無名抄 その拾五
悲しいとき。
「い○もここから」というお笑いコンビのもちネタを、勝手に関高弓道部篇にしてしまいました。
関高弓道部篇というより、個人的体験や「こんなのヤダ」篇の方が多いかもしれません(^^;)
「い○もここから」の絵をもっている方の人は、岩手県出身なのだそうです。
リピートと絵は省略します。
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悲しいとき。
初めて的前に立って引いた最初の1本が、屋根を越えてあづちの裏の畑まで飛んでいったとき。
悲しいとき。
大事な試合の途中で弦が切れたとき。
悲しいとき。
替え弦に張り替えた直後1本目でまた弦が切れたとき。
悲しいとき。
足袋を履こうと風呂敷から出したら、両方とも右だったとき。
悲しいとき。
足袋を忘れてきた日に限って派手な柄の靴下を履いてきてしまったとき。
悲しいとき。
矢取りに行って水たまりに思いきり足を突っ込んで、裸足で弓を引くわけにもいかず苦悩するとき。
悲しいとき。
座射を習いたての頃、袴を踏まないと立てなかったとき。
悲しいとき。
矢つがえで逆に打ち込んで指に挟んでいた乙矢をぽろっと落としてしまったとき。
それを見た後の立ちの先輩が必死で笑いをこらえている気配を察したとき。
悲しいとき。
打ち起こしたら、前の人の弓の間に自分の弓がはさまったとき。
悲しいとき。
弓倒ししたら、前の人の頭を弓の先っぽで殴ってしまい「コン」といい音がしたとき。
悲しいとき。
座射で足踏みをしたら、床に置いた自分の矢を蹴ってしまったとき。
悲しいとき。
ゆがけに穴があいたとき。
悲しいとき。
弦で耳を払ってメガネも吹っ飛ばして壊したとき。
悲しいとき。
4本全て同じ矢所で的を蹴ったとき。
悲しいとき。
4本目早気で皆中を逃したとき。
悲しいとき。
早気で皆中したとき。
悲しいとき。
皆中だけど、全て外枠の黒ぎりぎりだったとき。
悲しいとき。
決勝射詰めで矢こぼししたとき。
悲しいとき。
テストが近いので、大会の行き帰りの電車の中でも『構文150』などを読まねばならないとき。
悲しいとき。
県大会の宿舎で騒いでいたら、下の階の高校に「うるさいんですけど」と二度ほど言われたとき。
悲しいとき。
エビが嫌い(←私ではないです)なのに宿の料理がエビづくしだったとき。
悲しいとき。
大会の会場で学校の巻藁矢数本すべてをなくしてしまったとき。
悲しいとき。
とても体格のいい部員が入ってきたけど、当時学校の備品だった弓道衣はどれも小さすぎたとき。
悲しいとき。
補習が長引いて、急いで道場に行ったら終わりの礼拝のためにみんな整列していたとき。
悲しいとき。
道場への行き帰りの自転車こいでるあいだだけ雨が降ったとき。
悲しいとき。
道場に行ったら誰もいなくて、午前と午後を間違えたことに気付いたとき。
悲しいとき。
遠的の練習で狙いが高すぎて矢が的の向こうの森に消えてしまったとき。
悲しいとき。
部活帰りに考え事をしていたら道端で停まっていたトラクターに自転車で激突し、
しかも後から来た先輩に現場を見られて大笑いされたとき。
悲しいとき。
強風吹きすさぶ下ノ橋をおそるおそる渡っていたら、クラクションを鳴らされたとき。
悲しいとき。
いくらつまみ出してもバッタが射場にぴょんぴょん入ってくるとき。
悲しいとき。
なんか臭うなと思ったら、カメムシを踏んでいたとき。
悲しいとき。
あづちにハトが飛んできて一向に逃げる気配もなく、練習が中断したとき。
悲しいとき。
あづちの上の巣からスズメの子が落ちてきて、育てようとしたけどやはりだめだったとき。
悲しいとき。
日が短いというのに停電が起き、練習が中断したとき。
悲しいとき。
冬場に矢が滑走して雪に埋もれて行方不明になったとき。
悲しいとき。
春になったらその矢が出てきたけど、羽もはがれて変わり果てた姿になっていたとき。
悲しいとき。
農作業の知らないおじさんに「ながなが丸っこにあでるのもらぐでねぇな〜」と言われたとき。
悲しいとき。
近所の知らない子供に「へたくそ〜」とののしられたとき。
悲しいとき。
近所の子供が太った犬をつれて乗り込んできたとき。
悲しいとき。
水道が凍って春になってもなかなか水が出てこなかったとき。
悲しいとき。
あづちが凍って、的を置くためにスコップが必要になるとき。
悲しいとき。
スコップであづちを砕いたにもかかわらず、矢が跳ね返されたとき。
悲しいとき。
巻藁から矢を抜いたら矢尻がなくなっていたとき。
悲しいとき。
巻藁が古くなってぼそぼそになり、矢が貫通してしまうとき。
悲しいとき。
巻藁を外したうえ、後の窓ガラスを破壊してしまったとき。
悲しいとき。
継ぎ矢(先の矢に矢が刺さる)をやってしまってシャフトがタンポポの茎みたいに裂けたとき。
悲しいとき。
しかも、それは外れた矢への継ぎ矢でおめでたくもなんともなかったとき。
悲しいとき。
みんなではるばる花巻まで審査を受けに行って、私だけ不合格だったとき。
悲しいとき。
「1年生、基礎トレは関高ジャージじゃなくていいよ」と先輩に言われたけど、
関高ジャージしかもっていなかったとき。
悲しいとき。
弦を掛ける時に使う板が年月とともにどんどんえぐれて、下の柱にまで穴が貫通してしまったとき。
悲しいとき。
どうやらその板をいまだに使っているらしいと知ったとき。(今は交換してありました!)
悲しいとき。
外で巻藁ばかりやっていたら、右手だけ日焼けしなくて左右の手が違う色になってしまったとき。
悲しいとき。
部活に来たのが3人くらいで、礼拝していて「過疎の村の分校みたいだな」と思ってしまったとき。
悲しいとき。
的の数より人の数の方が少なかったとき。
悲しいとき。
強風で自転車が何度もなぎ倒され、カゴが変形してしまったとき。
悲しいとき。
雪を自転車でかき分けて来たら、タイヤの隙間に詰まった雪が凍りついて動かなくなったとき。
悲しいとき。
えびすやの自販機でジュースを買ったら直後に「売り切れ」ランプが点灯したとき。
悲しいとき。
卒業アルバム用の写真を撮るため狭い射場に3年生全員立って会の状態でいるように頼まれたとき。悲しいとき。
みんなで2年間追い求めていた夢が、叶わなかったとき。
悲しいとき。
もう毎日急いで自転車をこいで道場へ行かなくてもよくなってしまったとき。
悲しいとき。
引退のあいさつをするとき。
悲しいとき。
夕日が沈んだとき。
悲しいとき…
2002.11.23 観