この一点 ― (1) ―  』 

 

 

 

      ぴんぽ〜〜〜ん   ・・・ ?

 

  ・・・ ぴんぽん?   とんとんとん   あの〜〜?

 

「 ・・・ どうしちゃったのかしら・・・

 確かに お家にはいらっしゃるのに。 」

フランソワーズは 引き戸になっている玄関の前でため息を吐いている。

「 インターフォン 確かに鳴っているし ・・・ 困ったわ。

 このアンテイークなドアを 叩いてみたんだけど ・・・

 お返事はないし ・・・ 

 まさか 他所の御宅の中を < 見る > なんてできないし 

 

    はあ〜〜  どうしよう ・・・

 

両手に下げている保冷材入りの包の中身も 気になる。

「 ちょうどいい温度で 召しあがってほしくてお持ちしたんだけど・・・ 

 これじゃ 温くなってしまうわねえ ・・・ 」

 

金髪美人が かなり昭和風な日本家屋の玄関で佇んでいる。

年期の入った建物だが かっきり掃除は行き届いており

玄関の引き戸の格子は ささらがたつほど拭き込まれている。

 

コズミ邸は この地域では代々続く旧家で 大きな古い家屋が

広い庭に囲まれている。

その昔、瀟洒な和風の離れがあった場所には 今では現代的な研究所が建っていて

大学教授の現在のご当主が 学生たちと研鑽を積んでいる と聞く。

国籍の異なるであろう人々の出入りも多く 近所の人々は慣れていた。

だから コズミ先生の関係で ガイコク人 がうろうろしても

気にしたり 通報だのなんだの・・・ということはない。

 

「 ・・・え  ああ〜 コズミ先生の御友人ですか〜〜

 はいはい それならどうぞ 」

「 コズミさんが保証人?  はい オッケーですよ  よろしく〜 」

「 おやおや こちらにお住まいになる?  

 ほ〜〜 コズミさんとは学生時代からの? そりゃ 頼もしい 

「 おお お若い方が増えるのは 楽しいですなあ  

 コズミ先生のトコの学生さんたちですか? 」

 

  ・・・こんな具合に 地元では コズミ先生 の名前をだせば

 即決で 信用してもらえた。

 

「 いやあ〜〜 コズミ君、 たいしたもんだなあ 」

ギルモア博士は旧友の人望に 改めて感心している。

「 いやいやいや〜〜  ウチはもうず〜〜〜っと

 爺様の代から住みついておりますのでな ・・・ み〜〜んな知り合い

 ということだけ ですよ 」

「 いや それにしても ・・・

 お蔭で ワシらもすんなり ・・・ 移住できたよ、ありがとう! 」

「 いやいや  ・・・ イワン君の手腕 だな 」

「 ははは  そうかもしれんな 

 

 ― な〜んてご老友たちは暢気な会話を交わしているとか・・・

 

とんでもない騒動もあるにはあったけれど  なんとか地元の方々に

多大なるご迷惑をお掛けすることだけは ・・・ 避けられた。

( かなりは 001 の獅子奮迅 による けれど★ )

 

「 ねえ あのお家、面白いわねえ 興味深いわ 」

フランス美女は たいそう気に入った様子だ。

「 あは  な〜んか ぼく 懐かしいんだよねえ  あの家 」

「 あ ジョーは日本人だから?  ああいうお家に住んでいたの? 」

「 いや  ・・・ ぼくは あ〜〜 もう少し現代風なトコで育ったんだ

 でもね なんかこう〜〜〜 前にここに居た って気がして 懐かしいのさ。

 あの廊下とかさ  座敷とかさ ・・・  いいなあ 」

「 そうなの?  ジョーのニホンジンのDNA かしらね〜〜〜 」

「 とにかく ほっとするしさ。  リラックスできるんだ 

唯一の地元民は なにかとコズミ邸に入りびたりたがる。

そして縁側でねそべったり 奥の和室で大の字になって昼寝を

させて頂いたり している。

 

   ―  陽気はどんどん爽やかになり お日様の光が眩しい。

 

ある朝のこと ・・

 

「 地元のみなさんと まあ 仲良くやってゆこうなあ  

 あ 昼前にちょっと コズミ君とこに出かけるよ 

博士は 帽子とステッキでのんびりと出掛けていった。

「 はあい いってらっしゃ〜〜い ・・・

 あ ジョー? 今日の予定は? 」

「 ぼく バイト。 いつもと同じだよ〜〜〜

 駅の向うのコンビニだから さ  なにかあったら 〜 」

ジョーは オシリのポケットからスマホを出して振ってみせた。

「 はあい。  ・・・ アレを使うのはダメね 

「 あは  周りが どっと退くよ。  イヤホンでもしてれば

 言い訳になるけどね  」

「 そうねえ  不便だけど仕方ない か ・・・ 」

「 きみは フランソワーズ?  レッスンできるとこ、探してるんだろ?

 手伝だうよ〜 ぼく よくわかんないけど ・・・  」

「 ありがと、ジョー。 そうねえ  いろいろ 資料も集めてるの

 でも  今日はね ちょっとコズミ博士のお家に

 お邪魔して ご挨拶してこようかな〜〜 って思って。 」

「 ごあいさつ?? 」

「 そうよ  ウチの かぞく がお世話になっております  って 」

「 うわあ ・・・ なんか昭和的 ・・・ 」

「 あら そう?  ふるくさいことかしら

 いつだって そういうことは大切だと思うわ わたし。」

「 ・・・ 女の子だねえ  あ ぼくも一緒に行こうか? 」

「 あら だってジョーはバイトがあるのでしょう?

 お仕事にはちゃんと遅刻しないで行ってください。  」

「 りょ〜かいです  ・・・ おかん 」

「 え  なに 」

「 なんでもなあい〜〜っと。  じゃ 戸締り 頼むね 

「 はい 了解。 」

 

 ひらひら・・・手を振りあって 二人はそれぞれの行動に移った。

 

 

「 さあて と。 さささっとやってしまいましょ〜〜 」

フランソワーズは きりりとエプロンのヒモを結び直した。

 

掃除をして ジョーが早朝に乾してくれた洗濯モノの様子をみて。

庭の花壇に水を撒いて ・・・

そんなことをしているうちに 時計は正午を過ぎてしまった。

 

「 あら ・・・ いっけない ・・・

 そろそろ博士がお帰りになる かも ・・・ 少し待ってようかな 

 あ ランチ 作っておきましょう 

フランソワーズは足取りも軽くキッチンに入り

簡単にサンドイッチを作った。

「 え〜〜と  あのお店のパン、美味しいのよね〜〜〜

 フランス・パン って書いてあるけど ・・・

 これは 少し柔らかいバゲットだわよねえ

 ハムとチーズと。 あと 卵サラダ。 レタス、たくさん挟むわ

 あ 博士は甘いモノがお好きだから マーマレード っと 」

たちまち 美味しそうなサンドイッチができあがり

朝からひやしてあるオレンジも切った。

 

   なのに  お昼タイム を過ぎてもギルモア博士は帰宅しない。

 

「 ・・ あらあ ・・・ まあ コズミ先生の御宅だから心配はないけど。

 きっと研究のこととかで 時間も忘れて盛り上がっているのかしら 」

 

      ぐう〜〜〜   あ お腹が呼んでるわぁ〜

 

彼女は お日様燦々の花壇を眺めつつ 

出来立てのサンドイッチを美味しく平らげた。

 

「 ん〜〜〜  おいし♪

 あ ・・・ お使いモノ。  いいわ これから届けにゆこう。

 ついでに サンドイッチはオヤツにしてください って 」

 

 

 ― そして 今 彼女は コズミ家の玄関の前に立ち尽くしているわけだ。

                                           

 

   ぴんぽん  ぴんぽん   とんとんとん ・・・・?

 

「 あのう〜〜〜  シツレイしまあす フランソワーズですけど 」

インターフォンは 相変わらず全く返事をしてくれないし 

< 控えめ > なつもりのノックも かなりの大きさになっていた。

 

    それなのに   ―  なんの反応もないのだ。

 

さすがのマドモアゼルも 限界突破・・・ というか一生懸命作った

デザートのことが気になりすぎる。

「 ん〜〜〜〜   シツレイ ! 

とうとう ちらっとだけ! < 眼 > を使ってしまった。

 

      ん 〜〜〜〜〜      あら???

 

すぐに両博士の ― というより 老友たちの姿をみつけることができた。

二人は ―  コズミ邸の 座敷 という名の和室にいた ・・

 

   そして  ぬあ〜〜んと  TV に齧りついていた ・・ !

 

「 え ・・・? 」

この家にはかなり広いリビングがあり 典型的な洋間になっていて

ソファやら肘掛椅子、テーブル そして 大きなモニターのTVもあり

サイボーグたちはお邪魔する度に この部屋に集まっていた。

 

    TVを見るならリビングの方がいいでしょうに・・・

    なんで 和室に?

    あそこのTVは 普通の家庭用サイズ よねえ・・・

 

一旦 視線を引いてみたが − やはり老友たちはTVのまん前に

でん、と陣取り 身を乗り出しているのだ ・・・ 画面に。

 

    ・・・ あのヒト達が? TVに集中って ・・・ 

    事件??  ちがうわね〜〜〜 歓声とか聞こえるもの

 

「 ・・・ ちょっとだけ < 聞いて > みようかしら 」

それにしても と 失礼ついでにほんのちょっとだけ 耳のスイッチも

入れてしまった。

 

  

      った  のこったあ〜〜〜 !!!

 

     ・・・  わ〜〜〜 わ〜〜〜〜 

 

     がっぷり組んで 両者 微動だにしていません!

 

かなり騒がしい音声が飛び込んできた。

「 なにかしら ・・・ TV中継? ・・・ スポーツ??

 え。  きゃ  はだか・・・?  

 ・・・ あ  ・・・ 穿いてるのね ・・・ アレはなに??

 でも なんかすごく大きなヒトが 張大人の発展体型 みたいだけど

 ・・・ でも すごい筋肉 ・・・ !  」

マドモアゼル は  ほんのちょっと のつもりが惹き寄せられたみたいに

目も耳も 和室の普通サイズのTVにくぎ付けになっていった。

 

 

  ―  十数分後

 

「 いやあ〜〜〜  お待たせして 失礼いたしましたな〜〜 」

コズミ博士は いつもの大らかな笑顔だ。

「 あ  いえ ・・・ わたしこそ   あの・・・・

 勝手に < 見て > しまって ・・・ ごめんなさい ! 

「 いやあ〜〜  さ さ  まず お茶を。

 冷たいお茶ですが新茶でしてね〜〜〜 お口に合うと思いますよ 

「 はあ ・・・ 」

 

    コトン。   目の前に露を結んだグラスが置かれた。

 

「 わあ ・・・ お茶、綺麗な色 ・・・ あら このコースター 

 小さなタタミ・・・?? 」

「 ああ それはなあ イグサで編んだものですよ・・・

 グラスは江戸切子 という古いガラスです。  」

「 すてき ・・・ !  」 

フランソワーズは グラスを持ち上げ、陽に透かせてみる。

「 ・・・ うわあ〜〜〜  不思議なステンドグラスだわ ・・・

 これは 古いものなのですか 」

「 現代のモノですけど この技術は古いですな 

 さ ・・・ 頂きものですが お嬢さんが作ってくださった

 冷たいものも頂きましょうなあ 

 

     カチャン   ガラスの皿に ぷるん、とババロアが揺れる。

 

「 あら!   わあ〜〜  なんかカフェで出てくるスウィーツみたい 

 やだ 自分で作ったのじゃないみたいです〜〜〜  きゃ♪ 」

「 ふぉ ふぉ ふぉ ・・・・ この季節に絶好のお八つですよ

 さあ さあ 皆で頂きましょうな 」

「 お〜〜〜 これは いいなあ フランソワーズのお得意じゃな 」

ギルモア博士も お気に入りのスウィーツなのだ。

「 では 頂きましょうかの ・・・

 ああ ここいらでは ババロア と呼びますが お国では ? 

「 うふ・・・ ブラマンジュ といいます。 」

「 ほうほう それは優雅ですな  ・・・ ん 爽やか ! 」

「 うむ うむ ・・・ ああ のど越しが優しいのう〜〜 」

 

   カチン カチン   コク コク・・・・

 

透明な器に盛ったスウィーツと 冷たいお茶は すこしじっとりと

してきた夕方にぴったりだった。

 

「 ふ〜〜・・・ 御馳走さまでしたなぁ 」

「 ああ ・・・ すっかり盛り上がってしまったのでなあ  

 

あははは ・・・ と 老友たちは顔を見合わせ屈託なく笑う。

「 ・・・ あ  あのう〜〜〜   なにを観てらしたのですか??

 TV中継は ・・・ スポーツ番組 ・・・? 」

フランソワーズは お皿を纏めつつ 遠慮がちに訊いた。

 

「 はいな。 お嬢さん。  大相撲中継 ですよ 

 

「 おお ずも う ・・・? 」

 

 

 

 ―  その日の夕方 というか もう夜の領域になる頃

 

「 ただいまぁ〜〜〜〜  」

「 あ ジョー!  お帰りなさい。

 ねえ ねえ ジョーは ヒイキのリキシ は だあれ? 」

「 ・・・ は ・・・?? 」

ジョーは 目がまさに 点☆

玄関に飛び出してきたフランソワーズに いきなり畳み掛けられのだ。

 

     な なにかあったのか???

     また BGの一派がちょっかい出してきた  とか?

 

     ・・・ いや ちがうな〜〜

     フランってば ―  超〜〜〜〜 楽しそうじゃん

 

     ・・・ なんか めっちゃ興奮してる ・・・?

 

「 あ  あのう〜〜〜 

「 ねえ だあれ??? あのトップの人? それとも 下〜〜の方のひとかしら

 そうよねえ〜  下からず〜〜っと勝ち上がるってすごいわよねえ〜〜 」

「 ・・・・ あのう〜〜 フラン  

 ぼく  お腹 ぺこぺこで  さ ・・・・ 」

「 ・・・・え??    あ〜  そうね ごめんね  

 ・・・ ごはんよ 」

「 うん!   あ 今晩のオカズ なに〜 」

「 うふふ  あのねえ  ちゃんこなべ(^^♪ 

「 な なべ????  あのう 〜〜〜  鍋は好きだし美味しいけど

 もう 鍋の季節じゃないと思うんだけど・・・・ 」

「 あら そんなこと ないわよ?

 リキシのヒトたちは 一年中 ちゃんこなべ を食べているって。

 だからね〜〜〜 作り方をコズミ先生と調べて ― 作りました! 」

「 あ ・・・ そうなんだ?  」

「 そうなの。 それでね〜〜〜  コズミ先生とギルモア博士と。

 皆で試食してみたの。 これが〜〜〜 美味しくて(^^

 コズミ先生のお家のお座敷で 扇風機 がんがん回して

 熱々の ちゃんこなべ 頂いたの!

 チキンやら お魚やら お豆腐でしょ あと 野菜がたっくさん♪

 そしてね オモチも入れてね〜〜〜〜〜  

 今 温めるから ジョー はやく手洗って うがい! 

「 あ   うん    はあい  」

 

      ・・・ なんだって突然 鍋料理??

 

      ちゃんこ なべ ?? なんだ??

      ・・・ あ〜〜〜  もしかして

      ちゃんこなべ って ―   スモウのヒトが食べるやつ?

 

      あ。 ヒイキのリキシ とか言ってたよなあ

      リキシ ・・・ って お相撲さん のことだよね?

 

      そりゃ ぼくだって スモウ ・・・・

      別に嫌いじゃないけど関心もあんましないなあ

      だいたい フランがなんでスモウ、知ってるんだ?

 

      ・・・ ま いっか ・・・・

      とりあえず 今晩のメシは美味いらしいからな〜〜〜

 

 ぶるるるん〜〜〜〜   ジョーは 冷たい水でしっかりと顔を洗った。

「 さ〜〜あて  ご〜〜はんだ ごはん〜〜〜だ♪ 」

ハナウタを歌いつつ 彼はかる〜〜い足取りでバス・ルームを出ていった。

 

 ( カルい というか 底なしに楽観的お気楽ニンゲン なのかも・・・ )

 

  その夜 ジョー君は美味しい・ちゃんこなべをしこたまお腹に収めたのだった。

 

 

「 あ〜〜〜 まんぷく〜〜〜 」

ジョーは 箸を置くとお腹を撫で撫でしている。

「 うふふ  よかった〜〜  この後ねえ リキシのヒトたちは

 昼寝するんですって 」

「 昼寝 ??? 」

「 そうよ〜〜  朝イチで激しい稽古をして ちゃんこなべ 食べて。

 昼寝して。  そうやって身体を作ってゆくのですって 

「 ・・・ へえ   ねえ フラン  突然 どうしたの? 」

「 え なにが 」

「 あのう さ  突然 なんで スモウ ? 」

「 あ〜〜〜   あのね。 コズミ先生と博士が夢中になっててね 

「 なにに 」

「 だから スモウに。 

 あのね  今日 コズミ先生のお家に伺ったでしょう? 」

「 ああ  ご挨拶のスウィーツ 持ってくって言ってたね 」

「 そうなの。  ブラマンジェを作ってね ・・・

 あ ジョーの分 取ってあるわよ  食べる? 」

「 ・・・ う〜〜〜 食べたいけど  今晩はもう無理 ・・・ 」

「 そう? じゃ 明日のオヤツにしてね 」

「 うん♪ あの白くてつる〜んとしたゼリーみたいなのだろ 」

「 そうよ ジョー、好きでしょ 

「 うん 楽しみ〜〜  ・・・って それで ?? 」

「 え? 」

「 だから コズミ先生んちに行って ? 」

「 あ ああ  そうそう。 そしたらね〜〜

 コズミ先生も ギルモア博士も TV中継に齧りついてたの 」

「 TV?    ・・・ ああ 大相撲中継? 」

「 そう ! 」

「 あ〜〜 もうその季節なんだあ 」

「 え スモウって季節モノなの? 」

「 あ 〜〜 えっとねえ  一年に何回かあるんだ たしか。

 二週間の公演?  なんていうのかなあ〜    勝負というか闘いというか。

 それで勝ち負けを競うんだと思ったけど ・・・ 」

「 ふうん ・・・ スモウって 体格に関係ないのね 」

「 ?? 」

「 普通 格闘技って体重別になってるでしょう?

 ウェイトリフテイング とか じゅ〜ど〜 も 

「 あ そうだよねえ  スモウは ・・・ 関係ないかな

 で〜〜〜っかい力士を チビですばしっこい力士が転がしたりするし 

「 あら ジョー。 詳しいじゃない !  」

「 ・・・ あのね。 スモウ やってる時期って 普通のニュースでも

 取り上げて み〜んななんとなく見てる って感じなんだ 」

「 ふう〜〜ん ・・・ 国民的なスポーツなのね 

「 あ〜〜  まあ そう ・・・ かな? 」

「 わたし ぜ〜〜んぜん知らなかったの!

 博士たちが夢中になってるから ご一緒に中継見てね 

 ごくごく基礎的なことを 教えて頂きながら 見てたんだけど ・・・ 」

「 ふうん〜〜 

( あ。 アレって ハダカ だもんなあ〜〜  フランス人にはショックかも )

 あのう ・・・ 嫌じゃなかった? 」

「 え?? どうして??? 」

「 だってそのう・・・  肌 露出でヤバンだろ 」

「 え〜〜〜〜〜???  どうして??

 肌 露出って。 わたし達の衣装だってか〜〜なり露出よぉ 」

「 ・・・ そんな風に見ませんが。 」

「 そうでしょ?  リキシのヒトたちだって同じよぉ〜〜〜

 キビシク鍛えた肌は  ― 美しいの。

 だる〜〜〜ん  ぽよ〜〜ん なんてしてないもの。 」

「 ・・・ あ  そ ・・・か 

ジョーは シャツの下でこっそり・・・ 自分のお腹を抓んでみた・・・

 

      う ・・・ 

      ぼくの腹 ・・・ ちゃんと六つ割れ してる?

 

      う。 ・・・ や  ば・・・ !

 

彼は密かに 明日からの早朝ジョグを決意した。

 

「 あ あ〜〜 それで  どうだった? 

 そのう・・・ 勝負は さ。 」

「 あら とりくみ って言うのよ?

 あのね あのね ものすご〜〜〜〜〜〜〜く 面白かったわあ〜〜〜 」

「 そ?  そりゃ よかった ・・・ ね 」

「 コズミ先生がね〜〜 いろいろ解説してくださって。

 ギルモア博士も ここに来てからファンになったんですって 」

「 ふうん ・・・ 今の公演は見どころとか多いんだ? 」

「 あのね ジョー。  公演 じゃなくて  場所 っていうの。

 今場所の好取組 っていうのです。 

「 フラン 詳しくなったね〜 」

「 うふふ・・・  まだ耳で聞いて覚えただけよ。

 でもね〜〜〜 とりくみ はほっんと面白かったわ〜〜

 だってね だってね  こう〜〜〜 がっぷり組み合って

 じ〜〜〜〜〜〜っとしてて でもね  それはお互いにスキを

 狙ってるの。 それで じり じり って動いていって

 だあ〜〜〜〜 っと 腕が伸びたり 脚がでたりして

 があ〜〜っと −−− 勝負が決まるのよ〜〜〜  」

「 ― そうだったっけ ・・・・ 」

「 ジョー 明日、一緒に中継 みましょ! 

 博士も一緒だから じ〜〜〜っくり説明してくださるわ! 

「 あ・・・ あ〜〜そうなんだ?

 あは  た 楽しみだなあ 」

「 ね?  ジョーはちっちゃいころ、大きくなったらリキシになりたい!

 って 思ってた? 」

「 え!?  ・・・ あ〜〜 それは  なかったなあ 」

「 あら そうなの? 二ホンのコドモは み〜んな スモウ が

 好きなのでしょう? 」

「 ・・・ う〜〜ん  どうかなあ〜〜 コズミ先生が子供のころは

 そうだったかもしれないけど ・・・ 」

「 え〜〜 ちがうの? あ〜〜んなに面白いのに ! 」

「 あ  あ〜〜  ほら 今はさ いろいろあるから・・・

 サッカー選手になりたい とか 野球で甲子園にゆきたい とかさ 」

「 ああ そうねえ 多様性の時代だものね  ・・・

 だ〜けど!  スモウって すごくない??

 な〜〜んにも道具、つかわないで 鍛えた肉体だけで勝負するでしょ?

 シューズとかもなしだし。

 ・・・ わたし なんかだかめちゃくちゃ感動してしまったの 」

「 そっか〜〜  フランの感受性ってすごいなあ 

「 うふふ ・・・ 豪快で楽しい っていうのがホンネです(^^♪ 

「 あは それは ― わかる! 」

「 TVの中継をちょこっと見ただけなんだけど すご〜〜く

 面白かったの!  だから ホンバン はもっともっとスゴイのでしょうねえ 

「 ホンバン・・って あ〜 国技館 ってのがあってさ。

 そこで 取り組みしてるはずだよ  あ ・・・ 確か・・・

 年に何回か地方公演もあるはず ・・ 」

「 そうなんだ〜〜〜   もっと見たいわあ〜 

「 ホンモノを見るのはすぐには無理っぽいけど・・・・

 録画とか ちょっと古い記録とかあると思うよ〜〜  」

「 そうなの? 」

「 ウン  ネットで一緒に探してみようか  

 ダウン・ロードできるかもしれないし ね 」

「 わ〜〜〜 そうなの〜〜〜  ジョー いい? 」

「 もちろん。  あ 待って。 

 確か TVでスモウ・ダイジェスト とかやってるはずだよ 」

「 ウソ! また見られるの〜〜 」

「 うん ・・・ え〜〜と ・・・ 」

ジョーは スマホで調べつつギルモア邸のTVを しばらくいじくっていた。

 

「 ほら〜〜  やってるよ 

「 あ!!  ホント!  わ〜〜〜 同じ日にまた見られるなんて〜〜 」

「 ダイジェストだから いい勝負ばかりやるはずだよ 」

「 うふふ あのね 本日の好取組 デス。

 あ〜〜  始まったわ 〜〜〜〜 」

 

 ― フランソワーズは 文字通りTVの画面にめり込みそうになって

 見つめていた ・・・

 

      ・・・ すげ ・・・・

      へえ ・・・  こんなに集中できるって いいなあ

 

      うん この一生懸命なトコが 可愛いんだよね

 

      ・・・ フラン ・・・ 可愛いな ・・・

 

ジョーは TVなんかそっちのけで 金髪くるりん〜の後ろ姿を

ほれぼれ ・・・ 眺めていたので ある。

 

Last updated : 06.06.2023.                index      /      next

 

********   途中ですが

突然 なんのこっちゃ?? な 話ですが。

自分が書きたかっただけ★ 誰もよみにこないから いいよね?

で  続きます (+o+)