緊急事態宣言下での総会について
緊急事態宣言が発信さ れましたが、5月に総会を予定している管理組合も多いと思います。緊急事態宣言の期間は1ケ月の予定ですが、今のところ5月初旬に解除される見通しは立っていません。決算理事 会の開催、会場の確保、総会開催通知の発送などを考慮すると5月末までに総会を開催することに懸念を示す役員も多いのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染拡大における通常総会の開催に関しては、 公益財団法人マンション管理センターからも情報が出されています。総会は管理規約により、一定時期に開催することが定められていると思いますが、今回のよ うな緊急事態ではその時期を延期することも考慮されます。しかしながら、訴訟リスク等を考慮して、何らかの方法で開催にこぎつけたいと考えている役員も多 いと思われます。この為、オンライン等(テレミーティング)での開催を検討する場合も考えられますが、理事会と違い、管理組合の総会は組合員の他、利害関係者(占有者 など)や議案の説明のため管理会社や専門家(マンション管理士等)等も出席することがある為、予め出席者を特定しておくことはできません。オンライン等 で会議を開催する方法としては、⑴電話会議システムによる方法⑵テレビ会議システムによる方法⑶メールやSNSを利用する方法等が考えられますが、審議の公平性等のためこれらの方法を利用するにあたっては、
@全員が参加可能であるシステムできること
A出席者が参加していることを確認できるシステムであること
B情報格差を生じないシステムであること
が必要です。
@全員が参加可能なシステム
管理組合の組合員の高齢化が進んでおり、高齢者ではパソコン・スマートホン等の情報機器を使えないケースがあります。管理組合があらかじめこれらの組合員 に情報機器を提供することが出来れば可能ですが、現実的には難しいのではないでしょうか。比較的、新しいマンションで組合員が若い方のみであれば、テレ ミーティングのみでも可能ですが、それ以外の場合は、会議室に環境を設定してオンライン情報機器の扱いに不慣れな人には会議室からの参加とすることもでき ます。
A出席者が参加していることを確認できるシステム
音声会議でも発言により、実際に参加していることは確認可能ですが、メールやSNSでは、本当にその人が操作していることの確証が難しく現実的ではないと思われます。運用の問題にもかかわるため、慎重に検討する検討する必要があります。
B情報格差を生じないシステム
事前に資料配布をしておき、その資料のみで総会の議事を進めるケースが多いので総会ではあまり問題を生じないかもしれません。但し、総会の中で別途資 料を配布することが生じた場合や、プロジェクターなどを使用して説明する場合などはオンライン参加者にも同様の情報提供が必要です。音声会議では資料類を 別途ファクシミリやメール等で送る方法もありますが、WORDやパワーポイント等の資料は相手側で閲覧できる保証がありません。最近のテレビ会議システム ではこのような場合でも対応可能なシステムもありますので、導入・運用経費を負担できる管理組合では検討の余地があります。

テレ理事会について

コロナウィルスの感染拡大で通常集会室等で理事会が開くことができず、オンラインで開催する方法を検討する管理組合が増えています。
パソコンやスマートホン等を利用したオンライン会議や携帯電話等のハンズフリーによる音声会議等の方法があります。
利用にあたって、役員に専門的な知識を有するのがいない場合は、専門家を活用することが必要になります。
テレ理事会の開催方法として、オンラインの他、書面等により持ち回りで行う方法もあります。

●オンライン理事会の会議システムの比較
◎音声会議システム
通常のハンズフリー機能では、1対1の通話になりますので、数人規模で2ケ所に集まって会議が出来ます。
但し、電話機('携帯電話)によっては、同時に複数の相手と話をする機能があったり、専用の音声会議システムを利用すると3名以上での会議が可能です。但し、音声通話のみですので、資料等のやり取りはメールやファクシミリ等別の方法で行わなくてはなりません。
また、地点数が多いと会議の進行が難しくなりますので、比較的小規模の会議に適しています。

◎パソコンやスマートホンによる会議
専用のブラウザやアプリを使用して、音声(マイク等を利用)と映像(カメラ等を利用)による会議が可能です。10名程度までの会議なら支障はあまりありま せん。映像を見ながら会議ができるので、資料等を使用することもできますが、プレゼン資料等も相手に送れるシステムを利用するとより会議が円滑に進みま す。

◎会議システムによる会議
会議の出席者が多くなると、専用の会議システムが必要になります。会議の規模や資料配布の方法等により、どんな会議システムを利用するか検討する必要があります。会議システムを導入する場合、費用の問題と運用を検討する必要があります。

●オンライン理事会での課題
原則として、理事会に出席する理事・監事の議決権や代理は認められません。これは、総会と違って議案を決議することよりも執行機関として執行内容を審議するための意見交換を行い、適切な対応を求められるためです。その為、以下の点を特に注意しなければなりません。
・原則として関係者全員が参加可能なシステムである必要があります。
・実際の出席者が確認できるシステムである事が必要です。
・出席関係者間での情報受信の公平性が担保されていることが必要です。
・議事録の作成、署名の方法等も含めて、規約等に準じているか、事前確認が必要になります。
・規約等に電磁的方法による決議の記述があっても、理事会に適用できるかどうか確認が必要です。
最近、オンライン会議の必要性が高まっていますが、実際の運用にあたっては色々な課題がありますので、事前に十分検討する必要があります。

●オンライン理事会のシステム要件
企業等の会議システム等と比較した場合の導入要件を示します。
・会議の頻度が少ない為、低コストで実現可能なこと
・会議の構成員全員が参加可能なこと
・頻繁に使用しない為、身近機器で簡単に運用できること


オンライン総会について
総会をオンラインで開催する場合には色々な課題があります。しかし、近年、区分所有者が海外に在住している場合もあり、管理組合でも検討の必要性が生じます。

●オンライン総会の方法
基本的には、理事会と同じです。但し、出席者が多くなることと出席者が限定されない等の留意事項があります。

●オンライン総会での留意事項
・出席者が多くなった場合は、本格的な会議システムが必要になります。
・出席者は区分所有者のほか、占有者(居住者)や管理会社関係者等の利害関係人や議案の説明のための業者等の多方面に及ぶ場合があります。
・原則として、全組合員(区分所有者)が出席可能な環境、システムである必要があります。また、総会には利害関係人の出席も可能ですので、理事会と違い予め出席者を特定することが出来ません。不特定の相手の参加者にも配慮しておく必要があります。
・電磁的方法について、規約等に規定がある場合は、その内容について確認しておく必要があります。

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