『 スウィート・スウィーツ ― (2) ― 』
鯛焼き は 果たしてその日の晩餐の栄えあるデザート となった。
博士を囲み 食後の熱いほうじ茶を楽しんでいると ―
「 ほいほ〜〜い デザート でっせえ 〜〜〜 」
料理人が 熱々湯気のあがる小型蒸籠を運んできた。
「 うわ ・・・? 」
「 おや 今晩のデザートは点心かい 」
「 あらあ〜〜 なにかしら 」
食卓からの感歎の声に料理人は にぃ〜 っと笑う。
「 ほっほ 熱いうちがオイシイ、と伺ってまんな〜
ほな 皆はんで頂きまほか 」
「 あ グレートの分は ・・・? 」
「 あの御人は 多分 よぉけ酔っぱらって帰ってきますよって
いりまへんわ。 その分 皆はんで食べまひょ 」
「 あらら ・・・ でも いっか〜〜 」
グレートは 劇団の関係者と旧交を温めにゆき
当然? 早々に晩ご飯キャンセル の連絡が入っていた。
「 えへへ なにかな〜〜 てんしん ってさ アンマン とか
ピザマン のことだよね 」
「 あ わたしの好きな ももまん かも〜〜 」
ワカモノたちは わくわく・・・ 蒸籠に手を伸ばす。
「 ほいほい あっついよってお気をつけ〜〜〜 」
ぱか。 ・・・ 蒸籠の中には タイヤキ が鎮座。
「 ! あ〜〜〜〜 たいやき だわああ〜〜〜 」
「 え??? ・・・ 蒸し鯛焼き??? 」
「 鯛焼き? ・・・ おお あの甘い魚だな 」
さすが ドクター・ギルモア、 いや ウチの中では
< 博士 > は 鯛焼きについて知識を持ち合わせていた。
「 ギルモア先生、さすがお目が高い。
そうでっせ〜〜 これ ジョーはんとフランソワーズはんの
おみやデス。 熱々にしましたよって どうぞ召しあがってや 」
「 ・・・ あのう これ ・・・ 齧っても いいかな〜〜 」
ジョーがおそるおそる聞く。
「 もちろんでっせ〜 これはジョーはんのお国のオヤツでっせ?
お好きに召しあがってや〜 」
「 あは ・・・ そんなら〜 あち ・・・! 」
彼は蒸籠から 手で鯛焼きを掴みあげ 慌てて指を振っている。
「 齧る のね? ・・・ よぉし〜〜 」
パリジェンヌも 両手で鯛焼きの端っこを持ち上げて ―
ぱくり。 〜〜〜 ふぁぁ 熱々〜〜〜〜〜〜
「 よ よぉ〜し ぼくも・・・・ あぐ! 」
ジョーも 鯛の尻尾をつかんでアタマから わんぐり〜 かぶり付いた。
〜〜 う ふぁ〜〜〜〜 あ っつあつつつ・・・
口の中には熱々の餡子が広がる。
「 んん〜〜 んま〜〜〜〜 」
「 ふぁ ふぁ ・・・ 熱い餡子 美味しいわあ〜〜 」
「 う ひゃ〜 ・・・あ 柔らかい鯛焼き もいいね〜〜
蒸したいやき かあ〜〜 あっつ! 」
「 ギルモア先生? 捌きほか? 」
料理人は 最年長者に気遣う。
「 ああ 大丈夫・・・ 年寄はゆっくり頂くとするよ
・・・ ああ おお これは ウマイ なあ ・・・
優しい甘さ というところかね 」
「 博士〜〜〜 アンコって 身体にいいんですよぉ
ほら 小豆から作るっていうから豆製品だし 」
「 ほう ・・・ ? 」
「 この熱々の蒸しタイヤキも美味しいけど
お店で焼きたてのパリパリを食べるのも イイですよぉ 」
「 なるほどなあ うむ ・・・ これは美味いなあ 」
「 ・・・ 美味しいわあ〜〜〜
ジョー ねえ またあのお店に行きましょうよ 」
「 そうだね〜 次はクリーム鯛焼き 買おうか 」
「 え。 くり〜むたいやき??? そういうのもあるの? 」
「 ウン。 チーズ鯛焼き もあるって。
ま〜 ぼくはふつ〜の、尻尾までアンコが詰まったヤツを
齧るのが好きだけど さ 」
「 ふう〜〜ん なんかすごく奥が深そう ・・・ 」
「 ふむ ふむ ・・・ これは優しい甘さ だな
この地域の特産かい? 」
「 え〜〜〜 どうだろ?? 鯛焼きって日本中にあると思うな〜〜
張大人〜〜 蒸しタイヤキ、美味しかったデス 」
「 ほっほ〜〜 そりゃよかったで
ジョーはん どんどん地元のオイシイもん、教えてや〜〜 」
料理人は 意欲満々〜〜 近々開店する彼の飯店を
盛り上げようと いろいろ試行錯誤している最中なのだ。
この夜のスペシャルなデザートに 食卓はおおいに賑わい
食後のリビングは ま〜〜〜ったりした和やかモードだ。
「 ジョー。 今日 とっても楽しかったわ〜〜
ありがとう! またいろいろ教えてね 」
「 あは ・・・ ぼくでいいのかなあ 」
「 地元民の意見が一番適切じゃろうて ・・・
ワシらも この近辺の様子をあれこれ学ばんといかんな。
コズミ君に頼ってばかりおらんで ・・・
積極的に 地域に参加しよう 」
「 わ あ ・・・ ぼくもあんまし知らないけど・・
この辺りは のんびりしてていいっすよ 」
「 そうね ねえ またオイシイもの、教えて 」
「 あは ・・・ 安いもん ばっかだけど・・
あ フランソワーズ〜〜 今日のあのチーズ!
すっご〜〜〜いオイシイね! ほら あの牛さんが笑ってるヤツ 」
「 ラ・バッシュ・キ・リ の? うふふ わたしも大好きだから
たくさん買ってきたの。 あ 食後にちょっと食べてみる? 」
「 わあ いいの? 」
「 いいと思うわ おつまみ みたいだし・・・ 」
彼女はさっとキッチンまでゆくと 冷蔵庫から様々な色のキューブを
袋いっぱい 出してきた。
「 ここのフロマージュ、家族みんなが大好きでね いつも買ってたわ。
わたしは ジャンボン・・・ハムのが好き 」
「 ぼく ブラック・ペッパーかな〜〜 ・・・ふ〜ん?
ねえ この赤いのは なに? 」
「 あ〜 これは トウガラシ ね。 ピリっとするわ 」
「 ホント? 〜〜〜〜 ん〜〜 ☆ あ うま〜〜〜 」
「 ふふふ ジョー お気に入りね 」
「 え〜〜 だってさ こんなにいろんな味のチーズってあるんだ?
日本だと せいぜいワサビ味 くらいかなあ 」
「 キューブのはそんなに高くないし たくさん食べられるわよ 」
「 うわお〜〜 あ ねえ フランス・パン 買ってきたじゃん?
あれでさ、このまえ作ってくれたサンド、また作ってくれる?
ほら ハムとチーズのヤツ 」
「 あ カスクード? ええ いいわ 」
「 それでさ その時にパンにカラシ・マヨネーズを塗ってみて?
超〜〜〜〜 ウマだから 」
「 カラシ・・・? ああ マスタードね?
そうなの〜〜 やってみるわね 」
「 うふふふ〜〜ん♪ ああ また皆 来ないかなあ〜〜
皆でさ 自慢の味 とか教えあったら楽しいよね 」
「 そうねえ ・・・
でもね ジョー。 この国の御飯は本当にオイシイわ。
果物もお菓子も よ。 わたし 皆に教えてあげたいわ 」
「 え そ そう?? 」
「 そうよぉ ジェットにはね ポップコーンとポテチだけが
スナックじゃない って教えたいし。
ピュンマなんか ガリガリ君系アイスに感激するわよ 」
「 あ〜〜 そうかも 」
「 ね! 今度 皆が集まったら 日本のオイシイモノ大会
しましょうよ 」
「 あは ・・・ いいかも〜〜〜
あ でも アルベルトなんか ドイツが一番だ! っていうかも」
「 ん〜〜〜 どうかしら。 彼は今 練り羊羹 に撃沈してるわね 」
「 え ・・・ 羊羹? ぼく あんまり得意じゃないんだけど
あれって 甘すぎない??
」
「 そこが好みみたいよ? コズミ博士とね 碁を打っているときに
お茶受けで頂いて ・・・ 病みつきになったんですって 」
「 へえ〜〜〜〜 羊羹は004のお気に入り かあ 」
「 ふふふ なんか楽しいわね 」
「 そうなんだけど ・・・ ぼくだってさ 皆の国のオイシイもの
とか知りたいな〜 」
「 あのね たいていのモノは トウキョウで食べられるって。
これは 張大人とグレートが言っていたわ 」
「 へ〜〜え ・・・ ぼく トウキョウは詳しくないよ
地元しか知らないもん。 」
「 その地元に こ〜〜〜んなにオイシイものがいっぱいあるわ!
ねえ 今度 地元の商店街に行きたいの。
いろいろ・・・お店のヒトに お勧めの美味しいもの を
教えてもらいたいわ 」
「 あ いいね〜〜 皆で宴会したいな〜〜
あ 花見の頃に皆を呼ぼうよ
」
「 はなみ ・・・って 桜が咲く頃でしょ?
いいわねえ〜〜 えっと 四月くらい? 」
「 あ この辺りはねえ 温暖だから三月の末には満開かも〜 」
「 うわあ 楽しみ〜〜〜 」
「 海岸に降りる反対側さ 山になってるじゃん?
あそこにいっぱい桜 あるよ。 皆で花見宴会しようよ〜〜
レジャーシートもってさ 弁当とお菓子もってさ♪ 」
「 すご・・・ あ〜〜 はやく春にならないかしら ! 」
は〜るよ こい は〜やく こい ・・・
ジョーはにこにこしつつ なんだかちょっと不思議なハナウタを
唄うのだった。
― < 皆で集まる日 > は 桜を待たずにやってきた。
それも 突然。 歓迎したくないカタチで。
つまり ― 突発的にミッションが発生し
期せずして全員が集まることになったのだ。
ゴ −−−−−−
深夜 ドルフィン号は地下格納庫から出航、しばし潜航を続け
やがて かなりの沖合で浮上 ― 即 飛行形態に移った。
「 ― おし。 自動操縦 切り替えるぜ。 ヤツらは ? 」
赤毛のメイン・パイロットが ば・・・っと脚を組み替え
レーダー担当に声をかける。
「 当機は察知していないな。 ひたすら陸地を目指してるね 」
「 ― 小規模だわ。 編隊になってない。
超小型飛行物体 二機。 他は無人偵察機 数機。
・・・ これより沖合には ・・・ なにもいないわ。」
「 ん〜〜〜 海中も だな。 魚の群れがいるけどね 」
レーダー ソナー ともに 見落としは ない。
加えて 003の超視覚・聴覚が 丹念に情報を拾った。
現時点で掌握できるデータを全て収集し吟味した後
004は司令塔としての決断を下した。
「 当機はいずれ察知される。 この付近の海上に待機。
岩礁に近い無人島がある。 そこで迎えうつ
陸地から 出来る限り離れる 」
「 了解 」
すぐに全員のリプライがあった ― と思ったのだが。
「 え。 それって ・・・ この辺りの島のこと? 」
サブ・パイロットが声を上げ振り向いた。
「 ??? 」
全員が 彼に注目だ。
「 うん ・・・ え〜と 島っていうより岩礁だな〜
もちろん無人、名前もないね、ナンバーはついてるみたいだけど 」
レーダー担当は さささっと仔細な情報を開示した。
「 でも 島 だよね? 」
「 まあ ね。 一応 この国帰属だね〜
あ〜 海底に火山があるから ― なにかあったら活動を
誘発しておけば ― 海底火山が噴火した、になるさ 」
「 ― でも 今は 島 だよね 」
「 そう だが。 なぜこだわる? 」
珍しく 主張をする新人に司令塔氏が問うた。
「 あ〜 ・・・ もうちょっとで 公海 だよね?
このままドルフィン号で誘き出してさあ
海上でドンパチやったら どうかな 」
「 なんでだよ〜〜 燃料だって無駄になるじゃんか 」
メイン・パイロットは容赦なく言う。
「 岩礁でも地上で待ち伏せした方が合理的だ 」
「 ・・・ん〜〜 でもさ あの いろいろ ウルサイよ?
ほら あの〜〜 EEZ外にした方が ・・・ 」
「 めんど〜じゃんか〜〜〜 」
「 あ ぼくが 囮になって誘い出すし 」
「 そのテの行動は厳禁。 実践はドルフィン号で だ。 」
「 あ・・・ ごめ ・・・ ん ・・・ 」
「 009 どうして海上に いえ あの岩礁での戦闘に
反対なの 」
「 え あ〜〜 反対っていうか〜〜〜 他の場所の方が 」
「 つまりは 反対だろ? 岩礁になにかある? 」
レーダー担当 と ソナー担当 が正面から訊いてきた。
「 ・・・ あ の ・・・ 」
「 はっきり言え 」
「 ごめん 004 ・・・
あの岩礁 さ。 渡り鳥達の中継地なんだ ・・・ 」
「 は ? 」
「 ・・・ あの辺り 無人島 とか 大岩 とか あって。
海鳥がたくさん生息してるはずなんだ 」
・・・ ・・・・・・ 〜〜〜〜〜〜〜
コクピット中に なにかため息にも似た、いや 少しほっとした吐息にも似た
空気が 充満した。
「 進路変更。 レーダー、ソナー 海上での交戦地を探ってくれ 」
「「 了解 」」
「 パイロット、 最少燃料での行動経路を調べろ 」
「 あ〜 ・・・ ジョー お前 計算やれ 」
「 え 」
「 オレぁ 海図、調べるぜ 」
「 ・・・ あ うん 」
「 おらおら〜〜〜 とっととやれ〜〜 」
「 りょ りょうかい〜〜 」
たちまち新たな進路が決定し ドルフィン号は移動を開始した。
< 敵さん > は まんまと誘いに乗ってくれた。
( ・・・ どうもかなり 単純なテキさん だった? )
ゴ −−−−−−− ・・・・・
交戦域と決めた上空で ドルフィン号はステルス仕様で待機している。
「 来た! レーダー範囲に入ったよ っ 」
「 編隊仕様 報告します 重爆撃機○機 無人偵察機○機 ・・・ 」
レーダーとソナーの前から ほぼ同時に声が上がった。
それとともに 全員の脳裏に大量のデータが送信されてきた。
「 全武器ロック解除。 ステルス仕様解除 」
「 お〜らい☆ ・・・っと 」
メイン・パイロットは 司令塔からの指示の操作をすると ―
「 ― ジョー。 代われ。 」
突如 ジェットはメイン・パイロット席を立った。
「 !? な なに?? 」
「 代われっ お前 今からメインだ。 」
「 だ だ だって ジェット 君が 」
「 オレ 今から 攻撃に出る。 ドルフィンは お前 やれ 」
「 え〜〜〜〜〜〜 」
「 ゆくぜ ! 」
「 え うわ〜〜 あ 」
ジョーは 襟首を掴まれメイン・パイロット席に放り込まれ ―
あわてて操縦桿を握り 計器に目を走らせる。
「 出るぜ 」
「 ― 了解 」
司令塔 は 短く応えただけだ。
たった一言で 赤毛のアメリカンはコクピットから ― 出撃した。
うそ〜〜〜 なんとか言ってくれよぉ〜〜
・・・ これって単独行動 じゃね〜の〜〜???
え〜〜〜 皆ぁ〜〜〜
ドルフィン号で闘う って決めたじゃ〜〜ん
ジョーは必死の視線をコクピット内に走らせた が。
・・・ 応援と同意の雰囲気は まるでなかった。
・・・ え ・・・ お〜〜〜い ・・?
他のメンバー達は異を唱える声もなく ― 全員が淡々と
自分の任務を遂行しているのだ。
「 メイン・パイロット! しっかり前を見ろ! 」
たちまち司令塔から怒声が飛んできた。
ひえ〜〜〜〜〜〜 うわ〜〜〜
ジョーは 操縦桿を握りしめ 必死で計器を見つめた。
― ここはもう ・・・ やるっきゃない のだ!
「 ・・・・・・! 」
「 ・・・! 」
迎撃前には 短い言葉の応酬があったが すぐにコクピット内は
計器の音と銃撃の衝撃だけが響くようになった。
声という音声でやりとりされる情報を はるかに超える量が
各自の脳で直接やり取りするのだ。
「 ・・・ う うわああ〜〜〜〜 」
ジョーが今まで経験したことのない 超〜〜〜多量の情報が
秒単位で脳裏に流れ込んできた。
う うわうわ ぁ ・・・・
・・・ アタマ パンクするぅ〜〜〜〜
・・・ え?
≪ ジョー。 落ち着いて。 自分に必要な情報をまず拾うのよ ≫
≪ ・・・ ふ フラン〜〜〜 ≫
≪ 009! 僕達が示す航路にドルフィンと進めるんだ ≫
≪ ぴゅ ピュンマ 〜〜〜 ≫
温かい励ましのお便り を拾い ほんのちょっとほっとした。
≪ お〜〜い 細かいヤツはオレが引き受けっからよっ
おめ〜らは でっかいヤツ やれ〜〜〜 ≫
≪ じぇ じぇ ジェットぉ〜〜〜〜 そ 外から?? ≫
≪ おらおらおら〜〜〜 ゆくゼぇ〜〜〜 ≫
≪ ジェットぉ〜〜〜 だ 大丈夫 ? ≫
≪ おめ〜 誰にモノ言ってんだ??
オレ様は ジェット様 だぜ〜〜〜 いくぜっ ≫
≪ う わあああ〜〜〜〜〜〜 ≫
目の前、 いや ドルフィン号のすぐ前を高速で
打っ飛んでゆく赤毛の姿を射た時 ジョーは いや 009は腹を括った。
― やるっきゃない。
おし。 ・・・ ぼくに出来るコトを する!!!
じぇ ジェットに 負けてたまるかあ〜〜〜
引っ込み思案が 一旦決断すると それはとてつもなく強硬になる。
ぎゅ〜〜〜〜〜〜〜ん どどどど ・・・
ががががが どか〜〜〜〜んっ !!!
ドルフィン号は勢いよく旋回し攻撃を始めた。
**************
「 腹 へったぁ〜〜〜〜〜 !!! 」
ジェットはリビングに入るなり 両手を上げてソファに撃沈した。
「 フラン〜〜〜〜 ナンか 喰いモノ〜〜〜
ミッションの後ってよ〜 なんでこんなに 腹 減るんだあ〜〜〜 ? 」
「 ふふふ 今 オヤツ だすわ〜〜〜 」
キッチンから 明るい声が聞こえる。
「 な〜〜 ポテチ ある?? ばりばり喰いたい〜〜
ポップコーン フライパンいっぱい作ってくれやああ〜〜〜 」
「 おい ! ソファの上に靴を乗せるな 」
相変わらず冷静な声も聞こえる。
「 ああん? ・・・ オッサン こまけ〜こと いうなあ 」
「 お前には こまけ〜こと かもしれんが。
俺には不愉快だ。 その汚いバスケット・シューズを脱げ 」
「 う〜〜〜〜〜 も〜〜〜 うっせ〜〜な〜〜〜〜 」
ドゴン ドゴン ・・・ 汚れたシューズが床に転がった。
「 はい お待たせね。 ジョー 御推薦のポテチ よ 」
お盆にキッチン・ペーパーを敷き その上にポテト・チップスが
山盛りになっている。
「 うっほ〜〜〜〜 うまそ〜〜〜 」
「 うふふ ・・・ ね ただのポテチじゃないの。 」
「 へ?? 」
「 まあ 一枚 食べてみて 」
「 ? ん 〜〜〜〜〜〜〜 !??!? なんだ こりゃ〜〜 」
ジェットは ポテチを一枚、齧って歓声をあげた。
「 ピザ味 じゃんか〜〜〜〜 」
「 そ♪ これ ぼく イチオシなんだけど〜〜 ど? 」
ぱりぱり・・・ 自分も齧りつつジョーがドヤ顔している。
「 !!! おい これ どこの密売品だ???
ジョー〜〜〜 てめ〜 どこから仕入れてきたんだよぉ〜〜 」
「 やあだ ふつ〜にスーパーで売ってるわよ 」
「 そ♪ ねえ なかなかだと思わない? 」
「 〜〜〜〜〜〜 」
ジェットは 返事をするのも惜しいらしく 口中をポテチで
満杯にしている。
「 ふふ〜〜ん ねえ アルベルト どう? 」
「 ふん ・・・ なかなかの味だな 俺はこのワサビ味だ。
これは酒のつまみにいい 」
「 えへへ〜〜〜 他にもいっぱい買ってきたよぉ〜〜
ポピュラーに バーベキュー味 とか 梅干し味 とか。
海苔塩ももちろん さ 」
「 〜〜〜〜 んめ 〜〜〜〜 」
「 これは なんだ?? 甲殻類の味がするが 」
アルベルトが 短い棒状のスナックを摘み怪訝な顔をしている。
「 あ・・・ それさ〜〜 かっ〇えびせん だよ〜〜 」
「 えびせん? 海老が入っている煎餅か? 」
「 あ〜〜〜 海老・・ は入ってるかわかんないけど。
海老味だよね〜〜 ぼくも大好きさ 」
「 ふん ・・・ これもビールの摘みになるな 」
「 ・・・ふふふ とまらなくなるよ〜〜〜 」
「 どれだ〜〜〜 オレにも食わせろ〜〜〜 」
ジェットはポテチの袋を持ったまま こちらに寄ってきた。
「 これだよ 枕くらいの袋もあるんだ 」
「 ( ぱりぱりぱりぱり ) うっめ〜〜〜〜〜〜
なあ これも持って帰るぜ〜〜〜
ジョー 明日 スーパー、付き合え。 買い占めてやる 」
「 後からまた送るよ そんなに珍しいモノじゃないし。
チビッ子も みんな 知ってるよ 」
「 おめ〜ら こ〜〜〜んなうめ〜〜 ポテチ や スナック
喰ってんのかあ ・・・ いいなあ〜 」
「 あは・・・ たくさん買って帰りなよ。
地元の商店さんも喜ぶさ 」
「 ふ〜ん ・・・ あ 零しちまった ・・・ 」
ジェットは足元に散らっばったポップコーンやポテチの破片を
ささっと拾い集めた。
「 ごみ箱 ここだよ 」
「 あ い〜んだ 」
カラリ。 カササササ −−−
ベランダへのサッシを開け 庭に近いところに撒いた。
「 ?? なに? 」
「 あ〜 ここ 鳥 くるだろ 」
「 とり? ・・・ スズメとかカラスとか 来るかな 」
「 アイツらにも分けてやんね〜とな〜〜 」
「 へえ ジェットって動物愛護? 」
「 あん? いや その ― オレのダチだから。 鳥は よ 」
「 ダチ ? ああ トモダチってこと? 」
「 ― ん 〜〜〜 」
赤毛は 何気にソッポを向いてしまった。
「 あ ・・・ そっか〜〜 」
あの時 ― だから メイン・パイロットは 迎撃地点の変更に応じたのだ。
仲間たちも それを承知の上で 反対しなかった・・・
えへ ・・・ えへへ
みんな いい〜〜〜ヤツじゃん♪
ジョーは身体の奥から ほわほわ〜〜〜っと温かい気持ちが
湧き上がってきた。
みんな〜〜〜 好きだあ〜〜〜
楽しんで帰って欲しいなあ
え〜〜と・・・ ジョーはカレンダーを調べる。
「 うん 週末だね 皆でさ 縁日 行こうぜ !
」
「 えんにち ・・・? なあに それ 」
「 うん。 おいし〜〜もん あるよ !
縁日じゃなくちゃ 食べられないんだ
皆で 繰り出そうぜ〜〜 ぜ〜〜〜ったい気に入るって! 」
ジョーは 自信満々で仲間たちを見回した。
Last updated : 02.28.2023. back / index / next
************ 途中ですが
え〜〜 なんてことないハナシの続きです。
で まだ終わりません。
ピザ味のポテチ とか 練り羊羹好きのガイジンさんって
多いんですってさ (^^)/