無名抄 その拾弐


 表彰状のいただき方


毎日の修練に励み、射型や的中が安定し、ゆるがぬ自信をもって試合に臨み、
その結果として素晴しい成績を出して表彰される。
とても誇らしい、思い出に残る一瞬だと思います。
後輩達は「先輩たちすごい! うちらも頑張らねば」、
同期生は「なんだちくしょー、次は俺が!!」と向上心に火がつくかもしれません。
せっかく大勢の参加者の中を勝ち抜いて閉会式まで残っているわけですから、
最後までびしっと爽やかに表彰を受けて帰り、最高の一日を締めくくりましょう。

1.早めに閉会式会場へ行き、整列します。
  入賞したチームのメンバーは、
列の前の方に並びましょう。人をかき分けて前に出なくて済みます。
  名前を読み間違えられ易い選手は、閉会式が始まる前に、主催者に
正しい読み方を伝えておく
  いいかもしれません。それでも間違えられることも、ありえないとは言い切れません (-_-;)
  一般的に入賞者は弓道衣のまま整列します。
えりやそで、袴を正しましょう。
  電車の時間等で帰りを急いでいる場合は、制服でもかまわないと思います。
  入賞者以外の選手もなるべく閉会式に参加し、仲間の栄誉を見守り
拍手してあげましょう。

2.成績発表ならびに表彰。入賞者は返事をしてすばやく前へ!
  「高校男子団体の部、優勝、一関一高Aチーム・○○選手、□□選手、△△選手」「ハイ!」
  順位とチーム名等を呼ばれたら、チームそろって
適度な大きさの声で返事をし、颯爽と前に歩み出ます。
  個人入賞の場合も、順位と氏名を呼ばれたら返事をし、颯爽と前に歩み出ます。
  このとき、
もしも氏名の読みを間違えて呼ばれても、クールにそのまま返事をしてあげましょう。
  内心では「ちっ。ちゃんと読んでくださいよ〜」と苦笑いをしつつ。
  (私は当たり前のように苗字と名前両方間違えられ続けていますが、そのまま返事をしています)

3.呼ばれたチーム(選手)全員、一旦横一列に整列します。
  前に出たら「優勝」「準優勝」「三位」の順に、賞状を渡す方の方を向いて横一列に並びます。
  (「準優勝」「優勝」「三位」の順でもいいかと思います)
  このとき、前に出すぎると「賞状を受け取るチーム」が一歩前に出るスペースがなくなってしまいます。
  
適当な間隔を前に残して横一列にきれいに並び、全員揃ったところで正面に向かって「礼」
  「表彰を受ける選手全員揃いました」という気持ちで、「揖(ゆう)」ではなく「礼(れい)」をします。
    ☆揖(ゆう)…およそ10センチ上体を屈する。
    ☆礼(れい)…およそ
45度の角度まで上体を屈するのが基準。
  首だけ曲げる礼や、背中を丸める礼、深すぎる・浅すぎる礼では、かっこよくありません。
  射場に入場する時の大前のような礼だといいですね。
  並んでいる時、ダラッとしたり、うつむいたりするのは、栄誉を讚えられる人らしくないので、
  背筋を伸ばし、両手は身体の横に自然におろし、正面を見据えてびしっと立ちましょう。

4.チームごとに一歩前に進み出て、表彰を受ける。
  チームのメンバー揃って「賞状を渡して下さる方」の前に進み出ます。
  横一列きれいに揃え、
「賞状を渡して下さる方」より先に、チームで「礼」をします。
  「賞状を渡して下さる方」の方が目上の方ですから、先に頭を下げられるのを待つのは変ですね。
  「表彰して下さるなんてありがたい事です。せっかくですから遠慮なく戴きます」という気持ちでしょうか?
  「賞状を渡して下さる方」が賞状を読んで下さる間も、背筋を伸ばし、
堂々としていましょう。
  うつむいていると、まるで叱られるために呼び出された生徒のようになってしまいます。
  
立派な成績を残したぞ、という余韻にひたりながら読み上げ終わるのを待ちます。
  読み上げ終わったら、一名が素早く前正面に出て、丁重に賞状を受け取り、小さく一歩下がって
「礼」
  優勝杯、賞品も、それぞれ別の一名が前正面に出て、丁重に品物を受け取り、小さく一歩下がって
「礼」
  授与される物は、
的の上に載せられて差し出されますが、的まで受け取ろうとしないように。笑われます。
  戴くものを全て戴いたら、
チーム揃ってもう一度「礼」をして、他の2チームの待つ列に戻ります。
  そこで次のチームは正面に進み、同様に表彰を受けます。

5.その部門全てのチームの表彰が終わったら。
  優勝から三位までが表彰を受け終わり、再び横一列にきちんと並んだら、
  
ふたたび全チームの選手揃って「礼」をします。
  「表彰して戴きまして、ありがとうございました〜」という気持ちを表わす「礼」でしょう。
  
個人戦の表彰の場合も、入賞者全ての表彰が終わったら、全員揃って「礼」をしましょう。
  最後まで気を抜かずに、正しい「礼」でしめくくります。
  その後は、すみやかに元の位置に戻り、他の選手の表彰に拍手を贈りましょう。

こうして事細かに文章にしてみると、ずいぶん何回も「礼」をするものですねぇ。
しかし、面倒くさがらず、恥ずかしがらずにきびきびと「礼」をすると、
真の勝者らしくてとてもかっこいいと思います。一般も高校生も同じです。
「高校生はちゃんと礼をしないねぇ。なんでだろう」といつも嘆いている先生がいらっしゃいます。
おそらく「いつ礼をするのかな?」「もう後ろに下がっていいのか?」と不安で迷っているから、
動作がぎこちなくなってしまうのでしょう。
表彰の受け方がちゃんと解っている選手ばかりなら、みんな揃って礼に従った行動ができて、
先生方の眉間にシワも寄らないで済むというものです。
「すみやかに」「きびきびと」が、表彰に臨む際の基本ではないでしょうか。
もしも戴いた賞状に書かれている名前に、誤字などの間違いがあったら、
一応主催者側に申し出てみましょう。書き直してくれるかもしれないし、
「ごめんなさい、賞状の紙がもうないので…」とそのままかもしれません。そのときは仕方がない…
すみやかに諦めて、きびきびと帰りましょう。

帰る際はもちろん、大切な弓具の確認をお忘れなく!


2002.10.02 観

弓道無名抄とびらに戻る