私が読んでとても面白いと感じ
また皆様のお役に立つと思う本をご紹介します。
今後少しづつ増やしていく予定です。

新刊書
 

小玉祥子氏が当代吉右衛門に20回にわたって取材した聞き書き。生まれながらにして偉大な祖父の名跡を背負うことになった当代が、悩み苦しみながら二代目としての自分の位置を確立するまでを淡々と語った本書は、今充実した舞台を重ね余人をもって替え難い役者となった当代の人となりを知るのに絶好の本。 寡黙で誠実、全ての目標が高く、常に自分を厳しく律する人と言われる吉右衛門の一番幸せな時間が、「トムとジェリー」を見ている時というのがとても印象的でした。 表紙の写真に「ひらかな盛衰記」の樋口が選ばれていますが、常々「吉右衛門最高のあたり役は樋口だ」と考えていた私には、納得のいくものでした。

 

元NHKアナウンサーで、寿会会員の山川氏が満を持して上梓された大向うをテーマにすえた本。すでにいろいろな本に書いてこられたエピソードに加えて、昭和の名優と大向う名人たちの関わりなどが詳しく書かれています。第二章「大向うの成り立ち」で古い文献の中の見え隠れする記述をたどって大向うの成り立ちを推理されているのもユニークです。大向うの会の変遷についても詳しく述べられているのも今回がはじめてで、戦後の大向うにずっとかかわってこられた山川氏ならではの一冊です。

 

出版中の本
坂東三津五郎
歌舞伎の愉しみ
坂東三津五郎著
岩波書店

歌舞伎を見始めて2〜3年のかた向けにかかれたという本書は、歌舞伎をいろいろな角度から語っている興味深い本です。
第八章「歌舞伎役者と芸の継承」などでは、そこまで言ってしまって良いのか!と思うくらい、本音を明快に語っています。
粋にいなせに三津五郎
坂東三津五郎著
ぴあ(株)
三津五郎の率直さがよく出ているエッセイ。見得を「切る」と「する」の違いについての説明には納得がいきました。特に面白いと思ったのは、踊りについての章で、「踊り手にそのイメージが見えていないとダメ」という件は見る上でも役に立ちそうです。

歌舞伎モノがたり
織田絋二著
淡交社

長年国立劇場で舞台づくりにかかわってきた著者の大道具、小道具などをテーマにした魅力的なエッセイ。「俊寛」の浪布の話などに、心引かれました。

歌舞伎十八番
十二代目市川團十郎著
河出書房新社

市川宗家として歌舞伎十八番を大切に考え、守っていきたいという情熱が隅々まで感じられる本。團十郎の美しい隈取の写真も豊富で、十八番を演じる若い役者さんのお手本になりそうです。

歌舞伎のかつら
松田青風著
演劇出版社

百科事典のように分厚いけれど、お芝居を数多く見ていくほど、楽しくなる本。鬘だけを見て、役を当てる楽しみもあります。

芸づくし忠臣蔵
関容子著
文藝春秋・文春文庫

仮名手本忠臣蔵を大序から討ち入りまで、沢山の役者の芸談などありとあらゆる話題をとりあげて綴ったエッセイ。繰り返し読んでも面白く、仲蔵の定九郎の拵えの件が解明されているのも興味深かったです。

きのね 上・下
宮尾登美子著
新潮文庫

天下の二枚目、十一代目團十郎と夫人を描いた小説。フィクションとは思えないほどリアルに、当時の雰囲気が描かれています。

歌舞伎をつくる
服部幸雄編
青土社

季刊「歌舞伎」に掲載された、歌舞伎細見を編集した本。八代目三津五郎、服部幸雄、長谷川勘兵衛などの「四谷怪談」などを題材にした座談が大変面白いです。
カブキ101物語
渡辺保編
新書館
代表的なお芝居の筋101本を、複数の書き手が分担して詳しく書いています。冒頭に編者が掲げた岡鬼太郎の言葉は強い印象を残します。
勘九郎ぶらり旅
中村勘九郎著
集英社
芝居の舞台になった土地を訪ねて歩く旅の話。なんといっても深川で「四谷怪談」の三角屋敷を見つけたエピソードは印象深いです。

女形の芸談
六代目尾上梅幸著
演劇出版社

「女形の事」と名著「梅の下風」を一冊にした本。名題試験はこれから出題されるとか。初めは読みにくても芝居を見ていくうちに面白く思えてくる、気になることを調べるのにも役にたつ本です。
秀十郎夜話
千谷道雄
富山房
初代吉右衛門の後見を長年つとめた大部屋役者・秀十郎からの聞き書き。失われた世界を彷彿とさせます。
すばらしいセリフ
戸板康二著
ちくま文庫
とりあげられている120の名セリフはいずれも15字に満たない短いものですが、聞いただけでそのお場面が目の前に浮かぶような選りすぐりのセリフばかり。どこから読んでも楽しい本です。
 

 

古書でのみ入手可能の本
松緑芸話
二代目尾上松緑著
講談社・講談社文庫
おおらかで豪快な芸風で今も懐かしむ方の多い二代目松緑の芸談。全てを伝えるべき息子・辰之助を早く亡くしたあと、六代目菊五郎から教えられたことを残しておきたいと書かれた本。

芸十夜
八代目坂東三津五郎&
武智鉄二著
駸々堂

歌舞伎や文楽の真の理解者であり、また後援者であった武智鉄二と博識で知られた八代目三津五郎の対談集。山城少掾と四代目清六の決別の一部始終が語られているのも興味深く、いろいろな芸のエッセンスが詰まった本。

羽左衛門傳説
里見ク著
毎日新聞社

花の橘屋、十五代目羽左衛門の出生の秘話について書かれた新聞連載小説。この話を裏付ける、十五代目が実の妹・関屋愛子にあてて書いた手紙(本書の裏表紙)には涙がこぼれます。
歌舞伎役者
宇野信夫著
青蛙房

六代目菊五郎のために芝居を書いた著者が語る、六代目の思い出。これを読むと六代目という人に親しみがもてます。

嵯峨談語
十三代目片岡仁左衛門著
三日月書房
父十一代目仁左衛門の庇護のもとで大切に育てられた若き日の思い出などユーモアあふれる逸話が満載です。天満の八千代座の「次郎助さま」の話などに、神仏を深く信仰していたという十三代目らしさが現われています。
とうざいとうざい-歌舞伎芸談西東
十三代目片岡仁左衛門著
自由書館
東京生まれで東京と関西の両方で育った著者が、歌舞伎の型が統一されてしまうのを危惧して書き残した東西のお芝居のいろいろな型の話。
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