無名抄 その弐拾弐
イメージしてみよう(-_-)
イメージしてみよう。
無理なく背筋を伸ばし、本座に立ち、半眼で4メートル先を見つめている自分を。
静かに揖をし、気合いの左足を踏み出し、射位に進む。的を見て、一足で足を開く。
足の幅は矢束に、角度は60度。一回でびしっときまる。土台は万全です。
顔向けを戻し、目の高さで矢を組み、羽を見、甲矢を選び、番える。
乙矢を打ち込み、腰にとる。
弦調べ。矢を通して、的を見る。
イメージしてみよう。
矢の先から的まで、透明な道がある。
まっすぐな、明るい透明のトンネルある。
◆◆◆
イメージしてみよう。
手の内がうまく作れた。取りかけもいいかんじ。
軽くひじを張る。
物見をすると、的までの明るいトンネルが見える。
的が近く、くっきりと、大きく見える。
吸う息でゆったりと打起こせば、45度で自然に止まる。
大三もうまくとれた。これなら、無理なく引き分けられるでしょう。
イメージしてみよう。
勝手の親指は弦に引っ張られる感覚がある。
手首に力みはなく、ただひじにつられて弓を引き分ける。
押手はしっかり角見がきいている。握りこんでもいないし、手の内が崩れそうにもない。
矢と身体は平行を保ち、拳が耳の後ろを通っていく。
ひじが納まる。口割りの高さもぴったり。
決して休まず、伸びあっていける会に入れた。
イメージしてみよう。
矢筋に、静かに、伸びあう感覚。
ねらいは的の中心。
何のために伸びあってきたのか、といえば、
ここで迷わずまっすぐに離れるため。
イメージしてみよう。
的に吸い込まれるように、放った矢が飛んでいく軌道を。
透明なトンネルをくぐるように、
迷わず力まず離した矢は、迷わず力まず、素晴らしい矢飛びで飛んでいくでしょう。
弦音に続いて、大きな的中の音が響きます。
押手のゆるみもなく、残身。矢筋に伸びた結果が表れています。
仲間たちの「よし!」のかけ声が、明るく響き渡ります。
イメージしてみよう。
ひじを支点にしてきれいな弓倒しをし、顔を戻す。
次の矢も、同じように引こう。きっと引ける。
◆◆◆
部活の始めと終わりの澄ましのとき、皆さんは何を想っているのでしょう。
こういうプラス思考の行射を、頭の中で一射してみたらどうかな、
と思い、書いてみました。
2006.4.3 観