『 横顔 ( プロフィール ) ― (2) ― 』
§ 島村ジョー君の見解 ( 承前 )
ふん ふ〜〜〜ん ♪♪
この頃 自分自身でも気がついているのだが ジョーは
無意識にハナウタを歌っていることが多い。
「 ・・・ えへ ・・・
だってさあ〜 なんかいいカンジなんだもん、毎日 さ。
こんなに 楽しくて いいのかなあ ・・・ 」
彼は 一人でいてもなんとな〜く笑顔になってしまう今日この頃 なのだ。
海に近いこの邸での生活は とても快適である。
広い私室には 超〜〜満足だし、なによりゴハンがオイシイ。
当主の老博士は ふつ〜の日々ではとても穏やかで優しいオジイチャンだし
― まあ 時には怒られるけど それだってジョーは嬉しい。
「 ・・・ う〜ん なんかさ〜〜 中学の時の校長せんせ〜みたいだな
島村クン、勉強を続けようって 励ましてくれたし 」
なにせ サイボーグになった といっても知識はゼロに近く。
加えて 理系的思考訓練をしていないので自己学習も難しい。
そんな彼に 博士は懇切丁寧に 009の機能 について説明をしてくれる。
「 ふ〜〜〜ん ・・・ そうなんだ??
そんな風になってるんだ? ・・・ すげ〜や ・・・
さいぼーぐ かあ ・・・ 」
半ば他人事みたいだけれど 彼はひたすら感心しまくっていた。
― そんな彼を 彼女はちら・・・っと見るだけ なのだ。
そして 彼女は といえば。
相変らずすっきり美しい横顔で いつも真剣な眼差しは真正面を見つめる。
「 フランソワーズって。 きっとすご〜〜く真面目なヒトなんだ・・・
アタマ、いいんだ ・・・ すげ〜よな〜 美人で秀才で さ。」
ジョーは 感心しつつもちょっと腰が退けてしまう。
ぼく なんか。
・・・ 対象外 なんだろうなあ ・・・
で でも さ?
ちょっとでも笑ったら
にこ・・・ってしたら。
もっともっともっと すご〜〜く
カワイイのになあ 〜〜
「 ジョー? ランチが必要な日、教えてね。
あ ・・・ またサンドイッチで いいかしら 」
今日も 彼女はとてもとても真剣な表情で訊ねてくれるのだ。
「 あ うん わかった。 お願いシマス。
ふらんそわあずのさんどいっち と〜〜ってもオイシイです 」
「 そう? よかったわ。
あの もしかしたら 日本風のランチがよかった?
・・・ あのぉ ゴハンとか おにぎりとか ・・・ 」
さらに 真面目な顔で尋ねる。
「 え そ そんなコトないって。
ぼくさ ふらんそわあず のサンドイッチが好きです。 」
「 ありがとう! ジョーってなんでもおいしい オイシイ って
食べてくれて・・・ とても嬉しいわ。 」
「 えへ ・・・ だってさ〜 本当にオイシイんだもん。
あ 今晩の ハンバーグ もめっちゃウマ! すごいね〜〜〜 」
「 そ そう?? あのね おとうふ 混ぜてみたの。
どう・・・? 身体にもいいかなあ って思って 」
「 え? そうなの? デカイし 味沁みてるし
すっご〜〜 オイシイ です! 」
「 本当?? 嬉しいわ ありがとう 」
「 い いや ぼくのほうこそ ありがとうデス。
あのう〜〜 お願いがありマス 」
「 はい? 」
「 明日のランチに 今晩のハンバーグ・・・ 入れてください。 」
「 え 今晩のでいいの? 」
「 うん。 アレがいいんだ。 ・・・あ もうない? 」
「 ううん 冷凍しとこうと思っていっぱい作ったから 大丈夫 」
「 そしたら お願いシマス 」
「 はい。 了解です。 あのう 今みたいにリクエストしてくれると
とっても楽なんですけど 」
「 リクエスト していい? うわ〜〜〜 ありがとう!
あのね あのね ぼく。 ほっんとうにウチのご飯が好きなんだ 」
「 ・・・ ジョー! ありがとう 」
にこっ ! 彼女は一瞬 笑顔をみせた。
「 !!!! ( うわ〜〜〜〜〜〜〜 ) 」
「 あ。 えっと じゃ 戸締り、お願いしますね。
おやすみなさい 」
彼女は いつもの生真面目な表情になりエプロンを外ずし
キッチンを出て行った。
うわ〜〜〜〜 うわうわうわ ・・・
かっわいい〜〜〜〜〜☆
本当に、蕾がぱあ〜〜〜っと開くみたいな笑顔だったのだ。
「 よおし。 あの笑顔、たっくさんみせてくれるように
ぼく がんばる〜〜〜〜〜 」
なにを頑張るのか? ― それはちょっとよく分らないけど。
とにかく ジョーは勇気りんりん? 元気満タンとなっていた。
「 ・・・ う わあ〜〜〜ぉ 」
翌日の お弁当タイム。
食パンの間に 昨夜のハンバーグが丸ごと一個 どん! と挟まっていた。
ジョーの好みをちゃんと察してくれたのだろう、ソースとマヨネーズも
小さなジップ・ロックに入って添えてある。
「 すっげ ・・・ おし! 今日も元気に完食だあい ! 」
ジョーは シアワセのため息を吐いてから
この特大サンドイッチに猛然をかぶり付くのだった。
んんん〜〜〜 んま!
ふふ〜〜ん♪
これが ウチの味 なのさ
チラっとでも見られた彼女の笑顔を思い出して
なんだか お腹の底から じ〜〜〜んわりと温かい気持ちになれる。
「 んむ んむ んむ ・・・ あ〜〜 ウマ〜〜
ああ またあの笑顔、見たいな。
またこのはんばーぐ 食べたいな。
・・・ やっぱ ウチって最高だよ〜〜 」
ジョーは シアワセ感満載で一人、にこにこしていた。
「 ふんふんふ〜〜ん♪ ふらんそわあず〜〜〜
洗濯モノ 取り込んできたよぉ〜〜
」
ガタン。 わっせ〜〜〜
彼は勝手口を大きく開けた。 ここは裏庭に通じていて
洗濯モノ干し場や 温室に行く時、便利なのだ。
「 ぱりっと乾いたね〜〜〜 あはは お日様の匂い するね〜〜 」
くんくん・・・ ちょこっとハナをならして
彼は両手いっぱいの洗濯モノに ちょいと顔を埋めてみた。
「 え〜〜っと・・・ まずは リビングのソファでいいか
わっせ わっせ〜〜〜 」
重量はかる〜〜いけどかなり嵩張る荷物 を抱えリビングのドアをあけた。
♪〜〜〜♪♪♪ 音楽が流れていた。
「 あ TV付けっ放しだったっけ?
!!! ・・・ う わぁ 〜〜〜 」
リビングの真ん中で 彼女が踊っていた。
すんなり伸びた脚を アタマより高く上げ 優雅に回転し 踊っていた。
おわ ・・・ すっご ・・・
「 !? あ ああ ・・・ ジョー ・・・ あ あの 」
彼女は ぱっと動きを止めた。
うっすら額に汗が輝き ― 上気した頬がとても美しい。
・・・ うわあ ・・・
な なんて キレイ なんだ〜〜〜
・・・ 天使だ! 天使だあ〜〜〜
ぽかん、と口を開けたまま 彼はその天使から視線がうごかない。
「 ・・・ あの。 ごめんなさい 勝手にココ、使って
「 ・・・ あ ご ごめん!!! ジャマしちゃって
ぼく 消えるから。 ご ごめん〜〜 」
ジョーはもう焦りまくり 洗濯モノを抱えたままリビングを突っ切り
ドアに突進した。
「 ジョー ・・・ あの。 洗濯モノ 置いて・・・ 」
「 え??? ・・・ あ ああ そ だね 」
「 ええ。 そこの ・・・ソファに置いて 」
「 ああ う うん 」
なにか拍子抜けした瞬間、 周りがちゃんと見えてきた。
バサ ・・・ とにかく洗濯モノを置いた。
「 あ あの。 全部ぱりっと乾いているよ 」
「 そ そう? よかったわ ありがとう 」
「 い いや お日様だから。 お日様が ・・・ 」
「 え? あ ああ そうね お日様が乾かしてくれたのね 」
「 う うん ・・・ 」
まるで上の空なやりとり、 その上 挙動不審。
ジョーはもう どぎまぎ まじまじ しっぱなしだ。
うわ 〜〜〜〜〜 ・・・
な な なんなんだあ〜〜〜
み 水着じゃん このカッコ !
う ウチで水着で 脚 上げて
でもでもでも なんてキレイなんだ〜
目のやり場に困る、とはこのコトだったんだ とジョーは
ひじょ〜〜に納得していた。
「 あの。 ごめんなさいね。 リビング、使ったりして 」
俯きっぱなしの彼に 落ち着いた声が聞こえてきた。
「 え ・・・ 」
「 あの ね。 自習・・ レッスンしてたの、わたし。 」
「 れ れっすん?? 」
「 そうなの。 あの ね 前にも言ったかもしれないけど。
わたし クラシックのダンサーを目指していたのよ
・・・ そのう 〜〜 この身体にされる前に 」
「 ・・・ くらしっくのだんさー ?? 」
「 ええ。 それで 今 また踊るチャンスが欲しくて 」
「 踊る? あ だんさー って ダンス踊るヒト のことか 」
「 それで 練習してたの。 邪魔だわね 止めるわ 」
彼女は ソファや机を元の位置に戻そうとし始めた。
「 あ ・・・ い いいよ いいよ 続けて?
ぼくこそ 邪魔してごめん〜〜〜〜 じゃ ね 」
バタンっ 大慌てで リビングから出ていった。
「 はへ 〜〜〜〜 ・・・・ ふうう〜〜〜 」
自分の部屋に飛び込んで 大息を吐き ―
ガラスに移った自分の顔は まっかっか だった。
「 どひゃあ ・・・ きれ〜〜〜 だったなあ ・・・
ひら ひら ひら〜〜〜 って 宙に浮いてたよ ・・・
羽根 あるんだ! ずえったいにそうだよ〜〜 羽根!!!
ふらんそわあず って あんなに細いんだ??
ひえ〜〜〜 胴なんてさ〜 ぽきん、って折れそう〜〜
― でも くらしっくのだんさー ってなんだろ 」
早速 スマホを取りだすと、ちゃっちゃ・・・と検索を始めた。
・・・ ひええ 〜〜〜〜〜〜〜 !!
その結果が これ。 彼の心からの感歎の声 だった。
すごすぎ〜〜〜
これ ニンゲン か???
なんで?? 脚だけ さいぼーぐ なのか?
うっそ〜〜〜〜
トン トントン。
「 ジョー。 晩ご飯の買い物 行ってきます 」
気がつけばドアの外から ノックと共にそんな声が聞こえていた。
「 ! あ ・・・ あ 〜〜〜
あ 買い物?? ぼく 行きますっ !!! 」
バタン ! ジョーはドアを開け飛び出した。
「 わ ・・・! びっくりした 」
咄嗟に 数歩下がって 彼女は目を丸くしている。
「 あ ご ごめん!! ・・・ ぶつかった?? 」
「 ううん 大丈夫。 あの 買い物、行ってくるから・・・
なにか欲しいモノ ある? 」
「 え あ あ あの。 ぼくが行く。 ぼくが行きますから
ふらんそわあず は れ れんしゅう しててください 」
「 え? 練習って なに? 」
「 ― え 〜〜 ほら さっきやってた あれの。 続き とか 」
「 あ ああ さっきは驚かせてごめんなさいね。
次からは 地下室でやることにするわね 」
「 え なんで??? 」
「 だって ・・・ ジャマでしょう? 」
「 そ そんなコト ないっ!
あの もしかして あのう れっすん は
もしかして もしかして きみがイチバンやりたいこと ・・・? 」
「 はい。 」
即答だった。 彼女はあの大きな瞳をかっきり開き―
彼をまっすぐに見つめ 答えてくれたのだ。
「 ― だったら。 やろうよ。 やればいいんだ。
ここ 広いだもの。 使ったらいいさ リビング 」
「 え でも ・・・ ほら 絨毯とか敷いてあるから・・・
あのね 地下室で空いてるトコがあるの。 そこ 使います 」
「 それで いいの? 」
「 いいです 十分です。 ・・・ あの ジョー ありがと! 」
「 え 」
「 気を使ってくれて ありがとう。 わたし 頑張るわ 」
「 ・・ あ え そ そのう〜〜〜
あ 買い物! ぼく 行ってくる! ショッピング・リスト、
書いてくれる? 」
「 いいけど ・・・ バイトで疲れてるんじゃないの? 」
「 ぜ〜〜んぜん☆ あのね きみのさんどいっち弁当 で
ぼく 毎日元気げんき〜〜 」
「 まあ そうなの? ウレシイわあ〜〜 」
「 ・・・ あの あの。 もし ・・・ よければ。
一緒に買い物、行ってくれる?
そのう ・・・ 野菜とか、オイシイの、教しえて 」
「 え ・・・ わたし 二ホンのお野菜ってよくわからないけど 」
「 いい いい。 あ ・・・ いや かな? 」
「 いいえ。 一緒に行ってくだされば 嬉しいデス 」
「 あ ははは ( わっははは〜〜〜〜〜ん )
あ あの! 荷物持ちは任せて! 重たいモノ、いっぱい買おうよ
え〜〜 じゃがいも とか たまねぎ とか。
みかんも! ね みかん オイシイよう 」
「 ええ ええ そうね。 日本のフルーツは本当に美味しいわ、
わたしもね みかん 大好きよ♪ 」
「 わはは〜〜ん それじゃ おいしいミカン 選びにゆこうよ
あ・・・ 一緒に さ! 」
「 はい。 あ ジョー 上着 着たほうがいいと思うわ 」
「 はあい ちょっと待っててくれる? 」
「 はい。 」
わっははは〜〜〜〜〜〜 ♪ さっいこ〜〜〜〜
やっぱさ〜〜〜 彼女ってば さいこ〜〜〜
えへへへ ・・・
ぼく このウチに住むって決めて 大正解(^^♪
ジョーは 我ながら単純だなあ〜 とは思わないでもないけれど
彼女の荷物持ちとして 嬉々としてお供に参じるのだった。
― さて 数日後・・・
「 ふんふんふ〜〜ん♪ あ〜〜 今日のご飯はな〜にっかな♪ 」
すきっぷ すきっぷ すきっぷ〜〜〜 で玄関まで。
もう緊張をほぐすための 深呼吸 なんかいらない。
わくわくして どきどきして 嬉しくて。
彼は 頬を染めて声を張り上げる。
「 ・・・ ただいま〜〜 帰りましたァ 」
カタン。 ドアをあければ ― 彼女の笑顔 〜〜〜
を 大いに期待している。 もうどっきどきで。
そんな時、 声が裏返ってしまうことにすら 気付いていない。
「 ただいま ふらんそわあず〜〜 」
「 おかえりなさい。 おしごと、おつかれさまでした 」
玄関では ちゃんと彼女が待っていてくれて
ジョーが焦がれていて・大好きな言葉 < おかえりなさい > を
言ってくれた ― のだけど。
?? あ あれ ・・・?
彼女は 笑ってはいない。 以前の生真面目な表情ともちがう。
な〜となく微妙〜〜なカンジなのだ。
ジョーを見てくれたけど すぐに目を伏せてしまった。
え。 ぼく なんかした かなあ?
・・・ いやいやいや?
え。 目 腫れぼったくないかい?
なんかいつもの元気・オーラ ないよ?
― もしかして 落ち込んでる?
フランソワーズは 最近、とてもとても張り切っていた。
あるバレエ・カンパニーのオーデイション目指し
地下室で懸命に練習を重ねている。
「 ねえ 地下で寒くない? ストーブとかもってゆけば
あ 小型のヒーター、つけようか? 」
ジョーは気になって気になって いろいろ言ってしまう。
「 ありがと ジョー。 でも 踊っていればすぐに暑くなるから
大丈夫よ 」
「 そ ・・? あ〜〜 コンクリートの床に一枚敷いただけだろ?
そのう・・・足とか痛くない? 」
「 あのね 博士が特製のリノリウムを開発してくださって・・・
薄いけど足にはとても優しいの 」
「 ふう〜〜ん ・・・ すごいなあ 」
「 ね? 博士って万能よねえ 」
「 え あ ・・・ う うん
( すごい のは きみ のこと なんだけどなあ ) 」
< わたしが一番やりたいこと > と言っていた、
夢に向かって懸命に努力する彼女が とても 眩しい。
すごいよぉ〜〜 キラキラがみえるよ?
う〜〜ん カワイイ とか 美人 とかとは別に
なんかこう〜〜 全身がキラキラしてる・・・
・・・ いいなあ〜〜
こんなに夢中になれることが あるってさ
ジョーは ますます感心し感動し。
でも 自分とはますます距離が開いてしまう気がしてたのだが・・・
そんな彼女が今日は 萎れた花 みたいな雰囲気なのだ。
笑っていない、だけじゃなく ― なんか目の縁も赤い。
え。 ・・・ 泣いてた??
なんで??
ど ど どうしたの??? なにか あった??
! 誰だ? 彼女を落ち込ませたのは???
なんだか意味不明な?怒りまで湧いてきてしまった。
ぐ・・・っと拳を握りつつ ― 彼はそうっと訊ねた。
「 ・・・ あ あのぅ どうか した? 」
「 ・・・ 」
大きな碧い瞳が 彼に向けられた。
「 えっと あの ?? 」
「 ・・・ ジョー ・・・ わたし やっぱり才能、ないみたい 」
「 え ええ??? さいのう?
あ〜〜 ば ばれえ の? 」
「 ええ ・・・ オーディション 落ちたの。 」
「 あ〜〜 そ そうなんだ? 」
「 ・・・ やっぱりダメなのね ・・・ 時代遅れで 」
「 そ そんなこと! あ〜〜〜 う〜〜〜ん・・・
あ ま まあ ・・・ そ そういう時もある さ?
次のチャンス、狙ってみれば? 」
「 ・・・ え 」
「 一回きり じゃないんだろ? よくわかんないけど
ばれえ・かんぱにー って他にもあると思うし ・・・
あ よくわかんないのに ごめん ・・・ 」
「 ・・ ううん そ そうね そうだわね ・・・
これっきり じゃないわよね 」
「 ね!? だから ― あ オイシイもの 食べようよ!
こんな時にはさ 憂さ晴らしが必要〜〜 」
「 うさばらし ってなあに 」
「 ・・ あ〜〜〜 気分転換 ってことかなあ
ねえ ねえ ふらんそあずが好きなモノってなに?
あ スウィーツとか 好き? 」
「 え ええ ・・・ あの ・・・ ね
わたし ・・・ 二ホンのアイス、好きなの 」
「 え アイス?? ( あ たか〜〜いヤツかなあ ) 」
「 そ。 ほら あの・・・ ぱりぱりのショコラでコーティングしてあって
こう〜〜 皮がついてて長方形で ぱきぱき折れるの 」
「 ! わ〜〜かった! ぼくもアレ、好きだよ〜〜
うん 今からコンビニで買ってくる!
あとは?? 晩ご飯 きみの好きなものにしようよ! 」
「 え ・・・ あの わたし いつかジョーがチンしてくれたの
ぐらたん? チーズやエビが入ってて熱々でとろけるの・・・
あれ 好き。 また 作れる? 」
「 もっちろ〜〜〜ん! ってか アレもコンビニで買えるから。
ね 大急ぎで買ってくるからさあ きみはさ サラダ たのむ。
ほら ウチの温室のでさ 激ウマどれっしんぐ のヤツ 」
「 ・・・ あ レタスとバジルのかしら
はい 引き受けます 」
「 じゃ 今晩は 好きなもの・食べよう会 にしようよ 」
「 うふふ そうね ・・・ あ ワインもいいかしら 」
「 ワイン ・・・? ぼく ほとんど飲んだこと、ないんだ 」
「 え?? 本当?? 」
「 うん。 未成年はお酒ダメって・・・神父さまが・・
へへへ 隠れて缶ビールとかは飲んでたけどね 」
「 まあ ・・・ あ〜〜 ワインってねえ わたし達は結構
コドモの頃から飲んでるの。 ウチでならべつに・・・ 」
「 へ〜〜え・・・ おいしい? 」
「 美味しいわ! そっか いいわ、美味しいワイン 教えるわ。 」
「 わお♪ あ 博士にも聞いてみようよ?
ワイン・セラー、作ってるだろ ? 」
「 あ・・・ 多分ねえ すごく上等なワインばかりよ。
いいのよ、わたし達はもっと大衆的なのでね 」
「 ふうん ま とりあえず買い物、 行こうよ 」
「 ええ。 あ ちょっと待っててくれる?
顔 ・・・ 酷いでしょ? 」
「 え〜〜〜 ぜ〜んぜん! あ 気になるなら 帽子!
毛糸のもふもふしたの、かぶってけばいいじゃん 」
「 そうね あ ジョーは上着、持ってきて。
わたし 帽子、取ってくるわ 」
「 りょ〜〜〜うかい(^^♪ 」
トントントン コトコトコト ― 二人で坂道を降りてゆく。
午後の風が ちょこっと冷たいけど 気持ちいい。
「 あの ジョーがやりたいこと って なあに? 」
隣の彼女が いつもの声で聞いてきた。
「 え ・・・ 」
「 よかったら 教えて あ 今じゃなくていいから 」
「 あ ああ うん ・・・ う〜〜ん? なんだろ?
あは よ〜く考えとくね。 」
「 教えてね。 ・・・ わたし また頑張るから! 」
「 うん うん そうさ そうだよね〜〜 」
ちょこっとだけど < 協力者 > になれた気分 で嬉しい。
けど。 ぼくがやりたいこと って なんだろう??
・・・ う〜〜〜ん ・・・? あ。 あるじゃん!
彼女の笑顔! これだよ〜〜 これ! 笑顔をみたいんだ♪
ジョーは < 人生の目標 > が 定まった。
さあて。
あれこれ・いろいろ た〜〜くさん ありまして。
ジョーとフランソワーズは 結婚した。
§ 島村フランソワーズ夫人 の見解
ポッポウ ポッポウ −−−−
リビングの鳩時計が たくさん鳴いている。
「 あら ・・・・ もうこんな時間?
あ〜〜 そろそろ帰ってくるかしら 」
読み止しの本を置き う〜〜〜〜ん ・・・ と伸びをして。
イヤホンはずし スマホをoffにした。
ついでに 脚を耳の横まで持ち上げ コキ コキ コキ。
「 ・・・ ん〜〜 えっとオカズは 〜 レンジにいれたわね
じゃあ お味噌汁、温めておきましょ 」
フランソワーズは 手櫛でさささ・・・っと髪を整える。
ガスの具合を確かめつつ 窓にうつる顔をチラ見して。
「 弱火でことこと・・・と。 あら 顔色、冴えないわねえ
ま こんな時間だものねえ 化粧道具は上だし〜〜〜
え〜い じゃ コレで − 」
彼女は 思いっ切り自分の頬を摘み上げる。
「 ・・・ いった〜〜 あ でも いい感じに血色、よくなったわね 」
ぴんぽ〜〜〜ん ・・・
「 さあ お帰りだわ。 さささ・・・っとぉ 」
わざと小走りで玄関に急ぐ。
ガチャ。 手で重いドアを開ける。 ( 自動ロックは解除してある )
「 お帰りなさい ジョー 」
「 ・・・ ただいまア ふらんそわーずぅ〜〜〜 」
< 外 > の空気、< 仕事 > の匂い < 軽くない > 雰囲気
・・・ なんかを纏わりつかせたまま 彼の腕が伸びてきて ―
ぎゅうう。
「 フラン〜〜 」
「 ( あれ なんかあったのかしら ) ジョー じゅて〜む 」
「 んんん 〜〜〜〜 」
これは この家の、二人の < お約束 >。
夫婦になったその日から ず〜〜〜〜〜っと続いている・お帰りのキス なのだ。
なにも言わない夫から 彼女はその日の彼の様子を読み取る。
もともと 口数が多くはなかったけど
― ほ〜んと 口の重いヒトねえ・・・
このオトコに パリジャン並の粋なトークを望むのは
もともと無理、というものなのだ。
それは よ〜〜〜くわかっている。
「 ・・・ ん〜〜 あ〜〜〜 腹へったぁ 」
「 うふふ♪ あ お風呂 さき? 」
「 あ〜〜 今日はごはんがいいな。 」
「 そう言うかな と思って。 お味噌汁 すぐに熱くなってよ 」
「 うわお〜〜〜 あ 着替えてくるね 」
「 あのね ジョーの好きなおとうふ と 長ネギ よ 」
「 わお〜〜ん♪ 」
本当に少年みたいに すきっぷ・すきっぷ で 彼は寝室に向かうのだ。
うふふふ ・・・ 相変わらずねえ
コドモみたい・・・
― ジョーって
こ〜〜んなヒトだった わけ??
なんかもっと影のあるヒトかな〜〜〜って
感じていたんだけど。
でも とてもとても < わかりやすい > わよね?
わたし、このヒトで助かったわ
ソレが 島村夫人 の夫君についてのただ今の・率直な感想である。
「 さあて と。 お気に入りの豆腐入り・ハンバーグ に
ウスター・ソースとケチャップを混ぜてチンしたソースでしょ。
デミグラス・ソースの方が絶対にオイシイと思うだんけどなあ・・・
ま お好みですからね〜〜〜 ゴハンとお味噌汁 完了。
え〜っと あ 浅漬け・サラダ !
オツケモノを混ぜると サラダもちゃんと食べてくれるから・・・ 」
遅い晩御飯だけれど 冷蔵庫とレンジのお蔭であっという間に
用意できる。
「 あ〜〜〜 ごはん 〜〜〜 」
ダダダ ・・・っと階段を降りてきて 食卓につく。
「 はい どうぞ召しあがれ 」
「 わお〜〜 いただきます 」
彼は 手を合わせちょっと目と閉じてから 満面の笑みを浮かべる。
あは なんて笑顔なの〜〜〜
そうよねえ この笑顔って。
初めて会ったその日から(^^♪
わたし 胸キュン だったのね〜〜
うふふふ このヒト で大正解〜〜
わたしの選択にマチガイはありませんでした
彼女は 自分の結婚生活について大いに満足している。
もちろん 最初っからこんなに < やったわ〜〜〜(^^♪ > では
なかった 当然だけど。
このヒトとは ―
ず〜〜〜っと 同じ屋根の下で暮らしていた。
すでにベッドを共にするようにもなっていた。
― だから
「 教会で式もしたし 届けもだしたし?
まあ あとはいつもと同じよね〜〜 それがいいんだけど
ま 今まで通り、やってゆけばいいのよね 」
彼女はどうも 嵩を括っていた感もなきにしもあらず、だった。
え??? そうなの? ― は 結婚後すぐにやってきた。
Last updated : 11.15.2022.
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************ 途中ですが
ヒトは ・・・ 変わるのです☆ それが 普通 だよね (^^)/
続きます〜〜〜〜〜〜 (>_<)