無名抄 その弐拾弐


 イメージしてみよう(-_-)


イメージしてみよう。

無理なく背筋を伸ばし、本座に立ち、半眼で4メートル先を見つめている自分を。

静かに揖をし、気合いの左足を踏み出し、射位に進む。的を見て、一足で足を開く。

足の幅は矢束に、角度は60度。一回でびしっときまる。土台は万全です。

顔向けを戻し、目の高さで矢を組み、羽を見、甲矢を選び、番える。

乙矢を打ち込み、腰にとる。

弦調べ。矢を通して、的を見る。

イメージしてみよう。

矢の先から的まで、透明な道がある。

まっすぐな、明るい透明のトンネルある。

 

イメージしてみよう。

手の内がうまく作れた。取りかけもいいかんじ。

軽くひじを張る。

物見をすると、的までの明るいトンネルが見える。

的が近く、くっきりと、大きく見える。

吸う息でゆったりと打起こせば、45度で自然に止まる。

大三もうまくとれた。これなら、無理なく引き分けられるでしょう。

イメージしてみよう。

勝手の親指は弦に引っ張られる感覚がある。

手首に力みはなく、ただひじにつられて弓を引き分ける。

押手はしっかり角見がきいている。握りこんでもいないし、手の内が崩れそうにもない。

矢と身体は平行を保ち、拳が耳の後ろを通っていく。

ひじが納まる。口割りの高さもぴったり。

決して休まず、伸びあっていける会に入れた。

イメージしてみよう。

矢筋に、静かに、伸びあう感覚。

ねらいは的の中心。

何のために伸びあってきたのか、といえば、

ここで迷わずまっすぐに離れるため。

イメージしてみよう。

的に吸い込まれるように、放った矢が飛んでいく軌道を。

透明なトンネルをくぐるように、

迷わず力まず離した矢は、迷わず力まず、素晴らしい矢飛びで飛んでいくでしょう。

弦音に続いて、大きな的中の音が響きます。

押手のゆるみもなく、残身。矢筋に伸びた結果が表れています。

仲間たちの「よし!」のかけ声が、明るく響き渡ります。

イメージしてみよう。

ひじを支点にしてきれいな弓倒しをし、顔を戻す。

次の矢も、同じように引こう。きっと引ける。

 

部活の始めと終わりの澄ましのとき、皆さんは何を想っているのでしょう。

こういうプラス思考の行射を、頭の中で一射してみたらどうかな、

と思い、書いてみました。


2006.4.3 観

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