無名抄 その参


 高校弓士へのアドバイス(段級審査について・その壱)

 ※但し、対象は岩手県で無指定〜弐段を受審する高校生です。


段級審査。これはなかなかいやなものです。
まず、やたらに緊張しますね!何回受けても慣れるということはありません。
どこかから来た知らない先生方に、たった1日、たったの2本だけ見られて
合格か不合格か決められてしまう。
弓道教本を引っぱり出して学科の勉強もしなくちゃならない。
審査申し込みにはお金を払い、合格してもお祝いが出るわけではなく、
逆に高校生のお小遣いには痛い出費の登録料を払わなければならない。
不合格だとかなりがっかり。休日を無駄にした気分になるかもしれません。

それでも皆さんは段級審査に挑みます。
自分の修練の成果がどんなレベルに達しているのか知るために。
そんな勇気ある皆さんに、観よりささやかなアドバイスを贈ります。
私から、というより、これは審査前講習会でいつも言われる注意事項がほとんどです。
一度聴いただけでは忘れてしまうかもしれないので、ここに掲示しておきます。

 ◆ ◆ ◆

まずは、見た目篇。

1 袴、弓道衣は正しく着用。
袴の付け方が間違っている、と審査前講習会で注意される生徒がたびたび見受けられます。
特に男子。正しい結び方・結び位置を先生や先輩に教わりましょう。
誰もわからない、というときは、記憶力の良い部員が一般の弓道会に行って着方を教わり、
他の部員にも教えるといいと思います。
袴の付け方にもコツがあります。正しい着方を後輩にも伝えていきましょう。
袴をずるずる引きずったり、弓道衣のそでを折ったりしないこと。
どちらも長すぎる場合は、事前に直すなり縫うなりしておきましょう。
袴・弓道衣が学校の備品である場合はそうはいかないと思いますが、
自分の体形にあったサイズのものを、アレンジしないでシンプルに着て下さい。

2 中に着るものにも注意しましょう。
弓道衣の襟から赤だの黄色だの、派手な色のTシャツが見えていると審査員でなくてもびっくりします。
ゲンかつぎのお気に入りのシャツかもしれませんが、審査や試合には向いていません。
弓道衣から透けて見えない地味な色のものにしましょう。
寒い時期の審査では、中に長そでTシャツを着ることもあります。着てもいいのですが、
射場に入る前には
「弓道衣のそでからはみ出さないように」長そでをまくって下さい。

3 爪を切ること。
審査員の先生は手の内も見ます。手を見れば爪も見えます。
伸びすぎていたり、真っ黒かったりして先生方をびっくりさせないように気をつけましょう。

4 髪型もすっきりと。
流行りやおしゃれよりも、弦で髮をばさっとやらないことのほうが大事ではないでしょうか。
ピンで止めたり、ゴムでぎちっと結わえて審査に挑みましょう。
女子はリボン類も付けないほうがいいと思います。

5 腕時計・ピアス類
緊張してあわてていたりして、外すのを忘れていませんか?
ピアスは弓道にとって危険なおしゃれです。耳を弦で払ったら…流血の惨事!

6 足袋は履き慣れておこう
いつも靴下で練習していて、急に審査の日だけ買ったばかりの足袋を履くという人もいるかもしれません。
靴下で跪坐や摺り足や足踏みができても、足袋だと具合が違ってきます。
練習でも履いて、洗って、よく履き慣れておくとよいと思います。
留め具が外れたまま射場に入ってしまう人もときどき見かけるので、注意して下さい。

7 自分の弓具の再チェック!
弦がぼそぼそけば立っていませんか? 中仕掛けがほつれていませんか?
中仕掛けと自分の矢の筈は丁度よくかみ合いますか?
前日に急に修理したために当日弦切れする、ということもあり得るので、早めに修理しておきましょう。
籐や握り皮は、はがれそうになっていませんか?
弓道人なら、道具は大切に手入れして見た目も綺麗に使うものです。

 ◆ ◆ ◆

控えに呼びだされたら、もういちど身なりをチェックしてから道具を持ち、
「私だいじょうぶかな、袴とか変じゃない?」友達にもチェックしてもらい、
「OK!」だったら準備完了。自信を持って控えに向かいましょう。

 ◆ ◆ ◆

長くなったので、射技・体配篇は「段級審査について・その弐」に別掲します。


2002.06.16 観

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