****** MUSEE 一周年記念 ******
「 ただいま・・・! 」
「 お帰りなさい、ジョ−。 お仕事、ご苦労様・・・・」
ジョ−がギルモア邸の玄関に飛び込んだのは 日付も変わるぎりぎりの頃。
いくら温暖なこの地域とはいえ、一月末の真夜中のこと、玄関は冷え冷えとしている。
「 ・・・ 遅くなって・・・ごめん! 」
「 まあ、ジョ−こそ。 こんな時間まで大変ね。 寒かったでしょう・・・ 」
「 ・・・・いや。 あ・・・・ 」
コ−トを手渡そうと触れた彼女の手は・・・
「 フランソワ−ズ! どうした、こんなに冷たい手・・・! 」
「 ・・・あ ・・・ 」
ジョ−の剣幕にフランソワ−ズはぱっと手をひっこめてしまった。
「 どうかしたのかい?! 具合が悪いとか・・・? 」
「 ううん、ううん! ちがうわ。 そんなに怖い顔、しないで、ジョ−。 」
「 でも! 」
フランソワ−ズはショ−ルで顔を半分隠し・・ちょっとモジモジしていた。
「 あの・・・ ジョーが帰ってきたらすぐに熱々のお食事にしようと思って。
一番初めにお帰りなさい!っていいたくて。 ここで ・・・ 待っていたの 」
「 ・・・え。 きみ もしかしてこんな寒い所で待っていたのかい! 」
「 だって ジョーの方が。外は随分冷え込んできたでしょう? 」
「 きみってヒトは! 」
「 そんな怖い声、ださないで・・・ ごめんなさい・・・ 」
「 ・・・ ごめん! ぼくが悪いのに。 」
ジョ−は慌てて、フランソワ−ズの頬にそっと手を当て・・・ キスを盗んだ。
「 ・・・ きゃ ・・・ 」
「 ・・・ はい、これ。 あ〜ちょっとよれちゃったかなあ。急いでいて ごめん! 」
「 まあ、可愛い花束!わたし、チューリップって大好きよ。どうしたの、仕事で頂いたの? 」
「 フランソワ−ズ!今日はきみの誕生日じゃないか!」
「 あ。 ・・・・ すっかり忘れていてよ。 え、じゃあ これー ? 」
「 うん。きみに♪ ・・・ 誕生日おめでとう、 フランソワ−ズ ・・・ 」
「 ジョ− ・・・ ありがとう ・・・ 」
フランソワ−ズは背伸びして ジョ−に熱いキスを返してくれた。
本当にプレゼントを貰ったのは どっち??
空・海様の MUSEE の一周年記念に 素敵イラストをおねだりしました♪♪
ちょこっと 駄文つき〜〜(#^.^#)
「 ジョー! 本当に気を付けてね! 相手は正体不明の怪物なのよ。 」
「 ははは 苦労性だなあ。 案外な〜んだってことになるかもしれないし。 」
「 そうなればいいけど。 私、不安なの、 嫌な予感がするのよ。
ねえ、故郷帰っているアルベルト達にも連絡した方が ・・・ 」
「 大丈夫だよ!僕を信頼して。 さあ、子供はさっさとお寝んねしなさい。 」
「 ジョー! 心配しているのよ、私。 そんな・・・ふざけないで。 」
「 ごめん、ごめん。 だってね、君の怒った顔ってとてもチャーミングでさ。
ついついからかってみたくなっちゃうんだ。 」
「 ジョーったら ・・・ ひどいわ、からかうなんて。 」
「 あ、あ〜泣かないでくれよ〜 なあ、笑ってごらん?やっぱり君の笑顔が最高だよ♪ 」
「 いやな ・・・ ジョー ・・・ 」
なんだかんだ言い合っても やっぱり二人はらぶらぶ♪
そう、旧ゼロってもうしっかり <結婚を前提とした>お付合いなカップル ですよね。
「 ・・・ ありがとう、 ジョ−。 」
「 あ〜 プレゼント、気に入ってくれた? うれしいなあ・・・ 」
「 ううん ・・・ あ、勿論 あのクマの縫い包み、すごく可愛くて・・・大好きよ♪
でも もうひとつ。 ありがとう♪ 」
「 ・・・ え、なにが。 」
セピアの瞳が不思議そうにわたしを見上げている。
綺麗な瞳。 このヒトはいつも まっすぐにわたしを見る。
出会ったころ、わたしが彼の視線に気づき振り返ると
すぐに目を逸らせてしまったけれど・・・
今はかっきり、まっすぐに 見る。
わたし。 この強さに救われたわ・・・
単純だとか コドモだとか。 いいの、言いたいヤツには言わせておきましょう。
ジョ−。
わたしはあなたの大地の色の瞳に支えられ 生きてゆくわ。
生まれた日に、 わたしはわたしの幸運を確かめた。
ジョ−。 アイシテルわ・・・♪
『 明日へ ・・・ ! 』
「 え・・・ 本当にいいの? 」
ジョ−はセピア色の目をまん丸にしている。
「 本当にって、 だってジョ−が誘ってくれたのでしょう? 」
「 う、うん ・・・ それは・・・ そうなんだけど。 」
「 だから〜 オッケ−よ? 誘ってくれてありがとう、嬉しいわ。 」
「 ・・・ 本当? 」
「 やだ、またよ? 」
フランソワ−ズはとうとうくすくす笑いはじめてしまった。
「 ・・・ あ。 ごめん・・・ でも嬉しいな、フランソワ−ズが来てくれたら・・・ ぼくも凄く嬉しいよ! 」
「 ちょっと他の用事があるから少しだけ時間に遅れちゃうかもしれないわ。 ごめんなさい。 」
「 い、いいよ、いいよ! ぼく、待ってるから! 」
「 そう? ありがとう。 それじゃ ・・・ ジョ−のご推薦のケ−キ、楽しみにしているわね。 」
「 うん! 絶対に絶対に気に入ると思うよ! 」
ジョ−の意気込みがおかしくて最後までフランソワ−ズは笑っていた。
しかし。
待ち合わせのカフェに、亜麻色の髪の乙女はとうとう現れなかった。
そして。
一時間も前に窓際のゲ−ブルをゲットしておくはずのセピアの髪の青年の姿をみた人もいなかった。
・・・・ その日の朝。 海辺のログハウスは焼け落ち、住人達は何処ともなく去っていった。
「 ねえ、ジョ−。 今日はお天気もいいし・・・ 少し外に出てみない? 」
「 え、いいのかな。 ・・・ あ、でもきみにぼくは重すぎるかもしれないから・・・
ぼくが自分で操作してみるよ。 」
ジョ−は車椅子の車輪を不器用に繰ってみせた。
「 あら・・・ 大丈夫かしら。 」
「 平気だよ! これでも随分腕力は回復してきているんだ。 」
「 そう? じゃ・・・ 辛くなったらすぐに言ってね。 」
「 了解。 」
星になるはずだった。 いや、半分以上なっていた。
今 こうして太陽の光を浴び青空を見上げている自分が ジョ−には不思議だった。
・・・ 還ってきたんだ ・・・
まだ完全に癒えない身体を車椅子に預け、ジョ−は深く息を吸い込んだ。
「 どうしたの? やっぱり辛い? 」
碧い瞳が心配そうに覗き込む。
「 あ、ううん。 ねえ、ぼく。 行きたトコがあるんだ。 」
「 まあ、 どこ? 」
「 ・・・・ うん ・・・ あのカフェ。 」
「 あのカフェ? 」
「 うん・・・ きみと ほら、あの日・・・待ち合わせていた カフェ。 」
「 ・・・ ああ ・・・! そう、そうだったわね。 」
「 ね。 お茶、しようよ。 」
ジョ−はフランソワ−ズに手を差し伸べた。
「 ええ ・・・ ! 」
フランソワ−ズはジョ−の手をきゅ・・・っと握った。
「 ・・・ これからは、ううん。 これからも ずっと一緒だ。 」
「 ジョ− ・・・ 」
二人は手をつなぎ、ゆっくりと共に歩み始めた。
Last updated : 02,28,2008.

『 一緒にお茶を − 入門編 − 』
珍しくぽっかりと暇な時間ができたんだ。
そりゃね、やるべき事は山積みなんだけど。
このログハウスの管理とか 祖国へ戻っていった仲間逹とのネットワーク作りとかね。
「 少しゆっくりしておいで。 そうじゃ、ジョー。
フランソワーズをどこか・・・そうじゃなあ、日本の名所にでも案内しておやり。
二人で休暇を楽しんできたらいい。 」
博士がにこにこ顔で提案してくれた。
きみは あれもこれもやらなくちゃ!って ・・・ とんでもないです、と首を横に振っていたけど
結局 博士に押しきられたね。
「 本当によかったのかしら。 お留守番や、イワンのお守りまで押し付けてしまって 」
ぼくが運転する車の助手席で、きみはまだ気にしていた。
「 大丈夫だよ。 きみこそたまには家の事とか忘れてのんびりしなよ。
あ・・・ ぼくなんかが相手で ごめんね、つまんないよね。 」
「 そんな! わたし ・・・嬉しいわ。 ジョーと二人でドライブなんて 」
きみはちょっと頬を染めて ぼくの方をちらっと見てた。
・・・え ・・・! 嬉しいのはぼくの方さ!
このログハウスで 博士やイワンと穏やかな暮らしができるようになって いろんな事があるけど、
やっぱり一番気になるのは ・・・ フランソワーズ、 きみだもの。
美人で頭脳明晰でしっかりしてて。 戦闘の時なんか びっくりするくらい冷静でさ。
おたおた もたもたしてるぼくの事なんか・・・眼中にないんだろうな〜 って半分は諦めていたんだ。
それが。
こんな素敵なチャンスをくれた博士に大感謝さ♪
― それでぼくは 滅茶苦茶に張り切って きみを隣に乗っけたまま、ご機嫌で車を走らせた。
それで それで。 ・・・ それで、さ。
ココまで来ちゃったんだ。
坂道が多い、有名な港街 ・・・ なんだけど。
小綺麗なホテルが取れたのは本当にラッキ−だった。

「 あら。 ここから海が見えるのね。 綺麗だわ・・・ あの赤い屋根はなにかしら。 」
「 どれ? ・・・ え〜と ・・・ ? 」
窓を開けて嬉しそうなきみ、 ぼくは一生懸命ガイド・ブックを捲ったさ。
「 う〜ん・・・コレかなあ。 」
「 え・・・そうみたいね。 〇〇の家、ですって。 」
「 へえ・・・ この辺りは異国情緒があって面白いだろ。 」
「 ・・・え ? ええ、そうね。 」
あ。
きみがちょびっと微妙な笑顔だったので ぼくはやっと気がついたんだ・・・!
きみは <異国から来たヒト> だってことに!!!
<洋館> なんてちっとも目新しくないよね。 <洋風>ってそれが当たり前なんだもの。
「 ・・・ あの。 ごめん ・・・ フランソワ−ズ・・・ そのう・・・
こんなトコ、興味ないよね・・・ ごめん・・・ 」
「 あら、どうして? 不思議なおとぎの国にいるみたいで楽しいわ。
日本ともフランスやイタリアとも違うの。 夢の国、かしら・・・ 」
「 ・・・ そ、そうかな。 」
「 そうよ。 不思議な町でジョ−と一緒にお茶を飲んで・・・ すごく素敵。 」
にっこり微笑んでくれたきみの顔 ・・・ もうぼくは一生忘れないよ・・・・!
「 ありがとう! フランソワ−ズ 」
「 え、え? わたしが ありがとう、って言うほうよ? 」
・・・ ネエ。 キミヲ スキニナッテモ イイデスカ ・・・
ぼくはティ−カップの湯気の向こうから そっと呟いていた。
Last updated : 03,07,2008.
***** < 入門編 > ですので・・・続きをどうぞ ↓ ♪♪
『 一緒にお茶を♪ ― 発展編 ― 』
「 ねえねえ。 お茶にしようよ・・・・ 」
「 あ〜あ・・・ そろそろお茶の時間だよね〜〜 」
「 ぼく、お茶が飲みたいな〜〜 」
ジョ−、あなたって最近口癖 みたいにそういうのよ。
そりゃね。
わたしだって 午後のひとときいい香りの紅茶やまったり濃いカフェ・オレを味わって
美味しいプチ・ガト−なんか摘まむの、大好きよ。
それにね、甘くない日本のお茶も美味しいな〜って思うようになったの。
最初は苦くてびっくりしたけど・・・
慣れると素敵な緑の香りがしたり パリパリ・バゲットみたいな香りもあったり。
ゆっくり味わって楽しむわ。
日本のお菓子も 芸術品みたい♪ 食べちゃうのが勿体無いわよね。
でも、でも・・・・ね。
ジョ−、あなたって。
「 ・・・ 美味しいお茶だね〜 ・・・ もっと、いい? 」
「 ああ ・・・ もう一口・・・ ねえねえ・・・いいだろ? 」
「 だめ。 まだ ・・・ ティ−タイムは終らないよ・・・! 」
時間も場所も 全然頓着しないんですもの。
え・・・ なにが・・・って。
だから。 その。 つまり。
この前なんかキッチンで・・・ そしたら急に博士が二階から降りていらして。
もうもう 焦っちゃったわ。

「 し〜〜〜♪ ほら。 この下に入って ・・・ 」
「 ジョ− ・・・・ ! 」
あなたってばわたしに散らばってた衣類を頭から被せてテ−ブルの下に押し込んで。
それで知らん顔して冷めたコ−ヒ−を飲んでたわ。
「 おお・・ジョ−。 ワシにも一杯淹れておくれ。 ・・・ フランソワ−ズはどこかな。 」
「 はい。 書斎にお持ちしますよ。 え? ああ・・・ 買い物じゃないですか 」
ですって・・・・!
あなただってシャツを羽織っただけだったのよ!
つんつんつん ・・・・
憎たらしいから あなたの足を齧り・・・たかったけどやめたわ。
・・・ 歯が欠けてしまうじゃない。
本当に・・・!
初めて一緒に旅行した時のあなたとは まったく別人みたいだわ。
・・・・ え ・・・?
そ、そりゃ ・・・ 。 今の あなた も ・・・ きらいじゃない、わ・・・ わたし。
「 ねえねえ。 お茶、飲もうよ〜〜 」
ほらほらほら・・・。 また始まった!
Last updated : 03,10,2008.