「そろそろだな…。」 「そうですね…。」 「あいつが来る前に、麻奈にこの本を渡しておかなければ…。」 「ええ…。私たちが殺される前に…。」 その日は麻奈の11歳の誕生日だった。 いつも通り、両親からプレゼントを渡される。 が、そのプレゼントは、いつもの物とはかけ離れていた。 どっしりとしていて、とても分厚い、とても古めかしい本。 何かの聖書みたいな感じを受ける。 麻奈はあまりうれしくなかった。なんでこんな難しい本なのか、 それが不思議でならなかった。 とりあえず、彼女はその本を読んでみた。 やはり聖書だったらしく、彼女はページをぱらぱらめくりにながら、 文字をあまり読まずに流していた。 が、彼女はその本の最後のページにだけ、とてつもない興味を示したのである。 いや、ページというよりは石盤と言った方が正しい。 いままでの内容とはかけ離れた、何かの伝承のような言葉でつづられた、 その石盤の内容とは…。 「遥かなる昔 荒れ狂いし この地を二分し 2人の女性 光を司りしは 天の巫女 闇を司りしは 闇の魔女 永きにわたる 戦いの末 巫女は魔女を 魔界へと封印す 8000年の後 巫女は女へ 魔女は男へ転生し 再び互いを傷つけ合わん 巫女の力が 尽きし時 魔女はこの地に 終末をもたらさん」