないですか!」
ナイトメア「それはお前が真の自由を勘違いしているからだろう」
アズラエル「死神の分際で生意気な!」
ルシフェル「アズラエル。お前は理想ばかり見すぎだ。少しは現実を見ろ」
アズラエル「現実?この腐った世界を見ろと言うのですか?世界は天使にあるべきなのですよ!」
ナイトメア「いい加減にしろ!見方を一つ変えるだけで、腐った世界も綺麗に見える事が判らないんだな」
アズラエル「綺麗だと?人間の憎しみや欲に満ちた世界が?綺麗?」
ナイトメア「何度言えば判るんだよ。その憎しみを断とうと頑張るのもいるんだ。はっきりいって憎しみを生むのは俺たちだ」
アズラエル「憎しみを終わらせるには力で排除するしかあるまい。そのためのお前等死神なのだからな」
ナイトメア「力は更なる力と憎しみを生むだけだ!」
ルシフェル「アズラエル。他人の意見に耳を傾けるのも必要だ」
アズラエル「ですが!こいつは死神としての任務も放棄し・・・」
ルシフェル「本当の意味でいうなら任務は果たしたといえよう。正しい物を守ったのだからな」
アズラエル「・・・そうですか。ルシフェル様もそのようなお考えで・・・」

アズラエル「人間は腐った生き物だ。それを守ろうとするなら私はお前たちを許すわけにはいかない。」
ルシフェル「アズラエル!!いい加減にしろ」
アズラエル「いいえやめません。本当に正しい物が私であることを力で証明して見せます」
ナイトメア「力の無い正義は無力かもしれない。だがな力だけの正義なんてあっちゃいけないだろ!」
アズラエル「黙れ。死神としての生き方を忘れたお前に何がわかる!もともと人間のお前に何が!」
ナイトメア「何も判らないさ。人間だと天使だの死神だ?その違いなんて俺には判らない」
アズラエル「天界にお前のような存在は邪魔だ消えてもらおう!」
ルシフェル「よせ」
アズラエル「もう人間は滅ぶしか道はありませんよ」
ルシフェル「それはお前がそうしてるだけだ」

アズラエル「自ら滅びを選んだんだですよ。今の人間どもは何百年と憎しみの歴史を繰り返してきた。
      繰り返しても憎しみは終わらなかった。何故か!?
      それは、憎しみは憎しみを生みさらに憎しみを生む。
      憎しみと言う名の連鎖は止まらないのだよ!」
ナイトメア「それでも・・・人は憎しみを断とうと努力してきた。
      自由を掴もうと独立をする国もある。その過程で争いはあっただろう。
      だがそれを反省に人は成長していくんだ!]
アズラエル「憎しみが減ったとしても、何処かで憎しみの中で苦しむものはある。
      ならば強大な憎しみで、その苦しみをおおいつくせばいいだろう!
      憎しみを終わらせるものは憎しみ以外に他ないのだよ」
ルシフェル「希望を失い現実だけを見ている!お前は!!」
アズラエル「憎しみは無くなる事は永久に無い。ならば憎しみを生み出す
      人間そのものを消し去れば、憎しみは生まれないではないか。
      憎しみの無い世界こそが真の平和。そうではないのか!?」
ナイトメア「確かにそうかもしれない。だけど人間だけでなく、生命は、
      苦しみ悩み、その先に希望を見て成長していくんだ。
      人間を絶やすことで人間の憎しみは消えても、その死を悲しむ
      動植物たちが天使たちを憎む。・・・結局憎しみの輪は回り続けるんだ。
      どうしてお前は破壊以外の手段を考えないんだ!」
ルシフェル「生命は憎しむ事を忘れられないものだ。俺たち天使とて同じ。
      歴史の積み重ねの中で生命は変わっていくものなんだ」
アズラエル「積み重ねの結果が今の人類ではないのですか!」
ルシフェル「戦いを見つめそして変わっていくのだ。そして天界は無理な干渉を
      するべきではない。ありのままに見守るのも時には重要だ」
アズラエル「ですがこのままでは天界に影響が・・・」
ナイトメア「・・・俺たち天界っていうのは物事を強制する存在じゃないだろ?」
アズラエル「もう手遅れなんだよ。裁きをもって終わらせるときがきた。」
ルシフェル「お前の裁きはやりすぎだ!」
アズラエル「やりすぎが丁度いいんです・・・。今すべてを終わらせます」
ここでアズラエル、抜刀	
ルシフェル「その剣・・・お前まさか・・・」
アズラエル「世界が終焉に導くという魔剣ラグナロク・・・。
      この憎しみの剣を持ってこの世界を終わらせるんです」
ルシフェル「お前は・・・その魔剣に魅了されただけだ。その剣の
      邪悪な部分を直接吸ってしまったんだ」
アズラエル「私は死をつかさどる天使です。終焉は死でこそ意味があるのです」
ナイトメア「無理やりな死は何も生み出さない!」
アズラエル「死神がそのようなことを言うのか?ならばお前に終焉を導かなくては!」
ナイトメア「アズラエル・・・あくまで退かないつもりなら・・・
      俺はここで人類のために死神になる!」
ルシフェル「争いは憎しみを生む・・・それでもお前たちは戦うと言うのか」

台詞と一緒に鎌と剣のぶつかり合い

アズラエル「殺しのできない死神などただのクズでしかない!」
ナイトメア「破壊だけが能じゃない!!」
アズラエル「破壊こそ正義!正義とは絶対的な力が無くては意味が無いのだ!」
ナイトメア「心が無ければ、その正義は力を失ったときすぐに消えてしまうんだ。
      力だけでも心だけでも正義は名乗れない。二つが一緒になって初めて
      本当の正義って言えるんじゃないか・・・?」
アズラエル「違う!違う!心などまやかしに過ぎない!」
ナイトメア「く・・・」
アズラエル「世界は終焉を迎える時が今来たのだ。この運命に逆らえない。」
ナイトメア「なんて力なんだ・・・」
アズラエル「今ここに神々の黄昏、ラグナロクを!!」
ルシフェル「やめろ!!」
アズラエル「THE ENDだ」
アキラ「あぶねえ!」

アキラ「う・・・」
ナイトメア「アキラ・・お前何で」
アズラエル「余計な邪魔が・・・だが次で終わ・・・」
ルシフェル、アズラエルを切る
ルシフェル「ナイトメア!お前はその少年を!こっちは俺に任せろ」
ルシフェルとアズラエルはける

アキラ「良かった。間に合ったんだな」
ナイトメア「馬鹿を言え。お前がそんな傷を負う必要は無いだろ」
アキラ「やっぱり友達を置いて逃げるんぐらいなら一緒に戦ったほうがいいって。
    これで俺も一緒に戦ったんだ」
ナイトメア「これは俺たちの戦いだった。
      そこにお前たちを巻き込む訳にはいかなかった。なのに・・・」
アキラ「そんなことは関係ない・・・ただずっと友達でいたかっただけだ」
ナイトメア「・・・・・お前は馬鹿な奴だ・・・」
アキラ「やっぱり俺って馬鹿だよな・・・。でもお前に会えてよかった・・・」
ナイトメア「俺もだ・・・」
アキラ「・・・」
ナイトメア「・・・おい。返事しろ。」
ナイトメア「守れもしないで何の力だ・・・アキラ・・・」
走ってサツキ入ってくる
サツキ「アキラ!アキラ!」
ナイトメア「・・・俺は守れなかった・・・。一つの生命を守れなかった」
サツキ「許さない・・・」
ナイトメア「・・・サツキ・・・?」
サツキ「私許さない・・・絶対に。アキラを傷つけ、ゲンヤ君も傷つけたあの天使を!」
ナイトメア「どうするつもりだ」
サツキ「さっきの天使はそっちに行ったのね?」
ナイトメア「追いかけたってどうにもならない!」
サツキ「・・・復讐よ。・・・鎌借りるわよ。・・・絶対に許さないから・・・」

サツキはける、反対側からミゾレとアカネ

ミゾレ&アカネ「アキラ!」
ナイトメア「・・・二人とも。アキラを!」
ミゾレ「いったい何があったんですか・・・?」
アカネ「それにこの傷・・・酷すぎるわ」
ナイトメア「アズラエルに切られた。これで充分だろ!?」
ミゾレ「そんな・・・天使が・・・」
ナイトメア「早く!」
アカネ「サツキは何処に行ったの?」
ナイトメア「復讐をしにいった・・・憎しみは憎しみしか生まない。
      だから俺は止めに行く。だからアキラを」
アカネ「でも・・・」
ナイトメア「死なせたくない」
ミゾレ「判りました。私たちはできる限りのことをを」
アカネ「ゲンヤ。早くいきな!サツキを止めてあげて!」
ナイトメア「ああ。アキラを頼んだぞ」
アカネ「任せといて!」
ミゾレ「できる限りの事はやらせてもらいます」
ナイトメア「ありがとう。・・・サツキは俺が絶対に止めるから!」

アズラエル「・・・ルシフェル様・・・」
ルシフェル「何だ?」
アズラエル「人は自分を犠牲にしてまで誰かを守るんですね・・・」
ルシフェル「ああ」
アズラエル「破壊と殺戮だけを考えていた私が・・・馬鹿みたいです」
ルシフェル「判ればいい。だがそのための犠牲は・・・」
アズラエル「あまりにも大きかった。人を憎むあまり、それに気づくまで
      あまりもの時間がかかってしまったんです・・・」
ルシフェル「憎しみの心は消えない。それに過去もやり直すことは出来ない。
      それでも未来は変えていけるだろう?」
アズラエル「魔剣に魅入られた私に、未来を担う資格などありません・・・」
ルシフェル「だからこそ、だ」
アズラエル「・・・なぜですか?」
ルシフェル「過去を反省として見つめているからだ。
      次に同じ過ちをしないようにと振舞うだろう?」
アズラエル「ですが・・・私の手は血塗られています」
サツキ「そのとおりよ!」
アズラエル「さっきの・・・」
サツキ「貴方は幾多の生命を奪い苦しめてきた。それは言い逃れできない事実よ。」
アズラエル「・・・」
サツキ「何か言ったらどうなの?命をもてあそんだ事本当に反省しているの?」
アズラエル「・・・反省以前の問題だ。とりかえしのつかないことをしたのだから」
サツキ「さっきまでの貴方は殺戮をゲームのように楽しんでいるようにしか見えなかった
    そんな感覚で、アキラは・・・アキラは・・・!深い傷を負ったのよ!」
アズラエル「・・・すまない」
サツキ「謝って済むと思ってるの?傷をつけてごめんなさい?虫が良すぎるわよ。
    貴方がいなければ、アキラはあんなめに遭わなくてすんだのに!」
アズラエル「どんなに言っても取り返しのつかないことは判っている・・・。
      だがその命は決して無駄にしないつもりだ」
サツキ「やりたい事がたくさんあったはずなのに!夢があったはずなのに!
    死んだら何もかも終わりじゃない。貴方のせいでどれだけの悲しみが!」
ルシフェル「・・・憎しみは憎しみしかうまない。だからサツキ。君もやめるんだ」
サツキ「すべての元凶はアズラエルよ。それを断つまで犠牲になった人たちの
    心は晴れないわ。・・・アキラの仇は取ってやるわ!」
アズラエル「終わってみれば全てが判る。残酷なものだな・・・自らの手で何かを傷つけて、
       やっと命の重さを思い知らされた・・・。」
サツキ「何を言っても取り消せないのよ!!あなたはすべてを奪ったのよ!」
ルシフェル「過去は消せないが、未来はあるだろう?」
サツキ「・・・未来を奪ったのは他でもない・・・こいつよ。やったらやりかえされる・・・・。あなたも言ってたわよね?
     憎しみを断つには憎しみで立ち向かうしかないって。殺してやるわ。」
アズラエル「・・・私の死で罪が少しでも薄れ、殺された者達の無念が晴れるというのなら、その鎌で私を引き裂いてくれ」
ルシフェル「アズラエル!お前も命を捨てるような真似はやめろ!」
アズラエル「今私にしてあげられることはこれぐらいですから」
サツキ「アキラの仇!殺してやる・・・殺してやる・・・殺してやる・・・!!」

ナイトメア、鎌を止める あるいは身代わりになる
ナイトメア「サツキ!アズラエル!命はたやすく消したり捨てたりするものじゃない!」
サツキ「・・・どうしてここに・・・?」
ナイトメア「お前を止めに着たんだ」
アズラエル「死に場所を見つけたというのに、邪魔をするな・・・」
サツキ「そうよ・・・アキラの仇とるところだったのに」
ルシフェル「・・・命はそう粗末にする物じゃない」
ナイトメア「命の重さ。二人ともそれが判ってるだろう?」
サツキ「その命を踏みつけにしたこいつがどうしても許せなかったのよ」
ルシフェル「やったらやりかえす、それがきみの正義か?」
サツキ「それは・・・」
ナイトメア「憎しみは終わらない憎しみを生み続ける。怒り・恨み・破壊・・・憎しみの三拍子が廻り続けるんだ」
サツキ「でも・・・だからといって」
ナイトメア「アズラエルを倒してどうになる?それでも過去は変わらない。命がまた一つ消え悲しみが増えるだけだ」
ルシフェル「命の重さに上も下も無い。サツキがアズラエルを仇取ることは命を奪う事に変わりない。
        その重さ理解しているのなら、君のしていることは悲しみを生むだけだ」
アズラエル「だが、私は死を望んだ。殺された者の無念や私の罪が薄れるのなら、死を選び天界で審判を受けることを」
ナイトメア「自分自身の命だって同じだ。・・・生きていれば罪を背負って未来を作っていける。
       死んだら・・・お前の想いはきえてしまう。憎しみだけ残して、な」
アズラエル「生と死は全ての生命に与えられた権利。ならば死ぬ時を自分で選んでもいいだろう」
ルシフェル「甘い事言ってるんじゃない!俺に言わせて貰うと、死は現実から逃げる事だ。」
アズラエル「逃げるですか?」
ルシフェル「ああ。過去を背負って新しい未来を作ろうとせず、過去につぶれるのだからな」
サツキ「過去につぶれる・・・」
ナイトメア「サツキ、生命を奪う事は可能性を一つ消すと言う事。
       そして、憎しみの感情に自分が負けたと言う事だ。」
サツキ「・・・アキラは・・・誰よりも殺しを嫌ってた・・・。私がこんなことしたって喜ばない・・・」
ルシフェル「傷ついたものが願うのは、大切な人の幸せ、無事だ。」
サツキ「・・・・・こんなこと絶対誰も願わないわね・・・。だけど・・・だけど・・・この憎しみは消えないわ!」
ナイトメア「誰しも悪もあれば善もある。だから憎んだものも見方を変えれば別のものにきっと見えるはずだ」
サツキ「けど。ゲンヤはどうなの?アキラを斬ったこいつをどう思うの?」
ナイトメア「確かに憎いとも思う。」
サツキ「ならいいじゃない。憎んでも。無理に見方をかえなくても」
ナイトメア「でも憎んだ所で何も始まらない。アキラは今も傷と戦ってるんだ。それに憎む事はアキラが一番嫌うだろう」
サツキ「・・・アキラは今も戦ってる・・・・ごめん・・・アキラ・・・」
アズラエル「そんなアキラを・・・私は・・・すまない・・・こんなことしか言えない私が情けない・・・」
サツキ「それなら私も同じ。あなたを憎み殺そうとしたのだから。でもアキラはまだ生きてる。だから私はその可能性にかけるわ」
アズラエル「いいのか・・・?私を許して・・・」
サツキ「完全に許すのは無理かもしれないし時間がかかると思う。でも、憎しみは辛いだけ。だからアズラエルを信じてみる。
     それに今は何があってもアキラを助けたいし!」
アズラエル「そうか・・・ありがとう。そこまでアキラを想う気持ち判った。私も今できる最大の事をしよう」
ルシフェル「何をするつもりだ・・・?」
アズラエル「ラグナロクの生命エネルギーを私の生命力をもって解放するんです。」
ルシフェル「それをしたらお前も・・・」
アズラエル「覚悟の上です。死ぬ為に解放するんじゃありません。未来のために解放するんです」
ルシフェル「そうか・・・。命は粗末にするなよ。俺はここまで見届ければ充分だ。後はお前たちの手で切り開いてくれ。
        未来はお前たちの心の中にある。それを忘れるな!・・・さらばだ」

サツキ「未来は私達の心の中・・・か・・・・」
ナイトメア「勇気ある行動は未来を作る・・・ルシフェル様はそういいたかったんだ」
アズラエル「そして勇気ある少年の意思を無駄にしない為に!」
ナイトメア「アズラエル・・・アキラのこと任せた」
サツキ「私からもよろしく頼むわ」
アズラエル「決意と意思は無駄にしない。急ごう」

アカネ「・・・電話繋がらないわ・・・」
アカネ「アキラ・・・無事でいてよ・・・」
ミゾレ「こんな所で死んだら駄目です」
アカネ「・・・これからまだまだ思い出を作っていくんだから。」
ミゾレ「そうです。ここで終わったら駄目なんです」
デス「全てを終わらせようじゃないか・・・」
鎌をもった一人の人間らしきものが現れる
ミゾレ「幻也さん?良かった・・・」
アカネ「・・・いやあいつじゃない・・・なんか嫌な感じがするのよ・・・」
デス「フフフ。お嬢さん勘が鋭いね・・・」
アカネ「その鎌・・・幻也の知り合い?」
デス「幻也・・・?ああ彼の事か。私はあんなヤツとは違う」
ミゾレ「あんな・・・ヤツ!?」
デス「フフフ・・・私の名前はデス。その名の通り魔界の死神さ」
アカネ「・・・その死神が何のよう・・・?」
デス「私は人間達を滅ぼすのが目的さ・・・」
ミゾレ「アズラエル・・・の仲間ですか・・・?」
デス「それも違うな・・・どうせ死に行く運命だ・・・冥土の土産に聞かせてやろう」
アカネ「死に行く運命・・・ふざけないで」
デス「そう熱くなるな。あいつらは私の目的のために利用したに過ぎないさ」
ミゾレ「利用ですか?」
デス「あぁ。魔界がこの資源豊富な地上を奪い、天使たちを襲う拠点にするためのな」
アカネ「魔界だの天使だの・・・なんていう話なの」
デス「だがその資源をすり減らす人間は邪魔に過ぎない。だから滅ぼすのさ。邪魔者は消す。それだけのこと・・・」
アカネ「・・・それでアズラエルってヤツに妙な吹き込んでこんなことをしたのね?」
デス「そういうことだ。天使になりすまし利用したがここまでうまくいくとはな・・・」
ミゾレ「弱みをつけいるなんて・・・」
デス「まぁそういうな・・・どうせお前らも死ぬんだからな。地獄で誇るといいさ・・・いち早く死ねた事をね」
アカネ「そんな・・・ここまで・・・なの?」
アキラ「バカ・・・あきらめんじゃねえよ・・・」
ミゾレ「アキラさん・・・?」
アキラ「あいつらも・・・必死に頑張ってるのに・・・俺達が諦めてどうする」
デス「連絡手段も全てたったというのに自ら目覚めるとはな・・・だがお前一人起きた所で何も変らんさ」
アカネ「・・・電話が繋がらないのもこいつのせいだったというのね」
アキラ「何も変らない・・・?変るさ・・・。少なくとも一秒以上はミゾレとアカネを守れるさ」
アカネ「ちょ、ちょっと・・・アキラ」
ミゾレ「やめてください・・・そんな・・・そんなこと」
アキラ「そのうちに逃げろ・・・幻也のヤツならきっとこいつを止められるさ・・・」
デス「おしゃべりもそこまでにしてもらおうか・・・我が理想のため死んで貰う」
アキラ「・・・幻也を頼んだぜ・・・」
デスの鎌がふりおろされるがが途中でそれはとめられる
ナイトメア「もうこれ以上傷つけることは許さない」
デス「誰かと思えば・・・出来損ないの死神か」
アキラ「来るならもっと早く来てくれよな・・・」
サツキ「アキラ・・・。」
アキラ「サツキか・・・。もう大丈夫だろ、あいつがなんとかしてくれる」
アカネ「無理しないで。今は喋らないほうがいいわ」
デス「アズラエル・・・お前もそいつらと共にするか」
アズラエル「これ以上憎しみを増やさないためだ。最初からお前に気づいていればこうはならなかったものを」
ナイトメア「デス・・・だったか。お前の好きにはさせない」
デス「魔界はここを乗っ取る・・・・だがその前にお前らを消さなくてはいけないようだな」
ナイトメア「消すだと?命はそんな軽いもんじゃない・・・お前に地上はとらせない・・・」
デス「そのような事いつまでいえるかな・・・?」
ナイトメア「・・アズラエル、アキラを頼む」
アズラエル「ああ・・・魔剣ラグナロクよ・・・我に力を!この少年の命・・・救うのだ!」
アキラ「・・・なんともない・・・さっきまでの傷がウソみたいだ」
デス「バカな・・・アズラエル・・・自分の命を削ってまで人間を救うとは・・・」
アズラエル「・・・この者たちの可能性にかけてみようと思ってな・・・」
デス「無駄な事・・・だがもう遅い。お前らは私に滅ぼされる運命にある!」
ナイトメア「・・・そうはいかないな・・・アズラエル・・・ラグナロクをよこせ」
アズラエル「どうするつもりだ・・・」
デス「そんな者を手にしたところで何が変るというのかな」
ナイトメア「剣の力をフルパワーにすれば奴に・・・勝てる。」
アズラエル「そんなことをすればお前は」
ナイトメア「どうなるか判らない。だが可能性ある者達に賭けるのもいいんじゃないか?」
アキラ「おい・・・死ぬなんてゆるさねえぞ」
デス「お喋りはそこまでにしろといったろ!」
デス鎌をふりおろす ナイトメアそれを受け止める
ナイトメア「あまり時間は無い!・・・わかってくれ」
サツキ「・・・アキラ。決意を無駄にしたらだめ・・・」
アカネ「私達に賭けてくれる思いまで止めるっての?」
アキラ「・・・・・」
ミゾレ「アキラさん・・・」
ナイトメア「すまない・・・お前たちとはまだまだ話したい事があると言うのに・・・」
アキラ「・・・どうなるか判らないか・・・なら俺は生きて帰ってくること、それに賭けてみる」
ナイトメア「そうか・・・なら信じてくれ」
ナイトメア、デスの鎌を弾き飛ばす
ナイトメア「ラグナロクよ・・・・お前の力を解き放ち、こいつを滅ぼせ!!!」
激しい照明とともに剣をふるう
デス「バカな・・・・この私が・・・・だが・・・魔界はいずれお前たちを滅ぼすだろう・・・・グアアアアア」
暗転

暗転の中声
アキラ「幻也・・・幻也?」
サツキ「幻也君・・・?」
明るくなる
アズラエル「・・・ラグナロクの力で・・・消えてしまったのか・・・?」
アカネ「これ・・・幻也の鎌よね・・・?」
ミゾレ「彼がいないんじゃまるで墓のよう」
アカネは静かに鎌を拾い上げる
アキラ「縁起でもないこというなよ」
アズラエル「まったくだ。鎌は死神の象徴・・・。死神が死んだ時は鎌も消えるはずだ・・・。つまりあいつはシンじゃいない・・・」
アキラ「そうか。でも、だったらこの忘れ物絶対取りに来るよな・・・?」
サツキ「ええ、きっとそうよ!」
アズラエル「・・・そうか。ならその鎌は君たちに預けよう」
アキラ「お前は・・・?」
アズラエル「天界に帰らなくてはならない。この事も報告しなければならない」
アキラ「そっか・・・。・・・さっきはありがとな・・・治してくれて」
アズラエル「元はといえば俺がつけた傷だ・・・礼などいらん」
アキラ「いや、あれはお前の意思じゃない。あんまり自分を責めたり考えすぎるなよ」
アキラ。手をだす アズラエルその手を握る
アズラエル「お前たち人間の可能性。最後まで信じてみよう。二度と、会うことも無いだろう・・・」
アズラエル静かに消えてしまう
アキラ「・・・あいつを・・・あいつがいつ帰ってきてもいいように、憎むことなんかない世の中にしようぜ・・・」
サツキ「環境破壊とか・・・か・・・結局私達人間が自分から変らなきゃ何も変らないんだね・・・」
アカネ「私達がいくつもの命を踏みつけにして生きてきてるのよね・・・」
ミゾレ「でもそれも変えていこうと思えばきっとできます」
アキラ「そう・・・だな。あいつが帰ってきて、地上はいい場所だって言わせてやろうぜ!」
4人手をかざし、おーっと掛け声をかける
アキラ「とりあえずあいつの忘れ物は俺が預かってる。今日は・・・もう帰ろうぜ」
アカネ「そうね。それじゃまた明日!」
ミゾレとアカネ。去る
アキラ「サツキ・・・お前は帰らないのか?」
サツキ「アキラこそ・・・。でも私・・・彼に伝えたい事があったのに・・・」
アキラ「伝えたい事?」
サツキ「・・・うん。私ね・・・彼にちゃんとありがとうっていっておきたかったの」
アキラ「どうして?」
サツキ「それは・・・必死にアキラを助けようってしてくれたから・・・・だよ」
アキラ「別にそんなわざわざ言わなくてもいいんじゃないか?」
サツキ「・・・・・・でも・・・」
アキラ「・・・?でも?」
サツキ「アキラの事だからどうしても言っておきたかったんだ・・・」
アキラ「サツキ。どうしちゃったんだよ・・・あいつが帰ってきたら伝えればいいじゃないか」
サツキ「ごめん・・・変だよね、今の私。でも・・・・でも・・・」
アキラ「なんだよ・・・いつも叩いたりしてくるくせにさ。」
サツキ「そんな言い方って無いでしょ!?・・・アキラを・・・あんなに守ってくれて嬉しかった・・・」
アキラ「な、なんでお前が嬉しいんだよ」
サツキ「・・・・それは・・・私が・・・アキラを好きだから・・・・じゃない・・・」
アキラ「・・・俺を・・・・?」
サツキ「こんな時にこんな事言うのはダメだって判ってる・・・でも、気持ち止められないから・・・」
アキラ「・・・・ありがとう。俺も・・・だよ」
サツキ「え?」
アキラ「幻也の奴が来てからさ、色々考えたんだけど・・・今日改めて思ったんだ。
    俺をここまで想ってくれるそんなお前が好きなんだなってさ」
サツキ「・・・いいの・・・?」
アキラ「でも・・・ごめん・・・今はムリだよ・・。ふさわしいような奴じゃないし、目の前で一人友達がいなくなったからさ・・・」
サツキ「そうだよね・・」
アキラ「でも色々落ち着いたらもう一回話そう。」
サツキ「判った!今は彼が帰ってくることを信じようね」
アキラ「・・・ほらサツキ。帰るぞ」
サツキ「うん」

アズラエル「良かったのか?これで」
ナイトメア「こんな傷だらけで出て行っても余計不安を募らせるだけだ。生きていると判っているなら元気姿のほうがいいだろう」
アズラエル「正直じゃないな。ほんとうは直ぐにでも会いたいのだろう?」
ナイトメア「否定はしない。だがあそこまで言われてる中のこのこと出る事も俺には無理だ」
アズラエル「だが、人間もいい奴等がいる事が私も理解させられたよ」
ナイトメア「お互い、な」
アズラエル「そこでだ・・・死神のお前に任務を与える」
ナイトメア「殺せというつもりか?」
アズラエル「傷が癒えたらでいい。彼らと行動を共にしろ・・・人の可能性を見極めるんだ」
ナイトメア「判った。」
アズラエル、はける
ナイトメア「待っていろ・・・すぐに行くから。それまでその鎌は預けたからな・・アキラ」

END
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