『  歳末 !  ― (3) ―  』

 

 

 

 

 

 

 

 「 ここ かなあ・・・ 」

ジョーは メモとスマホをみつつ とあるビルの前に立ち止まった。

「 え〜〜と?  あ プレート でてる〜〜〜 」

 

   わん・にゃん はうす  ― 犬・猫保護シェルター ―

 

ビルの一階に小さなプレートが見つかった。

「 ここだ ここだ。  え〜と ・・・?  ああ この階段、降りるのか 」

彼は数段、おりるとドアの脇にあるチャイムを押した。

 

 

 

避難場所? と びっくり顔のジョーに フランソワーズは少し息とついから

ゆっくり説明を始めた。

「 避難場所 というより 保護施設ね 」

「 保護施設? 」

「 ええ。 里親さんを探すワンちゃんや猫さんのお家よ。 」

「 ふ〜ん ・・・ 動物の孤児院 かあ ・・・ 」

「 え? 」

「 あ  え〜と そこでボランティアを探してるって ? 」

「 そうなの〜〜〜 そこではね ボランティアさん達が ワンちゃんたちの

世話のお手伝いをしているのですって。 」

「 あ〜 そうなんだ? 」

「 それがね〜 いつものボランティアさんがね インフルエンザになっちゃって・・・

 急に人手が必要なんですって 」

「 そりゃ大変だねえ 〜  で なにをすればいいのかな ・・・ぼくに

 できるかなあ 

「 あのね ・・・ え〜〜と ・・・ ワンちゃんやら猫ちゃんの食器洗いと

 ワンちゃんのお散歩。 ですって 」

「 あ〜〜 それなら大丈夫。 ぼく 得意だからね。 

 いいよ ウチの掃除も < 万能るんば > に任せられるし 」

「 ありがとう ジョー〜〜  あ それでねえ 猫さんの遊び相手も できる? 」

「 できるさあ〜〜 ぼく、動物とちょ〜〜〜 仲良し って知ってるだろ? 」

「 それは安心しているわ。  じゃ おねがいしてもいい? 」

「 もっちろ〜〜ん☆ あ 今から 行こうか ? 」

「 いいの?  あ お昼 しっかり食べて行って!

 ジョーの好きなピザ・サンド 熱々にするから  

「 わい〜〜(^^♪  ピザ・サンド〜〜〜 フランの、めっちゃうま〜〜〜 

「 ふふ ありがと。 熱々たべて ボランティア がんばってね 」

「 りょうかい〜〜〜  手 洗ってくる〜〜 」

ジョーは口笛吹きつつ バス・ルームにゆきご機嫌ちゃんで ランチを平らげ

かる〜〜〜い足取りで ボランティアにでかけた。

 

 

 

「 あ〜〜〜 ボランティアさん?  はじめまして〜〜〜 」

ドアの向こうから 中年の女性が元気よく出てきた。

「 あ し しまむらといいます  よろしくです〜 」

「 島村くん、ね。 どうぞ宜しく。 ワタシ タナカです。 」

「 よろしくです〜 」

  ぎゅ。  差し出された手を軽く握ったら しっかり握り返された。

 

女性にしては大きな手、多少 荒れていたけ 温かだった。

 

「 あ ・・・ は  ・・・ いいなあ ・・・ 」

「 はい? 

「 い いえ ・・・ あのう ぼくはなにを ・・・ 」

「 うん  その前にね ここのコ達を紹介するわね 

「 あ はい 

「 こっち〜〜 まずは  靴を消毒してくれる? 」

「 はい え・・・っと 」

彼はスニーカーに消毒スプレーをすると 隣の部屋に案内されていった。

「 ・・・ うわ〜〜〜お〜〜〜  

 

ちょっとばかり自信をもっていたジョーをシェルターで待っていたのは 

100にゃん に近いにゃんこさん達と 散歩したくてうずうずしてる 

10匹のわんこだった!

 

「 う わ ・・・ いっぱい いる・・・  」

「 ね〜たくさん いるでしょう? 」

「 は はい 」

「 皆ね 捨てられたり保護されたり いろいろ事情があってウチに来たの。

 新しい家族が見つかるまでウチで快適い過ごして欲しいな〜って思っています。」

「 ・・・ ! そ そうなんですか ・・・  やあ こんにちは  

ジョーは 一番手近のケージにいた茶白の猫に挨拶をした。

「 ・・・・ 」

にゃんこは 金色の瞳でじ〜〜っとジョーを見つめている。

 

    ! この目 ・・・ よく知ってる! 

    

    ・・・ ここのコは  ぼく だ ・・・・

    ぼくもずっと 待ってたんだっけ ・・・

 

心の奥が きゅ・・・っと傷む。

 

「 まずね 手始めに にゃんさん達の食器 洗ってくれますか  

「 は はい! 」

「 厨房はこっちです。  あ ゴム手袋、使ってね、素手でやったらすぐに

 皮膚が荒れてしまうから 

「 あ はい。 食器は ― ぼくが集めましょうか? 」

「 ああ 今日はいいです、私がやりますから。

 あの ・・ 単調なこと、お願いしてごめんなさいね 

「 え〜〜〜 どうしてですか?? ご飯の後は誰だって食器、洗いますよ〜

 清潔な食器でご飯 たべたいですよね  えへ ぼく、結構得意なんです〜 」

「 ありがとう  おねがいしますね 」

「 はいっ 」

ジョーは 必殺の?笑顔で 洗い場にたった。

 

 十数分後 ・・・

 

 ―  ジャ〜〜〜〜 ・・・・ きゅ。

「 ・・・っと これで完了 かな〜〜〜  あ タナカさん、これでいいですか〜 」

「 えええ・・・ もう終わったの? 」

「 はい みんな 同じ形態なんで楽でした 

「 そりゃ ・・・・ わあ ほんとうにぴかぴかだわ〜〜〜 

「 あ 追加あります? 」

「 いえこれで全部よ、 ありがとう〜〜〜〜 

「 ぼく、洗いモノ、好きなんですよ〜〜  えっと 次はなにを 」

「 お疲れさま  ちょっと休憩してね?  お菓子 食べてね 」

「 え あ〜〜 ありがとうございます。 ここに座ってもいいですか? 」

「 どうぞ。 猫ちゃんの遊びスペースなのよ、皆お昼寝してるから大丈夫。 」

「 あ〜 そうですか。 あ これ 遊び道具なのか 」

ジョーはビスケットを齧りつつ羽根でできた < 猫じゃらし > で遊びだした。

ほどなくして ― 

 

  んみゃ〜〜〜  み?  にゃにゃ〜〜〜  にゃあ〜〜〜

 

足音もなく! 茶色のやら 白いのやら 黒白やら 茶縞やら ・・・

猫さんたちがジョーの周りにやってきた。

 

「 うお? わ〜〜〜 みんな来たね〜〜  あ 可愛いなあ〜 お前・・・

 わはは 背中に登るかい? いいよ〜〜  うひゃあ くすぐったい〜〜 」

わらわら寄ってきた 大小 老若 さまざま〜〜な猫さん達は ジョーの周りを

すりすり〜してくんくん匂いを嗅ぎ 彼の身体の登ったり 脚の間に無理やり入りこんだり。

「 うひゃあ〜〜  ああ あったかいね〜〜 きみたち 

にゃにゃ ・・・ みゃみゃ ・・・ うにゃあ ・・・

トレーナーのフードの中に潜ったり 抱き上げてもらったコはごろごろ盛大に咽喉を

鳴らし始めた。

「 ふふふ ・・・ ぼくもとってもいい気持ちだよ。 ふふふ 」

ジョーは 生きてる毛皮の中でほっこり気分だ。

 

「 あ シマムラく〜〜ん  もう一つ おねがいがあるんですけど 」

「 はい タナカさん 」

「 あのね  うわ??? 」

タナカさんは 一瞬立ちすくんだ。

初顔のボランティア君は なんとたっくさんの猫さん達の中に埋もれていた・・・

「 だ 大丈夫? 」

「 は〜い へへ・・ 温かくて気持ちいいですねえ 〜〜

 あ !  抱っこしたりしたらいけなかったですか?? 」

「 いえ 彼らが勝手に出てきたのだし構わないけど ― 重くない? 」

「 い〜え  は〜〜 なんか幸せだなあ 〜 

「 君、 猫とか飼ってるの? 

「 いいえ? 犬も猫も好きですけど ・・・ 」

「 そうなんだ?  あの〜〜 いい気分の時に悪いんだけど、頼んでいいかな 」

「 はい 勿論。 なんでしょう 」

「 あのねえ ・・・・ ごめん、猫さん達のトイレ砂を換えてやってくれる?

 あ 臭わないから大丈夫。 固まってる砂を専用シャベルで取って新しいのを

 補充して欲しいのよ。 

「 はい!  さ〜〜 君達〜〜 ちょっとゴメンね〜〜 」

彼は へばりついている猫さん達を上手に引き剥がした。

「 モテモテね〜〜  島村くん!  お家に猫さんでもいるのかしら? 」

「 え ・・・ いないです。 ず〜〜〜っと前 わんこ と一緒にいたことは

 ありますけど   ・・・ 」

「 そう? なんか猫さんを呼び寄せるオーラがあるのかもよ?

 仔猫だけじゃなくて 老猫さん達もいたもの。  

「 そうなんですか? みんな ほわほわでカワイイなあ〜〜〜 って・・・

 猫に埋もれるなんて 最高です ぼく。 

「 ふ〜〜ん  もしかして前世は 猫だったのかもね? 

 きっと 茶白のイケメンにゃんこ だったのじゃない ? 」

「 え〜〜〜  ぼく きっと、ごまだらの野良ネコだったんですよ 」

「 ・・・  なんでそう思うの 」

「 え 別に・・ あ トイレ掃除しますね〜〜 」

「 え ええ おねがいします。 補充する猫砂はこっち ・・・

 結構重量があるから気をつけてね 」

「 はい。 お〜〜い 茶トラくん、 掃除するよ〜〜 」

ジョーは 嬉々として猫たちのケージの前に立った。

 

「 よ〜〜し。 これで完了っと。 捨てるヤツはこっちの袋 っと。

 あ ホントに全然臭わないな〜〜  猫さん達な清潔好きだし・・・

 ふふん ニンゲンの方がよほど不潔だよ うん 」

しばらくして ― ジョーは 廃棄用の袋を持ち、戻ってきた。

「 タナカさ〜〜ん トイレ掃除 終わりました 

「 わ? もう?? ・・・ 島村クン、ほんとに仕事、早いわねえ 」

「 そうですか?  猫砂 ってとても清潔ですねえ 匂いもないし 

「 でしょ?  ちゃんと世話をすれば 動物たちは決して臭ったりしないわ。 」

「 ですよね〜〜 へへ ぼく、 わんこの匂い も にゃんこの匂い も

 好きですけど  ・・・ 」

「 ふふふ ・・・ 君は動物に好かれる要素 もりもりなのね。 」

「 そうですかね? あ ぼくは 動物、好きですけど・・・ 鳥も。

 さあ 次はなにしますか? 掃除? 」

タナカさんは しばらくとて〜〜も温かい眼差しでジョーを見ていた。

「 そうねえ ・・・ 島村クン、見かけによらず力持ちっぽいから

 次はわんちゃん達をお願いしようかしら 

「 はいっ!!! 」

「 この辺りの地理、わかります? 」

「 だいたい ・・・ 」

「 そこの川沿いにゆくと大きな公園があります。

 リードを外さなければ わんちゃん達もオッケーなの。 」

「 はい! わはは〜〜〜ん わんこの散歩なんて 久し振り〜〜〜 」

ジョーの方が 大喜びで犬舎の方に跳んでいった。

 

  わわん  わん  くぅ〜〜〜ん ・・・ きゃん!

 

わんこ達は にゃんこ達より賑やかだった。

「 お〜〜い わんこクンたち〜〜 ヨロシクな〜〜 ジョーっていうんだ 」

彼は わんこ達の間を歩きまわり話しかけたり ちょいちょい・・・と撫ぜたりした。

「 ご飯は終わったね?  トイレもキレイっと。

 じゃあ 今日はね ぼくが散歩担当だからね〜〜〜 

手にもってきたリードを 彼らに見せた。 

 「 さあ  散歩 ゆくぞ〜〜〜〜 」

 

  わんわんわん  わん〜〜〜  きゃうん きゃん きゃん 〜〜 」

 

大騒ぎになり 彼にむかって前後左右から犬たちが飛び付いてきた。

「 お〜〜っと順番 順番。   タナカさんのメモのよると〜  えっと最初は 

 ・・・ 太郎と花子から か。  ちゃんと決まっているんだな〜

 たろ〜〜〜  はなこ〜〜〜 おいで 

どの犬のなのか よくわからなかったが、ジョーが呼ぶと 

 

  わんっ!!   わわんっ !

 

茶柴 と 黒っぽい中型犬 が どどどっと寄ってきた。

「 あ〜〜 キミが たろう?  よろしく!  アナタが 花子さん?

 おねがいします。  」

ジョーは首輪の名前を確かめ、 リード付きの胴着を着せた。

使い慣れているのか 二匹ともすんなりと着てくれた。

「 これでよし。 さあ 出発〜〜  他の皆も順番に行くからね〜〜

 待ってくれよな 

 

   わんわん〜〜〜〜  くぅ〜〜〜〜〜ん ・・・!

 

え〜〜〜 ワタシも〜〜 ボクも〜〜〜  いっちゃうのぉ〜〜  な視線に

追われ ジョーは太郎くんと花子さんをつれて表にでた。

 

「 さあ 出発。 さあて どっちから行くかい ? 」

茶芝の太郎くんに尋ねると   わん?  彼は 花子さんの顔を見た。

「 あ ごめん。 花子さんの方が先輩なんだね?

 花子さん どっちから行きますか? 」

「 ・・・・ くん ・・! 」

黒っぽい癖毛の 花子さん は ちろっとジョーの顔を見てから 太郎クンを見て

くい・・・っとリードの綱を引いて歩き始めた。

「 あ こっちからですか。 はい 了解。 太郎? ゆくよ  」

「 わんっ! 」

太郎は盛大に尻尾を振り ジョーの横にぴたり、とついて歩き始めた。

 

 

  ひゅるるる〜〜〜〜  ・・・・

 

乾いた風が一人と二匹の側を吹き抜けてゆく。

「 ひゃあ ・・・ やっぱ川沿いって寒いなあ ・・・

 太郎くん? 花子さん、 大丈夫かな〜〜 」

「 わん? 」  「 ! 

先をゆく花子は ちらっと振り返ったがすぐにそのまま歩いてゆく。

太郎は ジョーの脚にすりよってきた。

「 う〜ん やっぱ寒いよなあ   よし それじゃ 花子さ〜ん  

 そして 太郎くん。  公園まで加速そ〜ち・・・ じゃなくて

 駆け足〜〜〜〜  行くぞっ 」

ジョーが ぱっと駆けだすと ―  わんわんわん〜〜〜  うぉん !!

二匹は嬉々として走りだした。

 

「 う っは〜〜〜〜〜 ・・・・ ! ああ よく走ったね〜〜〜 」

公園につくと ジョーは脚を緩め二匹をつれてベンチに座った。

「 あ 咽喉 乾いたかい?  ちゃ〜〜んと水 もってきたからね〜 」

彼はリュックからペット・ボトルと犬用の食器を取りだした。

「 〜〜〜〜ん  ほら どうぞ? えっと 花子さんから ? 」

「 うぉん! 」 「 わんっ 」

花子は ちゃんと太郎を誘い、二人は仲良くならんで水飲み容器に鼻先をつっこんだ。

「 お〜〜〜 よく飲むなあ  ほら ちょっと足すね〜 」

とぽぽぽ・・・・ 水を継ぎ足すと二人はごくごくおいしそうに飲んだ。

「 美味しかった?  よ〜〜く走ったもんなあ 

  くうん 〜〜   きゅん ・・・

太郎も花子も ジョーの膝に顎を乗せたりもたれかかったりしてきた。

「 わは♪  かっわいい〜〜〜  ねえ こんなモンももってきたんだぞ〜〜 」

彼はリュックの底から ブラシ を取りだした。

「 ほら こっち向いて? まずは 花子さんから〜〜 」

「 うわんっ 」

 

 しゅ しゅ しゅ しゅ しゅ〜〜〜〜〜  

 

ジョーは並んで背を向けている犬たちにブラッシングをし続けた。

「 わあ〜〜 毛並、光ってるよ? 綺麗だねえ〜〜 花子さん ・・・

 わお〜〜 太郎クン、ますますイケメンだよぉ〜〜 」

ジョー自身、冬の陽射しをたっぷり楽しみ ご機嫌ちゃんで帰ってきた。

 

「 ただいま〜〜〜   わお?? 」

わん わん わん わん〜〜〜

犬舎のドアを開けると < 次はぼく! > < アタシの番! > と

わんこさん達が押し寄せてきた。

ジョーは慌ててメモをとり出す。

「 わ〜〜〜 お待たせしてごめんね〜〜〜  次は えっと・・・ ジョンと

 メリー?  あ モモ も一緒で大丈夫 か。

 よ〜〜し  ジョンくん  メリーさん  モモさん ゆくよ〜〜 」

 

  わおんわおん   きゃんきゃん  きゃう〜〜〜ん

 

「 よしよし ・・・・あ ちょっと水を補充してくるからね〜 」

数分後 彼はまたまた犬たちと元気よく駆けだしていった。

 

 

 ― そろそろ夕闇が迫るころ。

 

「 ― ただいまです〜〜  あ 晩ご飯の時間に間に会いましたか? 」

「 うわん!  」 「 わわんっ 」

散歩隊最後のわんこ達とジョーは シェルターに戻ってきた。

「 わあ お帰りなさい〜〜  お疲れさまでした 島村クン・・・

 大変だったでしょう ? 」

「 いやあ〜〜 ちょ〜〜〜楽しかったですよぉ〜〜〜〜

 えへ ぼく わんさん達と思いっ切り走っちゃった ・・・ 

「 ありがとう!!!  犬たちもとっても満足しているわ。 

晩ご飯 い〜〜っぱい 食べるでしょうね 」

「 あ・・・ マズかったですか? すいません ・・・ 」

「 いやだ〜〜 そんなことじゃないよ。 猫さん達と違ってね〜

 犬たちはやっぱりたくさん運動したいのよね  だから本当にありがとう! 」

「 えへへ・・・ よかったあ〜〜 

 あ 晩ご飯の準備とか手伝えること ありますか? 」

「 ああ もう十分よ、こんな時間になっちゃってごめんなさい。

 島村くんもお腹 すいたでしょう? 本当にご苦労様 

「 え まだ平気ですよ。  あ・・・ 邪魔じゃなかったら ぼく・・・

 もう一回 猫さん達に会ってから帰りたいんですけど 」

「 どうぞ どうぞ〜〜  」

「 あ 犬の匂いで イヤかなあ? 」

「 ウチの子たちは大丈夫。 島村クン 本当に動物好きなのねえ 」

「 はいっ ぼく ・・・ コドモの頃 施設で育ってて ・・・

 野良ネコとかが友達だったんで ・・・ 」

「 まあ そうなの ・・・ 」

「 じゃ 猫さん達と遊んできますね〜  タナカさん、仕事忙しそうですね

 ぼく 勝手に帰りますから気にしないでくださいね 」

「 ごめんなさい、 なんか気を使わせちゃったわね 」

「 いえいえ〜〜 ぼく ・・・ 今日はとっても嬉しかったです 」

「 嬉しい・・?  」

「 はい。 ぼくでも こんなに必要としてくれるんだって思って。

 ああ ここに来てよかったです〜 」

「 ありがとう!  あの・・ もしできれば ・・・ また来てくれますか ? 」

「 はい!! 喜んで〜  ああ ジョン〜〜〜 また遊ぼうな〜〜 」

 

  わおんっ! ジョーと かなりマジで < 徒競走 > したシェパードくんが

わさわさ〜〜〜 尻尾を振り犬舎の中で跳ねていた。

 

 

「 ただいま〜〜〜 

ギルモア邸の玄関チャイムを押した時は 冬の陽はとっぷりと暮れていた。

「 お帰りなさい !  お疲れさま ジョー 」

ドアが開くと フランソワーズが満面の笑みで迎えてくれた。

「 遅くなってごめん 〜〜 つい その ・・・ 楽しくて ・・・ 」

「 うふふ・・・ そんなことだろうと思ったわ。 晩御飯 熱々よ〜〜 」

「 わお〜〜 お腹 ぺこぺこなんだ 」

「 ふふ・・・ 手を洗ってきてね 」

「 は〜〜い  」

ジョーはぱたぱたバス・ルームに駆けてゆき すぐにキッチンにやってきた。

「 はい 熱々のシチュウよ〜 」

「 わお〜〜♪  いっただっきまあ〜〜す 」

「 はい どうぞ召しあがれ。 あ ねえ 猫さんやわんこさんと仲良くなれた? 

「 うん!!  あの ・・・ さ。 また 行ってもいいかな・・・

 その〜〜 ボランティア ・・・ あ ウチの掃除もちゃんとやるから 」

「 勿論よ〜〜 あ そのシェルターのお掃除用にウチの < 万能るんば >

 お貸ししましょうか ? 」

「 あ ・・・ 掃除機って 猫さん達は苦手みたいだよ? 」

「 まあ そうなの? じゃあ お掃除はどうしているの? 」

「 普通に箒で掃いてるみたいだよ。 あの さ ・・・ あの〜〜  」

「 ふふ ・・・ 定期的にボランティアに行きたい でしょ? 」

「 わ〜〜〜 すげ〜〜 どうしてわかった? 」

「 うふふ ・・・ だってね、 ジョー、と〜〜〜っても嬉しそうな顔で

 帰ってきたから。 ウチの掃除は大丈夫よ。 安心して。

 餅つき大会 も アルベルトが頑張っているし 」

「 そうかな それなら ・・・ ぼく、できるだけシェルターの手伝いしたくて。

 出来れば ・・・ ワンさんやにゃんさん達を引き取りたいんだけど・・・ 」

「 ・・・ ジョー それは 」

「 ウン わかってる。 ぼく達は いつ ・・・ ここから < 消える >

 かもしれないもの。  責任をもてないものな 」

「 ・・・ そう ね。 」

「 だから できるだけのこと、したいんだ。 」

「 どうぞ手伝ってあげて?  ワンさんやにゃんさんの相手をしてあげてね 」

「 ありがと〜〜 フラン〜〜 」

「 ワンさん達を幸せにしてあげてね 」

「 ふふ ・・・ ぼくの方がシアワセにしてもらっちゃったよ。

 あのさ い〜〜〜っぱいにゃんさん達がいてね、 ぼく、埋まっちゃったさ 」

「 埋まる?? にゃんさんに? 」

「 そ! 皆 にゃあ〜〜って寄ってきてさ 」

「 まあ 可愛いわねえ  里親さんがみつかるといいわね 」

「 うん。 ― あのコたち ず〜〜〜っと待ってるんだもの ・・・

 チビの頃のぼくと同じなんだ 」

「 ジョー ・・・ 」

きゅ。  フランソワーズの白い手が彼の手をしっかりと握った。

「 ・・・ フラン ・・・ 」

 

  ピンポン  ― 玄関チャイムが鳴った

 

「 あ ・・・ きっとジェロニモ Jr. だわ 」

「 え ?  彼、 まだ帰ってなかったんだ? 」

「 そうなのよ〜  もうね 門松作りで大変みたいよ 」

「 え〜〜 そうなんだ? 」

「 植木屋のご主人、 とても喜んでくれて いろいろ教えてくれるんですって。

 お帰りなさ〜〜い  」

フランソワーズは 玄関に駆けて行った。

 

「 ― ただいま。 」

「 お帰り〜〜〜 ジェロニモ Jr.  お疲れ様〜〜 」

「 むう。  今日は 石灯籠 運んだ。 」

「 ええ?? だって門松作りの手伝いだろ ? 」

「 うむ。 その門松、運んだ家で頼まれた。 」

「 ひええ〜〜  そりゃ君じゃなくちゃできないよなあ 」

「 ふふ 重そうな顔、して運んだ。 」

「 あは そうだよねえ 」

「 植木屋、人手不足で忙しい。 俺 できるだけ手伝う。 」

「 そっか〜〜 がんばれ〜 」

「 うむ。  ジョーは? 」

「 ぼく? うん、 ぼくも頑張る!  わんさんや猫さんのために 

「 むう?  動物、愛するのはいいことだ。 」

「 だよね〜〜  勿論 ウチの餅つき大会は手伝いよ 」

「 俺もだ。 」

「 ふふふ ・・・ 餅つきでは、チカラ 抜いてね? 

フランソワーズが熱々のシチュウを運んできて 付け加えた。

「 ああ。 」

「 今年は 楽しい歳末になるね〜〜 」

「 ああ。 」

「 勿論よ。 楽しみだわあ 」

 

慌ただしい年末 ― ギルモア邸は ほっこりした空気が満ちていた。

 

 

Last updated : 12,26,2017.                 back     /    index    /    next

 

 

**********   またまた途中ですが

わ〜〜〜〜ん 今年の間に終わらせようと思っていたのですが・・・・ 

すいません、年越しです〜〜〜 (;´Д`) <m(__)m>

シェルターは 個人的に応援している所をモデルにしました☆